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FILE2.真夜中のゾンビ
その2-2
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「いただきます」
「いただきます」
「わふっ」
トロワもちゃんとマテができるようで、先の不安はない。何よりも飯が美味ければ幸せという単純な脳みそをしている。
「うめぇ~。やっぱりカレーには福神漬けだな」
「ですね。らっきょなんて邪道。ただし生卵は許す」
「マヨネーズも勘弁して欲しいな」
「はぐはぐはぐっ」
和気あいあいと話ながら夕食を終え、片付けを後回しにしつつデザートの時間とする。しかし――。
「ふぁ~、ごちそうさまでした」
「ごちそうさん」
「さて、デザート、デザート♪ って、あれ……?」
「ん? あ……」
――そう、買い忘れたのである。
「なんでデザートがないんですか!? 冷蔵庫にも、入ってないですよ!?」
「すまん、ドッグフードやら何やらを買ってたらうっかり……」
こればかりは零士が悪いので頭を下げる。それでも、楽しみにしていたデザートがないとなると双葉は納得しない。
「ちゃんとメモせずに行くから! いろいろと確認が甘いんですよ、零士君は!」
「め、面目次第もない、です……。まぁまぁ、ちょっと割高になるけどコンビニで買ってこようぜ」
どうしても癇癪が収まりそうになるので、仕方なく妥協案を出す零士。
「むぅぅ……。トロワの散歩もありますから、そうしましょう」
とりあえずはそれで納得してくれたようだ。近所のコンビニにお眼鏡にかなうデザートがあるかは不明だが。
簡単に準備をすると、トロワに首輪とリードをつけていざ出発だ。
「わふっ!」
初めてかもしれない散歩に子犬もノリノリである。
「はいはい。苦しくありませんか? けど、こういうのはしっかり買ってきてるのに、よくわかりませんよ」
「そんなこと言われてもなぁ」
何か忘れている気がするものの、デザートへの欲求が先立って夜道も怖くはない。コンビニと共に、遠巻きに酔っ払いの姿も目撃される時間。
「いらっしゃいませ。あ、双葉さん、いえ、エルサリーヌさん」
入店と同時に聞き慣れた音楽と店員の声がする。
「じゃ、あまり時間をかけないようにな」
「トロワ、ここで大人しく待ってるんですよ。店員さんも、ちょっとご容赦くださいね」
「ふ~」
トロワを車の追突防止柵のところで待たせ、双葉は店員にも一礼してデザートやお菓子のコーナーへ向かう。零士は適当に雑誌を立ち読みしておくことにした。
「ご、ごゆっくりどうぞ」
店員も許可してくれたところで、零士は8月号と印字された適当な週刊誌を手に取り、ペラペラとざっと目を通す程度で捲っていく。
「いただきます」
「わふっ」
トロワもちゃんとマテができるようで、先の不安はない。何よりも飯が美味ければ幸せという単純な脳みそをしている。
「うめぇ~。やっぱりカレーには福神漬けだな」
「ですね。らっきょなんて邪道。ただし生卵は許す」
「マヨネーズも勘弁して欲しいな」
「はぐはぐはぐっ」
和気あいあいと話ながら夕食を終え、片付けを後回しにしつつデザートの時間とする。しかし――。
「ふぁ~、ごちそうさまでした」
「ごちそうさん」
「さて、デザート、デザート♪ って、あれ……?」
「ん? あ……」
――そう、買い忘れたのである。
「なんでデザートがないんですか!? 冷蔵庫にも、入ってないですよ!?」
「すまん、ドッグフードやら何やらを買ってたらうっかり……」
こればかりは零士が悪いので頭を下げる。それでも、楽しみにしていたデザートがないとなると双葉は納得しない。
「ちゃんとメモせずに行くから! いろいろと確認が甘いんですよ、零士君は!」
「め、面目次第もない、です……。まぁまぁ、ちょっと割高になるけどコンビニで買ってこようぜ」
どうしても癇癪が収まりそうになるので、仕方なく妥協案を出す零士。
「むぅぅ……。トロワの散歩もありますから、そうしましょう」
とりあえずはそれで納得してくれたようだ。近所のコンビニにお眼鏡にかなうデザートがあるかは不明だが。
簡単に準備をすると、トロワに首輪とリードをつけていざ出発だ。
「わふっ!」
初めてかもしれない散歩に子犬もノリノリである。
「はいはい。苦しくありませんか? けど、こういうのはしっかり買ってきてるのに、よくわかりませんよ」
「そんなこと言われてもなぁ」
何か忘れている気がするものの、デザートへの欲求が先立って夜道も怖くはない。コンビニと共に、遠巻きに酔っ払いの姿も目撃される時間。
「いらっしゃいませ。あ、双葉さん、いえ、エルサリーヌさん」
入店と同時に聞き慣れた音楽と店員の声がする。
「じゃ、あまり時間をかけないようにな」
「トロワ、ここで大人しく待ってるんですよ。店員さんも、ちょっとご容赦くださいね」
「ふ~」
トロワを車の追突防止柵のところで待たせ、双葉は店員にも一礼してデザートやお菓子のコーナーへ向かう。零士は適当に雑誌を立ち読みしておくことにした。
「ご、ごゆっくりどうぞ」
店員も許可してくれたところで、零士は8月号と印字された適当な週刊誌を手に取り、ペラペラとざっと目を通す程度で捲っていく。
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