1 / 65
プロローグ
しおりを挟む
――休日の昼。
姉とどちらがアイスを買いに行くかと言うジャンケンに負け、俺――柊 秋人(「柊 秋人」にルビ「ひいらぎ あきと」)はアイスを買いに行くことになった。
季節は夏。今日はニュースで今年一番の暑さという予報から、現在の気温は38度を超えていた。
アスファルトから熱気が伝わってくる。
「暑い……クソッ、じゃんけんに負けていなかったら……」
そんな言葉を吐きつつも俺は今ある体力を振り絞りコンビニへと歩いて向かう。
しばらく歩きコンビニの前へと到着する。ここに来るまでに俺は大量の汗を流しており、脱水症状になるんじゃないかと思えるほどの汗の量だった。だが冷房が効いたコンビニの中の涼しさを考えるとそんなことはどうってことなかった。
自動ドアが開きコンビニの中に入る。入った瞬間、コンビニの中は冷房が効いておりとても涼しく体から汗が引いていくのを感じた。
「この涼しさ、生き返る……」
そしてアイスが売っているコーナーまで来て何を買うか選ぶ。
俺と姉はガ〇〇リ君が好きなので、ソーダ味四本をカゴの中に入れて会計をする。
「四点で合計300円になります」
財布から300円丁度を出してレシートを貰いコンビニを出た。
ブワッと外の熱気が俺を襲う。
「姉貴には悪いが買った人の特権ってことで」
俺はコンビニを出てすぐに袋からアイスを一本を取り出して食べ始めた。
「ん~! やっぱりガ〇〇リ君だよな。安いし美味いしもう最高っ! これぞ至高のアイスって感じ」
そんな事を呟きながら青になった信号を渡ろうとしたが、みんなが何か叫んでいるのが聞こえた。
「危ないぞ下がれ!」
「トラックが突っ込んでくるぞ!」
みんなの死線の先を見ると、一台のトラックが減速せずに交差点へと突っ込んできていた。トラックの運転手を見るとケータイを片手に弄って前を見ていなかった。
トラックの先を目線で追うと、小学生位の女の子が横断歩道を「ママー」と言って渡っていた。それを見た母親は……
「カナっ!!」
母親の怒声で女の子もといカナちゃんが、体をビクッと震わせその場動きを止めてしまった。
そしてカナちゃん母親はもうダメかと思い、絶望の表情でその場に座り込んでしまう。
他のみんなももうダメだと諦めている表情だった。
誰も助けに行く人はいない。危険と知って自ら飛び込む者はいないだから。
それを見た俺は、「このままではカナちゃんがトラックに轢かれてしまう」と思い目の前の少女を救うべく動いていた。
この時、俺は死への恐怖感が全く無かった。
ただ目の前で起こる悲劇を見たくなかったのだ。
みんなの悲鳴が響き渡る。それは俺を見ての悲鳴なのか、それともカナちゃんのすぐ近くまで迫っているトラックを見てたのかは定かではない。
俺はなんとかカナちゃんのところまでやってきたが、トラックがすぐそこまで迫っていた。逃げようにも間に合わないと悟った俺は、「轢かれるのならカナちゃんだけでも」と思いカナちゃんを腕に抱えた。
「もう大丈夫だ。安心しろ」
そうカナちゃんに笑顔で告げた俺はその母親にも声を張り上げた。
「カナちゃんのお母さん、しっかりとキャッチしてくれよ!」
俺は母親へとカナちゃんを思いっきり投げると、母親は「え?」とオロオロしながらも周りの人達と一緒に無事キャッチしてくれた。
子供を投げるとはどうなのかと思ったが、これしか最速で安全な手段が無かったのだから仕方がない。
母親が「君も早────」と叫んではいたが最後の言葉は聞こえ無かった。俺は「一人救えたのなら良しとしよう」と思い来るだろう衝撃に備えるのだった。
姉とどちらがアイスを買いに行くかと言うジャンケンに負け、俺――柊 秋人(「柊 秋人」にルビ「ひいらぎ あきと」)はアイスを買いに行くことになった。
季節は夏。今日はニュースで今年一番の暑さという予報から、現在の気温は38度を超えていた。
アスファルトから熱気が伝わってくる。
「暑い……クソッ、じゃんけんに負けていなかったら……」
そんな言葉を吐きつつも俺は今ある体力を振り絞りコンビニへと歩いて向かう。
しばらく歩きコンビニの前へと到着する。ここに来るまでに俺は大量の汗を流しており、脱水症状になるんじゃないかと思えるほどの汗の量だった。だが冷房が効いたコンビニの中の涼しさを考えるとそんなことはどうってことなかった。
自動ドアが開きコンビニの中に入る。入った瞬間、コンビニの中は冷房が効いておりとても涼しく体から汗が引いていくのを感じた。
「この涼しさ、生き返る……」
そしてアイスが売っているコーナーまで来て何を買うか選ぶ。
俺と姉はガ〇〇リ君が好きなので、ソーダ味四本をカゴの中に入れて会計をする。
「四点で合計300円になります」
財布から300円丁度を出してレシートを貰いコンビニを出た。
ブワッと外の熱気が俺を襲う。
「姉貴には悪いが買った人の特権ってことで」
俺はコンビニを出てすぐに袋からアイスを一本を取り出して食べ始めた。
「ん~! やっぱりガ〇〇リ君だよな。安いし美味いしもう最高っ! これぞ至高のアイスって感じ」
そんな事を呟きながら青になった信号を渡ろうとしたが、みんなが何か叫んでいるのが聞こえた。
「危ないぞ下がれ!」
「トラックが突っ込んでくるぞ!」
みんなの死線の先を見ると、一台のトラックが減速せずに交差点へと突っ込んできていた。トラックの運転手を見るとケータイを片手に弄って前を見ていなかった。
トラックの先を目線で追うと、小学生位の女の子が横断歩道を「ママー」と言って渡っていた。それを見た母親は……
「カナっ!!」
母親の怒声で女の子もといカナちゃんが、体をビクッと震わせその場動きを止めてしまった。
そしてカナちゃん母親はもうダメかと思い、絶望の表情でその場に座り込んでしまう。
他のみんなももうダメだと諦めている表情だった。
誰も助けに行く人はいない。危険と知って自ら飛び込む者はいないだから。
それを見た俺は、「このままではカナちゃんがトラックに轢かれてしまう」と思い目の前の少女を救うべく動いていた。
この時、俺は死への恐怖感が全く無かった。
ただ目の前で起こる悲劇を見たくなかったのだ。
みんなの悲鳴が響き渡る。それは俺を見ての悲鳴なのか、それともカナちゃんのすぐ近くまで迫っているトラックを見てたのかは定かではない。
俺はなんとかカナちゃんのところまでやってきたが、トラックがすぐそこまで迫っていた。逃げようにも間に合わないと悟った俺は、「轢かれるのならカナちゃんだけでも」と思いカナちゃんを腕に抱えた。
「もう大丈夫だ。安心しろ」
そうカナちゃんに笑顔で告げた俺はその母親にも声を張り上げた。
「カナちゃんのお母さん、しっかりとキャッチしてくれよ!」
俺は母親へとカナちゃんを思いっきり投げると、母親は「え?」とオロオロしながらも周りの人達と一緒に無事キャッチしてくれた。
子供を投げるとはどうなのかと思ったが、これしか最速で安全な手段が無かったのだから仕方がない。
母親が「君も早────」と叫んではいたが最後の言葉は聞こえ無かった。俺は「一人救えたのなら良しとしよう」と思い来るだろう衝撃に備えるのだった。
26
お気に入りに追加
4,829
あなたにおすすめの小説
スキルポイントが無限で全振りしても余るため、他に使ってみます
銀狐
ファンタジー
病気で17歳という若さで亡くなってしまった橘 勇輝。
死んだ際に3つの能力を手に入れ、別の世界に行けることになった。
そこで手に入れた能力でスキルポイントを無限にできる。
そのため、いろいろなスキルをカンストさせてみようと思いました。
※10万文字が超えそうなので、長編にしました。
異世界転生は、0歳からがいいよね
八時
ファンタジー
転生小説好きの少年が神様のおっちょこちょいで異世界転生してしまった。
神様からのギフト(チート能力)で無双します。
初めてなので誤字があったらすいません。
自由気ままに投稿していきます。
異世界に来ちゃったよ!?
いがむり
ファンタジー
235番……それが彼女の名前。記憶喪失の17歳で沢山の子どもたちと共にファクトリーと呼ばれるところで楽しく暮らしていた。
しかし、現在森の中。
「とにきゃく、こころこぉ?」
から始まる異世界ストーリー 。
主人公は可愛いです!
もふもふだってあります!!
語彙力は………………無いかもしれない…。
とにかく、異世界ファンタジー開幕です!
※不定期投稿です…本当に。
※誤字・脱字があればお知らせ下さい
(※印は鬱表現ありです)
平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。
モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。
日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。
今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。
そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。
特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。
生産性厨が異世界で国造り~授けられた能力は手から何でも出せる能力でした~
天樹 一翔
ファンタジー
対向車線からトラックが飛び出してきた。
特に恐怖を感じることも無く、死んだなと。
想像したものを具現化できたら、もっと生産性があがるのにな。あと、女の子でも作って童貞捨てたい。いや。それは流石に生の女の子がいいか。我ながら少しサイコ臭して怖いこと言ったな――。
手から何でも出せるスキルで国を造ったり、無双したりなどの、異世界転生のありがちファンタジー作品です。
王国? 人外の軍勢? 魔王? なんでも来いよ! 力でねじ伏せてやるっ!
感想やお気に入り、しおり等々頂けると幸甚です!
モチベーション上がりますので是非よろしくお願い致します♪
また、本作品は小説家になろう、エブリスタ、カクヨムで公開している作品となります。
小説家になろうの閲覧数は170万。
エブリスタの閲覧数は240万。また、毎日トレンドランキング、ファンタジーランキング30位以内に入っております!
カクヨムの閲覧数は45万。
日頃から読んでくださる方に感謝です!
加護とスキルでチートな異世界生活
どど
ファンタジー
高校1年生の新崎 玲緒(にいざき れお)が学校からの帰宅中にトラックに跳ねられる!?
目を覚ますと真っ白い世界にいた!
そこにやってきた神様に転生か消滅するかの2択に迫られ転生する!
そんな玲緒のチートな異世界生活が始まる
初めての作品なので誤字脱字、ストーリーぐだぐだが多々あると思いますが気に入って頂けると幸いです
ノベルバ様にも公開しております。
※キャラの名前や街の名前は基本的に私が思いついたやつなので特に意味はありません
チート転生~チートって本当にあるものですね~
水魔沙希
ファンタジー
死んでしまった片瀬彼方は、突然異世界に転生してしまう。しかも、赤ちゃん時代からやり直せと!?何げにステータスを見ていたら、何やら面白そうなユニークスキルがあった!!
そのスキルが、随分チートな事に気付くのは神の加護を得てからだった。
亀更新で気が向いたら、随時更新しようと思います。ご了承お願いいたします。
異世界転生したら何でも出来る天才だった。
桂木 鏡夜
ファンタジー
高校入学早々に大型トラックに跳ねられ死ぬが気がつけば自分は3歳の可愛いらしい幼児に転生していた。
だが等本人は前世で特に興味がある事もなく、それは異世界に来ても同じだった。
そんな主人公アルスが何故俺が異世界?と自分の存在意義を見いだせずにいるが、10歳になり必ず受けなければならない学校の入学テストで思わぬ自分の才能に気づくのであった。
===========================
始めから強い設定ですが、徐々に強くなっていく感じになっております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる