真夜中の白魔術師

福澤賢二郎

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KARTE 3:松山大輔

唐沢雅明

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《白石真依》
毎晩、ベッドの中でスマホを持って悩んでいた。
赤城拓哉とディズニーランドに行く約束をしていたが、日時が決まっていなかった。
自分から連絡をすべきだろうか。でも、変な誤解をさせてしまうかもしれない。いや、誤解ではないかもしれないけど。
こんな事を考えている間は病気の事を忘れる事が出来る。
思いきってラインをしてみた。
すぐに既読がつき、返事がきた。

“連絡を有り難うございます。とても嬉しいです。水曜日とかどうですか?”

真依は返事を見るとほっとすると同時にドキドキしていた。
すぐに返信をする。
もちろん問題なし。

“水曜日が楽しみです”

恋かもしれない。

《赤城拓哉》
整形外科の唐沢雅明が松山大輔の担当医となった。
スポーツ外科としては権威がある。
俺は唐沢雅明の所に所見を聞きたい為に外科の事務室に向かった。

事務室に唐沢雅明はおらず、手術中との事だ。
一度、お手並みを見させてもらおう。

唐沢雅明は第二手術室で整形手術を行っていた。
患者は工場のプレス機で手首を挟まれて切断されたらしい。
これの接続手術だ。
血管たけでなく、神経も繋ぐ。
集中と技術の両方を兼ね揃えていないといけない。
唐沢雅明は素早く繋げていく。
壊死させない為に時間をかける訳にはいかない。
見学席には沢山の見物客がおり、この中には外科のエースである織田もいた。
「なんで内科のお前が来てるんだ?」
「優秀な唐沢先生の手術を一度は見ておきたいと思っただけです」
「ふん、内科のお前にアイツの技術がわかるか?」
俺は織田の言う事は無視する事に決め込んだ。
実態顕微鏡を装着した唐沢はかなりの精度で繋ぎ合わせていく。
通常の医師だと五時間は要する。
一ミリ以下の血管な神経を縫合する。
どことどこを繋ぐかの見極めも優れている。
良くて五割程度の回復だと思われるが、唐沢の技術をもってすればほとんど完治するだろう。
そう思わせる程の正確性と技術だ。
織田が拳を握っている。
「クソ、上手いな」
同感。
俺は閲覧室を出た。
ヤバいな。
唐沢雅明が下した診断は絶対だ。
さあ、どんな診断を下すんだ?
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