KAKERU 世界を震撼させろ

福澤賢二郎

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駆の章

試合開始から

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《空山隆之介》
フォーワードのアカサがミッドフィルダーのイエニスタにボールを渡す。
アカサを始め、ピッチへ散らばるスペインチーム。
大海信吾がイエニスタに向かってボールを取りに行った。
だが、簡単にあしらうイエニスタ。
大海信吾は食い下がり、しつこくマークする。
俺ならどうする?
イエニスタがパスを出す仕草をした。
それに釣られる大海信吾。
イエニスタはそこを見逃さず前を向くと一気にドリブルで中央突破を始める。
柴咲もイエニスタをマークしようと距離を詰めた。
しかし、簡単に股の間にボールを抜かせてしまう。
完全に置いて行かれた。
ディフェンダーはトラップ間際を狙いスライディング仕掛けるが、
ボールを宙に浮かし、軽くジャンプして駆け抜けていく。
さすが、赤い魔術師イエニスタだ。
スタジアムは割れんばかりの歓声に包まれていく。
三人でとめようとするが左前のスペースにボールをはたいた。
誰もいないハズだった。
だが、赤いスーパーカーのランディが走り込んでいく。
届くのか?
ギリギリでボールを足に収めた。
そのまま、ペナルティエリアにドリブルで食い込んだ。
速すぎだろ。
俺に止められるか?とベンチで自問自答していた。
ランディは中央にボールを流す。
そこにはイエニスタがいた。
正面をふさぐ様に陣形をとる。
イエニスタは左カカトでボールをはたき、左後方へボールを転がす。

走り込んで来たのはアカサだ。
そのまま、右足を振り抜いていた。
そのキャノン砲には誰も反応出来ずに日本のゴールネットを揺らした。
開始五分で一点を取られてしまった。

俺は思わず立ち上がり、拳を握りしめていた。
すげー。
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