森に捨てられた俺、転生特典【重力】で世界最強~森を出て自由に世界を旅しよう! 貴族とか王族とか絡んでくるけど暴力、脅しで解決です!~

WING

文字の大きさ
5 / 84
第1章

5話:ジェントルマンになりきれない

しおりを挟む
 城に入り奥へと進んでいく。
 内部の装飾は何もなく、黒い騎士が並んでいた。
 これは多分、魔力とかで動くタイプだ。
 先ほど戦った黒い騎士は違い、人の気配がない。

「こちらです」

 装飾が施された大きな両開きが開かれた。
 長い通路には奥へと続く赤いカーペットが敷かれており、その先には階段があり黒い玉座が置かれていた。
その玉座に腰を掛け、宝石のような赤い瞳がこちらを見つめ人物が一人。彼女がエイシアスか。
 進むとその人物が良く見え、俺は声を失った。
頭から生える二本の黄金のツノ。腰から生える身丈ほどの黒い二枚の翼。
何より目が引かれたのは、天井から差し込む陽光が絹糸のような白髪をキラキラと照らしており、彼女の作り物めいたその美貌は神々しさを覚えるほど。

 階段手前に着いた俺は彼女と視線を合わせるが、思わずドキッとしてしまう。
 彼女からはここにいる者たちより存在感と、今まで以上の力を感じた。

「私の城に何用だ?」

 見惚れていた俺は慌てて答える。

「強い者を探しに来た」
「人間か?」
「そうだが、お前は?」
「私は天使と悪魔の間。さしずめ天魔とでもいおうか」
「まあ、そんなことはどうでもいい」
「同感だ。移動しよう。ここでは折角の城が崩れてしまう」

 エイシアスは立ち上がり俺の横を通り過ぎる。
 俺は素直に彼女の後に続き城の外に出る。
 すると外に赤丸がおり、エイシアスの目に入る。

「あのドラゴンは?」
「俺の移動用のペットだ。気にするな」
「……そうか」

 何か言いたげな視線を向けられたが気のせいだろう。
 敷地内に広場がありそこで戦うことになった。その前に確認事項があるので尋ねる。

「殺しは無しか?」
「アリでもいいがそうだな……どちらかが行動不能、あるいは降参したら負けにしよう。それと負けたら相手に服従するとかどうだい?」
「いいのか?」
「もちろん構わないよ。私は強いからね」
「そうか。それでいいなら」
「決定だ。早くキミを私のモノにしたいよ」

 え? 俺、こんな美女に狙われているの?
 立ち位置に着くが合図などはない。立ち位置に着いた時点で始まっているのだから。

「レディーファーストということで、お先にどうぞ」
「あら、紳士ね?」
「紳士が取り得だ」
「では遠慮なく。すぐに降参しないようにね?」

 エイシアスが手を振るうと俺に重圧がかかった。
 重力か。しかし残念かな。スキルを常に発動しており、発散の力で圧力を消し去っている。
 腕を振るうと押しかかっていた重力が消えるのと同時、エイシアスに上から重力をかける。

「ぐっ……この程度!」

 抜けだしたエイシアスは空を飛び、手のひらを俺に向けた。

「陽天」

 轟々と燃え盛る巨大な火球が俺目掛けて落とされた。膨大な魔力ということもあり吸収できるのかは五分五分。
 消し去るのは簡単。
 しかしそれではつまらない。
 だから俺は腰を深く落として拳を――振り抜いた。

「はぁっ!」

 瞬間、圧倒的な暴力が火球を消し去った。
 衝撃波は遥か空高くまで続き、雲の一部を消し去る。

「……は? え? な、なにが……」

 エイシアスは一瞬の出来事に困惑しているようだ。
 俺が何をしたのかは簡単だ。
 拳に魔力を集め、さらに引力で周囲の魔力を拳に集めて重力を使った指向性の一撃を放った。

 しかし、俺もここまで強くなったのだ。もう不幸な思いをすることはないだろう。
 だって暴力は全てを解決するのだから。

「どうした? この程度か? もっとお前の力を見せてみろ! それがどんなに凄まじいものでも、俺には関係ない!」

 最近は強敵ばかり戦ってきたせいなのか、戦うことが好きになってしまっている自分がいる。

「キャラ変わりすぎじゃない? まあいいわ、なら見せてあげる」

 そこから様々な攻撃魔法が俺を襲うが、その悉くを消し去り吸収したりとあらゆる手段を使い防ぎきっていく。

「はぁ、はぁ……どうして当たらない?」
「勝ったら教えてやる。遠慮はいらない。俺を殺す気でやれ!」
「キミ、イカれてるね。まあいいわ」

 エイシアスが右手を天に掲げると、空に幾何学模様の魔方陣が次々と展開され、それは巨大な一つの魔法陣を形成した。
 それが小さくなっていき、30センチほどの大きさになった。
 俺はあの魔法に込められている圧縮された膨大な魔力に気付く。アレには俺の最高の一撃を持って挑まなければと、警鐘を鳴らしていた。

「死なないようにね? ――原初の雫アルス・ノヴァ

 五センチほどの球体が、水滴が落ちるかのように地面に向かって落ちた。
 俺は腰を深く落とし、極限まで圧縮された操作可能なギリギリの魔力がスキル【重力】を使いさらに昇華させ極限まで高められる。
 今俺が放てる最強の一撃になるだろう。
 そして俺は、落ちてくる雫に向けて技名と共に拳を振り抜いた。

「――天轟拳撃てんごうけんげき!」

 拮抗することもなく、指向性の持つ一撃が天高くへと打ち上げられ――世界が眩しく輝いた。
 遅れて空気が、大気が震え衝撃がやってきた。

「うそ……」

 衝撃が収まって見上げたエイシアスの呟き。
 そこには大気が消え、夜が見えていた。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【♡】をポチッと押すのと、【ブクマ】をしていただけたら嬉しいです!
作者の励みになり、執筆の原動力になります!
少しでも応援したい、という方はよろしくお願いします!
しおりを挟む
感想 41

あなたにおすすめの小説

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

異世界で至った男は帰還したがファンタジーに巻き込まれていく

竹桜
ファンタジー
 神社のお参り帰りに異世界召喚に巻き込まれた主人公。  巻き込まれただけなのに、狂った姿を見たい為に何も無い真っ白な空間で閉じ込められる。  千年間も。  それなのに主人公は鍛錬をする。  1つのことだけを。  やがて、真っ白な空間から異世界に戻るが、その時に至っていたのだ。  これは異世界で至った男が帰還した現実世界でファンタジーに巻き込まれていく物語だ。  そして、主人公は至った力を存分に振るう。

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった

仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

処理中です...