4 / 49
KARTE1:藤堂直文
ふたたび、藤堂
しおりを挟む
《赤城拓哉》
藤堂が撃たれた事件から一ヶ月が経過していた。
ある日、藤堂から呼び出しがあった。
横浜にある馬車道という喫茶店だ。
借金を帳消しにして、一千万も渡すとの事だ。
やりぃー
俺は電車を乗り継ぎ、指定のあった喫茶店に行った。
中に入ると二十席ぐらいあり、窓際の奥に藤堂が座っている。
客はチラホラといるな。
藤堂が俺に気づき、手を軽く上げる。
「よう、久しぶりだな」
「藤堂さん、元気そうだな」
俺はホットコーヒーを頼んで藤堂の正面に座る。
「まあ、お前のおかげだ」
「約束は覚えているかい?」
「もちろんだ。借金は無し。そして、一千万」
藤堂は分厚い封筒を俺に差し出した。
「遠慮なく貰う」
「どうぞ。なあ、良い儲け話がある。お前、仕事無いんだろ?」
「仕事なくしたのアンタだろ」
「人のせいにするな。お前を裏切った奴らを恨めよ」
「あっそう。じゃあ、帰るわ。貰うもんもらったし」
俺は立ち上がろうとした。
「待て、ある人を診てくれ。百万払う」
「うん?」
「お前、医者だろ。それも凄腕なんだろ」
「俺、医師免許ないけど。アンタらのせいで剥奪されちゃったから」
「そんなの関係無い。救えば良いんだよ。救えば!」
「で、どこの誰?」
「今から行けるか?」
「まあねぇ。仕事なくしちゃったから」
「嫌みな言い方だな」
「そう?」
「行くぞ!」
俺と藤堂は喫茶店を出て藤堂の車に乗り込んだ。
向かった先は和風の壁で囲まれた物凄いデカイ家だった。
表札は鈴木と書いてある。
「藤堂さんよ、ここはもしかして」
「そうだ。もしかしてだ!」
ここは関東最大の指定暴力団の鈴木組じゃないか。
ヤバイぞ。
「帰るわ」
その時、藤堂は門が空いたので、車を進めてしまった。
「悪い。もう入っちまった」
「アンタねぇ。やり方がズルいぞ!」
「俺も一旗揚げたいんでね」
「一人でやってくれ」
「診るだけだ。殺されねぇよ」
「ちっ」
もう成るようになれ!
藤堂が撃たれた事件から一ヶ月が経過していた。
ある日、藤堂から呼び出しがあった。
横浜にある馬車道という喫茶店だ。
借金を帳消しにして、一千万も渡すとの事だ。
やりぃー
俺は電車を乗り継ぎ、指定のあった喫茶店に行った。
中に入ると二十席ぐらいあり、窓際の奥に藤堂が座っている。
客はチラホラといるな。
藤堂が俺に気づき、手を軽く上げる。
「よう、久しぶりだな」
「藤堂さん、元気そうだな」
俺はホットコーヒーを頼んで藤堂の正面に座る。
「まあ、お前のおかげだ」
「約束は覚えているかい?」
「もちろんだ。借金は無し。そして、一千万」
藤堂は分厚い封筒を俺に差し出した。
「遠慮なく貰う」
「どうぞ。なあ、良い儲け話がある。お前、仕事無いんだろ?」
「仕事なくしたのアンタだろ」
「人のせいにするな。お前を裏切った奴らを恨めよ」
「あっそう。じゃあ、帰るわ。貰うもんもらったし」
俺は立ち上がろうとした。
「待て、ある人を診てくれ。百万払う」
「うん?」
「お前、医者だろ。それも凄腕なんだろ」
「俺、医師免許ないけど。アンタらのせいで剥奪されちゃったから」
「そんなの関係無い。救えば良いんだよ。救えば!」
「で、どこの誰?」
「今から行けるか?」
「まあねぇ。仕事なくしちゃったから」
「嫌みな言い方だな」
「そう?」
「行くぞ!」
俺と藤堂は喫茶店を出て藤堂の車に乗り込んだ。
向かった先は和風の壁で囲まれた物凄いデカイ家だった。
表札は鈴木と書いてある。
「藤堂さんよ、ここはもしかして」
「そうだ。もしかしてだ!」
ここは関東最大の指定暴力団の鈴木組じゃないか。
ヤバイぞ。
「帰るわ」
その時、藤堂は門が空いたので、車を進めてしまった。
「悪い。もう入っちまった」
「アンタねぇ。やり方がズルいぞ!」
「俺も一旗揚げたいんでね」
「一人でやってくれ」
「診るだけだ。殺されねぇよ」
「ちっ」
もう成るようになれ!
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
旧・革命(『文芸部』シリーズ)
Aoi
ライト文芸
「マシロは私が殺したんだ。」マシロの元バンドメンバー苅谷緑はこの言葉を残してライブハウスを去っていった。マシロ自殺の真相を知るため、ヒマリたち文芸部は大阪に向かう。マシロが残した『最期のメッセージ』とは?
『透明少女』の続編。『文芸部』シリーズ第2弾!
あの頃のぼくら〜ある日系アメリカ人の物語〜
white love it
ライト文芸
1962年。東京オリンピックまであと2年となった、ある日の夏。日系アメリカ人のジャック・ニシカワは、アメリカはユタ州の自身が代表を務める弁護士事務所にて、一本の電話を受け取る。かつて同じ日系アメリカ人収容所に入れられていたクレア・ヤマモトが、重病で病院に運び込まれたというのだ。ジャックは、かつて収容所にいたころのことを思い出しながら、飛行機に乗ったー
登場人物
ジャック・ニシカワ 日系アメリカ人の弁護士
クレア・ヤマモト かつてジャック・ニシカワと同じ収容所に居た日系の美女
好きすぎて、壊れるまで抱きたい。
すずなり。
恋愛
ある日、俺の前に現れた女の子。
「はぁ・・はぁ・・・」
「ちょっと待ってろよ?」
息苦しそうにしてるから診ようと思い、聴診器を取りに行った。戻ってくるとその女の子は姿を消していた。
「どこいった?」
また別の日、その女の子を見かけたのに、声をかける前にその子は姿を消す。
「幽霊だったりして・・・。」
そんな不安が頭をよぎったけど、その女の子は同期の彼女だったことが判明。可愛くて眩しく笑う女の子に惹かれていく自分。無駄なことは諦めて他の女を抱くけれども、イくことができない。
だめだと思っていても・・・想いは加速していく。
俺は彼女を好きになってもいいんだろうか・・・。
※お話の世界は全て想像の世界です。現実世界とは何の関係もありません。
※いつもは1日1~3ページ公開なのですが、このお話は週一公開にしようと思います。
※お気に入りに登録してもらえたら嬉しいです。すずなり。
いつも読んでくださってありがとうございます。体調がすぐれない為、一旦お休みさせていただきます。
デッドライン
もちっぱち
ライト文芸
破壊の先に何があるか
国からの指示で
家電や家の全てのものを没収された
とある村での話。
全部失った先に何が出来るか
ありそうでなかった
リセットされた世界で
生きられるか
フィクション ストーリー
フレンドシップ・コントラクト
柴野日向
ライト文芸
中学三年に進級した僕は、椎名唯という女子と隣同士の席になった。
普通の女の子に見える彼女は何故かいつも一人でいる。僕はそれを不思議に思っていたが、ある時理由が判明した。
同じ「period」というバンドのファンであることを知り、初めての会話を交わす僕ら。
「友だちになる?」そんな僕の何気ない一言を聞いた彼女が翌日に持ってきたのは、「友だち契約書」だった。
僕の主治医さん
鏡野ゆう
ライト文芸
研修医の北川雛子先生が担当することになったのは、救急車で運び込まれた南山裕章さんという若き外務官僚さんでした。研修医さんと救急車で運ばれてきた患者さんとの恋の小話とちょっと不思議なあひるちゃんのお話。
【本編】+【アヒル事件簿】【事件です!】
※小説家になろう、カクヨムでも公開中※
浴槽海のウミカ
ベアりんぐ
ライト文芸
「私とこの世界は、君の深層心理の投影なんだよ〜!」
過去の影響により精神的な捻くれを抱えながらも、20という節目の歳を迎えた大学生の絵馬 青人は、コンビニ夜勤での疲れからか、眠るように湯船へと沈んでしまう。目が覚めるとそこには、見覚えのない部屋と少女が……。
少女のある能力によって、青人の運命は大きく動いてゆく……!
※こちら小説家になろう、カクヨムでも掲載しています。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる