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さぁ、使えるものは使いますよ?
しおりを挟む「──という事なんです。ご協力頂けますか? 桜花のお母さん」
「ええ。そんな事で良いのなら。桜花の為だもの…」
生と死の話の後、月島達は、御伽の病室に戻っていた。途中カフェにより、話をした後。だが、〝策戦〟を考えるには、十分な時間だった。
「すみません。汚れ仕事を任せるようで…」
「いいえ。警察から聞いたことを教える、何て、汚れ仕事に入らないわ。寧ろ、貴方達の方が汚れ仕事だと思うわ…ゴメンなさい」
「気にしないでください。俺等は、御伽に助けられですから」
月島達が御伽母に願ったのは二つ。
一つ、いかに汚い真実だとしても、御伽を裏切らないでほしいと言うこと。
二つ、警察から御伽の情報が出た場合、自分たちに流して欲しいということ。
後は、自分たちが手を下すということ。
「貴方達は、普通の学生さんなのに…」
「…ははっ、嫌われクラッシュを二回も起こしてるんですよ。普通じゃないですよ…それに、なんて言うんですかねぇ…ほら、私子供だから、普通じゃないって言うの、憧れませんか?」
月島は歪んだ笑を浮かべる。それを見た御伽母は、少し驚いたように
「子供がそんな笑顔、似合わないわよ?」
と、面白おかしそうにくすりと笑った。
「ま、すぐに警察に頼らずとも、ある人が情報を集められるんっすけど…」
「あら、そうなの?」
「はい。優秀かつ、完璧な友人を持っておりまして」
頭に浮かんだのは、同じ生徒会の会計と書記。書記は普通な性格だが、会計は入歪んでいる。そして何より、二人は家柄と成績がいい。協力を頼めば、きっと成功するだろう。
「でも」
「でも?」
ただ、それだけでは月島は満足しないだろう。なんせ、人の表情が苦しげに歪むのを、愉快げに見てる自分だ。月島自身も、自分がゲス過ぎて笑ってしまうほどだ。
だから、彼女は笑う。
「表社会的にも、抹殺したいじゃないですか」
自分の欲に従順に、したいように、人を馬鹿にする。
「…そう。桜花も、あなたが自分に素直だからついていけるのかも、しれないわね」
そう言う母親は、困ったような笑顔を浮かべた。
月島は、自分に嘘をつかず、己に素直で、自己主義の激しい人間だ。だからこそ、彼女には、自分に嘘を吐く通りが無い。
「いやぁ、面倒は総スルー主義の人間なんでねぇ。己に嘘なんて、面倒かつつまらないじゃないですかぁ…?」
「と、智ちゃん。いっかい落ち着こう? 素が、素が出すぎだよ?」
黄瀬川の焦る声。
それに月島は従うように、頭を下げ、失礼しました、と言う。
母親はやっぱり楽しそうに、いいのよ、と笑った。
そして、月島は服を揺らす。こつこつ、と、踵からなる地面を殴る音が心地が良い。
「さァ、使えるものは使いうよぉ? さぁ、始めよう」
普通の学生? とんでもない。
彼女を呼ぶなら、こう呼ぶのが良いだろう。
───頭のおかしい学生
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