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イチ・集められた底辺達
しおりを挟む国立魔法高校。
入学すれば、将来の約束される高校。
入学難易度は国内最高。毎年、受験生の一〇分の九は落される、厳しい学校。
そんな高校に入学した、それだけで名誉なことなのかもしれない。
しかしこの学校には、この世に隠している闇がある……
「あ、Eクラス…」
「構うなよ、同じレベルに落ちたくない」
「あのクラスに落ちたらもはや終わりだよね~」
学園内の不良品、Eクラス。
スクールカースト最下位のこのクラスは、周りから粗末な扱いを受け、虐げられる。
「あっ、Aクラス様よっ!」
「はやくああなりてぇよな~!」
学園内の最高品、Aクラス。
スクールカースト最高位のこのクラスは、周りから崇められ、高待遇を受ける。
周りからの羨望の眼差しをひっきりなしに浴びることの出来る、ある意味嫌なクラスだ。
「おはよ、疾風」
「…春香…はよ」
俺は、その最下位の、Eクラスの生徒だ。
「おはよぉ」
「おはよっす~」
「おはよよ~」
様々な種類の挨拶が響く。
普通の高校と変わらないであろうこの光景は、マンガの一部を切り抜いたようだ。そう、彼等が、この状況が、普通なら……
「今日も朝からお掃除だって~」
「はあ?昨日やったろ」
「Aクラス様(笑)からのご命令で~す」
「またかよ、うぜぇ……みんなでふけようぜ!」
「退学になりてーのかよ~」
負のニュースも明るく、笑い飛ばせるほど、メンタルの強いものの集まるクラス。
このクラスは、魔法士レベル判定Eのついたものが集められたクラス。
つまりは、不良品をしまっておく、ゴミ箱だ。
もちろん、世間的に見れば恐ろしいほどの才能を持つ者達ばかり。しかし、この学校からしたら、要らない、存在なのだ。
「俺らが落ちこぼれって言うなら、普通に授業受けさせればいいのにな」
「挙げさせないのが彼らの考えでしょ。あそこに落ちたくない、って思わせて、自分から頭のおかしいただ鍛錬するお人形に成り果てる。そのお人形を制作する上で、このクラスは必要不可欠なのよ」
「ある意味学校に貢献(笑)してるわけか」
「いっそ全員で他校に転校しちまうか」
ゴミ箱はカラフルだ。
陽キャラ、陰キャラ。
冗談魔、現実魔。
脳筋、計算厨。
カラフルに集まり、ごちゃごちゃに混ざり、ひとつのと大きな箱に入れられ、いつか袋に入れられ遠くへ飛ばされる。
それが、ゴミ。
「…………今年は、何人残るかしらね…」
去年の先輩達は、全滅したらしい。
だから今年、二年E組の生徒は、誰も居ない。名ばかりの教室と、名ばかりの教員と、名ばかりの机と椅子が用意された、無の空間が、俺らの隣にある。
そして、もう1つ。
「ねえ、あの席、いつも空席だよね。そろそろまずいんじゃない……?」
そして、俺らのクラスには、もうひとつの空白がある。
入学式以来、いや、入学式の日も、誰も座らなかった机。ずっと、からの机と椅子。
そろそろ学校に来なければ退学処分を下されるであろう、欠席日数だ。Eクラスなのが余程辛かったのたろうか。
「入学早々、人一人減るのかな…」
「いや、あの席はあと二ヶ月はもつはずだ」
「え? なんで? 一ヶ月間学校に来なかった人は、余程のことがない限り退学処分。それがこの学校のルールだよね? なにか特別なの?」
「その席の持ち主は、元Aクラス首席だ。つまりは、入学時、この学校の誰よりも優れていた生徒ということだ。空白な理由は知らないが、学校がそんな人材を捨てるとは思えない。それに、聞けば闇属性の魔法使いらしい」
「え………うそ、闇!?」
この世には、五つの種の魔法がある。
火
風
水
これが、この国の9割以上を占める魔法で、大抵のものは、この三種の中の一種類のみを使う。
だが、異例がある。
光
闇
この二種類は、この国の人間の一割にも満たないもののみが使える魔法だ。
そして、対抗属性は闇の場合光、光の場合闇のみになるため、それ以外の魔法は全てこの二種の前では全て無効になる。
もちろん同属撃ちというものも有り得るが、効力は薄い。
風、水、火、は、効果はさほどないものの、互いにぶつかり合うことが可能だ。
火の場合は水、水の場合は風、風の場合は火が、有効属性とされている。だが、光と闇は、この三種全てに有効属性。つまりはチート魔法だ。
闇光相手に、一般魔法師は何も出来ない。それがこの国の現状だ。
「闇魔法師……」
しかし、その魔法師は貴重故に、傲慢不遜な態度をとることも多い。そして、軍事利用されることも少なくは無い。
この世界は、優れた魔法師も、ゴミのような魔法師も、平等に『不幸』が落とされる。そんな世界だ
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