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8睡目・God knows・・・?
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「ハァビー、少し戻る」
「信じて、良いんですよね?」
俺が言うと、ハァビーはフェイのことを案じて訊いた。俺は頷いてみせた。
「ワダァシィビー!」
俺が背中に乗って、ハァビーにも了解を得たことを理解した瞬間、シェイプシフターは一言の元に跳躍を開始した。
「ぬぁッ!?」
危うく悲鳴と同時に舌を噛みそうになった。
まさにひとっ飛びと言わんばかりの速度に到達したようで、振り落とされそうになる。
「あ……」
必死にしがみついているせいで、うっかりシェイプシフターのやや主要し始めた部分を触ってしまった。事故とはいえ許されざることをしてしまったのである。ハァビーに続いてまたしても。
俺の消え入りそうな声を聞き取ったらしく、何事かと訊ねてくる。なるほど、そういうことには疎いようだ。
「カダァジーエス タビーエフ? ビーエムカダーエックスビーエフ マカダーエッチ テダーエックスワイ テビー!」
「えーと……なんでもありません! 責任は取ります!」
「?」
俺の返事の意味は理解できず、それでも問題はないということはわかってくれたようだ。
しかし、しっかり掴まっていろと言われても、さっきのことを考えるとお腹に腕を、腰に脚を回した非常に奇妙な体勢で乗らないとダメなんですが。それを振り落とされないようにしてるから、小学生ぐらいには見せられない状態だ。
「も、もう少し、ゆっくりぃッ!」
当然、悲鳴じみた要求は通らなかった。まず、言語として通じない上にシェイプシフターはフェイに会うことを優先している。
ほとんど目を回していたような感じだが、気づけば月明かりが俺達を照らしていた。シェイプシフターが立ち止まったのは、暗闇で完全に視界が通らなくなったというわけではなさそうだ。
「タ、タビーエフダージーエス? 痛っ」
今度はゆっくりと会話することができる。が、掴まっているのに疲れた俺は、ズルリとシェイプシフターの背中から滑り落ちた。
じ、地面が左右に傾いてる……。
「ダァシィジーダブリュビーエムマ レビィオー」
そうか。魔力切れか。魔力切れらしいので、今夜はここで野宿らしかった。
俺が眠りにつく間に話をきいたところ、枯渇するまで魔力を消費したわけではないようだ。エアールの持つ地脈から魔力を吸い上げる力を使えばもう少し走れるとも。まぁ、俺が見た通り、魔力を得るその『踊り』にかかる時間を考えれば大した差はないとのことだが。
そして、俺は戦いの疲れを癒やすために眠るのだった。
……。
…………。
目を覚ますと、シェイプシフターは既に起きていて軽いストレッチなどしていた。今日は目的地まで走り通すとのことなので、入念に準備しているのだろう。
こうして寝起きを気にせず目覚められるって久しぶりなような気がするなぁ。
「えーと、あそこに見える宿場町は……マジか」
見覚えのある街道沿いの宿を見て、俺は驚いた。
なにせ、半日経っていないのに2日分の行程を走ってきたのである。そりゃ、運搬車は自転車より少し遅いぐらいだから、シェイプシフターは50キロ時近くで走ってきたのは確かだ。
「昨日と同じぐらいの早さで行くのか?」
「……ん」
またきつい体勢で背中を掴んでいないとダメなのかと訊いたつもりだが、ついつい慣れ始めたヘエヌジー後で話してしまった。思い出しただけでも胃がひっくり返りそう……。
それでも伝わったのか、シェイプシフターは小さく頷いてみせるのだ。
「言葉、覚えるの早いなぁ。あ、フェイとも話してたんだもんな。普通かって、何をしてらっしゃるんで?」
彼女らの頭の良さに感心したんだが、どうやら勘違いだったようだ。
草むらをジッと見ていたシェイプシフターは、手を徐々に爪の形に変えていく。視線の先を追いかけると、野ウサギらしき生き物が草むらに見えた。
「エキュー? カナジー ガワイ エヌタビィダーエフ ビィピーゃワイ?」
あぁ、まぁ、確かに昨日の朝から全く食べてないけどね。
「カナセ アイジーワイ エダー ガワイ ビィジーエスビィジェー ジーエッチジィシー ビーアイワイ ダァピィダーエム?」
リバース物塗りたてな女の子の背中に座るとかそういう趣味ねぇから!
まぁ、今は空腹の方がまだマシなので、そのまま出発することになった。見逃されたウサギっぽい生物さんが、俺達を安堵した表情で見送ってくれる。
「ビィビーエフワラビィオー……」
紛らわしくてすみませんでしたね! シェイプシフターの呆れた声に俺の胃が少しムカッと来たけど、大人なところも見せないといけないから気持ちを落ち着かせる。
ほら、シェイプシフターの変身シーンとか見てると、逆らう方が危ないって本能に言い聞かせられるでしょ?
「ビーエフジィエムキュー!」
このまま背上で半日ぐらいライドを続けると、本当に胃液が枯れるので掴まり方を変えた。
「まぁ、大した違いはないけど、振り回されない分は楽か。ダァシィビーエフダーエムダァシー カビーナ?」
「ダァティダァジーダブリュビィピィビーダ ジーエル」
バロメッツマントを紐のように使うのは心苦しいが、ゲロ袋にするよりかはマシだ。シェイプシフターが苦しくないかを確認しながら、首のあたりと俺の背中を縛り付けた。
「信じて、良いんですよね?」
俺が言うと、ハァビーはフェイのことを案じて訊いた。俺は頷いてみせた。
「ワダァシィビー!」
俺が背中に乗って、ハァビーにも了解を得たことを理解した瞬間、シェイプシフターは一言の元に跳躍を開始した。
「ぬぁッ!?」
危うく悲鳴と同時に舌を噛みそうになった。
まさにひとっ飛びと言わんばかりの速度に到達したようで、振り落とされそうになる。
「あ……」
必死にしがみついているせいで、うっかりシェイプシフターのやや主要し始めた部分を触ってしまった。事故とはいえ許されざることをしてしまったのである。ハァビーに続いてまたしても。
俺の消え入りそうな声を聞き取ったらしく、何事かと訊ねてくる。なるほど、そういうことには疎いようだ。
「カダァジーエス タビーエフ? ビーエムカダーエックスビーエフ マカダーエッチ テダーエックスワイ テビー!」
「えーと……なんでもありません! 責任は取ります!」
「?」
俺の返事の意味は理解できず、それでも問題はないということはわかってくれたようだ。
しかし、しっかり掴まっていろと言われても、さっきのことを考えるとお腹に腕を、腰に脚を回した非常に奇妙な体勢で乗らないとダメなんですが。それを振り落とされないようにしてるから、小学生ぐらいには見せられない状態だ。
「も、もう少し、ゆっくりぃッ!」
当然、悲鳴じみた要求は通らなかった。まず、言語として通じない上にシェイプシフターはフェイに会うことを優先している。
ほとんど目を回していたような感じだが、気づけば月明かりが俺達を照らしていた。シェイプシフターが立ち止まったのは、暗闇で完全に視界が通らなくなったというわけではなさそうだ。
「タ、タビーエフダージーエス? 痛っ」
今度はゆっくりと会話することができる。が、掴まっているのに疲れた俺は、ズルリとシェイプシフターの背中から滑り落ちた。
じ、地面が左右に傾いてる……。
「ダァシィジーダブリュビーエムマ レビィオー」
そうか。魔力切れか。魔力切れらしいので、今夜はここで野宿らしかった。
俺が眠りにつく間に話をきいたところ、枯渇するまで魔力を消費したわけではないようだ。エアールの持つ地脈から魔力を吸い上げる力を使えばもう少し走れるとも。まぁ、俺が見た通り、魔力を得るその『踊り』にかかる時間を考えれば大した差はないとのことだが。
そして、俺は戦いの疲れを癒やすために眠るのだった。
……。
…………。
目を覚ますと、シェイプシフターは既に起きていて軽いストレッチなどしていた。今日は目的地まで走り通すとのことなので、入念に準備しているのだろう。
こうして寝起きを気にせず目覚められるって久しぶりなような気がするなぁ。
「えーと、あそこに見える宿場町は……マジか」
見覚えのある街道沿いの宿を見て、俺は驚いた。
なにせ、半日経っていないのに2日分の行程を走ってきたのである。そりゃ、運搬車は自転車より少し遅いぐらいだから、シェイプシフターは50キロ時近くで走ってきたのは確かだ。
「昨日と同じぐらいの早さで行くのか?」
「……ん」
またきつい体勢で背中を掴んでいないとダメなのかと訊いたつもりだが、ついつい慣れ始めたヘエヌジー後で話してしまった。思い出しただけでも胃がひっくり返りそう……。
それでも伝わったのか、シェイプシフターは小さく頷いてみせるのだ。
「言葉、覚えるの早いなぁ。あ、フェイとも話してたんだもんな。普通かって、何をしてらっしゃるんで?」
彼女らの頭の良さに感心したんだが、どうやら勘違いだったようだ。
草むらをジッと見ていたシェイプシフターは、手を徐々に爪の形に変えていく。視線の先を追いかけると、野ウサギらしき生き物が草むらに見えた。
「エキュー? カナジー ガワイ エヌタビィダーエフ ビィピーゃワイ?」
あぁ、まぁ、確かに昨日の朝から全く食べてないけどね。
「カナセ アイジーワイ エダー ガワイ ビィジーエスビィジェー ジーエッチジィシー ビーアイワイ ダァピィダーエム?」
リバース物塗りたてな女の子の背中に座るとかそういう趣味ねぇから!
まぁ、今は空腹の方がまだマシなので、そのまま出発することになった。見逃されたウサギっぽい生物さんが、俺達を安堵した表情で見送ってくれる。
「ビィビーエフワラビィオー……」
紛らわしくてすみませんでしたね! シェイプシフターの呆れた声に俺の胃が少しムカッと来たけど、大人なところも見せないといけないから気持ちを落ち着かせる。
ほら、シェイプシフターの変身シーンとか見てると、逆らう方が危ないって本能に言い聞かせられるでしょ?
「ビーエフジィエムキュー!」
このまま背上で半日ぐらいライドを続けると、本当に胃液が枯れるので掴まり方を変えた。
「まぁ、大した違いはないけど、振り回されない分は楽か。ダァシィビーエフダーエムダァシー カビーナ?」
「ダァティダァジーダブリュビィピィビーダ ジーエル」
バロメッツマントを紐のように使うのは心苦しいが、ゲロ袋にするよりかはマシだ。シェイプシフターが苦しくないかを確認しながら、首のあたりと俺の背中を縛り付けた。
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