【R18】特殊能力にかまけて学業をおろそかにするダメンズな隣人を挑発したら手篭めにされて【番外編閲覧注意】

AAKI

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レイヤー14・Hなほど固くなるもの1

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「はぁ……」「ふぅ~」「あ~……」

 誰からというわけでもなく、室内にため息が漏れた。当然、龍生の借りている神園家管理の部屋だ。ため息の理由は、『Reチェンジ』に関わる仕事についてである。

 ここ2日ぐらい、龍生との体の関係もない。欲求不満とかそういうわけではないわ……断じて。

 理由は、仕事が忙しいからよ。

「神園、今何枚目?」

「全部でという意味なら、38枚よ。私が書いたのは7種、15枚ね」

 龍生の質問に答えた。

 記憶に間違いがなければ、計算の限りでは龍生が23枚を書き上げたことになる。それ自体は良いのだけれど、残り12枚に難儀しているのよ。

「困ったな。こんなにもアイデアが出てこないもんか?」

「わからないわ。胸像だけなのにね……」

「こっちはもう少しで全部書き終わるよ」

 二ノ宮さんを含む3人は口々に言ったわ。まるで私や龍生が同時にスランプに陥っったような感じで、頭部だけを描けば良いのに描けないの。

 あの龍生が、今日学校に来たぐらいには、気分転換をしないと何も思いつかない。予想外なのは、前日に体を求めてこなかったわ。

「……ごめんなさい。二ノ宮さん」

「うーん。ちょっと休憩させてくれ」

 いくら考えても、筆を動かしても納得できないため、私達は二ノ宮さんに断って休むことにした。

「別に無理しなくてもいいよ。後5日ぐらいは時間もあるし、慌てると余計に出てこないってこともあるからねぇ」

 二ノ宮さんはそう言って気を使ってくれたわ。

 お言葉に甘えて、私達はその日は解散することにした。本当にあっさり。何事もなく解散に至ったのが不気味なぐらい。

 まさか、飽きられてしまったのかしら? そんな……こと。いえ、私に構わず学校へ来るなら別に良いじゃない。

 喜ばしいことじゃないの……。

「……ちゃん。りっりゃんやッ」

 少しして、私はお婆ちゃんに話しかけられていることに気づいたわ。

「なッ。何!?」

「どうしたんだい? 変に考え込んで」

「あっ……」

 どうやら、夕飯のデザートのリンゴをひたすら皮むきし続けてしまっていたみたい。危うく指を切るか、世界記録を狙えるところだったわ。

 ボーッとしてしまっていたことを心配して、お婆ちゃんが顔を覗き込んでいる。

「えぇっと、別になんでもないわ」

 私は慌てて答えた。

 どうせ誤魔化しきれないでしょうけれど、お婆ちゃんは無理に追求してくる人ではない。

「そう、かい……? その、ごめんよ……」

 追求こそしてこなかったものの、いきなり謝ってくるから驚いたわ。

「え、えっと、謝られるようなこと」「色々とお金も要りようなんだろう?」

 否定しようとした言葉を遮られた。妙な言い回しだけれど、多分これは、私のお小遣いが少ないことについての話だ。

 これまでにも何度か話題に上がっているものの、別に月5000円もあれば、おかしな贅沢をしない限りはギリギリで間に合う。ただ、私は常々、皆に主にチョココロネを買ってくることがある。お婆ちゃんもそれを享受していることから、私の資金不足について申し訳なく思っているようなの。

 反面、私は龍生の仕事に加担していることを話しておらず、あくまで学校の課題を手伝っていることにしてあった。ファンタジーすぎるは、あんなの。

「年金合わせても雀の涙だけどね。一応、いざっておきのお金はためてあるから、遠慮せずに言うんだよ」

「大丈夫よ。お婆ちゃん」

 学費まで出して貰っているのだから、そんなことを負い目に感じてくれなくて良い。私は、何とかこの場を切り抜けるための言葉を探した。

「えっと、ほら、単に課題が上手く進んでないのよ」

「そうなのかい? それなら良いんだけれど……あぁ、それは確かに、進むもんも進まんよな」

「うん、大丈夫。大丈夫だからねっ……」

 安心させるべく慌てて言うも、不意に一抹の不安を覚えた。

 なにせ、お婆ちゃんのこの言い様は罪悪感というより私への気遣いだからだ。しかし、今の私に答え合わせをする度胸と気力はなかったわ。

 まだ私と龍生が喧嘩していると思っているのかしら?

「さぁ、ご飯にしましょ!」

 私は誤魔化しつつ、カレーライスと細長いリンゴを食べることにした。

 差し入れを持っていかなくていい量に調整したりするのに苦労したわ。それでも、その日はそれ以上の追求はなく、無事に翌朝を迎えることができたわ。

 そして、私は冬休み直前の日に挑むことになる。せめてこの最後の1日、何事もないことを祈りたいものだわ。

 ちなみに、スランプから脱することができなかったから幸先不安ね。学校の課題であれば、いつもならお婆ちゃんにちょっとした知恵を貰えるのだけれど、嘘を付いているだけにそういうこともできない。

「ほんと、どうしちゃったのかしら……」

 布団の中で、私はそう呟くのだった。
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