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第4章
7話:武神祭2
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トーナメント初日の熱気と興奮が冷めやらぬまま、観客席はさらに多くの観衆で埋め尽くされていた。予選を勝ち抜いた精鋭たちが、いよいよ準々決勝へと駒を進める日。武神祭は頂上に向け、ますます激しさを増していく。
朝から会場は大盛り上がりを見せている。俺とエイシアスは、露店で買った食べ物と飲み物を手に、リリアたちが座る観客席へとやってきた。
「お待ちしていました。別行動をしていたと思えば、露店で買い物をされていたのですね」
「祭りを楽しむなら、こういう雰囲気を味わなくちゃな」
「いいですね」
すると俺を見たカリオスが呆れていた。
「言ってくれれば、好きなものを用意したものを」
リオナスもそれに頷きながら、「不自由はさせませんよ?」と冗談交じりに言ってくるが、俺は首を振った。
「皇族席に座って贅沢をしても、それじゃこの祭りを楽しんでいるとは言えないだろ」
「それもそうだな」と、少し悔しそうにしながらも、カリオスが頷く。
彼もまた、皇帝という立場がなければ、もっと気軽にこうした祭りを楽しんでみたいと思っているのかもしれない。
「何事も楽しまないと」
「主の言う通り。楽しまなければ、退屈で死にそうだ」
雑談をしていると、大会のアナウンスが鳴り響いた。
『お待たせいたしました! 武神祭二日目がついに幕を開けます! 本日も、世界中から集まった強者たちがその力を競い合います。昨日の激闘を勝ち抜いた者たちが再びリングに立ち、さらに熾烈な戦いが繰り広げられることでしょう!』
観客たちが大きな拍手と歓声を送る中、アナウンスはさらに続いた。
『本日の試合では、予選を突破した実力者たちが準々決勝への切符をかけて戦います! 新たな技、新たな戦術、そして戦士たちの限界を超えた力が炸裂するこの二日目、昨日に負けず劣らぬ熱戦を約束しましょう!』
観客席が歓声でさらに沸き立つ。会場内には期待と緊張が入り混じった空気が充満していた。
『それでは、第一試合の選手がリングに登場します! 皆様、大きな拍手でお迎えください!』
選手が入場すると、大きな拍手と歓声が鳴り響き、さらなる熱狂に包まれる。
『本日の戦いは、さらに一層の熱気と興奮をお届けいたします! 戦士たちよ、己の限界を超え、名誉と栄光を掴むために戦え! それでは……武神祭二日目第一試合――開始ッ!』
ゴングの音が高らかに鳴り響くと同時に、選手たちは激しくぶつかり合い、二日目の武神祭が熱気と共に再び動き始めた。
観客たちも息をのんで見守っている。
最初の試合が終わり、勝者が誇らしげに拳を掲げると、会場全体が歓声で包まれた。敗者は無念そうに肩を落としながらも、礼儀正しく退場していく。
この場に立つだけでも名誉とされているから、負けたとしてもそれは恥ではないのだろう。
「やはり、どれも見ごたえがあるな。お前も楽しんでいるようだな、エイシアス」
俺が隣のエイシアスに声をかけると、彼女は薄く笑って頷いた。
「そうだな。やはり見ていて飽きない。特に、いろんな戦い方があるのが面白い」
アナウンスが鳴り響き、二試合目の選手たちが入場し始めた。今回は剣士と魔法使いの対決らしい。
剣士は鋭い目つきで相手を見据え、腰の剣を軽く抜いては、元に戻していた。
対する魔法使いは落ち着いた表情で杖を構え、闘志を内に秘めたように感じられる。
ゴングが再び鳴り響き、戦いが始まった。
剣士が一気に間合いを詰め、強烈な一撃を振り下ろす。魔法使いはその一撃を素早く躱し、間合いを取りつつ、魔法の詠唱を始めた。
その瞬間、空気がピリッと張り詰めたように感じた。
「おっ、やるじゃないか。あの魔法使い、なかなかの力量だな」
俺は思わず声を漏らした。魔法使いが詠唱を終えると、突如巨大な雷が剣士に向かって炸裂する。しかし、剣士もただの力任せの戦士ではなかった。
彼は素早く身を翻し、雷を避けてみせた。その身のこなしに観客から驚きの声が上がる。
「この戦い、長引きそうだな」
エイシアスが肩越しに俺に笑いかける。
「お互いに力量が拮抗しているから、勝敗が決まるまで時間がかかりそうだ」
俺も頷きながら、その様子を見守った。
互いに一歩も引かない攻防は、まるで熟練の舞踏家が舞台で踊っているかのようだ。
武器と魔法の激突が続き、場内は一層の盛り上がりを見せる。
ふと、俺は思った。これほどの戦いを繰り広げる者たちが集まる場に、もし俺が出たらどうなるのだろうか? すぐに戦いを終えてしまうか、それとも意外な挑戦が待っているのか――そんな妄想をしつつも、俺は今のところは観客としてこの光景を楽しむのが一番だと改めて感じていた。
「エイシアス、来年の武神祭も見に来ようか」
「そうだな。来年もまた、興味深い戦士たちが現れるだろう。だが、もし気が向いたら、その時は……」
エイシアスが意味深な笑みを浮かべ、俺に視線を向けた。
「俺たちも参加するか?」
俺がそう言うと、話しを聞いていたリリアやカリオス、リオナスまでもが反対してきた。
俺たちが出たら、すぐに終わってしまうし、優勝も決まっているようなものだからダメだと言われてしまった。
正体を隠して参加してやろうか? 俺とエイシアスの決勝になるだろけど。
そうなった場合、闘技場というか、ここアルグラシアが無事とは限らないけどね。
朝から会場は大盛り上がりを見せている。俺とエイシアスは、露店で買った食べ物と飲み物を手に、リリアたちが座る観客席へとやってきた。
「お待ちしていました。別行動をしていたと思えば、露店で買い物をされていたのですね」
「祭りを楽しむなら、こういう雰囲気を味わなくちゃな」
「いいですね」
すると俺を見たカリオスが呆れていた。
「言ってくれれば、好きなものを用意したものを」
リオナスもそれに頷きながら、「不自由はさせませんよ?」と冗談交じりに言ってくるが、俺は首を振った。
「皇族席に座って贅沢をしても、それじゃこの祭りを楽しんでいるとは言えないだろ」
「それもそうだな」と、少し悔しそうにしながらも、カリオスが頷く。
彼もまた、皇帝という立場がなければ、もっと気軽にこうした祭りを楽しんでみたいと思っているのかもしれない。
「何事も楽しまないと」
「主の言う通り。楽しまなければ、退屈で死にそうだ」
雑談をしていると、大会のアナウンスが鳴り響いた。
『お待たせいたしました! 武神祭二日目がついに幕を開けます! 本日も、世界中から集まった強者たちがその力を競い合います。昨日の激闘を勝ち抜いた者たちが再びリングに立ち、さらに熾烈な戦いが繰り広げられることでしょう!』
観客たちが大きな拍手と歓声を送る中、アナウンスはさらに続いた。
『本日の試合では、予選を突破した実力者たちが準々決勝への切符をかけて戦います! 新たな技、新たな戦術、そして戦士たちの限界を超えた力が炸裂するこの二日目、昨日に負けず劣らぬ熱戦を約束しましょう!』
観客席が歓声でさらに沸き立つ。会場内には期待と緊張が入り混じった空気が充満していた。
『それでは、第一試合の選手がリングに登場します! 皆様、大きな拍手でお迎えください!』
選手が入場すると、大きな拍手と歓声が鳴り響き、さらなる熱狂に包まれる。
『本日の戦いは、さらに一層の熱気と興奮をお届けいたします! 戦士たちよ、己の限界を超え、名誉と栄光を掴むために戦え! それでは……武神祭二日目第一試合――開始ッ!』
ゴングの音が高らかに鳴り響くと同時に、選手たちは激しくぶつかり合い、二日目の武神祭が熱気と共に再び動き始めた。
観客たちも息をのんで見守っている。
最初の試合が終わり、勝者が誇らしげに拳を掲げると、会場全体が歓声で包まれた。敗者は無念そうに肩を落としながらも、礼儀正しく退場していく。
この場に立つだけでも名誉とされているから、負けたとしてもそれは恥ではないのだろう。
「やはり、どれも見ごたえがあるな。お前も楽しんでいるようだな、エイシアス」
俺が隣のエイシアスに声をかけると、彼女は薄く笑って頷いた。
「そうだな。やはり見ていて飽きない。特に、いろんな戦い方があるのが面白い」
アナウンスが鳴り響き、二試合目の選手たちが入場し始めた。今回は剣士と魔法使いの対決らしい。
剣士は鋭い目つきで相手を見据え、腰の剣を軽く抜いては、元に戻していた。
対する魔法使いは落ち着いた表情で杖を構え、闘志を内に秘めたように感じられる。
ゴングが再び鳴り響き、戦いが始まった。
剣士が一気に間合いを詰め、強烈な一撃を振り下ろす。魔法使いはその一撃を素早く躱し、間合いを取りつつ、魔法の詠唱を始めた。
その瞬間、空気がピリッと張り詰めたように感じた。
「おっ、やるじゃないか。あの魔法使い、なかなかの力量だな」
俺は思わず声を漏らした。魔法使いが詠唱を終えると、突如巨大な雷が剣士に向かって炸裂する。しかし、剣士もただの力任せの戦士ではなかった。
彼は素早く身を翻し、雷を避けてみせた。その身のこなしに観客から驚きの声が上がる。
「この戦い、長引きそうだな」
エイシアスが肩越しに俺に笑いかける。
「お互いに力量が拮抗しているから、勝敗が決まるまで時間がかかりそうだ」
俺も頷きながら、その様子を見守った。
互いに一歩も引かない攻防は、まるで熟練の舞踏家が舞台で踊っているかのようだ。
武器と魔法の激突が続き、場内は一層の盛り上がりを見せる。
ふと、俺は思った。これほどの戦いを繰り広げる者たちが集まる場に、もし俺が出たらどうなるのだろうか? すぐに戦いを終えてしまうか、それとも意外な挑戦が待っているのか――そんな妄想をしつつも、俺は今のところは観客としてこの光景を楽しむのが一番だと改めて感じていた。
「エイシアス、来年の武神祭も見に来ようか」
「そうだな。来年もまた、興味深い戦士たちが現れるだろう。だが、もし気が向いたら、その時は……」
エイシアスが意味深な笑みを浮かべ、俺に視線を向けた。
「俺たちも参加するか?」
俺がそう言うと、話しを聞いていたリリアやカリオス、リオナスまでもが反対してきた。
俺たちが出たら、すぐに終わってしまうし、優勝も決まっているようなものだからダメだと言われてしまった。
正体を隠して参加してやろうか? 俺とエイシアスの決勝になるだろけど。
そうなった場合、闘技場というか、ここアルグラシアが無事とは限らないけどね。
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