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シルクロード編

16 ドッペルゲンガー?

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 「はーっはっはっは!!貴様らが三蔵法師一行だな?!
 貴様らの旅はこれでおしまいだ!」
 旅路を急ぐマッスル三蔵一行の前に白衣の男と白装束6人組が立ちふさがっていた。

 「妖怪…というより『科学者』に見えるのだが、なぜ我らの前に立ちふさがるのだ?
 大人しく去ればよし。さもなくば、『仏敵』として葬り去らえねばならん!」
 「ほお!肉体的にはもちろんだが、精神的にもただものではないな!?だが、このドクターフランケンの傑作をとくと見るがいい!!」
 ドクターが叫ぶと、六人組は白装束を一斉に脱ぎ捨てた。
 「「「「「「!!!!」」」」」」」
 それを見たマッスル三蔵一行は声にならない叫びを上げた。



 馬の性能がだんだん上がってきたこと、僕自身の騎乗能力が上がったことで、旅はさらに順調に進んでいった。
 そして、中央アジアの草原地帯をどんどん西に進んで、このまま南へまっすぐ行ったら天竺に到着する…それくらいまで来た時に、事件は起こった。

 オアシスについてみんなで昼食を取っていると、真っ白い鳩がこちらに飛んでくるのが見えた。その鳩にはまず、ナースチャが氣づき、カイザスさんや他のみんなも鳩に気付くと、警戒して身構えた。
 鳩から魔法か何かの波動が感じられるとナースチャが僕の耳に囁く。
 鳩からは邪悪な波動は感じられないものの、自然なものでないことははっきりしている。鳩に攻撃はしないまでも警戒するにこしたことはないということなのだ。

 鳩はナースチャにまっすぐ向かってくると、その眼前に舞い降りた。そして、白い光を発したかと思うとその姿を消し、後には手紙が残っていた。
 古びた感じの封筒にはナースチャ殿と筆で書いてある。

 封を切ってみると差出人は玄奘三蔵になっており、マッスル三蔵さんからのようだ。

 「我らは強敵と出会って、大苦戦した。何とか辛勝したものの、被害が大きく、体勢を立て直すのに時間がかかる。
 その敵はおそらくあなたたちをも襲ってくるだろうから、気を付けられたし。
 敵は魔術を科学を融合したものを使う。『どっぺるげんがー』に気を付けられし。」

 「マッスル三蔵さんが俺らに警告してくれたんだね。」
 ナースチャが手紙を睨みながら言う。
 「『魔術と科学の融合』…どういうことでしょうか?」
 桜姫が首をかしげている。

 「『改造人間』とか、『悪の科学結社』とかそういうのじゃないかな?少し前にコーイチと瀬利亜が『なんとかライダー』とかの参考映像を見せてくれたよ。」
 「ナースチャ!それは『特撮娯楽番組』だから!!本物じゃないからね!」
 「え?でも、コーイチは自分用に『なんとかライダー』の二倍くらいの性能の強化スーツを作るって言ってたよ?」
 「…コーイチ…て、物理の錦織先生でしょ?」
 「うん、『今のスーツでは性能が見劣りするようになった』から、現在開発中なんだって。」
 錦織先生!あなたも『非日常側の人間』だったんですか?!!
 日本に帰ったらここよりさらに『非日常』になってたりしたら…死ぬほど怖いんですが!!

 「『どっぺるげんがー』はいわゆるそっくりさんのドッペルゲンガーのことだろうね。」
 おおっ!カイザスさんが珍しく、まともなことを言われている!!

 「だが、気を付けろとはどういうことだろうか?『美しすぎる自分に見とれて』戦えなくなってはいけない…とでもいいたいのだろうか?」
 そんなことを考えるのはカイザスさんくらいだからね?!!


 昼食が終わって旅を再開してしばらく馬を走らせると、前方に人影がいくつも立っているのが見えた。
 人影を見やっていたナースチャの顔が不意に険しくなった。

 「巧人!馬を消して!それから如意棒の強化をお願い!全員警戒態勢に入って!」
 ナースチャが如意棒を取り出して僕の方に向ける。
 相手のオーラから敵対的な相手だと判断したのだろう。

 僕が如意棒を強化していると、相手はどんどん近づいてきた。
 白装束の六人組が二組こちらに歩いてきており、その横に小太りで牛乳瓶の底のような眼鏡をかけた白衣の男と背中にトンボのような翅の生えた女性(妖精?)が立っている。
 「はーっはっはっは!!貴様らも三蔵法師一行だな?!
 わしの名はドクターフランケン!わしの作った傑作が貴様らの相手だ!
 もう一組は殲滅し損ねたが、貴様らは確実に仕留めてくれる!!」

 「おい!おっさん!なんで、ドクターフランケンがこんなところにいるんだ?!」
 相手の言葉にナースチャが目を向いて叫ぶ。
 「へ?わしを知っとるとはお前さん、何者じゃ?」

 「俺はA級モンスターバスター、アナスタシア・パザロヴァだ!」
 ナースチャが如意棒を振り回しながら叫んだ。
 「同じく、私はA級モンスターバスター、カイザス・ド・メロービング!」
 カイザスさんが腕を組んで歯を光らせながら澄ましている。

 「ドクター!彼らはモンスターバスター一〇星のアナスタシアさんと、カイザスさんですよ!まずいです!!」
 「うむむむむ!いかに何でも瀬利亜嬢に『行き倒れ状態を助けてもらった後』で彼らを撃破したりしたら寝覚めが悪すぎるし…。」
 「そうだ、ドクター!いい手を思いつきました!」

 助手の妖精?がマジックを取り出して、ドクターの額になにやら字を書いていますが…『偽』と漢字で書いてあるのですが?!

 「でかした、ミーナ!」
 ドクターは鏡で自分の顔を見た後、僕たちに叫んだ!

 「はーっはっはっは!わしは『偽』ドクターフランケン!世界最高のロボット、サイボーグ技術者だ!!」
 「いやいや!!全然ごまかしになってないよね!!!」
 「「……ダメ?」」
 僕のツッコミにドクターとミーナは気まずそうな顔で言ってくるが…。
 「「「ダメに決まってるでしょ!」」」
 僕らのツッコミに二人はがっくりとうなだれる。

 「…いろいろと『深い事情』があるんじゃよ。」


ドクターフランケン 48歳 人間 男
マッドサイエンティスト(特にロボット、兵器)
レベル:385
スキル:医学(LV45)科学(工学)(LV120)プログラミング(LV80)その他いろいろ
装備 万能タブレット その他
称号 天才マッドサイエンティスト 秘密結社スーパーモンスターズ元大幹部
『都庁ロボ』を作った男
善良度:☆☆~☆☆☆☆☆ 
(※1 本来は悪人ではなく、研究バカであったが、研究が認められず、学界から追放されたため、研究の善悪を問わないヤバイ面がある。
 ※2 モンスターバスターチームとの和解後、現在は次の生き方を模索中。
※3 生活力がゼロで、妖精型助手ロボット・ミーナに衣食住・全てのサポートを頼っているため、2か月前のようにミーナが電池切れになって活動停止したりすると、『生命の危機』にさらされる。


 いやいや、数か月前に『都庁が巨大ロボットと化して大暴れした事件』があったけど、犯人はこの人だったの?!!

 「とりあえず、その『深い事情』について話してもらいたいんだけど?」
 ナースチャがドクターへ歩み寄ろうとした時、ミーナが叫ぶ。
 「大変です!メカシリーズが勝手に動き出してます!!」

 ミーナの叫び声に合わせるように手前にいた6人の白装束が来ていたものを放り投げると……僕たちのそっくりさん、それもご丁寧に顔に継ぎ目が入ってメカを強調したような感じのそっくりさんが僕たちに向かって身構えていた。

 「わっはっはっは!!これがこのドクターフランケンの傑作『メカ三蔵法師一行』だ!本物たちとほとんど同じ能力を持っている!!
 ……て言ってる場合じゃなかったんだーー!!」

 メカ三蔵法師一行…つまり『機械製の僕たちのそっくりさん』達はそれぞれの得物を手に僕たちに向かってきている。特に『メカ・ナースチャ』はあっという間に本物のナースチャの眼前に躍り出てきており、早くも戦闘が始まってしまった。

 「ドクター、大変です!!今度は偽シリーズが勝手に動き出しました!!」
 ミーナの叫び声に合わせるように今度は奥手にいた六人の白装束が来ていたものを放り投げると……僕たちのそっくりさん、それも額の真ん中に『偽』とマジック?で大きく書かれた以外が本当に僕たちに瓜二つの僕たちに向かって動き出した。
 いやいや!なんで額に偽と書いてあるの??!!

 「すまん、コントロールできそうにないんで、わしらはこれで!!」
 ドクターとミーナはこの場から遁走にかかったが、二人に天から光が降り注ぐと、その姿が消えてしまった。
 コントロールする人がいないということは…僕たちは自分たちの二倍の戦力と戦わなければいけないのだ!!

 そして、恐ろしいことに全ての敵がこちらに向かってきて…おや?偽とメカ同士も戦いを始めだした!どうやら同じグループ以外は敵と認識するようだ。
 バトルロイヤル?!それでもかなりの犠牲が…。
 その様子を見ていたナースチャがにやりと笑った。
 「みんな!!策がある!冷静に俺の動きをみていてくれ!!
 それからカイザス!!召喚を!!」
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