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QUEST19.女は鋭い
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「えぇぇぇ……」
「まぁまぁ、遠慮しないで。頑張ったミランダへの労いなんだから」
体を揺らして逃げようとするミランダは、肩を抑えられて動けなくなったところを好き勝手にこすられてしまう。
いや、普通に背中をゴシゴシと。
「ア、ウンッ……」
ミランダはうめいた。
「ん?」
「ちょ、ちょっとこそばゆかっただけ……」
「そう」
変な声にロイスも反応するが、ミランダの誤魔化しを素直に受け取った。
しかし、流石に何度となく背筋が震えているのをみれば気づくものである。ロイスは背中を洗う力が強すぎるのかと思い何度目かで動きを緩めるも、余計に酷くなったような気がする。
「ア、ンン、ゥゥ……。ヒフッ」
「あぁ、そういう」
もはや痛みではないのだと、これまでの経験により理解したロイス。
温かくも背筋を振動させる感覚から、ミランダが逃れようとしない程度に受け入れているのはわかる。ならばと、ロイスの手がミランダの脇へと移動していく。
「あの、そっちは私で、アフンッ! ッ~……」
ミランダは抵抗しようと慌てて右手を伸ばすも、腰をひねった瞬間にロイスの指先が丘を滑った。思わず声を漏らし、動きを止めた瞬間にロイスの手が畳み掛けてくる。
「頑張ったご褒美のマッサージだよ」
「ごほう、アッ、マッサァ~ッ」
ロイスはいたずらっぽく言うと、ミランダの疑問を封じつつ自称マッサージを続けた。少し遠慮していた手は、大義を得たことで躊躇いがなくなった。
これは、労いなのだと。
解す。ロイスの手が解していく。ミランダの体のありとあらゆる場所、全てを。
「ここもしっかり洗っておかないと」
そうのほざいて、ロイスはマッサージの一手としてそこを刺激し始めた。ミランダの、短くなった腕だ。
湿気の多いところでは義手が蒸れてしまうので、やはり女性としてそれなりに気を使っている。そこに付け込んで、気になるところを攻めて――洗ってやろうとしたわけである。
「そこ、ダメッ……」
「痛いかな?」
「じゃなくて、恥ずかしンッ。ァ~~!!」
ミランダはわずかに拒否を見せるも覇気はなかった。ロイスも、悪戯が悪戯でなくならないよう方向違いの気遣いをしつつ、腕を優しくマッサージしてやった。
羞恥に悶える姿がステキでロイスの暴走も激しくなってしまう。
ここで、桶にお湯を汲んでざっと流す。
「あ……ふぅ~」
もう終わりかと、安堵したような名残惜しいような顔をしたミランダ。が、そうの程度で終わるぐらいならば最初からちょっかいなどかけはしない。
「えッ? アァン!」
腰にロイスの腕が巻き付いてグイッと引き寄せられたかと思ったら、ツッと何かが腕の端を撫でた。ゾクリッとした感覚が走り、思わず声が漏れた。
ロイスは舌で腕のふさがった傷口を舐めたのである。
「そこ、アンッ、汚いァン!」
「そんなことないよ。少ししょっぱいけど、柔らかくて時々歯ごたえがあって」
「ンンァッ。ッ、ッ、フゥゥゥ……」
「ペロッ。ここも洗わないと。コシコシって、ほら」
「だ、ダメッ。そんなとこ、洗っちゃアァッ!」
もはや抵抗と呼べる抵抗などできず、恥ずかしいところを舐められ解されていった。甘噛が痛心地いい。さらには棒ブラシまで追加だ。
それからというもの、しばらくなすがままにされたミランダ。
気がつけば、お湯以外のことでのぼせ上がっているのだった。
「ハァ、ハァ……もう、無理……」
「流石に、ちょっと長湯、しすぎたかな」
行くところまで行って、二人はなんとか我に返った。
もはや手遅れかもしれないが、これ以上は怪しまれると考えろくに浸からず出ていくこととなる。
「結構ごゆっくりで」
セーラのその言は、はたして大浴場に入れなかったことへの不満だったのか。
「良い湯だったよ。セーラもまた今度ね。ハハハハハ……」
ロイスは頑張って誤魔化した。
ミランダも、急いで体は洗い直したとはいえ全てを流したわけではなく、匂いが残っていないかと確かめてさえいる。はたして、オナカの中まで気づかれるかどうか。
「スンスン。あっ、いえ」
「ジトォー」
これは、どうやらカマをかけられたようだ。
ただ、そこで終わり。
「怒らない?」
「怒らない」
怪訝に思ってミランダは聞いた。
「なんで?」
「お兄さんが気に入ったなら仕方ない」
端的に答えていくセーラ。そういうことなのだと、ひたすらに一つの解に固執する。
ミランダも理解したことだろう。
セーラの世界は全てロイスを中心に回っているということを。
故に反論や議論の余地はなく、否応なく納得するしかなかった。とりあえず、ミランダとしてもそれで問題ない。
「まぁ、良いわ。妹さんはちょっとアレだけど、争うことでもないから」
「それで終わらせるミランダも十分普通じゃないけどね」
ロイスは、当事者でありながら自分のことを棚に上げて突っ込むのだった。最も関係をかき回し、線引きするべきところで引いていないのだから。
しかし、その実力であったり将来性については信用できるのか、人がついてきてしまう。
「……」「……」
「な、なにさ?」
女性二人の白い視線を受けて、ロイスは戸惑うのだった。
この鈍ささえなければ……。
「まぁまぁ、遠慮しないで。頑張ったミランダへの労いなんだから」
体を揺らして逃げようとするミランダは、肩を抑えられて動けなくなったところを好き勝手にこすられてしまう。
いや、普通に背中をゴシゴシと。
「ア、ウンッ……」
ミランダはうめいた。
「ん?」
「ちょ、ちょっとこそばゆかっただけ……」
「そう」
変な声にロイスも反応するが、ミランダの誤魔化しを素直に受け取った。
しかし、流石に何度となく背筋が震えているのをみれば気づくものである。ロイスは背中を洗う力が強すぎるのかと思い何度目かで動きを緩めるも、余計に酷くなったような気がする。
「ア、ンン、ゥゥ……。ヒフッ」
「あぁ、そういう」
もはや痛みではないのだと、これまでの経験により理解したロイス。
温かくも背筋を振動させる感覚から、ミランダが逃れようとしない程度に受け入れているのはわかる。ならばと、ロイスの手がミランダの脇へと移動していく。
「あの、そっちは私で、アフンッ! ッ~……」
ミランダは抵抗しようと慌てて右手を伸ばすも、腰をひねった瞬間にロイスの指先が丘を滑った。思わず声を漏らし、動きを止めた瞬間にロイスの手が畳み掛けてくる。
「頑張ったご褒美のマッサージだよ」
「ごほう、アッ、マッサァ~ッ」
ロイスはいたずらっぽく言うと、ミランダの疑問を封じつつ自称マッサージを続けた。少し遠慮していた手は、大義を得たことで躊躇いがなくなった。
これは、労いなのだと。
解す。ロイスの手が解していく。ミランダの体のありとあらゆる場所、全てを。
「ここもしっかり洗っておかないと」
そうのほざいて、ロイスはマッサージの一手としてそこを刺激し始めた。ミランダの、短くなった腕だ。
湿気の多いところでは義手が蒸れてしまうので、やはり女性としてそれなりに気を使っている。そこに付け込んで、気になるところを攻めて――洗ってやろうとしたわけである。
「そこ、ダメッ……」
「痛いかな?」
「じゃなくて、恥ずかしンッ。ァ~~!!」
ミランダはわずかに拒否を見せるも覇気はなかった。ロイスも、悪戯が悪戯でなくならないよう方向違いの気遣いをしつつ、腕を優しくマッサージしてやった。
羞恥に悶える姿がステキでロイスの暴走も激しくなってしまう。
ここで、桶にお湯を汲んでざっと流す。
「あ……ふぅ~」
もう終わりかと、安堵したような名残惜しいような顔をしたミランダ。が、そうの程度で終わるぐらいならば最初からちょっかいなどかけはしない。
「えッ? アァン!」
腰にロイスの腕が巻き付いてグイッと引き寄せられたかと思ったら、ツッと何かが腕の端を撫でた。ゾクリッとした感覚が走り、思わず声が漏れた。
ロイスは舌で腕のふさがった傷口を舐めたのである。
「そこ、アンッ、汚いァン!」
「そんなことないよ。少ししょっぱいけど、柔らかくて時々歯ごたえがあって」
「ンンァッ。ッ、ッ、フゥゥゥ……」
「ペロッ。ここも洗わないと。コシコシって、ほら」
「だ、ダメッ。そんなとこ、洗っちゃアァッ!」
もはや抵抗と呼べる抵抗などできず、恥ずかしいところを舐められ解されていった。甘噛が痛心地いい。さらには棒ブラシまで追加だ。
それからというもの、しばらくなすがままにされたミランダ。
気がつけば、お湯以外のことでのぼせ上がっているのだった。
「ハァ、ハァ……もう、無理……」
「流石に、ちょっと長湯、しすぎたかな」
行くところまで行って、二人はなんとか我に返った。
もはや手遅れかもしれないが、これ以上は怪しまれると考えろくに浸からず出ていくこととなる。
「結構ごゆっくりで」
セーラのその言は、はたして大浴場に入れなかったことへの不満だったのか。
「良い湯だったよ。セーラもまた今度ね。ハハハハハ……」
ロイスは頑張って誤魔化した。
ミランダも、急いで体は洗い直したとはいえ全てを流したわけではなく、匂いが残っていないかと確かめてさえいる。はたして、オナカの中まで気づかれるかどうか。
「スンスン。あっ、いえ」
「ジトォー」
これは、どうやらカマをかけられたようだ。
ただ、そこで終わり。
「怒らない?」
「怒らない」
怪訝に思ってミランダは聞いた。
「なんで?」
「お兄さんが気に入ったなら仕方ない」
端的に答えていくセーラ。そういうことなのだと、ひたすらに一つの解に固執する。
ミランダも理解したことだろう。
セーラの世界は全てロイスを中心に回っているということを。
故に反論や議論の余地はなく、否応なく納得するしかなかった。とりあえず、ミランダとしてもそれで問題ない。
「まぁ、良いわ。妹さんはちょっとアレだけど、争うことでもないから」
「それで終わらせるミランダも十分普通じゃないけどね」
ロイスは、当事者でありながら自分のことを棚に上げて突っ込むのだった。最も関係をかき回し、線引きするべきところで引いていないのだから。
しかし、その実力であったり将来性については信用できるのか、人がついてきてしまう。
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