【R18】特殊能力にかまけて学業をおろそかにするダメンズな隣人を挑発したら手篭めにされて【番外編閲覧注意】

AAKI

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レイヤー22・四足す四は2

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 30分ほど後には、私達はオフィス街を歩いていた。

 周囲を行き交うのは、スーツにジャケットやコートを羽織ったサラリーマンやOLがほとんど。ベージュ色のニットワンピースでシンプルに整えた私や、ジーンズにタトルネックセーターで紺系にまとめた龍生など、浮いて見えてしまう。 

 まだ帰社の時間になっていないだけにまだマシかしら。

「ね、ねぇッ」

「まぁまぁ、下手に商業街みたいなところを選ぶより、おしゃれを気にしなければ待たずに入れるんだ」

 龍生に引っ張られるまま道を進み、地下鉄へ降りて面倒な交差点をスキップ。ビルとビルの間へと入っていくと、少し汚れの目立つ路地へとたどり着く。少し深いところまで入ってしまったけれど、確かに多くの飲食店が空いている。

 串焼き店とか居酒屋の類が準備中なのは仕方ない。リップでめかした唇を気にしなくて良いのは助かるかも。

「私、お酒とか今まで飲んだことないのだけれど」

 困惑しつつ龍生に言った。

 成人したての私に、はたしてこんなところでどう楽しめというのかしら? そもそも、食べて帰るだけをデートとか言って良いのかも甚だ疑問ね。

「こういうところに来るのは初めてだろ? なら、そういうのも楽しめるんじゃないか?」

「それは……うん?」

「リーマンらが普段は見ない昼間の飲み屋街っていうのも良いでしょ」

 龍生の返答は言い訳じみてはいるものの、知識欲という意味では私に向きのプランかもしれない。

 夜にはそれほど気にならないであろうアスファルト上のゴミとか、看板の電源やらネオンの配線など、イラストデザイン学の後学にはなった。二ノ宮さんは、私の学んでいることをデザイン工学と言ったけれども、正しくは物体の造形を学術的にイラストへ落とし込むことよ。

「なるほど。配線を露出させないようにした方が良いけれど、この煩雑さが味とも言えるのね」

「そういうわざと作ってる感じも必要かぁ。こっちマスコットなんて、素人丸出しだけどセンスはあるんじゃないか?」

「前にチェンジした『コカトリス』よりは良いかも。可愛いだけじゃないものね」

「やっぱり見た目に可愛いとか綺麗だけじゃなくて、キャラクター性って大事なんだよな」

 傍から見ればデートなのかを問いたくなる会話。

 でも、変に気を使ってギスギスした時間を過ごすよりも良いわ。

「人ばかりに拘るから、そのキャラクター性が枯れてしまうのかもしれないわ」

「そうか。モンスターを無理に人格・・として当てはめようとするから合致しないのか」

 こうして別のインプットをしてみると、出てこなかった原因もわかってきた。

 たった3人でソーシャルゲームに出てくる何十というキャラクターを、容姿からキャラ設定まで考えようとすれば行き詰まる。ましてやヒューマノイドに限定したのでは、姉妹などの家族設定で差分をつけたところで限界がやってくる。

 言ってしまえば、ケモなどと呼称される亜人類がなぜあちらの人間に受けないと思ったのかということ。妙な先入観を壊さなければならなかったのよ。

「ペットとしての可愛いモンスターは受け入れられたのだから、感性はあまり変わら……」

「ん? あー、まぁ、これから仕事が続くのかもわからないのに、そんなことを話してもダメか」

 私達は、嫌なことに気づいてしまった。

 せっかく良い雰囲気だったのに、何をしているのかしら。私は……。

「さ、さ、次はあっちなんてどうだ」

 気を取り直すように、龍生が私の手を引いて更に路地裏へと入っていく。都会なんてもっと綺麗なものだと思っていたけれど、そこもまたなんと言うのか。そう、まるで退廃的。

「ちょっと、大丈夫なの? 道に迷うかもしれないわよ? 危ないわ」

「大丈夫、大丈夫ッ。野良犬ぐらいからなら守れるからさ」

「そーいう意味じゃなくて!」

 などとゴチャゴチャ話しながらも、私達は普段は見ない都会を見学した。

 当然、こんな時間から裏道にたむろしているような非行青少年などおらず、無事に夕方まで見学できた。裕に5時を迎え、居酒屋めいたお店に入って夕食を頂いた。

 ビールとか蒸留酒だと初心者には辛いため、カルーアミルクなどの軽いカクテルからコークハイみたいな焼酎ハイボールを堪能したわ。もっと苦かったり辛かったりで飲みづらいものかと思ったけれど、こんな甘いものもあるのね。体がポカポカとし始めたのも良い気分で……いえ、気持ち良さという意味では龍生との行為に比べようもないかしら///

 料理の方も、チョココロネこそ至高とは言えお酒にはこれって言うのが沢山あったわ。仕事帰りの皆さんが、体重を気にするようになる理由わけがわかるッ。

 1時間と半時間、私達はお酒と料理を楽しんで薄汚れた路地へと戻ってきた。

「もぉ、飲めない~。ニャハハハハッ」

「はいはい、もう直ぐ着くから」

 私が先に音を上げて、龍生に肩を借りる形で夜の街をゆく。

 若者のクリスマスの過ごし方とは逸してはいるものの、この陽気さはお祭りを好む日本人らしいとも言える。お婆ちゃんも、昔は地元の稲刈りの刈り上げた後の祭りを懐かしんでたわ。

「ほら、到着したから」

「ふへぇ?」
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