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番外編

書籍化記念

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 夕方、俺は急遽広間にみんなを招集した。
 少し高い場所に設置された椅子に腰を掛け、重苦しい雰囲気を醸しだす。

「ハルトさん。どうして広間に?」

 この招集を不思議に思ったフィーネの言葉に、他の集まったみんなもウンウンと頷く。

「実は、重大な報告があるんだ……」

 俺のその言葉に、みんなは緊張した面持ちでゴクリッと生唾を飲み込む。

「は、ハルト、なにかあったの?」
「そうだよ晴人君。なにがあったの?」

 アイリスと鈴乃の問いに俺は重々しく口を開く。

「実は──」

 俺の口から放たれた言葉に一同は固まる。だがスグに我に返り問うてくる。

「は、ハルトさん。もう一度言ってもっても? 聞き間違えかえもしれないですし……聞き間違えで無ければハルトさんは書籍化するって」

 フィーネ。間違っておらんぞ。
 俺はもう一度、次は声を大きくしてみんなにもハッキリと聞こえる声で告げる。

「──この作品が書籍化される事になりました!!」

 少しの沈黙の後、鈴乃が口を開く。

「ほ、本当なの晴人君!?」
「あぁ! 発売日はまだわからないが出荷予定が五月下旬らしい!」

 その言葉に、アイリスとアーシャが驚き口を開く。

「って、もうスグじゃないの!」
「そうですよハルトさん!」

 物凄い形相でそう言われ納得し「だよなぁ」とポツリ呟く。そこにフィーネが、

「は、ハルトさん! 収録範囲は何処までなんですか!?」
「範囲はSランク昇格の依頼に行く前までだな。あと勇者サイドで天童達が国境の街ヴァーナに向かうまでだったような……」

 俺が言い終わると、エフィルクゼルが二人仲良く体育座りをしてブツブツと呟いていた。

「ワタシタチ、デテコナインデスネ……」
「ソウ、ミタイダナ……」

 虚ろな目をしてそう呟いている二人を励まそうと声を掛ける。

「ふ、二人とも。二巻なら二人とも出てくるんだぞ? なんなら二巻はエフィルがメインになるんだからな?」

 頭を撫でながらそう言うと、エフィルの顔に輝きが戻る。尻尾が付いていたのならブンブンと振っていたに違いない。

 立ち上がり、

「そうです! 二巻なら私がメインなんです! 」
「げ、元気になったなら何よりだ……」

 そこにクゼルが俺の服の裾をクイクイッと引かれる。
 クゼルを見ると──

「私の出番は、あまり無いって事……なのか?」

 しまったぁぁあ!
 俺はクゼルに必死に取り繕う。
 目元には涙を溜め今にも流れ落ちそうだ。

「そ、そんな事は無いぞ! お前の登場時のインパクトはデカかったからな!」
「そう、なのか?」

 他にも色々と言っていると、クゼルは少しづつ元気を取り戻していく。
 頑張れ俺! あと少しだ!

「それに模擬戦だってしたじゃないか!」

 そんな俺の姿にみんなはというと──俺とクゼルには目もくれずキャッキャウフフと喜んでいる。
 クゼルの表情をみるみる明るくなっていき、

「……だよな。そうだよな。そうだよな!!」

 良かった。元気になったようだ。

「さて! 書籍化祝いの宴だ! お前ら準備すんぞ!!」

 その声にみんなは拳を天へと突き出し「おー!」と声を上げた。
 この宴にはディランさんやアマリアさんも参加し、卓上には王城の料理とさほど劣らない豪勢な食卓が並ぶ。
 みんなは飲み物が入ったグラスを片手に壇上の俺を見つめる。
 そう。乾杯の音頭だ。

「前置きなんていらねぇ! 乾杯!!」
「「「乾杯!!」」」

 同時にグラスを掲げた。
 俺達は並んだ料理に舌鼓を打ち、その夜は談笑という名の花を咲かせるのであった。


 END

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 俺TUEEEEEを愛する皆様、
 WINGです。

 現在書籍化が進行中です。
 これも皆様のお陰です!
 ありがとうございます!

 エフィルやクゼル、セバス、ライラ、ミア、ゼロといった人達がまだ出て来なくて悲しいです(泣)

 書籍に関する情報は近状ボードをご確認下さい。コメントも貰えると嬉しいです!

 では、これからも「異世界無能」を引き続きよろしくお願い致します。
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