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第1章

第41話:襲われている馬車を助けたけどテンプレでした

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 俺達は襲われている馬車へと降下していた。

「な、なんだ!?」
「く、黒いドラゴン!?」
「ドラゴンだと!? 何故こんな所にいるんだ!」

 その声は盗賊達からだった。
 騎士達もその声に空を見上げる。

「黒い、ドラゴン……」
「だが俺達は騎士だ! 何としても守り抜くぞ!」

 その声に騎士達は「おぉ!」と声を上げる。

「ゼノア、俺達魔物見たいな扱いなんだが……」
『う、うむ。流石にそれは嫌じゃな』
「お兄ちゃん早く助けようよ!」

 フィアのその声に俺は頷く。
 まずは助けないとな。

「ゼノア、俺は先に降りる。フィアを頼んだ」
『分かったのじゃ』

 俺は飛び降りた。

「お、おい! 誰か降って来るぞ!」

 一人の盗賊がそう言うと、他の盗賊達や騎士達も俺に視線が集まる。
 流石に高いところから飛び降りると、お股がキュッとするので余りしたくはない。
 風魔法で速度を軽減し、盗賊と騎士達の間に着地した。
 そのまま速度を軽減せずに着地すると、地面にそこそこのクレーターを作ってしまうからだ。

 着地した俺に双方から視線が集まる。

「な、何者だ! ドラゴンから降りてきたろ?!」

 先に口を開いたのは盗賊の方であった。
 続いて騎士も武器を構えながら俺に口を開いた。

「……何者だ? それにあのドラゴンは?」

 その問いに俺は答える。

「ただの冒険者だ。それとあのドラゴンは俺の」
「……分かった。それで? お前は敵なのか? 見方なのか?」

 騎士の方はそっちをハッキリさせたいようだ。

「それはお前らの行動によるな」
「……行動?」
「俺達に攻撃をしようとすれば敵だ。しなかったら俺から攻撃することは無い」

 攻撃すれば敵と聞いて、盗賊の一人が口を開いた。

「そ、そうか。なら俺達はお前に攻撃はしない」
「そうそう。言い忘れたが盗賊の場合は問答無用で敵だ」
「なっ!?」

 それを聞いて盗賊達は俺に武器を構える。
 逆に騎士達は安堵した。

「なら私達は貴方に攻撃はしない」
「そうか。終わった後で攻撃してきても敵だがな」
「……わかった」

 そこで、ゼノアが降り着地する。
 すると、黒い繭に包まれスグに霧散した。

「……少女が二人も?」

 騎士がそう呟いた。

「お兄ちゃん!」
「ご主人様よ。どうするのじゃ?」
「取り敢えず盗賊を先に片付けるか。邪魔だし」

 その言葉を聞いて、盗賊は「ヒィィ」と怯え一歩、二歩と後ずさった。

「お、お前ら! あの男を殺せ! あの小娘は売れば金になる!」
「そ、そうか!」
「わかった!」

 盗賊のその言葉を聞いた俺は、ピクッと眉を動かした。

「ほほう? 今売るって言ったな? 誰を売るって言ったんだ?」

 濃密な殺気が辺り一帯に充満した。
 盗賊も騎士達も顔が真っ青になっていた。

 今になってヤバいと気づいたのか、盗賊は謝罪してきた。

「ご、誤解だ! う、売るなんて俺は──ひぃっ!?」

 さらに殺気を強めた。

「盗賊はボーナスステージなんだ。それに俺は見逃すって事は出来ない。俺に見つかったのが運の尽きだな」

 そう言って俺は盗賊達に手を突き出し、そこに魔力を集中させる。

「ちっ! 怯むな! 殺っちまえ!」

 その言葉を合図に、盗賊達が俺へと一斉に襲い掛かってきた。
 騎士達も武器を構える。

「──ライトニング」

 俺がそう言った瞬間、雷が盗賊達全員に襲った。
 盗賊達は避ける事もできなく、雷に体を貫かれ全員が亡きものとなった。

「ふぅー。盗賊って数だけはいるからなぁ。それに後始末もしなきゃいけないとか害虫並にウザイな……」
「灰にするのかのう?」
「少しでも森の肥やしになればいいだろ」
「う、うむ。死体にも容赦ないのじゃ……」

 そう言った俺は死体を一箇所に集める。
 その際に金銭を奪うのは忘れない。

「ご主人様よ。そこの騎士達が何とも言えない表情で見てるのじゃが?」
「ん? ゼノア……盗賊を倒せばお小遣いになるんだ。きっとアジトに行けばまだあるとは思うが面倒臭いからいいか。んじゃ行くか」
「そう、じゃな」

 死体を灰にし終わり出発しようとする。

「待って下さい!」

 ゼノアでもフィアでもない若い女性の声によって引き留められた。

「なんだ?」

 振り返りそこにいたのは、身長160cm程の白く透き通った肌をし、白くキラキラ輝く長い髪にパッチリとした青く空の様に澄んだ瞳をした、可愛らしい美少女だった。
 見た目は高校生くらいだ。

「待って下さい! その、助けて頂きましてありがとうございます!」

 綺麗なお辞儀をした。
 その振る舞いにその豪華な馬車。
 恐らく高貴な出なのだろう。

「気にすんな」
「いや、お礼くらい私からもさせてくれ」

 そう言って馬車から出てきたのは、一見三十代の前半にしか見えない、イケメン? ダンディー? な人だった。

「これからどちらまで行かれるのかな?」
「この先の王都までだが?」

 俺が行先を言うと、その貴族だろうおじさんは俺に提案をする。

「私も行先は同じだ。良かったら一緒にどうかな?」

 ゼノアとフィアを見る。

「妾はご主人様に合わせるのじゃ」
「私もお兄ちゃんに合わせる!」
「どうかな?」
「……ならお言葉に甘えて」
「ありがとう。私はレスティン王国の国王、フィリップ・フォン・レスティンだ。助けてくれて感謝する。こっちは娘の」
「レスティン王国第二王女。クレア・フォン・レスティンと申します。助けて頂きありがとうございます」

 助けたのは国王様と王女様でした。

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