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ドラゴンボム

第6話:魔駆馬での追撃

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「リリア、ルクスを魔駆馬に乗せて城下へ向かえ」

ガウス団長の命令が響く。
リリアは一瞬、驚きを隠せなかった。
「団長、何故ですか? 彼は彼で行けば良いのではないでしょうか?」

「彼は魔駆馬を動かせない」

「はあ?意味が分かりません」

ガウスは笑いを堪えてもう一度言う。

「だから、彼は魔駆馬を動かす魔力が無い」

「嘘でしょ。信じられない」

ルクスがリリアの前に出る。

「何だよ、魔力が無くてわるかったな。でもよ、お前より、俺の方が強いから」

「そんな訳ない。魔力が無い奴に負ける訳ない」

ガウスが一回だけ、手を叩く。
その音でリリアもルクスもガウスを見た。

「今は言い争っている場合ではない。早く行け!これは団長命令だ」

リリアは渋々ながらも覚悟を決め、魔駆馬に跨がる。
彼女の魔駆馬は轟音を上げ、すでにエンジンが高鳴っている。
彼女はちらりとルクスを見上げた。

「ほら、乗りなさい!」

ルクスは無言で後席に乗り込み、リリアの腰に手を回してしっかりと掴む。
その無言の行動に、リリアは眉をひそめた。

「勝手に触らないで!」

「掴まなきゃ、落ちるだろ!早くしろよ!」

「あなたが魔道具を使えないせいで、こんな状況になってるのよ!」

リリアは若干イライラしながら言う。
ルクスは魔力を持たないため、魔道具を扱うことができない。
だからこそ、リリアの魔駆馬に頼るしかなかった。

「そんなこと、俺が選んだわけじゃない」

ルクスは平然と答える。
その冷静さにリリアはさらに苛立ちを覚えた。

「じゃあ黙って掴まっていなさい!」と怒鳴り、アクセルを全開にする。

魔駆馬は一気に加速し、「ゴォォォン!」という重低音の駆動音が響き渡った。
強烈な風が二人の体を襲い、リリアの白金色の髪が激しくなびく。魔駆馬は街中の瓦礫をものともせずに跳び越え、鋭いカーブもスムーズに曲がっていく。
リリアは魔駆馬を自在に操り、狭い路地を驚異的な速度で駆け抜けた。

「お前、こんなに速く走れるのか?」と、ルクスが驚きの声を上げる。

リリアは得意げに笑みを浮かべ、「もちろん。星刻騎士団の誇りを甘く見ないで」と答えた。

彼女は魔駆馬の限界速度に近い速さで王都の炎の中を駆け抜け、まるで風のように障害物をかわし続ける。

後席に乗ったルクスは、その激しい揺れに耐えながらもしっかりとリリアに掴まっていた。

「正直、感心する。ここまで魔駆馬を操る騎士は初めて見た」

リリアは少しだけ頬を赤らめている。

「感心してる場合じゃないでしょ!早くしないと城下が危ないんだから!」

「わかっている。だからこそ、頼っているんだ」

その言葉には、皮肉ではなく本心が込められているようだった。

リリアは一瞬、彼の言葉に驚きつつも、すぐに気を引き締めた。

「頼られるのは好きじゃないけど、今回は仕方ないわね」

魔駆馬のエンジンをさらに高鳴らせた。

彼女の腕前は間違いなく一流であり、二人を乗せた魔駆馬はまるで雷のような速さで王都の通りを突き進む。
そのスピードと技術により、リリアはルクスをしっかりと後席に乗せたまま、燃え盛る城下へと全速力で駆け抜けていく。
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