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3巻
3-2
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部屋の中の盗賊たちは流石に騒ぎに気付いて警戒していたようだが、その甲斐むなしく瞬殺されていた。
俺はと言えば、気絶した盗賊を縛るくらいで何もしていない。正直いなくてもよかったんじゃないかと思ったほどだ。
一瞬で制圧を終えた俺たちは、盗賊全員を洞窟から出して、街道まで出て近くの木にぶら下げておいた。
仕上げに『僕たちは悪い盗賊です』と書いた看板を作って、リーダーの首にかける。
これで誰かが見つけてくれるだろう。
一仕事終えて肩を回していると、クゼルが満足げに頷く。
「いやぁ、ハルトがいてくれて助かった」
「俺は何もしてないけどな」
こいつらを運んで吊るすくらいしかしてないぞ。
「いや、私より強い奴が一緒にいてくれるだけで安心感があったぞ」
「……わかるのか?」
「当たり前じゃないか。伊達にAランク冒険者をやってない。だいたい、私のナイフを止めてたしな」
そういうもんなのか。
「ま、確かにお前よりは強いけどさ……それで、お前はこれからどうするんだ?」
「行く宛のない旅をしてる身だ。とりあえず近くの街を目指すつもりさ」
「そうか、近くに俺たちの馬車を止めてあるんだ。そこで待ってる仲間たちと、最近グリセント王国に襲われたらしい、トニティア樹海のエルフの里を目指してるんだが、よかったら途中まで一緒に行くか? これも何かの縁だしな」
馬車の止まっている方向を指差しながらの俺の提案に、クゼルは表情を若干曇らせながら顎に手を当てる。
「トニティア樹海にあるエルフの里、か……」
「どうした? 何かまずいのか?」
「……私は、そのグリセント王国の元副騎士団長なのだ」
おっと、まさかのカミングアウトだ。
俺より年上とはいえ、この若さで副団長って凄いな。馬鹿なのに。
……じゃなくて、そりゃあエルフの里には行きづらいよな、襲撃した張本人なわけだし。
「なるほどな……それじゃあ先に言っておくが、俺たちの仲間に、そのエルフの里に住んでいた奴がいる。言いたいことはわかるな?」
俺の言葉に、クゼルは目を見開く。
そして申し訳なさそうな表情で、俺がさっき指差した方へ歩き始めた。
「――元副騎士団長とは言ったが、私はエルフの里襲撃の任を与えられた際に騎士団を抜けたから、作戦には参加していないのだ」
話によるとクゼルは、幼少の頃から母親に、エルフは森と平和を愛する種族だと聞かされ育ってきたという。
そして彼女自身、どんな時でも自分を盾にして部下を危機から守る騎士団長のような、誇り高い騎士を目指していた。
そのため、奴隷にするためのエルフの里襲撃作戦を受け入れることなどできなかった。
当然、王から命令された際に反発したのだが、聞き入れられず、作戦は強行されることとなった。
「そんな作戦に参加するわけにもいかないから、騎士団を抜けたのだ。騎士団長ならば作戦を中止にできたかもしれないが、あの方は非常に正義感が強く、元々作戦について聞かされていなかった。それを知らせれば団長は当然反発するだろうし、最悪の場合は王族に殺されてしまうかもしれないから、黙って私だけ出てきたのだ。作戦を止められなかったことは、今でも後悔してるよ」
「そうだったのか……副騎士団長という地位には未練がなかったのか?」
「ああ、誇りを捨てて地位を守るくらいなら、自由に生きたかったんだよ。幸いそれなりに実力があるから、冒険者としてもやっていけるしな」
クゼルは自嘲するように笑う。
「そうか。なら国にも未練はないのか?」
「ないな。母は去年病気で他界したし、父は五年前に魔物に襲われて亡くなっているから、私にはもう、国を出て悲しむような家族はいない。友が全くいないわけではないが……何よりも、私欲を満たすためにエルフの里を襲うような王族と、グリセントという国に失望したからな」
「……そうか」
話を終えたクゼルに、俺は相槌を打つことしかできなかった。
しばし無言が続き、耳に届くのは俺たちの足音と鳥の鳴き声、草木が揺れる音だけだった。
そうして歩き続け、遠くに馬車が見えてきた頃、クゼルが口を開いた。
「ハルト、さっきの答えだが、私もエルフの里に行ってみようと思う。ついていってもいいか?」
「もちろんだ。旅の仲間は多い方が賑やかでいいからな」
「そうだな。私も一人で退屈してたんだ。そう言ってもらえると助かる」
こうして俺とクゼルは馬車に着いたのだった。
「で、この女の人を拾ってきたの?」
そう言って俺を見下ろす鈴乃の目がひどく冷たい。
俺は今、フィーネとアイリス、鈴乃の前で正座をしていた。
皆で撤去してくれたのだろう、倒木はなくなって、馬車はいつでも出られる状態になっていた。
しかし鈴乃が、馬車に近付いた俺の横にクゼルがいるのを見るなり、「晴人君そこに正座!」と物凄い形相で言ってきたため、こんな状況になっているのだ。
クゼルはといえば、アーシャと話していた。俺を助ける気はないらしい。そもそも興味がないようだ。
「いや待ってくれ。俺が拾ってきたわけじゃない」
俺は必死に、アジトで何があったのか説明する。
「だから! 扉を開けて隙間から見たら盗賊のリーダーが土下座してたんだって! 信じてくれよ!」
しかし誰も彼も、俺の言うことを信じていないのか冷たい目を向けてくる。クゼルも相変わらず、こちらを助ける気はないようだ。誰のせいでこうなってると思ってるんだ。
――それから十分後。
「……なるほど、何があったかはわかりました。でも、だからと言ってやたらと女の人を誘うのはどうかと思いますよ」
頬を膨らませるフィーネに、俺は頭を下げる。
「はい……気を付けます」
「私はそこまで増えてほしくないです。だってその……ごにょごにょ」
「ん?」
「な、なんでもないです!」
最後はなんて言っていたのか聞き取れなかったが、フィーネは顔を赤くしたまま馬車に戻っていった。
「ハルト、増えるのはいいとは言ったけどね? こんなに早く増えるのは……ハルトといられる時間が減っちゃうし……」
「はい! 気を付けます!」
俺は即答だった。いや、だって、な? アイリスにモジモジされながらそんなことを言われたら、そりゃあもう即答に決まってますよ。はい。
俺の説明で壁はなくなったのか、クゼルは皆と楽しそうに話している。天堂たち勇者組とは直接の面識はなかったようだが、顔は知っていたようで驚いていた。
そして、俺への説教が一段落ついたので、改めて全員に自己紹介してもらうと、クゼルはますます驚いていた。
まぁそうだよな、勇者五人に加えて、ペルディス王国の第一王女、エルフの里の姫までいたら、その反応も納得だ。
とどめに俺がEXランク冒険者であることと、証明として冒険者カードを見せたら、クゼルは完全に言葉を失ってしまった。
黙り込んで俺をまじまじと見ていたクゼルだったが、しばらくして口を開く。
「……聞いたことのある名前だと思っていたが、まさかあのEXランク冒険者だったとは。驚いたよ……あと一つ、気になることがあるのだが」
「どうした?」
クゼルは恐る恐る、といった感じで聞いてくる。
「ハルトの名前は、勇者であるテンドウ殿たちのものと同じで、東にあるジャペン王国で使われているものと似ている気がするのだが……」
「ああ、そうだな。俺もこいつらと一緒に、勇者として召喚されたからな」
「そうなのか……って、えぇぇぇぇぇぇぇ!?」
あまりのうるささに俺は両耳を塞いだ。
てか、ジャペン王国ってアレか、東にある日本っぽい文化の国だっけ。
「なるほど、勇者として召喚された者には、ユニークスキルよりも強力なギフトがあると言うからな。ハルトの強さの理由はもしかして……」
「ん? 俺はギフトなんて貰ってないぞ?」
俺の答えに、クゼルが詰め寄ってきた。
むにゅっという感触とともに、柔らかな双丘が押し付けられる。
ふむ……おっぱいは正義!
一部始終を見ていた女性陣からは冷たい視線が突き刺さってくるが、これに関しては不可抗力だ。これほどのおっぱいが当たって喜ばない男はこの世にはいない。
「――っておい! 聞いているのかハルト!?」
おっと。おっぱいの感触の方に意識が向いてしまったようだ。
「えっと、なんだっけ?」
「ハルトの強さの理由について聞いているのだ」
強さの理由? んー、なんて言うかな。
「……頑張ったから?」
すみません本当は神様からお詫びを貰っただけです。
「なぜ疑問形なんだ! そんなのは理由にはなっていないぞ!」
なぜか怒られてしまった。だって信じてもらえなそうだったし。
「えっと……神様からお詫びスキルを貰って、それからそれなりに頑張ったから?」
「……おい。そんな嘘を私が信じるとでも?」
ですよねー、わかってましたとも。
「いや、だってさ? 真っ白な空間に飛ばされて、いきなり現れた髭の爺さんに『わしは神様。ギフトを付け忘れたお詫びにスキルをあげるね』って言われて、目が覚めたらほんとにスキルがあったんだぞ? 信じるしかなくないか?」
結構端折ったが、だいたい合ってるから大丈夫大丈夫。
「私は神など信じないが……そうか。神様はおじいちゃんなのか」
「そこかよ。てか、そろそろ俺から離れてくれると助かるんだが……皆からの視線が、さ……」
俺の言葉に、クゼルは首を傾げる。
そろそろ気付いてほしい。クゼルの立派な双丘が俺に押し当てられているってことを。
「いやさ……さっきからずっとその、む、胸が当たっているのですが……」
俺がそう言うと、クゼルの顔が赤くなっていき――
「ば、馬鹿者ぉぉぉぉぉッ!」
「それは理不尽ゴハァァッ!!」
プロボクサー顔負けの鋭い右ストレートが顔面へと直撃し、俺はその場に倒れ込む。
正直なところ、そこまで痛くはないし避けることもできた。ただ、ここで避けたら、後ろの笑顔が怖い人たちに反省の色なしと見なされて恐ろしいことが起きるに違いない。
「そ、そのようなことは早く言わないか!」
「い、いや? 言おうとはしたよ? だけど勝てなかったんだよ……」
「何にだ!」
その立派な双丘にです。
俺は立ち上がると、逃げるように仲間であるはずの男性陣のもとへ向かう。
しかし天堂も最上も、俺が近付くと小声で非難してきた。
「晴人君、羨ましい!」
「そうだぞ結城!」
「お前ら……まぁたしかに気持ちよかったけど」
俺の言葉に、二人は頬を引きつらせる。
「晴人君。君は今から僕たちの敵だ」
「待て天堂! 早まるな!」
「いや、光司の言う通りだ。だいたい結城、お前は誓いを忘れたって言うのか!?」
「誓いってなんだ!? いつそんなの立てたんだよ!」
最上に反論するが、首を横に振られる。
「女の子の胸は見守るもの。付き合ってもいないならば決して触るべからず、とな」
「はぁ!? なんだそれ!」
「晴人君、君が誓いを破るなんて見損なったよ……」
「天堂も何言ってんだ?」
途中から声が大きくなっていたのか、女性陣に呆れたような目で見られたけど気にしないことにしました。
そんな茶番を終え、俺たちは出発した。
しばらくは顔を赤くしていたクゼルだったが、亜空間のことを知ってはしゃいでいた。そして一通り楽しんだ後は、やはり疲れていたのだろう、亜空間内の家の中でゆっくり休んでいる。
それからは何事もなく進み、日が傾き始めたところで俺は馬車を止めた。
「暗くなってきたから、そろそろ夕食にするぞ」
荷台と亜空間にいる皆に声をかけ、夕食の準備を進める。
今日のメニューは唐揚げだったのだが、これがクゼルには好評だった。
「まさか旅の途中でこんなものを食えるなんてな! 干し肉とは大違いだ!」
とのこと。まあ、比較対象が干し肉だったらそうなるか。俺は嫌いじゃないんだけどな、干し肉。
大騒ぎするクゼルを微笑ましく見ながら夕食を終えた俺たちは、寝る準備をする。
せっかく亜空間内の広々した家があるので、馬車の見張りだけ立ててそちらで寝ることにした。
馬車ごと亜空間に送れるんだが、明日の朝、いきなり馬車が出現するところを他人に見られたら面倒だ。ということで、馬車とマグロは出しっぱなしにする。
結界魔法で頑丈な結界を張ってから、有事に備えて見張りを立てておけばいいだろう。
見張り順を決め終えた俺たちは、旅の初日を終えたのだった。
第3話 特訓タイム
それからおよそ一週間、俺たちはいくつかの街に立ち寄りながら、トニティア樹海まで二日程度の街に辿り着いた。
目的のエルフの里はもう目の前ということで、今日このあとは各々自由に休むことにしている。
俺が宿の庭先で体を動かしていると、そこにフィーネと鈴乃、東雲、クゼルがやってきた。どうやら四人も、訓練しに来たらしい。
「ハルトさん、少し組手に付き合ってもらえませんか?」
そしてフィーネはやってくるなり、そんなお願いをしてきた。
特に断る理由もないので快く引き受け、しばらく組手をしていたところで、俺はあることに気付く。
「あれ? フィーネ、前より動きがよくなってるな」
「はぁ、はぁ、そう、ですか……?」
「ああ、いい感じだぞ!」
「本当ですか? ありがとうございます!」
息を整えたフィーネは俺の言葉に顔を綻ばせた。
そんな俺たちを見て、クゼルが声をかけてきた。
「ハルト、私も相手をお願いしたいんだが」
「クゼルもか?」
「ああ。先ほどの二人の組手を見ていたら、こう胸から湧き上がるような、熱い気持ちが抑えられなくなってな!」
「お、おう……」
勢いに引きつつも、クゼルの相手をすることにした。
なんだかんだ言って、クゼルは元副騎士団長でAランク冒険者。かなりの実力者だ。
これはちょっと楽しみだな。
「それでは私は見学していますね!」
フィーネはそう言って、さっきから見学していた鈴乃と東雲の横にちょこんと座る。
それから、俺とクゼルの組手が始まった。
やはりクゼルの実力はなかなかのもので、気を抜くと一撃入れられてしまいそうだった。
組手が終わるころには、久々に汗びっしょりになっていたほどだ。
そんな俺と息も切れ切れなクゼルのもとへ、フィーネがタオルとコップを持ってきてくれた。
「二人ともお疲れ様です。タオルと飲み物を持ってきましたよ」
「ありがとうフィーネ」
「感謝する」
汗を拭きつつ飲み物をゴクッゴクッと勢いよく飲んでいると、鈴乃と東雲の会話が聞こえてきた。
「あそこまでの動きは私たちにはまだ無理、かな……?」
「そうだね。でも私たちもいつかあそこまでできるようにならないと」
「そうだね、頑張ればできるようになるかな?」
「うん。できるよ」
「そっか、なら私頑張るよ!」
そんなほのぼのした会話をする二人を見ながら、俺は心の中でエールを送ったのだった。
そして翌日、俺たちは街を出発した。
道中では魔物が現れたりしたのだが、俺が動く前にクゼルや天堂たちが率先して動いてくれたので、ほとんど俺の出番がなかった。
しかも、俺が警戒を促す前に戦いに行くので、俺のやることと言えばただ手綱を握ることだけになってしまっていた。
「ふあぁ~……」
そんな状態だったから、昼食を終えて道を進んでいる時に、ついつい欠伸が出てしまった。
俺は助手席に座っていたクゼルに振り向く。
「クゼル、少し寝たいから変わってもらっていいか? 眠い……」
「ああ構わない。ゆっくり寝ていてくれ」
「助かる。マグロは頭がいいから、口で言えばだいたいは大丈夫だから」
「わかった」
クゼルに手綱を渡した俺は、何かあった時にすぐに対処できるよう、亜空間に入らずに荷台の長椅子で横になる。
気持ちいい風と暖かな日差し、そしてガタガタと心地よい馬車の揺れに、俺は睡魔に身を任せるのだった。
「……ふぁ~」
ゆっくりと目を開けると、既に日が傾き始めているのか、馬車の窓から見る空は茜色に染まっていた。
「……やっと起きましたね。ハルトさん、寝すぎですよ?」
その声に上を向けば、フィーネが俺の顔を覗き込んでいた。
……ん? しかも頭の後ろに何か柔らかい感触が……まさかこれが噂の膝枕、なのか?
フィーネの艶やかな銀髪は、夕日を反射してオレンジ色に光沢を放っている。何やら柔らかい香りが、俺の鼻をくすぐった。このまま目を閉じたいところだが……
「フィーネ、俺どのくらい寝ていた?」
「えっと、四時間くらいだと思いますよ」
ずいぶんと寝ていたようだ。
まだフィーネの膝枕が恋しいが、流石に起き上がるか。
何せ視界の端で、アイリスと鈴乃が羨ましそうにしているからな。近いうちに膝枕させろと言ってきそうだ。
「そうだ。何か変わったことはあったか?」
「……特にありませんでした」
起き上がった俺を名残惜しそうに見ながら、フィーネが答えてくれる。
「ならよかった……そうだ」
フィーネに耳打ちで伝えた。
「今度は二人きりの時に頼むな」
「ふぇっ!? は、はい……」
「っと、そろそろ今日の野営場所でも探さないとな」
「は、はぃ……そぅ、ですね」
フィーネの顔は、うっすら赤く染まっている。アイリスと鈴乃の視線が痛いが、気にしないことにした。
しばらく進むと野営にちょうどよさそうな場所があったので、御者をしてくれていたクゼルに声をかけて馬車を止める。
さっそく夕食の準備をしようとしたところで、アイリスが手を挙げた。
「今日は私が作るわ!」
え? アイリスが? これまでそんなこと、言ったことなかったのに。
というかそもそも……
「アイリス、料理できるのか?」
「つ、つつ作れるわよ!」
アイリスは真っ平らな胸を張ってそう言い張っているが、たしか出発前に、アイリスの父親であるペルディス王のディランさんから話を聞いたっけ。
俺はと言えば、気絶した盗賊を縛るくらいで何もしていない。正直いなくてもよかったんじゃないかと思ったほどだ。
一瞬で制圧を終えた俺たちは、盗賊全員を洞窟から出して、街道まで出て近くの木にぶら下げておいた。
仕上げに『僕たちは悪い盗賊です』と書いた看板を作って、リーダーの首にかける。
これで誰かが見つけてくれるだろう。
一仕事終えて肩を回していると、クゼルが満足げに頷く。
「いやぁ、ハルトがいてくれて助かった」
「俺は何もしてないけどな」
こいつらを運んで吊るすくらいしかしてないぞ。
「いや、私より強い奴が一緒にいてくれるだけで安心感があったぞ」
「……わかるのか?」
「当たり前じゃないか。伊達にAランク冒険者をやってない。だいたい、私のナイフを止めてたしな」
そういうもんなのか。
「ま、確かにお前よりは強いけどさ……それで、お前はこれからどうするんだ?」
「行く宛のない旅をしてる身だ。とりあえず近くの街を目指すつもりさ」
「そうか、近くに俺たちの馬車を止めてあるんだ。そこで待ってる仲間たちと、最近グリセント王国に襲われたらしい、トニティア樹海のエルフの里を目指してるんだが、よかったら途中まで一緒に行くか? これも何かの縁だしな」
馬車の止まっている方向を指差しながらの俺の提案に、クゼルは表情を若干曇らせながら顎に手を当てる。
「トニティア樹海にあるエルフの里、か……」
「どうした? 何かまずいのか?」
「……私は、そのグリセント王国の元副騎士団長なのだ」
おっと、まさかのカミングアウトだ。
俺より年上とはいえ、この若さで副団長って凄いな。馬鹿なのに。
……じゃなくて、そりゃあエルフの里には行きづらいよな、襲撃した張本人なわけだし。
「なるほどな……それじゃあ先に言っておくが、俺たちの仲間に、そのエルフの里に住んでいた奴がいる。言いたいことはわかるな?」
俺の言葉に、クゼルは目を見開く。
そして申し訳なさそうな表情で、俺がさっき指差した方へ歩き始めた。
「――元副騎士団長とは言ったが、私はエルフの里襲撃の任を与えられた際に騎士団を抜けたから、作戦には参加していないのだ」
話によるとクゼルは、幼少の頃から母親に、エルフは森と平和を愛する種族だと聞かされ育ってきたという。
そして彼女自身、どんな時でも自分を盾にして部下を危機から守る騎士団長のような、誇り高い騎士を目指していた。
そのため、奴隷にするためのエルフの里襲撃作戦を受け入れることなどできなかった。
当然、王から命令された際に反発したのだが、聞き入れられず、作戦は強行されることとなった。
「そんな作戦に参加するわけにもいかないから、騎士団を抜けたのだ。騎士団長ならば作戦を中止にできたかもしれないが、あの方は非常に正義感が強く、元々作戦について聞かされていなかった。それを知らせれば団長は当然反発するだろうし、最悪の場合は王族に殺されてしまうかもしれないから、黙って私だけ出てきたのだ。作戦を止められなかったことは、今でも後悔してるよ」
「そうだったのか……副騎士団長という地位には未練がなかったのか?」
「ああ、誇りを捨てて地位を守るくらいなら、自由に生きたかったんだよ。幸いそれなりに実力があるから、冒険者としてもやっていけるしな」
クゼルは自嘲するように笑う。
「そうか。なら国にも未練はないのか?」
「ないな。母は去年病気で他界したし、父は五年前に魔物に襲われて亡くなっているから、私にはもう、国を出て悲しむような家族はいない。友が全くいないわけではないが……何よりも、私欲を満たすためにエルフの里を襲うような王族と、グリセントという国に失望したからな」
「……そうか」
話を終えたクゼルに、俺は相槌を打つことしかできなかった。
しばし無言が続き、耳に届くのは俺たちの足音と鳥の鳴き声、草木が揺れる音だけだった。
そうして歩き続け、遠くに馬車が見えてきた頃、クゼルが口を開いた。
「ハルト、さっきの答えだが、私もエルフの里に行ってみようと思う。ついていってもいいか?」
「もちろんだ。旅の仲間は多い方が賑やかでいいからな」
「そうだな。私も一人で退屈してたんだ。そう言ってもらえると助かる」
こうして俺とクゼルは馬車に着いたのだった。
「で、この女の人を拾ってきたの?」
そう言って俺を見下ろす鈴乃の目がひどく冷たい。
俺は今、フィーネとアイリス、鈴乃の前で正座をしていた。
皆で撤去してくれたのだろう、倒木はなくなって、馬車はいつでも出られる状態になっていた。
しかし鈴乃が、馬車に近付いた俺の横にクゼルがいるのを見るなり、「晴人君そこに正座!」と物凄い形相で言ってきたため、こんな状況になっているのだ。
クゼルはといえば、アーシャと話していた。俺を助ける気はないらしい。そもそも興味がないようだ。
「いや待ってくれ。俺が拾ってきたわけじゃない」
俺は必死に、アジトで何があったのか説明する。
「だから! 扉を開けて隙間から見たら盗賊のリーダーが土下座してたんだって! 信じてくれよ!」
しかし誰も彼も、俺の言うことを信じていないのか冷たい目を向けてくる。クゼルも相変わらず、こちらを助ける気はないようだ。誰のせいでこうなってると思ってるんだ。
――それから十分後。
「……なるほど、何があったかはわかりました。でも、だからと言ってやたらと女の人を誘うのはどうかと思いますよ」
頬を膨らませるフィーネに、俺は頭を下げる。
「はい……気を付けます」
「私はそこまで増えてほしくないです。だってその……ごにょごにょ」
「ん?」
「な、なんでもないです!」
最後はなんて言っていたのか聞き取れなかったが、フィーネは顔を赤くしたまま馬車に戻っていった。
「ハルト、増えるのはいいとは言ったけどね? こんなに早く増えるのは……ハルトといられる時間が減っちゃうし……」
「はい! 気を付けます!」
俺は即答だった。いや、だって、な? アイリスにモジモジされながらそんなことを言われたら、そりゃあもう即答に決まってますよ。はい。
俺の説明で壁はなくなったのか、クゼルは皆と楽しそうに話している。天堂たち勇者組とは直接の面識はなかったようだが、顔は知っていたようで驚いていた。
そして、俺への説教が一段落ついたので、改めて全員に自己紹介してもらうと、クゼルはますます驚いていた。
まぁそうだよな、勇者五人に加えて、ペルディス王国の第一王女、エルフの里の姫までいたら、その反応も納得だ。
とどめに俺がEXランク冒険者であることと、証明として冒険者カードを見せたら、クゼルは完全に言葉を失ってしまった。
黙り込んで俺をまじまじと見ていたクゼルだったが、しばらくして口を開く。
「……聞いたことのある名前だと思っていたが、まさかあのEXランク冒険者だったとは。驚いたよ……あと一つ、気になることがあるのだが」
「どうした?」
クゼルは恐る恐る、といった感じで聞いてくる。
「ハルトの名前は、勇者であるテンドウ殿たちのものと同じで、東にあるジャペン王国で使われているものと似ている気がするのだが……」
「ああ、そうだな。俺もこいつらと一緒に、勇者として召喚されたからな」
「そうなのか……って、えぇぇぇぇぇぇぇ!?」
あまりのうるささに俺は両耳を塞いだ。
てか、ジャペン王国ってアレか、東にある日本っぽい文化の国だっけ。
「なるほど、勇者として召喚された者には、ユニークスキルよりも強力なギフトがあると言うからな。ハルトの強さの理由はもしかして……」
「ん? 俺はギフトなんて貰ってないぞ?」
俺の答えに、クゼルが詰め寄ってきた。
むにゅっという感触とともに、柔らかな双丘が押し付けられる。
ふむ……おっぱいは正義!
一部始終を見ていた女性陣からは冷たい視線が突き刺さってくるが、これに関しては不可抗力だ。これほどのおっぱいが当たって喜ばない男はこの世にはいない。
「――っておい! 聞いているのかハルト!?」
おっと。おっぱいの感触の方に意識が向いてしまったようだ。
「えっと、なんだっけ?」
「ハルトの強さの理由について聞いているのだ」
強さの理由? んー、なんて言うかな。
「……頑張ったから?」
すみません本当は神様からお詫びを貰っただけです。
「なぜ疑問形なんだ! そんなのは理由にはなっていないぞ!」
なぜか怒られてしまった。だって信じてもらえなそうだったし。
「えっと……神様からお詫びスキルを貰って、それからそれなりに頑張ったから?」
「……おい。そんな嘘を私が信じるとでも?」
ですよねー、わかってましたとも。
「いや、だってさ? 真っ白な空間に飛ばされて、いきなり現れた髭の爺さんに『わしは神様。ギフトを付け忘れたお詫びにスキルをあげるね』って言われて、目が覚めたらほんとにスキルがあったんだぞ? 信じるしかなくないか?」
結構端折ったが、だいたい合ってるから大丈夫大丈夫。
「私は神など信じないが……そうか。神様はおじいちゃんなのか」
「そこかよ。てか、そろそろ俺から離れてくれると助かるんだが……皆からの視線が、さ……」
俺の言葉に、クゼルは首を傾げる。
そろそろ気付いてほしい。クゼルの立派な双丘が俺に押し当てられているってことを。
「いやさ……さっきからずっとその、む、胸が当たっているのですが……」
俺がそう言うと、クゼルの顔が赤くなっていき――
「ば、馬鹿者ぉぉぉぉぉッ!」
「それは理不尽ゴハァァッ!!」
プロボクサー顔負けの鋭い右ストレートが顔面へと直撃し、俺はその場に倒れ込む。
正直なところ、そこまで痛くはないし避けることもできた。ただ、ここで避けたら、後ろの笑顔が怖い人たちに反省の色なしと見なされて恐ろしいことが起きるに違いない。
「そ、そのようなことは早く言わないか!」
「い、いや? 言おうとはしたよ? だけど勝てなかったんだよ……」
「何にだ!」
その立派な双丘にです。
俺は立ち上がると、逃げるように仲間であるはずの男性陣のもとへ向かう。
しかし天堂も最上も、俺が近付くと小声で非難してきた。
「晴人君、羨ましい!」
「そうだぞ結城!」
「お前ら……まぁたしかに気持ちよかったけど」
俺の言葉に、二人は頬を引きつらせる。
「晴人君。君は今から僕たちの敵だ」
「待て天堂! 早まるな!」
「いや、光司の言う通りだ。だいたい結城、お前は誓いを忘れたって言うのか!?」
「誓いってなんだ!? いつそんなの立てたんだよ!」
最上に反論するが、首を横に振られる。
「女の子の胸は見守るもの。付き合ってもいないならば決して触るべからず、とな」
「はぁ!? なんだそれ!」
「晴人君、君が誓いを破るなんて見損なったよ……」
「天堂も何言ってんだ?」
途中から声が大きくなっていたのか、女性陣に呆れたような目で見られたけど気にしないことにしました。
そんな茶番を終え、俺たちは出発した。
しばらくは顔を赤くしていたクゼルだったが、亜空間のことを知ってはしゃいでいた。そして一通り楽しんだ後は、やはり疲れていたのだろう、亜空間内の家の中でゆっくり休んでいる。
それからは何事もなく進み、日が傾き始めたところで俺は馬車を止めた。
「暗くなってきたから、そろそろ夕食にするぞ」
荷台と亜空間にいる皆に声をかけ、夕食の準備を進める。
今日のメニューは唐揚げだったのだが、これがクゼルには好評だった。
「まさか旅の途中でこんなものを食えるなんてな! 干し肉とは大違いだ!」
とのこと。まあ、比較対象が干し肉だったらそうなるか。俺は嫌いじゃないんだけどな、干し肉。
大騒ぎするクゼルを微笑ましく見ながら夕食を終えた俺たちは、寝る準備をする。
せっかく亜空間内の広々した家があるので、馬車の見張りだけ立ててそちらで寝ることにした。
馬車ごと亜空間に送れるんだが、明日の朝、いきなり馬車が出現するところを他人に見られたら面倒だ。ということで、馬車とマグロは出しっぱなしにする。
結界魔法で頑丈な結界を張ってから、有事に備えて見張りを立てておけばいいだろう。
見張り順を決め終えた俺たちは、旅の初日を終えたのだった。
第3話 特訓タイム
それからおよそ一週間、俺たちはいくつかの街に立ち寄りながら、トニティア樹海まで二日程度の街に辿り着いた。
目的のエルフの里はもう目の前ということで、今日このあとは各々自由に休むことにしている。
俺が宿の庭先で体を動かしていると、そこにフィーネと鈴乃、東雲、クゼルがやってきた。どうやら四人も、訓練しに来たらしい。
「ハルトさん、少し組手に付き合ってもらえませんか?」
そしてフィーネはやってくるなり、そんなお願いをしてきた。
特に断る理由もないので快く引き受け、しばらく組手をしていたところで、俺はあることに気付く。
「あれ? フィーネ、前より動きがよくなってるな」
「はぁ、はぁ、そう、ですか……?」
「ああ、いい感じだぞ!」
「本当ですか? ありがとうございます!」
息を整えたフィーネは俺の言葉に顔を綻ばせた。
そんな俺たちを見て、クゼルが声をかけてきた。
「ハルト、私も相手をお願いしたいんだが」
「クゼルもか?」
「ああ。先ほどの二人の組手を見ていたら、こう胸から湧き上がるような、熱い気持ちが抑えられなくなってな!」
「お、おう……」
勢いに引きつつも、クゼルの相手をすることにした。
なんだかんだ言って、クゼルは元副騎士団長でAランク冒険者。かなりの実力者だ。
これはちょっと楽しみだな。
「それでは私は見学していますね!」
フィーネはそう言って、さっきから見学していた鈴乃と東雲の横にちょこんと座る。
それから、俺とクゼルの組手が始まった。
やはりクゼルの実力はなかなかのもので、気を抜くと一撃入れられてしまいそうだった。
組手が終わるころには、久々に汗びっしょりになっていたほどだ。
そんな俺と息も切れ切れなクゼルのもとへ、フィーネがタオルとコップを持ってきてくれた。
「二人ともお疲れ様です。タオルと飲み物を持ってきましたよ」
「ありがとうフィーネ」
「感謝する」
汗を拭きつつ飲み物をゴクッゴクッと勢いよく飲んでいると、鈴乃と東雲の会話が聞こえてきた。
「あそこまでの動きは私たちにはまだ無理、かな……?」
「そうだね。でも私たちもいつかあそこまでできるようにならないと」
「そうだね、頑張ればできるようになるかな?」
「うん。できるよ」
「そっか、なら私頑張るよ!」
そんなほのぼのした会話をする二人を見ながら、俺は心の中でエールを送ったのだった。
そして翌日、俺たちは街を出発した。
道中では魔物が現れたりしたのだが、俺が動く前にクゼルや天堂たちが率先して動いてくれたので、ほとんど俺の出番がなかった。
しかも、俺が警戒を促す前に戦いに行くので、俺のやることと言えばただ手綱を握ることだけになってしまっていた。
「ふあぁ~……」
そんな状態だったから、昼食を終えて道を進んでいる時に、ついつい欠伸が出てしまった。
俺は助手席に座っていたクゼルに振り向く。
「クゼル、少し寝たいから変わってもらっていいか? 眠い……」
「ああ構わない。ゆっくり寝ていてくれ」
「助かる。マグロは頭がいいから、口で言えばだいたいは大丈夫だから」
「わかった」
クゼルに手綱を渡した俺は、何かあった時にすぐに対処できるよう、亜空間に入らずに荷台の長椅子で横になる。
気持ちいい風と暖かな日差し、そしてガタガタと心地よい馬車の揺れに、俺は睡魔に身を任せるのだった。
「……ふぁ~」
ゆっくりと目を開けると、既に日が傾き始めているのか、馬車の窓から見る空は茜色に染まっていた。
「……やっと起きましたね。ハルトさん、寝すぎですよ?」
その声に上を向けば、フィーネが俺の顔を覗き込んでいた。
……ん? しかも頭の後ろに何か柔らかい感触が……まさかこれが噂の膝枕、なのか?
フィーネの艶やかな銀髪は、夕日を反射してオレンジ色に光沢を放っている。何やら柔らかい香りが、俺の鼻をくすぐった。このまま目を閉じたいところだが……
「フィーネ、俺どのくらい寝ていた?」
「えっと、四時間くらいだと思いますよ」
ずいぶんと寝ていたようだ。
まだフィーネの膝枕が恋しいが、流石に起き上がるか。
何せ視界の端で、アイリスと鈴乃が羨ましそうにしているからな。近いうちに膝枕させろと言ってきそうだ。
「そうだ。何か変わったことはあったか?」
「……特にありませんでした」
起き上がった俺を名残惜しそうに見ながら、フィーネが答えてくれる。
「ならよかった……そうだ」
フィーネに耳打ちで伝えた。
「今度は二人きりの時に頼むな」
「ふぇっ!? は、はい……」
「っと、そろそろ今日の野営場所でも探さないとな」
「は、はぃ……そぅ、ですね」
フィーネの顔は、うっすら赤く染まっている。アイリスと鈴乃の視線が痛いが、気にしないことにした。
しばらく進むと野営にちょうどよさそうな場所があったので、御者をしてくれていたクゼルに声をかけて馬車を止める。
さっそく夕食の準備をしようとしたところで、アイリスが手を挙げた。
「今日は私が作るわ!」
え? アイリスが? これまでそんなこと、言ったことなかったのに。
というかそもそも……
「アイリス、料理できるのか?」
「つ、つつ作れるわよ!」
アイリスは真っ平らな胸を張ってそう言い張っているが、たしか出発前に、アイリスの父親であるペルディス王のディランさんから話を聞いたっけ。
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