魔力が無いアイツとドラゴン退治に行きます。

ドラゴンボム

第11話：決意と回想

戦いは激しさを増し、時間が経つにつれて状況はさらに混沌としてきた。
リリアとルクスは互いに連携しながら元暗黒騎士団の3人と戦っていたが、赤いドラゴンの成獣化が近づいていることを感じていた。

ルクスは一瞬、戦場の中心から目を離し、空を見上げた。
赤いドラゴンはまだ遠くに見えるが、その凶暴な咆哮が次第に大きくなっている。

（このままではドラゴンを撃ち漏らす…）

ルクスは内心で焦りを感じた。

「リリア、ここは俺に任せろ！お前はドラゴンを追え！」

「でも、あなた一人で…」

「いいから行け！ドラゴンを止めることが最優先だろう！」

リリアは迷いながらも、その決意の強さに押される形で頷いた。

「わかった。…無理しないで」

彼女は魔駆馬を全速力で加速させ、ドラゴンの方向に向かって駆け出した。

ミアはそれを見逃さず、魔駆馬に跨がると冷静に言った。

「逃がすわけにはいかないわ」

彼女もリリアの後を追いかけ始めた。

リリアを追っていくミアを横目に、ルクスは再びグロリアとガルディオスに向き直った。
彼の目には覚悟が宿り、体全体から漲る特別な力が溢れ出していた。

「やれやれ、面倒な奴だけど、お前は本当に良い奴だよ。レオンティウスは何でこんな奴を暗黒騎士団に入れたんだろうな？」

グロリアもそれに同意するように、「本当よ」と呟いた。

彼女の声には、かつての仲間に対する複雑な感情が混じっていた。

ルクスは一瞬だけ苦笑を浮かべる。

「すまないな…」

その言葉には彼自身の後悔と覚悟が込められていた。


ルクスは目の前の戦いに集中しながらも、上空を舞う黄金の鷲の姿に目を奪われた。
その威厳に満ちた姿は、彼の中に眠る過去の記憶を刺激していた。

大空に広がる黄金の翼は、かつて彼が見たレオンティウスの背中と重なった。