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KARTE 5:石垣洋介
救命とは
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《赤城拓哉》
受入れ口で救急車を待つ。
俺以外に医師が一名と看護士三名がいた。
三十代後半ぐらいの医師だ。
「私の名前は山川鉄二だ。応援をありがとう。感謝する」
「当然です」
「そうだな。でも、ここでは当たり前の事が当たり前ではない」
「なんだか、苦労していますね」
「帝都医大は?」
「帝都医大?あまり、そういうの俺には関係ないんで」
「そうだな。救命には関係ないよな」
「そんな事より、情報を下さい」
「今から五名の患者が来る。トリアージされた赤が二名と黄色三名が来る」
「あんた以外の医師は?」
「いない。私と君の二人だ」
「なぜ?」
「医院長の命令に逆らえる奴がいないからだ」
「そうか」
柄本が丁度良いところに来た。
「ツカさん!」
「すまん。遅くなった。手術室の準備は出来ている。由依もスタンバイしてる。みんな、患者を救いたいという気持ちはあるようだが、誰かが責任取らないと動けないみたいだ」
「誰が指示したの?」
「ご令嬢さ」
「由依か」
「正解」
山川が尋ねた。
「君は?」
「帝都医大の医師で柄本と言います」
「帝都医大は凄いな」
柄本が微笑む。
「違います。医師なんですよ」
救急車が到着した。二名を乗せている。
タグは赤と黄色
赤は腹部からの出血が酷い。内臓破裂だろう。
黄色は唇の色が紫。手をかざす。
肋骨折れてが右側の肺を破っている。
「ツカさん、黄色を頼む。たぶん、気胸だ」
「どうするんだ?」
「肺に管を入れて外圧を下げて肺を膨らませるんだ。研修医でもできるさ。そして気道確保だ。一次処置で良い。あとは俺がやる」
「わかった」
柄本と看護士一名で搬送していく。
次だ。
「赤色は俺が処置します。手術室へ搬送する」
「頼む」
俺はその患者と手術室に向かった。
必ず助ける。
《石垣洋介》
モニターの向こうにいる世界の医師から大絶賛を受けた。
オンビートでの心臓再建。
満足出来る内容だった。
閲覧室を見る。
由依がいない。
マイクで閲覧室に話しかけた。
「幸太郎、由依は?」
「アイツ、救急患者を勝手に受け入れて出て行きやがった」
「なんで、お前がそこにいるんだ?」
「えっ?だって、受入れ禁止だろ」
「ここは病院だ。医療を提供する場だろ!」
「でも、親父が」
「構わん。すぐに対応しろ!副医院長の命令だ」
「わ、わかった」
洋介は第一手術室を出る。
これから手術しようと手洗いをして準備している山川鉄二を見つけた。
洋介は駆け寄る。
「山川、すまん」
「かまわんさ。お前の方は大丈夫か?」
「成功さ。それより、状況は?」
「だいぶ落ち着いた。現在、手術中の患者が一名。そこに応援へ行く」
「何名来たんだ?」
「五名だ。赤二名、黄三名だ」
「何名の医師で処置した?」
「実質は二名だ」
「お前と誰だ?」
「帝都医大の赤城という医師だ」
「内科医だろ」
「ありえん。間違いだろ。内臓破裂と気胸の患者の手術を終えて三人目の手術をしている。相当な技術があるはずだ」
「今、どこだ?」
「第三手術室だ。そこで、パイプが貫通した患者の手術をしている」
「出来るのか?」
「延命処置をお願いしている。だぶん、俺やお前でも助けられない」
二人は第三手術室に急いだ。
受入れ口で救急車を待つ。
俺以外に医師が一名と看護士三名がいた。
三十代後半ぐらいの医師だ。
「私の名前は山川鉄二だ。応援をありがとう。感謝する」
「当然です」
「そうだな。でも、ここでは当たり前の事が当たり前ではない」
「なんだか、苦労していますね」
「帝都医大は?」
「帝都医大?あまり、そういうの俺には関係ないんで」
「そうだな。救命には関係ないよな」
「そんな事より、情報を下さい」
「今から五名の患者が来る。トリアージされた赤が二名と黄色三名が来る」
「あんた以外の医師は?」
「いない。私と君の二人だ」
「なぜ?」
「医院長の命令に逆らえる奴がいないからだ」
「そうか」
柄本が丁度良いところに来た。
「ツカさん!」
「すまん。遅くなった。手術室の準備は出来ている。由依もスタンバイしてる。みんな、患者を救いたいという気持ちはあるようだが、誰かが責任取らないと動けないみたいだ」
「誰が指示したの?」
「ご令嬢さ」
「由依か」
「正解」
山川が尋ねた。
「君は?」
「帝都医大の医師で柄本と言います」
「帝都医大は凄いな」
柄本が微笑む。
「違います。医師なんですよ」
救急車が到着した。二名を乗せている。
タグは赤と黄色
赤は腹部からの出血が酷い。内臓破裂だろう。
黄色は唇の色が紫。手をかざす。
肋骨折れてが右側の肺を破っている。
「ツカさん、黄色を頼む。たぶん、気胸だ」
「どうするんだ?」
「肺に管を入れて外圧を下げて肺を膨らませるんだ。研修医でもできるさ。そして気道確保だ。一次処置で良い。あとは俺がやる」
「わかった」
柄本と看護士一名で搬送していく。
次だ。
「赤色は俺が処置します。手術室へ搬送する」
「頼む」
俺はその患者と手術室に向かった。
必ず助ける。
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閲覧室を見る。
由依がいない。
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「幸太郎、由依は?」
「アイツ、救急患者を勝手に受け入れて出て行きやがった」
「なんで、お前がそこにいるんだ?」
「えっ?だって、受入れ禁止だろ」
「ここは病院だ。医療を提供する場だろ!」
「でも、親父が」
「構わん。すぐに対応しろ!副医院長の命令だ」
「わ、わかった」
洋介は第一手術室を出る。
これから手術しようと手洗いをして準備している山川鉄二を見つけた。
洋介は駆け寄る。
「山川、すまん」
「かまわんさ。お前の方は大丈夫か?」
「成功さ。それより、状況は?」
「だいぶ落ち着いた。現在、手術中の患者が一名。そこに応援へ行く」
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「五名だ。赤二名、黄三名だ」
「何名の医師で処置した?」
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「帝都医大の赤城という医師だ」
「内科医だろ」
「ありえん。間違いだろ。内臓破裂と気胸の患者の手術を終えて三人目の手術をしている。相当な技術があるはずだ」
「今、どこだ?」
「第三手術室だ。そこで、パイプが貫通した患者の手術をしている」
「出来るのか?」
「延命処置をお願いしている。だぶん、俺やお前でも助けられない」
二人は第三手術室に急いだ。
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