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ドラゴンボム

第12話:レオンティウスとの出会い

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ルミナス王国の騎士訓練学校に在籍していたルクスは、当時16歳であり、下級騎士クラスに属していた。
下級騎士クラスは、能力も身分も下級の子たちが集まるクラスであり、騎士団の配属先が決まらなければ今年でクビになることが決まっていた。

ルクスは貧しい家庭の出身であり、訓練学校に入るために母親が無理して大金を用意してくれた。そのため、絶対に騎士団に配属されることが彼の唯一の望みだった。
しかし、彼には致命的な問題があった。
魔力が無いため、魔道具を使うことができなかったのだ。

その日の試合は、「フラッグ」と呼ばれるチーム戦で、下級クラスと上級クラスが対戦する重要な試合だった。
ルールはシンプルで、チームは6名で構成され、コートは100m×50mの広さに区切られている。
左右に分かれたチームが、全滅させるか相手の旗を奪えば勝利となる。
魔道具の使用も許可されており、魔銃や魔駆馬も使えるこの試合は、文字通り生死を問わない戦いだった。

上級クラスには、千年に一人の天才と称されるレオンティウス・ヴァンヘルムがいた。
レオンティウスはその才能と実力で既に騎士団のスカウトから注目されており、彼の周りの上級クラスのメンバーもまた、能力において下級クラスを遥かに上回る者たちだった。

補欠にされるルクス。

「ルクス、お前は補欠だ。魔道具を使えないお前に期待するものはない。試合中はコートの隅で剣の素振りでもしていろ」

指導者は、ルクスにまるで価値のない者を見るかのような目を向けた。

ルクスは、その言葉に唇を噛みしめた。
今日の試合には、騎士団のスカウトたちも見に来ている。
試合に出場しなければ、スカウトからの声は当然かからない。
彼は失意の中、心の中で母の姿を思い浮かべた。

「このままではクビになる…お母さんの期待を裏切るわけにはいかないのに…」

彼は無力感に苛まれながら、コートの隅へと歩いていった。 

ルクスがコートの角へ向かう途中、相手チームのベンチ裏を歩いていた。
その時、彼は上級クラスの訓練生たちの不穏な会話を耳にした。

「この試合は、下級のやつらに人を殺すことを慣れさせる試験みたいなものだよな」

「そうだな。こいつら、いくらでもやって構わないって話だしな。」

上級クラスの訓練生たちは笑いながら話していた。

ルクスはその言葉に驚き、すぐに自分のチームのベンチに戻った。

「あの…相手のベンチ裏で聞いたんですが、上級クラスは人を殺すことに慣れる試験だと言ってました…」

指導者は平然とした表情で言う。

「いつものことだ。弱ければやられるだけだ。この試合に限っては、下級クラスが勝つなんて例外はない」

その言葉にルクスは愕然とし、彼の中で絶望感が一層深まった。
下級クラスの生徒は、ただの「咬ませ犬」として利用されていたのだ。

試合開始の鐘が鳴り響き、フラッグの戦いが始まった。
上級クラスの訓練生たちは戦闘意欲をみなぎらせ、下級クラスの生徒たちもまた必死の表情で臨んでいた。

「絶対に負けるわけにはいかない…!」とルクスは心の中で誓い、剣の柄を強く握りしめた。

彼の目には、わずかながらも希望の光が宿っていた。
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