「阿藤零士の心霊事件ファイル ~名探偵は美少女助手と除霊を頑張る~」

AAKI

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FILE1.痴漢幽霊騒動

その4-3

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「まぁまぁ、九十九さんは学校案内に集中してくれよ」
「あまり長居すると怪しまれるのでは?」

 零士はこの学校で起こった出来事を探っているなどとは言えないため、明可の意識を逸らさせる。

 世の中、情報とは現場だけに転がっているわけではない。とはいえ最初から闇雲に見学して情報を得られるとも思っていなかった。

「ちーす先生」
「……」

 当たり障りのない教室を見学して30分、校内の半分ほど歩き回ったあたりでビンゴを引いた。1人はノリの良い感じの女子。もう一人は会釈えしゃくだけで終わらせる男子だ。
 校内に残った生徒と遭遇できたわけである。

「無央さん、こんにちは。一応、お客様の前ですからね?」

 女子生徒の方を明可がたしなめた。決して不良生徒というわけではない見た目だが、茶に染まったウェイブ気味のロングヘアーは優等生とも違うことを示している。男子生徒は……大人しいこと以外は特筆する部分のない青年だ。

「六味さんもこんにちは。放送部は終わったんですか?」

 どうやら六味という男子と無央は放送部に所属しているらしい。下校の最後の放送前に放送室を出ているためか、明可も気になったのだろう。

「ううん、機材トラブルっていうのかな? 五十鈴の、あー、先生も荒れてるみたいだったから。避難かな?」

 答えたのは無口な無央。いろいろと重なって聖雄が苛立つのも、零士達は事情を知っているのでわかる。生徒や機材に当たるものではないが。

「下校の放送がないからまだ直してそうです」

 六味が口を開いたのは、暗に放送室の見学はやめておけと言いたいのだろうか。

「今日はあたしらだけだから早く直って欲しいなぁ。それはそうと――」

 ボヤきに混じった奇異の視線がタブレットと会話を交互に把握している双葉に注がれる。少女の視線が交わった。

「――どういうお客さん?」
「そ、それは、その~……」
「ほう」
「てんにゅ……」

 無央の問いで三者三様に言い淀んだ。
 零士達が転入学を目的としていないことをカワイ子ぶった顔の女生徒はわかっているようだ。そんな意図を見抜いた零士は関心したように、呆れたように呻く。答えを模索する。

「ここだけのオフレコにしておいてくれるか?」
「んん? バラすんだ?」

 その切り出し方は無央にとって少し意外だった様子。

「守秘義務もあるから話せることは少ないけどな」
「そこは諦めてあげましょう。でも、随分ずいぶんと簡単にネタバラシするのね」

 しかし、この流れに当然の異を唱える者もいた。
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