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悪友が言ういつもの

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 石動 峇清の住んでいる町は、町と呼べない程度に田舎だった。流石に見渡す限り田畑というわけではないが、家屋が並んでいる地点が何箇所かに点在している。

 その中で石動家というと、最も大きい家屋群の集まり――集村または塊村の代表といえる家柄だ。それも一昔前の話で、今では様々な血筋が混じってしまった。それでも集落の全員が一家族のように付き合いを続けている。

「数日、お世話になります」

 そして、峇清の両親と何人かの村人が見守る中、頭を深々と下げて言ったのは瑛太だ。

「まぁ、そんなに改まらなくても。野口君がうちの村に来るのは何年ぶりかしら」

「十年ぶりですね。奥さんも相変わらずお美しい」

 黒のロングヘアーを撫でる女性が訊くと、彼は特に悩みもせずにスラスラと言葉を吐いた。奥さんこと峇清の母親は、「やだぁっ」などと社交辞令に照れた。

「母さん」

 峇清は短く先を促した。事情は既に連絡してあったのだから、いまさら時間を食う必要もない。

「こちら、お土産です」

 最後に瑛太が紙袋を手渡して、帰省に同行してきたことへの挨拶を終えた。

「家族みたいなものなんだから、良いのに」

 母親がそう言いながら、父親と一緒に古い日本家屋へと入っていった。

 果たして、それが意味するところとは。

「遠い親戚とは言え、親しき中にもと言いますから」

 ほとんど独り言のように言うと、瑛太も彼女達の背中を追いかけた。その途中、彼をというよりは峇清を呼び止める声があった。

「ゴウちゃん! おっかえり~!」

 タタタッと駆けてきて、生け垣の向こうから門前へと滑り込んできたのは1人の少女だ。年は十にも満たないぐらいに見え、ツインテールの髪を揺らす快活そうな子である。

 峇清と瑛太は振り返って彼女を見ると、各々で別の反応を見せる。

凜風りんか、せめてゴウ兄ちゃんにしろって……」

「あー、凛ちゃんか。大きくなったね~」

 峇清の呆れた言葉よりも、瑛太を見て石動 凜風は「誰?」と言わんばかりに珍妙な表情をした。

 ちなみに、姓名は同じでも従姉妹か再従姉妹にあたる親戚筋でしかない。

「瑛太だよ。まぁ、まだ凛ちゃんは二歳だったもんね」

「へぇ、貴方が瑛にぃか! 話ぐらいは聞いてる!」

 小学生ぐらいの頃の記憶なので、後は帰省の時に峇清が愚痴まがいに話すだけだ。悪友で、親友で、突拍子もないことを考える奴だということぐらいしか伝えていない。

「また話してやるから、今日は」

「お? 峇ちゃん、気分悪い?」

 少し不機嫌そうな声で凜風を諌めると、彼女は目ざとく変化に気づいた。

 今の状況を考えれば、気分も悪くなるというものだ。そこにフォローを入れるのは瑛太である。

「電車で揺られてきたからね。また余裕のある日にでも遊ぼうね」

 年上の余裕と優しさを見せつつ、凜風と別れた2人。

 こうして、一週間ほど峇清と瑛太は同じ屋根の下で暮らすことになる。

[7月2△日 水曜日 晴れ 
 帰省中、常にお尻に異物感があって落ち着かなかった。瑛太が後の穴も使いたいというので、慣らそうと思ったんだけど。
 最初は避妊用ゴム、要はコンドームに包んだ5ミリに満たない棒を尻穴に入れて異物感に慣れる練習をする。]
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