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十二歳編
王都編――救援要請⑤
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死骸をフィンたちが片付け終えるまで、近くの岩場で寝かされたアリスはゼスに背負われて進むことになってしまった。
「パパ、ごめんね」
「気にしなくていいよ」
「うん」
『アリス、この先だよ!』
『伝えるね』
ユーランに言われたまま伝えたアリスは、ゼスの肩に頭を乗せる。
そうしてアリスたちは進み、五分後。
突然、ドーム型に開けた行動に出る。
「ほう、これは……」
「おぉ、すげぇ!」
『アリス、ここだよ! ほら、真ん中にいるでしょ?』
そろりと顔をあげたアリスは、目を見張る。
ユーランが言う通り、ドームになった行動の中央に巨大な白蛇がとぐろを巻き鎮座していたからだ。
「へ、へび!!」
『あれが、ベノンじいさんだよ!! アリス、早く助けてあげて』
『……あ、うん』
ゼスに頼み降ろして貰ったアリスは、ゆっくりとベノンに近づく。
あと一歩でベノンへ触れられると言う所で、何かに阻まれ進めなくなってしまった。
どうして? と不思議に思ったアリスが足元を見れば、丸い円が見える。
「パパ、おじいちゃん、ここにベノンさんがいるの。魔法陣が邪魔で進めないの」
「どうだ、ゼス。いけるか?」
「古代遺跡にある魔法陣によく似ていますが……」
言葉を濁したゼスはしばらく魔法陣を眺めると、何かを調べるかのようにゆっくりと周囲を回り始めた。
『ベノンさん、大丈夫ですか? ベノンさん』
アリスはベノンに呼びかける、だが、ベノンは反応を返さない。
寝てるのかな? 全然動かないし。
せめて反応があれば、この魔法陣がどういうものかわかるかもしれないのに……。
どうしたら助けられるのかな? 魔法陣なんて、私解除したことないよー。
眉根を下げたアリスは困り顔で、首を傾げる。
『ユーラン、ベノンさん何か言ってなかった?』
『何かって、何?』
『魔法陣を解除する方法とか、魔法陣についてとか……』
きゅるんとした瞳で首を傾げるユーランは、短い腕を組み一生懸命考えているようだ。
アリスは、そんな彼をジッと見つめ答えを待つ。
数分後考え込んでいたユーランは、ゆっくりと否定するように首を振った。
ダメかー。どうしたら、どうしたらいいの? 私に何が出来るのかな?
何かないかと知識を漁り始めたアリスは、目を閉じて一生懸命探す。
ルールシュカに貰った知識の中に、魔法陣についての知識はほとんどない。
何故ならアリスが持つ知識は、料理、裁縫、宝飾に関する物だけだからだ。
『力吸ワレル、フーマ、コレ、嫌イ』
ここまで大人しくしていたフーマが、いやいやと子供のようにアリスの首筋に身体を寄せる。
力が吸われる……か。もしかして、精霊の力を吸い取って何かに使ってるの?
だったら早く助けてあげなきゃ! ベノンさんが死んじゃうかもしれない!!
でも、どうしたら!!
何かを探すように視線を泳がせるアリスを心配そうにフィンとクレイが覗き込む。
「ゼス、どうだ? 解除できそうか?」
「うーん。この魔法陣の構造から解除は可能だと思います。でも……間違えれば、中に閉じ込められた精霊様が傷つくかもしれません」
「そ、そんな!!」
「ごめんよ、アリス」
アリスの前にしゃがんだゼスが、動揺するアリスの両肩に手を置き頭を下げた。
助けられないかもしれないと察したアリスは、悔しさから俯き唇を噛む。
誰か、助けて! ベノンさんを――。
私にもっと知識があれば、助けてあげられるかもしれないのに……。
あの時、ルールシュカ様にもっとお願いしておけばよかった。
後悔がアリスの心を占める。
その時だったクレイがアリスの顔を持ち上げると、無理矢理口を開かせ何かを放り込んだ。
「そんな顔するな。チョコレートでも食べて落ち着いて考えようぜ! きっと、何とかなるって!」
「そうだよアリス。きっと大丈夫だから、落ち着こう」
チョコレート、美味しい。そう言えば最近、ずっとバタバタしててお菓子作ってないな……。
って、そんな事よりベノンさんの――。
あ!! 良いこと思いついた!
顔をあげたアリスは、にっこり笑うと「ちょっと向こう見てくるね」と兄たちに告げその場を離れる。
誰にも見えない場所に移動したアリスは、早速メールを開いた。
そう、アリスが思いついた良い事とは、ルールシュカにメールで解除方法を聞くと言うものだ。
えっと、メール内容は……
『ルールシュカ様へ
フェリス王国の地下にある魔法陣に、精霊さんが閉じ込められているのですが解除方法を知りませんか?』
で、いいかな? あ、せっかくだからチョコも一緒に入れておこう。
よし、送信っと。
メールを送り終えたアリスは、メール画面を開いたままその場に座ろうと腰を下ろす。
『そう言えば、二人は果物食べなくて平気?』
『フーマ、食ベル』
『ボクも~!』
二人に果物を出して渡したアリスは、二人が楽しそうに果物を食べる様を見つめる。
そうして二分ほどして、ルールシュカからメールが届く。
『アリスちゃんへ
チョコレートありがとう!! 楽しみだわ!
魔法陣の解除方法だけど、魔法陣に精霊と力を合わせて魔力を流しながら【解き放て】と唱えればいいわよ』
ルールシュカにありがとうございます! とメールを送りったアリスは立ち上がると急いで魔法陣の元へ向かう。
何かを覚悟した瞳をしている娘へゼスは「アリス」と心配そうに呼んだ。
視線を向け、笑顔を浮かべたアリスは静かに頷き返す。
『二人とも手伝ってね!』
『うん!』
『フーマ、手伝ウ。アリス、頑張ル』
返事と同時にアリスの肩にフーマとユーランが乗る。
目を閉じたアリスは『ベノンさん、今助けるから、待っててね』と伝え、魔力の放出を始める。
ゆっくり、ゆっくり、全身を通し、突き出している両手から魔法陣を覆う様に……。
もう少し、あと少し……。
アリスの魔力が魔法陣を覆った瞬間、ユーランとフーマの力がアリスの中へ流れ込む。
『アリス、今だよ!』
『アリス』
「解き放て」
ピキキと言う音を立て、見えない何かにひびが入る音が鳴る。
そうして、しばらくするとパリンと大きな何かが砕ける音が鳴り響いた。
砕けた何かは、キラキラと輝き降り注ぐと地に着く前に消えた。
「うわ~、綺麗」
「あぁ、本当に……」
「良くできたね。アリス」
いつの間にか隣に立っていたジェイクに頭を撫でられながら、幻想的な光景を見上げていたアリスはハッとしてベノンがいた中央を見る。
だが、底にベノンの姿は無く、彼を呼んだ。
『ベノンさん!』
『ほほほ、無事出られたようじゃ。ありがとう、娘さん』
直ぐ近くで声が聞こえ、アリスは足元をみる。
と、そこには一〇〇分の一サイズのベノンが……。
ベノンの身体を両手で掬いあげたアリスは、自分の顔の前にベノンを持ってくる。
「ち、ちっさ!!」
『ほほほ、長年囚われていたせいでの、今はこの大きさじゃ』
『ベノンじいさん、良かった!』
『おぉ、ユーラン。助かったぞ、ありがとう』
『フーマモ、フーマモ、助ケタ』
『そうじゃの。フーマもありがとう』
楽し気にじゃれつく三人を見ながら、アリスは救えたことにホっと息を吐き出した。
「パパ、ごめんね」
「気にしなくていいよ」
「うん」
『アリス、この先だよ!』
『伝えるね』
ユーランに言われたまま伝えたアリスは、ゼスの肩に頭を乗せる。
そうしてアリスたちは進み、五分後。
突然、ドーム型に開けた行動に出る。
「ほう、これは……」
「おぉ、すげぇ!」
『アリス、ここだよ! ほら、真ん中にいるでしょ?』
そろりと顔をあげたアリスは、目を見張る。
ユーランが言う通り、ドームになった行動の中央に巨大な白蛇がとぐろを巻き鎮座していたからだ。
「へ、へび!!」
『あれが、ベノンじいさんだよ!! アリス、早く助けてあげて』
『……あ、うん』
ゼスに頼み降ろして貰ったアリスは、ゆっくりとベノンに近づく。
あと一歩でベノンへ触れられると言う所で、何かに阻まれ進めなくなってしまった。
どうして? と不思議に思ったアリスが足元を見れば、丸い円が見える。
「パパ、おじいちゃん、ここにベノンさんがいるの。魔法陣が邪魔で進めないの」
「どうだ、ゼス。いけるか?」
「古代遺跡にある魔法陣によく似ていますが……」
言葉を濁したゼスはしばらく魔法陣を眺めると、何かを調べるかのようにゆっくりと周囲を回り始めた。
『ベノンさん、大丈夫ですか? ベノンさん』
アリスはベノンに呼びかける、だが、ベノンは反応を返さない。
寝てるのかな? 全然動かないし。
せめて反応があれば、この魔法陣がどういうものかわかるかもしれないのに……。
どうしたら助けられるのかな? 魔法陣なんて、私解除したことないよー。
眉根を下げたアリスは困り顔で、首を傾げる。
『ユーラン、ベノンさん何か言ってなかった?』
『何かって、何?』
『魔法陣を解除する方法とか、魔法陣についてとか……』
きゅるんとした瞳で首を傾げるユーランは、短い腕を組み一生懸命考えているようだ。
アリスは、そんな彼をジッと見つめ答えを待つ。
数分後考え込んでいたユーランは、ゆっくりと否定するように首を振った。
ダメかー。どうしたら、どうしたらいいの? 私に何が出来るのかな?
何かないかと知識を漁り始めたアリスは、目を閉じて一生懸命探す。
ルールシュカに貰った知識の中に、魔法陣についての知識はほとんどない。
何故ならアリスが持つ知識は、料理、裁縫、宝飾に関する物だけだからだ。
『力吸ワレル、フーマ、コレ、嫌イ』
ここまで大人しくしていたフーマが、いやいやと子供のようにアリスの首筋に身体を寄せる。
力が吸われる……か。もしかして、精霊の力を吸い取って何かに使ってるの?
だったら早く助けてあげなきゃ! ベノンさんが死んじゃうかもしれない!!
でも、どうしたら!!
何かを探すように視線を泳がせるアリスを心配そうにフィンとクレイが覗き込む。
「ゼス、どうだ? 解除できそうか?」
「うーん。この魔法陣の構造から解除は可能だと思います。でも……間違えれば、中に閉じ込められた精霊様が傷つくかもしれません」
「そ、そんな!!」
「ごめんよ、アリス」
アリスの前にしゃがんだゼスが、動揺するアリスの両肩に手を置き頭を下げた。
助けられないかもしれないと察したアリスは、悔しさから俯き唇を噛む。
誰か、助けて! ベノンさんを――。
私にもっと知識があれば、助けてあげられるかもしれないのに……。
あの時、ルールシュカ様にもっとお願いしておけばよかった。
後悔がアリスの心を占める。
その時だったクレイがアリスの顔を持ち上げると、無理矢理口を開かせ何かを放り込んだ。
「そんな顔するな。チョコレートでも食べて落ち着いて考えようぜ! きっと、何とかなるって!」
「そうだよアリス。きっと大丈夫だから、落ち着こう」
チョコレート、美味しい。そう言えば最近、ずっとバタバタしててお菓子作ってないな……。
って、そんな事よりベノンさんの――。
あ!! 良いこと思いついた!
顔をあげたアリスは、にっこり笑うと「ちょっと向こう見てくるね」と兄たちに告げその場を離れる。
誰にも見えない場所に移動したアリスは、早速メールを開いた。
そう、アリスが思いついた良い事とは、ルールシュカにメールで解除方法を聞くと言うものだ。
えっと、メール内容は……
『ルールシュカ様へ
フェリス王国の地下にある魔法陣に、精霊さんが閉じ込められているのですが解除方法を知りませんか?』
で、いいかな? あ、せっかくだからチョコも一緒に入れておこう。
よし、送信っと。
メールを送り終えたアリスは、メール画面を開いたままその場に座ろうと腰を下ろす。
『そう言えば、二人は果物食べなくて平気?』
『フーマ、食ベル』
『ボクも~!』
二人に果物を出して渡したアリスは、二人が楽しそうに果物を食べる様を見つめる。
そうして二分ほどして、ルールシュカからメールが届く。
『アリスちゃんへ
チョコレートありがとう!! 楽しみだわ!
魔法陣の解除方法だけど、魔法陣に精霊と力を合わせて魔力を流しながら【解き放て】と唱えればいいわよ』
ルールシュカにありがとうございます! とメールを送りったアリスは立ち上がると急いで魔法陣の元へ向かう。
何かを覚悟した瞳をしている娘へゼスは「アリス」と心配そうに呼んだ。
視線を向け、笑顔を浮かべたアリスは静かに頷き返す。
『二人とも手伝ってね!』
『うん!』
『フーマ、手伝ウ。アリス、頑張ル』
返事と同時にアリスの肩にフーマとユーランが乗る。
目を閉じたアリスは『ベノンさん、今助けるから、待っててね』と伝え、魔力の放出を始める。
ゆっくり、ゆっくり、全身を通し、突き出している両手から魔法陣を覆う様に……。
もう少し、あと少し……。
アリスの魔力が魔法陣を覆った瞬間、ユーランとフーマの力がアリスの中へ流れ込む。
『アリス、今だよ!』
『アリス』
「解き放て」
ピキキと言う音を立て、見えない何かにひびが入る音が鳴る。
そうして、しばらくするとパリンと大きな何かが砕ける音が鳴り響いた。
砕けた何かは、キラキラと輝き降り注ぐと地に着く前に消えた。
「うわ~、綺麗」
「あぁ、本当に……」
「良くできたね。アリス」
いつの間にか隣に立っていたジェイクに頭を撫でられながら、幻想的な光景を見上げていたアリスはハッとしてベノンがいた中央を見る。
だが、底にベノンの姿は無く、彼を呼んだ。
『ベノンさん!』
『ほほほ、無事出られたようじゃ。ありがとう、娘さん』
直ぐ近くで声が聞こえ、アリスは足元をみる。
と、そこには一〇〇分の一サイズのベノンが……。
ベノンの身体を両手で掬いあげたアリスは、自分の顔の前にベノンを持ってくる。
「ち、ちっさ!!」
『ほほほ、長年囚われていたせいでの、今はこの大きさじゃ』
『ベノンじいさん、良かった!』
『おぉ、ユーラン。助かったぞ、ありがとう』
『フーマモ、フーマモ、助ケタ』
『そうじゃの。フーマもありがとう』
楽し気にじゃれつく三人を見ながら、アリスは救えたことにホっと息を吐き出した。
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