KAKERU 世界を震撼させろ

駆の章

アルゼンチンの覚悟

《レオン.メッシー》
拳を突き上げる空山隆之介を見る。
想像以上の武器だ。
メッシーは打開力が無いと言ってしまった事に後悔していた。
間違い無く、あの一言が彼に考えるキッカケを与えたに違いない。
そして、得た力があのシュートだ。
デメルがメッシーの近くに来た。
「メッシー、ソラヤマはとんでも無いモンスターだ」
「まあ、そうだな」
「俺がアイツを潰す」
「まあ、待て。これは点取り合戦だ。次は俺達が見せつける」
「そうだな」
デメルがセンターサークルからボールをメッシーへ蹴りだす。
メッシーがボールを足元におさめた。
「さあ、始めようか。本当の打開力を見せてあげるよ」
ドリブルを開始した。

《空山隆之介》
俺は左サイドバックで守備をしていている。
でも、コート全体が見えていた。
不思議な感覚。そして、恐怖。
メッシーがドリブルでゆっくりと攻めてくる。
そこへ柴崎が寄せると左横にいるデメルにボールを出した。
メッシーが柴崎の裏に回るように動くと再びボールは足元にある。
ボールがヨーヨーの様に戻ってきてメッシーの所へ戻ってきていた。
嘘だろ。
すると、素早く右サイドにボールを蹴りだした。
アルゼンチンの選手が追い付き、ボールをキープ。
そのまま、空いたスペースにドリブルで駆け込んで来る。
中央ではデメルに昌司がマークについていた。
左サイドにチェンジして、メッシーにボールが収まる。
俺の目の前でメッシーがニヤリと笑ってボールを受け取り、仕掛けてきた。
なんだか。ヤバイと感じる。
ゆっくりとユラユラとしながら、近づいてくる。
次の瞬間、メッシーが消えた。
瞬間的に加速したんだ。
俺は振り替えって追いかけようとしたが、メッシは人差し指を天に向けていた。
ゴールを見るとボールが転がっている。
嘘だろ。
何も出来なかった。
一瞬で同点になっていた。
俺の想像を遥かに越えている。
このまま、前半は終了。