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忘れられた昔ばなし

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とあるところに目が見えない金持ちと召使がいました


信用を得るために当初は真面目に勤めていました


しかし盲人であるために時間の感覚がずれ

昼を夜と勘違いして昼間に眠るようになると

徐々にその悪質な本性をむき出しにし始めました

始めは些細なことから反対なことを始めました

それでも眠りこけている主人は目を覚ましません

段々大胆になっている召使を止める人は主人しかいないのに

眠りこけている主人は全く知りません

始めは少しづつ切り売りしていましたが

少額の安い絵画を主人の命令として売り飛ばし

それに飽き足らず、少し金目の美術品を売り飛ばしています


段々金額が多くなりますが、昔の事ですので

怖れて誰も注意しません

遂に広大な領地を売られてしまいました

残ったのは使用人小屋のみでした


こうして嘗ての使用人は巨万の富を得て主人の夢と希望だったものを
全て奪い去り船で言えば沈没させたのです

後から親族を名乗るものが現れ騒いだころには国境を越えて

逃げた後でした

眠りこけている主人が悪いのさとうそぶいていました

しかし後年心の呵責にに耐えきれず「お寺」に多額の寄付を

して自分は茅屋に住んで貧しい生活をしました


あいつは心に沢山のゴミをため込んでいたから、そしてそれに自分でも
気付かないからこれほどうまくいったんだよ、でなきゃこんなに沢山取れないよ

目が見えないくせに手触りでトイレと食事ぐらいは出来たからね

嫌なら広大な屋敷一杯の心のゴミを何とかすべきだよね

そうすれば目だって見えるようになるし、私が盗むことも出来なかったはずさ

そういって老婆は寂しそうに歩き去っていきました



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