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ドラゴンボム

第9話:城下での攻防

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リリアはルクスを後席に乗せたまま、魔駆馬で障害物を次々とかわしながら疾走していた。
だが、目の前に3人の黒い影が現れると、リリアは魔駆馬を急停車させた。

「ようやく来たな、ルクス…リリア・エレナ」

冷たい声が響く。
暗黒騎士団の元メンバーである3人の戦士たちが、鋭い眼差しで二人を見据えていた。

最初に前に進み出たのは、銀色の長い髪を持つ女性、グロリアだった。
彼女は影を操る暗殺者で、その美貌に冷たさが混じっている。

「久しぶりね、ルクス。相変わらず鈍いわね」

強気な口調で言うが、彼女の瞳には複雑な感情が浮かんでいた。

ルクスは彼女に視線を向ける。

「グロリア…まだレオンティウスに仕えているとはな」

その声にはかつての仲間への複雑な思いが混じっていた。

「私にはこれしかないのよ」

グロリアは冷たく応じ、影に身を溶かして瞬時にルクスの背後に回り込んだ。

一方、次に進み出たのは、魔銃を構えた女性、ミアだった。
彼女は魔駆馬に跨り、冷徹な目でリリアとルクスを見据えている。
「リリア、ここでお終いよ」

彼女は魔銃を構え、特別な追尾弾を発射した。
青白い弾丸は軌道を変えながらリリアを追尾し、獲物を逃がすことのないように迫った。

「そんな弾丸、かわしてみせるわ!」

リリアは魔駆馬を発進させて、巧みに操って弾丸をかわしていく。

3人目に進み出たのは、重装戦士のガルディオスだった。
彼は岩を操る能力を持ち、巨大な岩の塊を生成してリリアとルクスの進路を塞いだ。

「この岩を突破できるか!」

豪快な声を上げ、巨大な岩を投げつけた。

「リリア、ここは俺に任せろ!」

ルクスは叫び、魔駆馬の後席から飛び降りた。
彼の身体は風のように素早く動き、巨大な岩の塊を一瞬で切り裂いた。
その力強さは常人の範囲を超えており、まるで獣のような瞬発力を見せる。

「その力、相変わらずだな!」

ガルディオスは驚きの声を上げる。

ルクスはそれに答えず、地面を蹴り上げて一気にガルディオスの間合いに入る。
その動きは異常なほど速く、彼の反射神経と瞬発力が見事に発揮されていた。
大剣を振るう姿は圧倒的で、岩を粉々にするほどの力強さを見せつける。

「これが、お前の知っている俺か?」

ルクスは皮肉を込めて言うが、その動きは一切の無駄がなかった。

一方、リリアは魔銃を構えながら、ミアの追尾弾をかわして応戦していた。
魔駆馬を素早く旋回させ、正確な射撃で反撃を試みる。

「その弾丸、当たるものですか!」

連続射撃を繰り出す。

ミアは微笑みながら、「それでも全ては避けられないわよ」と、再び追尾弾を放つ。

しかし、リリアは的確にかわし、距離を詰めながら反撃の魔銃弾をミアに向けて撃ち込んだ。

グロリアは再び影に溶け込み、ルクスに襲いかかる。

「あなた、相変わらず甘いわね…」と囁き、鋭い短剣で攻撃を繰り出す。

ルクスは反射神経を駆使し、グロリアの影の攻撃をかわす。

「俺を倒すのは簡単じゃない」

大剣で反撃に転じた。

リリアとルクスは、それぞれの敵に対して激しい戦闘を繰り広げた。
リリアはミアの弾丸を巧みにかわし、魔銃の反撃で押し返していく。
一方、ルクスは人を越えた身体能力を駆使して、ガルディオスの岩の攻撃を次々と打ち砕いた。

戦場は熾烈な攻防に包まれた。
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