真夜中の白魔術師

福澤賢二郎

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KARTE 3:松山大輔

水曜日のデート

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《赤城拓哉》
白石真依とディズニーランドに来ていた。
スペースマウンテンやビッグサンダーマウンテンに乗ってはしゃいでいる。
俺の腕を取って次のアトラクションに向かう。
「赤城さん、今日は恋人気分で名前を呼んでも良い？」
「いいよ、なんて、呼ぶ？」
「私は拓哉さんって呼ぶ」
「じゃあ、俺は真依さんと呼ぶよ」
「とても楽しい。拓哉さんは？」
「俺も楽しいよ。人生でこんなに幸せと思った事はないかも」
「私も同じ」
自然と笑顔がこぼれる。
パレードが始まる。
色々なキャラクターが躍りながらストリートを通っていく。
それを見て俺と白石真依は跳び跳ねながら手を振る。
アトラクションを待ちながら同じ容器に入ったポップコーンを二人で食べる。
小さな子どもの手を握り、両親が楽しそうにしている家族を見る。
「とても幸せそう」
「そうだね。俺もあんな家族を築きたいな。真依さんは？」
「私には無理かも」
とてもとても悲しい表情をする。
「どうして？」
「なんでもない。私は拓哉さんといる今が幸せ」
「えっ」
もしかして本当に俺の事が好きなのか？
二十時だ。
花火がシンデレラ城をバックにあがり、白石真依の顔を照らした。
優しく微笑む頬に涙が一筋描く。
胸が締め付けられる。

俺が必ず助けるよ。

うん？
何だか周りが俺達の事を見ている感じがする。
一人の女子高生が近寄ってきた。
「あの、白石真依さんですか？」
「ごめんなさい。今、プライベートだから」
「こちらこそ、すみません」
そう言って去っていった。
「今の誰？」
「知らない人。あ～あ、終わちゃった」
「そうだね。帰ろうか？」
「まだ、いたい。ここじゃなくても良いから」
「ごめん。これから病院に行かなくちゃならないんだ」
「わがまま言ってごめんなさい」
「今度は俺から誘っても良い？」
「もちろんです。連絡を待っています」

手を繋ぎ、舞浜駅で別れた。
暖かくて柔らかい手だった。
俺はそのまま、タクシーに乗って帝都医大に向かった。
松山大輔の手術を行う為だ。
白石真依には鈴木組の組員が護衛としてついていたから一人で返しても問題ないはずだ。

藤堂さんよ、少しは俺の予定も考えろ！

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