上 下
16 / 28
ドラゴンボム

第15話:暗黒騎士団の任務

しおりを挟む
暗黒騎士団に入って3年目、ルクスは暗黒騎士団の一員として数々の任務をこなしてきた。
その中でも特に重要な任務の一つが、フレイア連邦の将軍であるヘルディスの暗殺だった。

その夜、ルクス、グロリア、ガルディオスはフレイア連邦の王宮内に潜入していた。
ルクスとグロリアは大きな木の上に身を隠し、ガルディオスは建物の影に潜んでいる。
3人は息を潜め、暗殺のターゲットである将軍の到着を待っていた。

「来たよ、ルクス」

グロリアが小声で伝える。 
しかし、ルクスの視線はふと隣にいるグロリアの長く綺麗な脚に吸い寄せられていた。
月明かりが彼女の脚を妖艶に照らし、ルクスは一瞬だけその美しさに見惚れてしまう。

グロリアはそれに気づき、意地悪い笑顔を浮かべて囁いた。

「あなた…エッチね」

ルクスは顔を赤くしながら、「ち、違う!今のは…その…」と焦ったように言い訳する。

「嘘つき」

グロリアは小さく笑ったが、その声には少しの優しさが含まれていた。

その時、将軍ヘルディスが護衛を引き連れて現れた。
将軍は堂々とした体格で、鋭い目を持つ男だ。
彼は無駄のない足取りで木の下を通り過ぎていく。
しかし、ルクスとグロリアは一瞬の油断でタイミングを逃し、標的を仕留め損ねてしまう。

(クソッ…!)とルクスは心の中で呟く。

一方、ガルディオスは建物の影から飛び出し、将軍に襲いかかる。
だが、護衛たちはすぐに反応し、激しい戦闘が始まった。
本来の計画では、ルクスが将軍を一撃で仕留め、ガルディオスが護衛を処理する予定だったが、グロリアの脚に見惚れて攻撃を仕掛けるタイミングを失い、全てが総崩れとなってしまった。

「仕方ない…!」

ルクスは決断し、木の上から素早く飛び降りてガルディオスに加勢した。
二人は連携しながら将軍と護衛を次々に片付け、ようやく任務を完遂した。

「何やってんだ、ルクス!計画通りに動けよ!」

ガルディオスが怒鳴る。
ルクスは反省の色を浮かべながら、「悪い…油断してた」と素直に謝った。

その時、周囲から兵士たちが駆け寄ってきた。
ルクスとガルディオスは戦闘態勢を取ったが、兵士たちの数は多く、全てを相手にするのは難しそうだった。

「もういいわ、私がやる」

グロリアがそう言うと、彼女の背後から黒い影が膨れ上がり、巨大な黒豹の姿へと変わった。

「行け、影の黒豹!」

グロリアは命じ、黒豹が素早く兵士たちに襲いかかる。
黒豹は俊敏な動きで兵士たちを翻弄し、その隙に3人は素早く影に紛れ込んだ。

「今のうちに行くわよ」

グロリアは冷静に指示を出し、彼女の魔法の力で影に包まれた3人は兵士たちの目を逃れながら王宮の外へと抜け出した。


任務を終えた3人は、馬車に乗ってフレイア連邦からの帰路に就いていた。
馬車の中で、彼らはお酒を取り出し、任務の失敗を笑い話に変えていった。

「結局、あの将軍を一撃で仕留め損ねたなんて、暗黒騎士団の面目丸潰れだな」とガルディオスが笑いながら言う。

「まあ、なんとか成功したし、よしとしましょう」とグロリアも微笑む。

「次はもう少し計画通りに動くよ」とルクスは苦笑いしながら、杯を傾けた。

馬車は月夜の下を静かに揺れ、3人は月明かりに照らされながら笑い合った。
その光景には、暗黒騎士団の厳しい現実の中にもわずかな絆が見え隠れしていた。

こうして、ルクスの過去の回想は一旦幕を閉じ、彼の心に残る一抹の感情だけが、次なる戦いへと引き継がれていった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

【完結】捨てられ正妃は思い出す。

なか
恋愛
「お前に食指が動くことはない、後はしみったれた余生でも過ごしてくれ」    そんな言葉を最後に婚約者のランドルフ・ファルムンド王子はデイジー・ルドウィンを捨ててしまう。  人生の全てをかけて愛してくれていた彼女をあっさりと。  正妃教育のため幼き頃より人生を捧げて生きていた彼女に味方はおらず、学園ではいじめられ、再び愛した男性にも「遊びだった」と同じように捨てられてしまう。  人生に楽しみも、生きる気力も失った彼女は自分の意志で…自死を選んだ。  再び意識を取り戻すと見知った光景と聞き覚えのある言葉の数々。  デイジーは確信をした、これは二度目の人生なのだと。  確信したと同時に再びあの酷い日々を過ごす事になる事に絶望した、そんなデイジーを変えたのは他でもなく、前世での彼女自身の願いであった。 ––次の人生は後悔もない、幸福な日々を––  他でもない、自分自身の願いを叶えるために彼女は二度目の人生を立ち上がる。  前のような弱気な生き方を捨てて、怒りに滾って奮い立つ彼女はこのくそったれな人生を生きていく事を決めた。  彼女に起きた心境の変化、それによって起こる小さな波紋はやがて波となり…この王国でさえ変える大きな波となる。  

彼女の幸福

豆狸
恋愛
私の首は体に繋がっています。今は、まだ。

〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。

藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった…… 結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。 ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。 愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。 *設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 *全16話で完結になります。 *番外編、追加しました。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

愚かな父にサヨナラと《完結》

アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」 父の言葉は最後の一線を越えてしまった。 その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・ 悲劇の本当の始まりはもっと昔から。 言えることはただひとつ 私の幸せに貴方はいりません ✈他社にも同時公開

初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話

ラララキヲ
恋愛
 長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。  初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。  しかし寝室に居た妻は……  希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──  一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……── <【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました> ◇テンプレ浮気クソ男女。 ◇軽い触れ合い表現があるのでR15に ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾は察して下さい… ◇なろうにも上げてます。 ※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)

「不吉な子」と罵られたので娘を連れて家を出ましたが、どうやら「幸運を呼ぶ子」だったようです。

荒瀬ヤヒロ
恋愛
マリッサの額にはうっすらと痣がある。 その痣のせいで姑に嫌われ、生まれた娘にも同じ痣があったことで「気味が悪い!不吉な子に違いない」と言われてしまう。 自分のことは我慢できるが娘を傷つけるのは許せない。そう思ったマリッサは離婚して家を出て、新たな出会いを得て幸せになるが……

処理中です...