真夜中の白魔術師

福澤賢二郎

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KARTE 6:白石真依

悲しみ

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《赤城拓哉》
脳外科の事務所に入ると、皆が冷たい視線で睨まれた。
理由はすぐにわかった。
一人の男が詰めよってきた。
「お前が内科医の赤城拓哉か」
「そうです」
「内科医のお前に何ができる?」
「なんか、凄く上から目線だな。内科医を馬鹿にしてる?」
「脳外は最高の技術がいる。何も出来ない内科とは違う」
「何が出来るか見せてやるよ」
「こっちだ」
男に連れられて別室に通された。
壁に脳のCTが写し出され、男が説明を始めた。
腫瘍は大きく、奥深いところにある。
無理に取り除けば、言語、記憶に後遺症が残る。いや、命も保証出来ない。でも、放っていればいずれ死ぬ。
だから、誰もやりたがらない。どんどん、成功率が下がっていく。
クソー、俺に出来るのか。
「わかったか。俺達が出来ない理由が。内科医め」
「内科医、内科医ってうるさいんだよ」 

俺は脳外科の事務所を飛び出した。
屋上で空に向かい、叫んだ。
涙が頬を伝わり、零れ落ちていく。

無力。そう、俺は無力なんだ。
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