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4巻
4-2
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「皆目を瞑ってっ!」
天堂たちが目を閉じた瞬間、一ノ宮の光魔法フラッシュが、ミノタウロスの目を焼く。
――ブモォォォッ!?
体勢を崩し、視界も失ったミノタウロスが鳴き声を上げる。
「今っ!」
一ノ宮の声で、天堂たちは目を開けてすぐさま攻勢に転じた。
まずは最上が全力で、ミノタウロスの腹部目掛けて右拳を撃ち込む。
「倒れやがれ! このクソッたれがっ!」
その威力にミノタウロスは思わず戦斧を手放し、片膝立ちになる。
ブモォォ……と苦しそうな声を上げたが、まだ倒れない。
次に東雲が刀を一度鞘に収め、高速移動のスキル縮地で接近し……
「東雲流八ノ太刀――紫電雷光!」
一閃を食らわせた。
鯉口を切るのと同時に刀身に青白い雷がバチバチッと纏わりつき、超高速で刀が振るわれる。
ミノタウロスの肩から先の右腕が落ちるが、血は出ない。切り口が雷で焼けているからだ。
実家の道場で学んだ技を、東雲はこの異世界の魔法やスキルと融合させてきた。
この技もその一つで、雷魔法によって抜刀を高速化し、さらにその斬撃にも雷魔法を纏うことで、今回のように焼き切ったり、防がれても電撃を浴びせたりすることができるのだ。
ミノタウロスは呻き声を上げながらも、なんとか立ち上がって左手で戦斧を拾おうとする。
しかしそれを止めるため、朝倉が攻撃魔法を唱えた。
「させないよ! ――ファイヤーウルフ!」
火魔法で作り出されたのは、三匹の狼の形をした炎。それはまるで生きているかのような躍動感をもって地面を走り、ミノタウロスの左腕、両足へと噛みついた。
そして同時に、狼の口からさらに炎が漏れる。
「そのまま燃やしちゃえっ」
朝倉の言葉通り、食らいついた狼はミノタウロスに纏わりつくように激しく燃え出した。
――ブモォォォォォォォオッ!
全身を焼かれ苦しみの声を上げるミノタウロスが、最後の力を振り絞るかのように左腕を振るうと、炎が掻き消える。
そこにすかさず天堂が斬りかかる。
ミノタウロスは咄嗟に反応しようとするが、聖剣の一日一度しか使えない無敵化スキルと縮地スキルを併用した天堂の動きには追いつけない。
「これで終わりだ!」
天堂はミノタウロスの上へと跳躍すると、聖剣に神聖魔法を纏わせ、そのまま上段から振り下ろした。
天堂が着地すると同時、ミノタウロスの体が縦半分に真っ二つとなり崩れ落ちた。
一瞬の静寂がその場に広がり……
「――やったぁぁぁっ! 倒した! 倒したよ!」
朝倉の声が響いた。
「はぁはぁ、や、やったのか……」
天堂は先ほどの攻撃で体力と魔力を激しく消耗したため、息を荒くしながら言う。
「やったね!」
「おうよ!」
「あれで倒せなかったらやばかった……」
一ノ宮、最上、東雲は歓喜の声を上げた。
「ああ。でも倒せたんだ! レベルも上がったみたいだし、休憩がてら確認してみようか」
天堂の言葉に、四人とも頷く。
名前 :天堂光司
レベル:78
年齢 :17
種族 :人間(異世界人)
ギフト:聖剣使い
(全ての聖剣を扱えるようになる。剣術、光魔法のレベルが上がりやすくなる)
スキル:剣術Lv7 火魔法Lv5 水魔法Lv4 風魔法Lv5 地魔法Lv4 光魔法Lv6 成長 気配察知 縮地Lv5 身体強化Lv7 鑑定 言語理解
称号 :異世界人、勇者、聖剣使い
名前 :一ノ宮鈴乃
レベル:74
年齢 :17
種族 :人間(異世界人)
ギフト:聖なる者
(神聖魔法を獲得。光魔法、回復魔法のレベルが上がりやすくなる)
スキル:光魔法Lv7 回復魔法Lv7 神聖魔法Lv6 身体強化Lv5 気配察知 鑑定 言語理解
称号 :異世界人、勇者
名前 :最上慎弥
レベル:76
年齢 :17
種族 :人間(異世界人)
ギフト:金剛力
(怪力を獲得。格闘術、身体強化のレベルが上がりやすくなる)
スキル:格闘術Lv7 地魔法Lv5 怪力Lv7 身体強化Lv7 強靭Lv6 気配察知 鑑定 言語理解
称号 :異世界人、勇者
名前 :東雲葵
レベル:75
年齢 :17
種族 :人間(異世界人)
ギフト:断ち切る者
(剣や刀を扱うスキルが取得しやすくなり、そのレベルも上がりやすくなる)
スキル:剣術Lv6 刀術Lv7 風魔法Lv5 雷魔法Lv6 身体強化Lv7 抜刀術Lv5 縮地Lv6 飛斬Lv4 気配察知 鑑定 言語理解
称号 :異世界人、勇者
名前 :朝倉夏姫
レベル:73
年齢 :17
種族 :人間(異世界人)
ギフト:自然の寵愛
(火、風、土、水魔法のレベルが少しだけ上がりやすくなる)
スキル:火魔法Lv6 風魔法Lv5 土魔法Lv5 水魔法Lv5 身体強化Lv5 気配察知 鑑定 言語理解
称号 :異世界人、勇者
それぞれのレベルを確認した天堂たちは、驚きの声を上げる。
「たしか鈴乃と夏姫のレベルって、69とかだったよね? 一気にレベルアップしたみたいだね」
「そうだね、ボスだから経験値が一気に入ったのかも」
そんなことを話しながらしばらく休憩した後、一行はさらに下の階層へと向かうのだった。
「……なんかさっきから出てくる魔物、ミノタウロスと同じくらい強くないか……」
「たしかに……次がボスの階層だからか?」
天堂の言葉に、最上が首を傾げる。
一行は一日かけて、二十四階層まで到達していた。
前の階層までは、敵の量は増えずに少しずつ強くなってきていたのだが、ここ二十四階層に来て、数が大幅に減った代わりに、一体一体の力が増してきたのだ。
王都ではダンジョンの知識を与えられたし、いくつかダンジョンに入ったこともある。
だが、このような魔物の分布は初めてだった。
こうもイレギュラーなことが続くと、万全を期して中ボスに挑んだ方が良いだろう。
そう判断した天堂の提案で、二十五階層の中ボス部屋の前で、一休みすることになったのだった。
そして次の日、中ボスの扉を開けた天堂は、ぽつりと呟いた。
「やっぱり、か……」
通常、二十五階層の中ボスは、二十階層のボスと同等程度の強さであることが多い。
しかし今目の前にいるキマイラは、明らかにあのミノタウロスよりはるかに強い。
重いプレッシャーが、天堂たちにのしかかる。
「この迷宮自体に何か起きているのかもしれないね」
一ノ宮の言葉に一同が頷く。
ここが異様なダンジョンになっているのは、おそらく最下層のボスの影響だろう。
この中ボスより強いことは確実で、自分たちが勝てるかどうか……
そんなことを考えてしまった天堂は、首を振ってその考えを頭から消す。
とにかく今は、このキマイラを倒さないといけない。
武器を構え直した天堂と共に、勇者たちはキマイラへと向かっていった。
――戦闘開始から二時間後。
「はぁ、はぁ……た、たおせ、た……」
天堂たちは激戦を制し、キマイラを倒すことができた。
とどめを刺したのは東雲だった。天堂は今回は盾役として無敵化を使用し、そうしてできた隙を突き、キマイラの首を飛ばしたのである。
そして今、戦闘でボロボロになった天堂たちは地面へと横になっていた。
「なんとか勝てた……」
「だね~……」
「俺、死んだかと思ったぜ……」
「ほんとそれ……」
「きつかった……」
天堂、一ノ宮、最上、東雲、朝倉がそれぞれ疲れ切った声を上げた。
しばらくしてようやく回復した五人は、攻略を再開。
その日のうちに二十八階層まで辿り着き、ついに翌日、二十九階層を踏破し、三十階層のボス部屋の前に立っていた。
「ここが最後の部屋、か……」
「そうだな」
天堂の言葉に、最上が頷く。
「やっとだね」
「うん。本当に大変だった」
「何度死にかけたことかしら」
朝倉、一ノ宮、東雲の順に扉を見ながら呟いた。
天堂が改まった表情で、四人を見回す。
「ここで死ぬかもしれない。けどっ」
もしかしたらここで死ぬ可能性だってある。だからこそ、天堂は改めて口にした。
「けどっ、ここで引けはしない!」
その言葉に四人が頷き同意した。
表情は決意に満ちていた。
――絶対に勝つと。
天堂たちは、ボス部屋の扉へと手をかけた。
第3話 勇者たちの迷宮攻略2
扉の向こうにあったのは、広大な空と、どこまでも続く大地であった。
これまでは、岩肌やレンガといったいかにもダンジョンらしい内装だった。
しかし最下層だというのに、空が広がっていることに戸惑いが隠せない天堂たち。
「なんだ、これ……?」
天堂の呟きに、誰も答えられない。
周囲を見渡していると、朝倉が遠くにいる存在に気がつき、指で指し示す。
「あ、アレ……」
そこにいたのは、体長二百メトルほどの巨大な漆黒のドラゴンであった。
禍々しい気配を持つドラゴンは、天堂たちの気配に気付くなり、ゆっくりと立ち上がり咆哮を上げる。
――グルァァァァァァァァァア!
ミノタウロスやキマイラの咆哮に耐えてきた天堂たちだったが、咄嗟に逃げ出してしまいそうになる。
自分たちでは勝てないと、本能で悟ってしまったのだ。
しかしそれでも、天堂はドラゴンに対して鑑定をかける。
「う、嘘、だろ……?」
「どうした?」
「皆も鑑定してみてくれ」
天堂に促され、すぐに鑑定を使った最上たちは顔を真っ青にした。
そのドラゴンのレベルはというと……
「れ、レベル300って、何かの冗談、なのか……?」
天堂が体を震わせながら呆然と呟く。
名前 :煉黒龍グラン・カラミラース
レベル:300
種族 :祖龍
ユニークスキル:煉黒之支配者
スキル:火魔法Lv10 風魔法Lv10 地魔法Lv10 闇魔法Lv10 雷魔法Lv10 威圧Lv10 咆哮Lv10 龍魔法Lv10 時空魔法Lv10 物理耐性 魔法耐性 飛行 強靭Lv9 変身 魔力操作 気配察知 魔力察知 危機察知 天候操作
称号 :原初の龍、天災級、龍王、空の王者、最強種
〈煉黒之支配者〉
魔力の消費が五分の一になる。
龍魔法、闇魔法、火魔法、雷魔法の威力が六倍。
戦闘時の基礎身体能力、魔法の威力五倍上昇。
そのステータスの高さに一行が呆然としていると、ドラゴンが口を開いた。
「ッ!? 散開っ!」
東雲がいち早く反応し、天堂たちはその場から飛び退く。
瞬間、彼らがいた場所に火球が着弾、爆発した。
炎が収まった場所を見れば、地面がドロドロに溶けている。
一行の額に冷や汗が流れる。
――グルァァァァァァアッ!
ドラゴンが咆哮を上げ、天堂たちが武器を構えると、声が響いた。
『――我の攻撃を躱すか。そなたら何者だ?』
一体誰の声か、天堂は一瞬疑問に思うが、すぐに気がつく。
目の前のドラゴンのものだ。
人語を解する魔物など存在しないと思い込んでいたが、これなら話し合いができると考え、天堂はドラゴンの問いに答える。
「俺たちは勇者です」
『勇者、か。なるほど。道理でここまで来られたわけだ』
「……一つ聞いても?」
『どうせ貴様らは死にゆくのだ。答えてやろう』
「なぜあなたほどのドラゴンがここに?」
目の前のドラゴン――カラミラースのレベルは、このダンジョンにはそぐわないほど高い。
当然の疑問に、カラミラースは気にした様子もなく答える。
『それは――』
彼の話によると、発端は数千年前。
カラミラースはこの土地に住んでいたのだが、彼の魔力に反応して周囲がダンジョン化した。
悠久の時を過ごした彼はそのダンジョンを観察することに決め、最下層に空間を作ってそこに移り、魔力や情報を遮断して生きてきたという。
しかしそれでも彼がいることによる影響は抑えられず、下層の魔物が異様に強くなってしまった。
結果として、ここに辿り着いたのは天堂たちが初めて……という話だった。
『我はこの迷宮の支配者。攻略したければ我を倒すが良い。貴様らにそれだけの力があればの話だが』
天堂たちはカラミラースの言葉に顔を歪ませる。
彼らのレベルでは、カラミラースを倒すことなど到底不可能だ。
なんとか戦いにならないよう交渉しようと考えた天堂だったが、それを口にするよりも早くカラミラースが告げる。
『ここのことを知ったからには、帰すわけにはいかん。我を倒すか貴様らが倒されるか、選択肢はそのどちらかだ』
「くっ……」
天堂は腹をくくると、振り返って仲間の顔を確認する。
「きっと大丈夫だよ」
「おうよ!」
「だよね!」
「少し不安だけどね……」
一ノ宮、最上、朝倉、東雲の言葉に、天堂は問いかける。
「ああ。だけど本当にいいのか?」
「だって、晴人君が言ったんだよ? 行ってこいって。なら大丈夫。それに――皆がいるじゃん、きっと勝てるよ!」
一ノ宮の答えに、他の三人も頷いた。
「そうか――やるぞ!」
一行は武器を構え、カラミラースへと向き直る。
『覚悟は済んだか? ならば――死ね』
カラミラースは天堂たちに向けて広範囲の漆黒の魔力ブレスを放った。
「聖剣よ、守りたまえ!」
天堂が発動させた聖剣の結界によって、ブレスが受け止められる。だがレベル差もあってか、徐々に亀裂が入り、ひび割れていく。
しかしその隙に一ノ宮が魔力を込めて発動した聖なる障壁が結界の内側に展開し、天堂は結界を解除。
ブレスは聖なる障壁にぶつかるも、完全に無効化された。
「鈴乃、助かった!」
『ほう。我がブレスを耐えるか。流石は勇者。だが……』
カラミラースは飛び上がるとそのまま滞空し、空気を吸い込む。
ヒュゴッという音と共に腹が大きく膨らんだ次の瞬間、先ほどよりも魔力のこもったブレスが放たれた。
『これは避けられるか?』
迫り来る漆黒のブレスを、結界と魔法だけでは防ぎきれないと判断し、五人同時に動く。
「うおぉぉぉぉぉぉっ!」
「――ファイヤートルネード!」
「はあっ!」
最上が地魔法を、朝倉が火魔法を発動、さらに東雲もスキル飛斬によって無数の斬撃を飛ばし、ブレスの威力を減退させる。
しかしそれでも、ブレスは依然驚異的な威力を保ったままだ。
「――聖なる障壁!」
「聖剣よ、僕に守る力を!」
一ノ宮を中心に光の膜が展開し、天堂が発動した聖剣の結界がその内側に張られる。
先ほどは結界での威力減退もあってブレスを防いだ障壁だが、今回は耐えきれず、ついに割れてしまう。
その隙に魔力が込められた結界へと、ブレスが襲いかかった。
結界が悲鳴を上げ、ヒビが入っていく。
「これでもダメなのかっ!? ――聖剣よ!」
天堂は聖剣にさらに魔力を送り、結界を強化する。
亀裂は広がり、しかしブレスの威力も徐々に収まっていき――ブレスが途切れかけたタイミングで、結界が割れた。
天堂たちは防ぎきれなかったブレスを避けるが、地面に着弾したブレスの爆風で後方へと勢いよく吹き飛ばされる。
「うあっ!」
「ぐぁっ」
「きゃっ」
「ッ!」
「きゃぁっ」
無様に地面を転がる天堂たちを眺めながら、カラミラースは口を開いた。
『ほぅ……これも耐えるか。ならば我も敬意を込め本気で戦うとしよう』
カラミラースから放たれる威圧が跳ね上がり、天堂たちへと襲いかかる。
魔力そのものに押し潰されそうになりながらも、天堂たちは武器を杖代わりにして立ち上がった。
「最後まで、最後まで戦い抜くぞ!」
「おう!」
「「「うん!」」」
天堂の言葉に、全員が力強く声を返す。
諦めることのない勇者を見て、カラミラースは笑みを浮かべた。
『面白い。すぐに死ぬのではないぞ』
カラミラースの周囲に、直径三十センチほどの岩の塊が無数に生成される。
その岩塊を放たせまいと、天堂たちはカラミラースへと攻撃を放った。
しかしカラミラースは直撃する魔法の数々をものともせず、鋭く魔法を放った。
『温いぞ、勇者!』
天堂たちは降りかかる岩塊を撃ち落として回避していくが……
「ぐぁっ!」
「きゃっ!」
全ては避けきれず、ダメージを食らってしまう。
吹き飛ばされ、地面を転がるが、それでも天堂たちは再び立ち上がった。
『どうした。その程度か? ……よもや隙を見て逃げようなどと考えているのではあるまいな?』
「そんなつもりはない。ただ勝機を探っているだけさ」
『ふん、それでこそ勇者だ。倒し甲斐がある』
地に降り立ち、楽しげに笑うカラミラースを見ながら、天堂は考えを巡らせる。
聖剣の無敵化スキルを使えば、一矢報いることができるかもしれない。しかしこの能力では、大したダメージも与えられないだろう。一体どうすればいいのか。
そこで天堂は、自分の中に新しいスキルが生まれていることに気付いた。
そのスキルの名は――『限界突破』。
晴人も所有するスキルで、発動時に身体能力とスキルの威力が五倍になるというものだ。
これと無敵化、神聖魔法を組み合わせれば、カラミラースに大きなダメージを与えられるかもしれない。
そう考えた天堂は、四人に提案する。
「俺に考えがある。倒せる可能性は限りなくゼロに近いと思うけど……万に一つでも可能性があるのなら、それに賭けても良いと俺は思ってる。皆はどうだ?」
「おいおい、反対なんてするわけないだろ?」
最上が天堂の案に乗り、他の三人も頷いた。
それを見て、天堂は一瞬ホッとしたような表情になるが、すぐに気を引き締めた。
天堂たちが目を閉じた瞬間、一ノ宮の光魔法フラッシュが、ミノタウロスの目を焼く。
――ブモォォォッ!?
体勢を崩し、視界も失ったミノタウロスが鳴き声を上げる。
「今っ!」
一ノ宮の声で、天堂たちは目を開けてすぐさま攻勢に転じた。
まずは最上が全力で、ミノタウロスの腹部目掛けて右拳を撃ち込む。
「倒れやがれ! このクソッたれがっ!」
その威力にミノタウロスは思わず戦斧を手放し、片膝立ちになる。
ブモォォ……と苦しそうな声を上げたが、まだ倒れない。
次に東雲が刀を一度鞘に収め、高速移動のスキル縮地で接近し……
「東雲流八ノ太刀――紫電雷光!」
一閃を食らわせた。
鯉口を切るのと同時に刀身に青白い雷がバチバチッと纏わりつき、超高速で刀が振るわれる。
ミノタウロスの肩から先の右腕が落ちるが、血は出ない。切り口が雷で焼けているからだ。
実家の道場で学んだ技を、東雲はこの異世界の魔法やスキルと融合させてきた。
この技もその一つで、雷魔法によって抜刀を高速化し、さらにその斬撃にも雷魔法を纏うことで、今回のように焼き切ったり、防がれても電撃を浴びせたりすることができるのだ。
ミノタウロスは呻き声を上げながらも、なんとか立ち上がって左手で戦斧を拾おうとする。
しかしそれを止めるため、朝倉が攻撃魔法を唱えた。
「させないよ! ――ファイヤーウルフ!」
火魔法で作り出されたのは、三匹の狼の形をした炎。それはまるで生きているかのような躍動感をもって地面を走り、ミノタウロスの左腕、両足へと噛みついた。
そして同時に、狼の口からさらに炎が漏れる。
「そのまま燃やしちゃえっ」
朝倉の言葉通り、食らいついた狼はミノタウロスに纏わりつくように激しく燃え出した。
――ブモォォォォォォォオッ!
全身を焼かれ苦しみの声を上げるミノタウロスが、最後の力を振り絞るかのように左腕を振るうと、炎が掻き消える。
そこにすかさず天堂が斬りかかる。
ミノタウロスは咄嗟に反応しようとするが、聖剣の一日一度しか使えない無敵化スキルと縮地スキルを併用した天堂の動きには追いつけない。
「これで終わりだ!」
天堂はミノタウロスの上へと跳躍すると、聖剣に神聖魔法を纏わせ、そのまま上段から振り下ろした。
天堂が着地すると同時、ミノタウロスの体が縦半分に真っ二つとなり崩れ落ちた。
一瞬の静寂がその場に広がり……
「――やったぁぁぁっ! 倒した! 倒したよ!」
朝倉の声が響いた。
「はぁはぁ、や、やったのか……」
天堂は先ほどの攻撃で体力と魔力を激しく消耗したため、息を荒くしながら言う。
「やったね!」
「おうよ!」
「あれで倒せなかったらやばかった……」
一ノ宮、最上、東雲は歓喜の声を上げた。
「ああ。でも倒せたんだ! レベルも上がったみたいだし、休憩がてら確認してみようか」
天堂の言葉に、四人とも頷く。
名前 :天堂光司
レベル:78
年齢 :17
種族 :人間(異世界人)
ギフト:聖剣使い
(全ての聖剣を扱えるようになる。剣術、光魔法のレベルが上がりやすくなる)
スキル:剣術Lv7 火魔法Lv5 水魔法Lv4 風魔法Lv5 地魔法Lv4 光魔法Lv6 成長 気配察知 縮地Lv5 身体強化Lv7 鑑定 言語理解
称号 :異世界人、勇者、聖剣使い
名前 :一ノ宮鈴乃
レベル:74
年齢 :17
種族 :人間(異世界人)
ギフト:聖なる者
(神聖魔法を獲得。光魔法、回復魔法のレベルが上がりやすくなる)
スキル:光魔法Lv7 回復魔法Lv7 神聖魔法Lv6 身体強化Lv5 気配察知 鑑定 言語理解
称号 :異世界人、勇者
名前 :最上慎弥
レベル:76
年齢 :17
種族 :人間(異世界人)
ギフト:金剛力
(怪力を獲得。格闘術、身体強化のレベルが上がりやすくなる)
スキル:格闘術Lv7 地魔法Lv5 怪力Lv7 身体強化Lv7 強靭Lv6 気配察知 鑑定 言語理解
称号 :異世界人、勇者
名前 :東雲葵
レベル:75
年齢 :17
種族 :人間(異世界人)
ギフト:断ち切る者
(剣や刀を扱うスキルが取得しやすくなり、そのレベルも上がりやすくなる)
スキル:剣術Lv6 刀術Lv7 風魔法Lv5 雷魔法Lv6 身体強化Lv7 抜刀術Lv5 縮地Lv6 飛斬Lv4 気配察知 鑑定 言語理解
称号 :異世界人、勇者
名前 :朝倉夏姫
レベル:73
年齢 :17
種族 :人間(異世界人)
ギフト:自然の寵愛
(火、風、土、水魔法のレベルが少しだけ上がりやすくなる)
スキル:火魔法Lv6 風魔法Lv5 土魔法Lv5 水魔法Lv5 身体強化Lv5 気配察知 鑑定 言語理解
称号 :異世界人、勇者
それぞれのレベルを確認した天堂たちは、驚きの声を上げる。
「たしか鈴乃と夏姫のレベルって、69とかだったよね? 一気にレベルアップしたみたいだね」
「そうだね、ボスだから経験値が一気に入ったのかも」
そんなことを話しながらしばらく休憩した後、一行はさらに下の階層へと向かうのだった。
「……なんかさっきから出てくる魔物、ミノタウロスと同じくらい強くないか……」
「たしかに……次がボスの階層だからか?」
天堂の言葉に、最上が首を傾げる。
一行は一日かけて、二十四階層まで到達していた。
前の階層までは、敵の量は増えずに少しずつ強くなってきていたのだが、ここ二十四階層に来て、数が大幅に減った代わりに、一体一体の力が増してきたのだ。
王都ではダンジョンの知識を与えられたし、いくつかダンジョンに入ったこともある。
だが、このような魔物の分布は初めてだった。
こうもイレギュラーなことが続くと、万全を期して中ボスに挑んだ方が良いだろう。
そう判断した天堂の提案で、二十五階層の中ボス部屋の前で、一休みすることになったのだった。
そして次の日、中ボスの扉を開けた天堂は、ぽつりと呟いた。
「やっぱり、か……」
通常、二十五階層の中ボスは、二十階層のボスと同等程度の強さであることが多い。
しかし今目の前にいるキマイラは、明らかにあのミノタウロスよりはるかに強い。
重いプレッシャーが、天堂たちにのしかかる。
「この迷宮自体に何か起きているのかもしれないね」
一ノ宮の言葉に一同が頷く。
ここが異様なダンジョンになっているのは、おそらく最下層のボスの影響だろう。
この中ボスより強いことは確実で、自分たちが勝てるかどうか……
そんなことを考えてしまった天堂は、首を振ってその考えを頭から消す。
とにかく今は、このキマイラを倒さないといけない。
武器を構え直した天堂と共に、勇者たちはキマイラへと向かっていった。
――戦闘開始から二時間後。
「はぁ、はぁ……た、たおせ、た……」
天堂たちは激戦を制し、キマイラを倒すことができた。
とどめを刺したのは東雲だった。天堂は今回は盾役として無敵化を使用し、そうしてできた隙を突き、キマイラの首を飛ばしたのである。
そして今、戦闘でボロボロになった天堂たちは地面へと横になっていた。
「なんとか勝てた……」
「だね~……」
「俺、死んだかと思ったぜ……」
「ほんとそれ……」
「きつかった……」
天堂、一ノ宮、最上、東雲、朝倉がそれぞれ疲れ切った声を上げた。
しばらくしてようやく回復した五人は、攻略を再開。
その日のうちに二十八階層まで辿り着き、ついに翌日、二十九階層を踏破し、三十階層のボス部屋の前に立っていた。
「ここが最後の部屋、か……」
「そうだな」
天堂の言葉に、最上が頷く。
「やっとだね」
「うん。本当に大変だった」
「何度死にかけたことかしら」
朝倉、一ノ宮、東雲の順に扉を見ながら呟いた。
天堂が改まった表情で、四人を見回す。
「ここで死ぬかもしれない。けどっ」
もしかしたらここで死ぬ可能性だってある。だからこそ、天堂は改めて口にした。
「けどっ、ここで引けはしない!」
その言葉に四人が頷き同意した。
表情は決意に満ちていた。
――絶対に勝つと。
天堂たちは、ボス部屋の扉へと手をかけた。
第3話 勇者たちの迷宮攻略2
扉の向こうにあったのは、広大な空と、どこまでも続く大地であった。
これまでは、岩肌やレンガといったいかにもダンジョンらしい内装だった。
しかし最下層だというのに、空が広がっていることに戸惑いが隠せない天堂たち。
「なんだ、これ……?」
天堂の呟きに、誰も答えられない。
周囲を見渡していると、朝倉が遠くにいる存在に気がつき、指で指し示す。
「あ、アレ……」
そこにいたのは、体長二百メトルほどの巨大な漆黒のドラゴンであった。
禍々しい気配を持つドラゴンは、天堂たちの気配に気付くなり、ゆっくりと立ち上がり咆哮を上げる。
――グルァァァァァァァァァア!
ミノタウロスやキマイラの咆哮に耐えてきた天堂たちだったが、咄嗟に逃げ出してしまいそうになる。
自分たちでは勝てないと、本能で悟ってしまったのだ。
しかしそれでも、天堂はドラゴンに対して鑑定をかける。
「う、嘘、だろ……?」
「どうした?」
「皆も鑑定してみてくれ」
天堂に促され、すぐに鑑定を使った最上たちは顔を真っ青にした。
そのドラゴンのレベルはというと……
「れ、レベル300って、何かの冗談、なのか……?」
天堂が体を震わせながら呆然と呟く。
名前 :煉黒龍グラン・カラミラース
レベル:300
種族 :祖龍
ユニークスキル:煉黒之支配者
スキル:火魔法Lv10 風魔法Lv10 地魔法Lv10 闇魔法Lv10 雷魔法Lv10 威圧Lv10 咆哮Lv10 龍魔法Lv10 時空魔法Lv10 物理耐性 魔法耐性 飛行 強靭Lv9 変身 魔力操作 気配察知 魔力察知 危機察知 天候操作
称号 :原初の龍、天災級、龍王、空の王者、最強種
〈煉黒之支配者〉
魔力の消費が五分の一になる。
龍魔法、闇魔法、火魔法、雷魔法の威力が六倍。
戦闘時の基礎身体能力、魔法の威力五倍上昇。
そのステータスの高さに一行が呆然としていると、ドラゴンが口を開いた。
「ッ!? 散開っ!」
東雲がいち早く反応し、天堂たちはその場から飛び退く。
瞬間、彼らがいた場所に火球が着弾、爆発した。
炎が収まった場所を見れば、地面がドロドロに溶けている。
一行の額に冷や汗が流れる。
――グルァァァァァァアッ!
ドラゴンが咆哮を上げ、天堂たちが武器を構えると、声が響いた。
『――我の攻撃を躱すか。そなたら何者だ?』
一体誰の声か、天堂は一瞬疑問に思うが、すぐに気がつく。
目の前のドラゴンのものだ。
人語を解する魔物など存在しないと思い込んでいたが、これなら話し合いができると考え、天堂はドラゴンの問いに答える。
「俺たちは勇者です」
『勇者、か。なるほど。道理でここまで来られたわけだ』
「……一つ聞いても?」
『どうせ貴様らは死にゆくのだ。答えてやろう』
「なぜあなたほどのドラゴンがここに?」
目の前のドラゴン――カラミラースのレベルは、このダンジョンにはそぐわないほど高い。
当然の疑問に、カラミラースは気にした様子もなく答える。
『それは――』
彼の話によると、発端は数千年前。
カラミラースはこの土地に住んでいたのだが、彼の魔力に反応して周囲がダンジョン化した。
悠久の時を過ごした彼はそのダンジョンを観察することに決め、最下層に空間を作ってそこに移り、魔力や情報を遮断して生きてきたという。
しかしそれでも彼がいることによる影響は抑えられず、下層の魔物が異様に強くなってしまった。
結果として、ここに辿り着いたのは天堂たちが初めて……という話だった。
『我はこの迷宮の支配者。攻略したければ我を倒すが良い。貴様らにそれだけの力があればの話だが』
天堂たちはカラミラースの言葉に顔を歪ませる。
彼らのレベルでは、カラミラースを倒すことなど到底不可能だ。
なんとか戦いにならないよう交渉しようと考えた天堂だったが、それを口にするよりも早くカラミラースが告げる。
『ここのことを知ったからには、帰すわけにはいかん。我を倒すか貴様らが倒されるか、選択肢はそのどちらかだ』
「くっ……」
天堂は腹をくくると、振り返って仲間の顔を確認する。
「きっと大丈夫だよ」
「おうよ!」
「だよね!」
「少し不安だけどね……」
一ノ宮、最上、朝倉、東雲の言葉に、天堂は問いかける。
「ああ。だけど本当にいいのか?」
「だって、晴人君が言ったんだよ? 行ってこいって。なら大丈夫。それに――皆がいるじゃん、きっと勝てるよ!」
一ノ宮の答えに、他の三人も頷いた。
「そうか――やるぞ!」
一行は武器を構え、カラミラースへと向き直る。
『覚悟は済んだか? ならば――死ね』
カラミラースは天堂たちに向けて広範囲の漆黒の魔力ブレスを放った。
「聖剣よ、守りたまえ!」
天堂が発動させた聖剣の結界によって、ブレスが受け止められる。だがレベル差もあってか、徐々に亀裂が入り、ひび割れていく。
しかしその隙に一ノ宮が魔力を込めて発動した聖なる障壁が結界の内側に展開し、天堂は結界を解除。
ブレスは聖なる障壁にぶつかるも、完全に無効化された。
「鈴乃、助かった!」
『ほう。我がブレスを耐えるか。流石は勇者。だが……』
カラミラースは飛び上がるとそのまま滞空し、空気を吸い込む。
ヒュゴッという音と共に腹が大きく膨らんだ次の瞬間、先ほどよりも魔力のこもったブレスが放たれた。
『これは避けられるか?』
迫り来る漆黒のブレスを、結界と魔法だけでは防ぎきれないと判断し、五人同時に動く。
「うおぉぉぉぉぉぉっ!」
「――ファイヤートルネード!」
「はあっ!」
最上が地魔法を、朝倉が火魔法を発動、さらに東雲もスキル飛斬によって無数の斬撃を飛ばし、ブレスの威力を減退させる。
しかしそれでも、ブレスは依然驚異的な威力を保ったままだ。
「――聖なる障壁!」
「聖剣よ、僕に守る力を!」
一ノ宮を中心に光の膜が展開し、天堂が発動した聖剣の結界がその内側に張られる。
先ほどは結界での威力減退もあってブレスを防いだ障壁だが、今回は耐えきれず、ついに割れてしまう。
その隙に魔力が込められた結界へと、ブレスが襲いかかった。
結界が悲鳴を上げ、ヒビが入っていく。
「これでもダメなのかっ!? ――聖剣よ!」
天堂は聖剣にさらに魔力を送り、結界を強化する。
亀裂は広がり、しかしブレスの威力も徐々に収まっていき――ブレスが途切れかけたタイミングで、結界が割れた。
天堂たちは防ぎきれなかったブレスを避けるが、地面に着弾したブレスの爆風で後方へと勢いよく吹き飛ばされる。
「うあっ!」
「ぐぁっ」
「きゃっ」
「ッ!」
「きゃぁっ」
無様に地面を転がる天堂たちを眺めながら、カラミラースは口を開いた。
『ほぅ……これも耐えるか。ならば我も敬意を込め本気で戦うとしよう』
カラミラースから放たれる威圧が跳ね上がり、天堂たちへと襲いかかる。
魔力そのものに押し潰されそうになりながらも、天堂たちは武器を杖代わりにして立ち上がった。
「最後まで、最後まで戦い抜くぞ!」
「おう!」
「「「うん!」」」
天堂の言葉に、全員が力強く声を返す。
諦めることのない勇者を見て、カラミラースは笑みを浮かべた。
『面白い。すぐに死ぬのではないぞ』
カラミラースの周囲に、直径三十センチほどの岩の塊が無数に生成される。
その岩塊を放たせまいと、天堂たちはカラミラースへと攻撃を放った。
しかしカラミラースは直撃する魔法の数々をものともせず、鋭く魔法を放った。
『温いぞ、勇者!』
天堂たちは降りかかる岩塊を撃ち落として回避していくが……
「ぐぁっ!」
「きゃっ!」
全ては避けきれず、ダメージを食らってしまう。
吹き飛ばされ、地面を転がるが、それでも天堂たちは再び立ち上がった。
『どうした。その程度か? ……よもや隙を見て逃げようなどと考えているのではあるまいな?』
「そんなつもりはない。ただ勝機を探っているだけさ」
『ふん、それでこそ勇者だ。倒し甲斐がある』
地に降り立ち、楽しげに笑うカラミラースを見ながら、天堂は考えを巡らせる。
聖剣の無敵化スキルを使えば、一矢報いることができるかもしれない。しかしこの能力では、大したダメージも与えられないだろう。一体どうすればいいのか。
そこで天堂は、自分の中に新しいスキルが生まれていることに気付いた。
そのスキルの名は――『限界突破』。
晴人も所有するスキルで、発動時に身体能力とスキルの威力が五倍になるというものだ。
これと無敵化、神聖魔法を組み合わせれば、カラミラースに大きなダメージを与えられるかもしれない。
そう考えた天堂は、四人に提案する。
「俺に考えがある。倒せる可能性は限りなくゼロに近いと思うけど……万に一つでも可能性があるのなら、それに賭けても良いと俺は思ってる。皆はどうだ?」
「おいおい、反対なんてするわけないだろ?」
最上が天堂の案に乗り、他の三人も頷いた。
それを見て、天堂は一瞬ホッとしたような表情になるが、すぐに気を引き締めた。
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