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第4章 教会(対決)編

64.教会からの使者

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 キリが無事助けられたことは、直ぐに、冒険者ギルドに伝えられた。そして、ほぼ同時に、王宮や神殿でも知られることとなった。

 暫くしてから、私は、冒険者ギルドに行って、挨拶をすることにした。

 受付のノーバは、私の姿を見るなり、喜んで、駆け寄って来た。

 「キリ、大丈夫?」

 「うん、平気よ」

 「変な依頼をさせて、申し訳ないわ」

 「いいえ、指名依頼に浮かれていたのは、私の所為だから」

 「でも、いくら古いダンジョンだと言っても、崩落事故が起こるのは、珍しいわ」

 「そうなの?」

 「そうよ。地震とか、特別な事が無い限り、普通は起こらないわ」

 「そしたら、私は、ついてなかったということ?」
 
 「そうかも」

 「冒険者ギルドの人には、救助を出して貰って、感謝しているわ。ギルド長が国王に掛け合ってくれたのでしょ」

 「そうよ。ギルド長も、心配していたわ」

 「ギルド長にも、お礼をしたいわ」

 「ごめんなさい。今、ギルド長は、居ないの。私から、伝えておくわ」

 「それじゃ、お願いね」

 私は、そのまま、冒険者ギルドを後にした。転移魔法で、城に戻った所、冒険者ギルドから、連絡が入った。

 私に来客があるから、来てほしいとくことみたい。私は、急いで、冒険者ギルドに向かった。

 「キリです。どうしたの?」

 「あの、キリに会いたいって、お客さんなの?」

 「誰?」

 「教会から派遣されたって、言っているの。私も、どうしていいか、分からないの。ギルド長も居ないので、キリに対応して貰おうかと思って、呼んだの」

 「分かったわ。私が会うわ」

 「こちらよ」

 私は、ノーバの後について、応接室に入って行った。すると、そこには、ソファに座った神殿長のような雰囲気の人と、その人を取り囲むように神官のような人たちが立っていた。

 「キリです。私に用事があるとか、聞いたのですが?」

 「まあ、こちらにお座りください」

 私は、言われるままに、ソファの前の椅子に座った。

 「実は、この国の神殿長が、教会に不安があると、申し出があったので、調査に来たのです」

 「神殿長の不安とは、何でしょうか?」

 「それは、貴方のことです。キリと言いましたか? 貴方は、勇者ですか?」

 「私ですか? 勇者に見えますか?」

 「私は、それを判断しに来たわけではありません」

 「それでは、何を調査しに来られたのですか?」

 「貴方が、自分から、勇者だと名乗ったかどうかを、調べに来たのです」

 「何故、それが、大事なのですか?」

 「ほお、貴方は、御存じないのですか?」

 「えっ、何を?」

 「勇者は、教会が任命するということを、つまり、教会の知らない勇者は、存在しないのです。だから、貴方が勇者でないことは、明白なので、調べる必要がないと言うことです」

 「それなら、何故、来られたのですか?」

 「教会の認定もされていない者が、勇者と名乗ることは重罪だからです」

 「すると、自分から勇者だと名乗ると、罪になるということですか?」

 「そうです。大罪です」

 「教会は、どのようにして、勇者を認定するのですか?」

 「それは、秘密です。教会のみが知ることです」

 「それでは、どのような能力や資格があるかは、公表できないということですか?」

 「そうです。秘密です」

 「それなら、能力も、資格もなくても、教会が認めれば勇者となるのですか?」

 「キリさん、貴方は、何を言っているのですか? 教会を侮辱するつもりですか?」

 「そんなことは、ありません」

 「教会が認めれば、能力も、資格もあるということです」

 「分かりました」

 「それでは、貴方は、自分から勇者だと、名乗ったのですか?」

 「いいえ、周りの人たちが勇者だと、噂しただけです」

 「そうですか、それでは、勇者で無いと否定してください」

 「私は、関心のないことに協力はできません」

 「教会からの依頼ですよ。素直に受けなさい」

 「教会からで、あっても、私には、関係ありません」

 「そんなことを言っていては、困ることになりますよ」

 「私は、構いません。それでは、失礼します」

 私は、応接室を出て、ノーバに挨拶してから、城に帰った。

 そして、ミユに冒険者ギルドであったことを報告した。 

 「キリ、私が調べたところ、神殿長は、国王から勇者について調査するように言われたようなの」
 
 「それで?」

 「神殿長は、教会に勇者について、問い合わせをしたらしいの。その結果が、今日の冒険者ギルドの一件ね」

 「国王は、どう思っているの?」

 「どうも、噂を信じているみたいなの」

 「どうして? 国王も、教会が認めないと勇者でないことは知っているのよね」

 「そうよ。でも、国王は、神殿長や教会も疑っているみたい」

 「勇者は、勇者だから存在しており、教会が認める必要がないと思っているみたい」

 「へぇ、そうなの?」

 「今の国王は、神殿長が国王に指示を出していることに反発しているみたいね」

 「それなら、国王を私達の味方に付けれるのじゃない」

 「キリ、そうかもしれないけど、簡単なことではないわ」

 「でも、やってみる価値はあるわね」

 「そうね」

 それから、私は、ミユと国王に味方になって貰うための方法を考えた。しかし、直ぐには、いい方法は浮かばなかった。
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