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ダメ男再来!?
しおりを挟む『ほら、アーン!』
『ば、馬鹿じゃないんですか? 子供じゃないんですよ?』
『年上の言うこと聞く! ほら、アーン!』
『うっ………ぁ…~ん…』
『あのぬいぐるみ可愛い!』
『……………』
『あれ?そのぬいぐるみ…』
『たまたま取っただけですから…』
『! ありがとう!』
(わざわざ取ってくれたんだ…)
『壁紙何色にしよっか!』
『…なんでもいいと思いますけど…』
『えー? でも、この先何十年も住む家だよ?』
『………なら、薄いオレンジ』
『へ? 確かに! イイかもね!』
(先輩が太陽みたいだからとか…ぜってぇ言えねえ!)
『本当に社長にならなくて良かったの?』
『現副社長に任せた方が、妥当だと思いました。それに……』
『ん? なに?』
『…金や地位や名誉より、先輩の方が、大事なので…社長になってお見合いとか困りますし』
『!?』
(いきなりイケメンにならないでよ!)
(っ……少しは素直に、なれたか…?)
長い、月日が経った。クソ男と別れて、はや一年。私達は、七ヶ月の交際の末に──
『先輩……その……俺、口下手で、先輩の足しか、引っ張らないと思いますが…その…俺の、人生の、パートナーになって、共に、歩んでくれますか?』
彼から、プロポーズを受けた。もちろん、おっけー以外の選択肢は私の中で存在していなかった。
「先輩、三件目行きますか? 大和さんも。上司の方々は行っちゃうそうですよ?」
「んー、私達どうする?」
「…明日も仕事があるしな」
「そうだね」
羽野さんと分かれて、私達は帰宅路にはいる。仕事場は近いから、互いに歩き。仕事場が一緒なので、歩いた方がいる時間が沢山増えていい。その為、帰りも歩きだ。
「この一年色々あったなあ…」
そう呟くと、旦那はキョトンとした顔を向けてきた。歳にそぐわずに可愛らしい。
「貢いで振られて、社畜になって、貴方に告白されて、嬉しすぎてオーバーヒートしそうになって、結婚して……来年は子供でもできるのかな」
そういたずらの笑みで伝えれば、彼は真っ赤になって「頑張ります…」と言ってくれた。
完全に、油断していたんだ。
「かほ、みぃつけたぁ~…!!」
「え……?」
街灯の向こうから、そう声がした。旦那は私を庇ってまええでてくれた。
そこには
「……!」
「香穂…俺だよ、わかるだろ?」
分かりたくない。忘れられない。
恐怖で震える足。私は、震える声で、
「尾形さん………」
なんとかそう言い切った。旦那は、すぐに察したらしい。あいつが何で、私の何なのかを。
「香穂、寂しいんだろ? 俺が愛してやるよ。ほら、帰って来い。おまえの飯が忘れれねぇんだ! 母さんも、お前が来なくて寂しがってる」
「嘘言わないで! 義母さんは、私が消えることを望んでた! 義父さん以外、味方はいなかった! 貴方、愛人に子供が出来たんでしょ!?」
思わず噛み付いた。なんだその、ロミオメールみたいな文章。
気持ちが悪い。怖い。消えて欲しい……
「だけど、俺に金がないってわかって、アイツは、所詮顔だけか奪って損した、って、俺を捨てた。わかるだろ? 捨てられる気持ちは。もう一度関係を築こう。上手くいく」
伸ばしてくる手に、私は旦那の後ろに隠れた。
男は旦那に気づくと、睨みつけて
「てめぇ、人の彼女にてぇ出してんじゃねぇ!」
そう叫んだ。誰がお前の彼女だ!
そう叫ぼうとしたら、旦那が私を抱き締めた。そして、
「アンタ、キモイんだよ。人の嫁さんに手を出そうとしてんじゃねぇよクズ男!」
そう、男に言っていた。
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