近衛騎士隊長の同人誌『陛下、不敬をお許しください!』

AAKI

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49P・これからも変わらぬ未来

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「ハァ、ハァ……。パスクゥ……」
「よーし、舌を出せ」
 まだストロークを再開するには辛く、リナルドのベロを求めた。
「んちゅ。ハァ~。チュッ」
 横を向けられた頭同士をくっつけて、舌を絡めまた口の蜜を交換し合う。口端から、舌先から、留めなく溢れ出る。

「あ、ふっ。ハァ、ハァ、ハァ」
「じゅるぅ~ッ。プハッ!」
 これほどかという分泌量に、キスだけで溺れてしまいそうになった。
 2人が慌てて口を離すと、ツーッと太い水橋が架かった。
「全く……。こんな形で俺を殺そうとするなんて、とんだ不敬だな」
 パスクは嫌味を言った。

「も、申し訳ありませンンッ! 不意打ちなんて……ハァァ……」
 咄嗟に謝ろうとしたリナルドに、さらなる悪逆非道な嫌がらせを加えた。下から勢いよく突き上げたのだ。
 抗議の声にすら甘さが乗って、周囲に蜜の香りさえ漂うようである。
「悪いな。もう、腰が止まりそうにない」
 リナルドの体を軽々と上下に動かして、キスで更に隆起した一物で腸壁をこすった。

「あ、あぁッ。ンンンッ~ッ!」
 まるで性処理道具のように扱われる背徳感も合わさり、騎士隊長の剣も張り裂けんばかりに立ち上がった。嬌声もとどまることを知らずに、臓腑から喉へと押し出された。
「今度こそッ! 行くぞ!」
「は、はひッ!」
 パスクがそう宣言した。

 答えてはみるものの、このまま出されては口から白濁蜜が溢れ出てしまうかもしれない。いや、リナルドのその剛直の切っ先から放出されるのか。
 もはやあの夜の記憶など絶頂と同時にホワイトアウトしていた。
 けれど、きっと今夜は、もっと満足ゆく日となるのだろう。
「リナルド! リナルド!」
 なぜなら、最愛の陛下がリナルドをリナルドとして抱いてくれているのだ。

「はいッ。ンァァ……ハァ、ぅんぅッ! だ、出してください! パスク!」
「あぁ! 出すぞ! 受け止めろ!」
「頂戴しますぅうぅぅぅッ! うぁぁぁぁ~~ッ!!!」
 幾度かのベンチプレスの後、ついに2人は絶頂を迎えた。
 2つの肉棒から同時に白蜜が吐き出され、リナルドなど五臓六腑に染み渡るかのような快感を覚えた。

 堪らない幸福感に体が打ち震え、その余韻にしばらく身を震わせながら浸り続ける。
 空は白み始めているが、リナルドの頭の中には星が瞬いているほど。パスクも同じ気持ちなのか、しばし射精を繰り返しながら抱きしめる。
「はぁ……はぁ……」
「ふぅー……ふぅぅ~……」
 呼吸を整える間に考えるのは、これが夢ではないという証明だ。

「パスク、もう一度……この夢から覚めたくない」
「あぁ。俺もだ」
 例え夢であっても、さらに繰り返せば現実になるかもしれない。そんなことを想いながら、第二ラウンドを懇願した。
 が、そんな甘味も長くは続かなかった。
 湯煙の中に、小柄な人影が浮かび上がり始めたからである。

「ッ!? はぁんッ! クッ!」
 リナルドは慌てて細剣に手を伸ばそうとパスクから離れる。が、クポリッと一物が抜ける感覚に思わず喘いでしまった。
 なんとか震える足で細剣までたどり着くも、パスクなど身を守る仕草もなく湯に体を沈めた。
「少しばかり野暮なんじゃねーか?」
 呆れた様子で湯気の向こうにいる人影へ声を掛けた。

「2人ほど仕事熱心でないものでな。いやぁ、それにしても良い湯だの」
 晴れていく白煙の向こうから聞こえてくるのは、明らかにケリュラ王妃の声だ。
「姫……いつ、から?」
 いくらかの意味を含んだ質問をリナルドがぶつけるも、それに対する明確な返答はないだろう。それぐらい、2年かそこらの付き合いで十分にわかっていた。
 姿を消してまでことが終わるのを待っていたのだから、少なくとも数分前には接近していたはずである。

 まさか気配を読めなかったとは、リナルドは逢瀬を邪魔されたことも合わせて悔しがった。
「まぁ、そうしょげなさんな。次の本の出来を期待して、戻ってからの訓練で手を打ってやろうかの」
 歯噛みするのがわかったか、ケリュラは高ぶった面持ちで条件を突きつけてきた。
 まさか、同人誌を試読の上に真剣での訓練を要求してくるとは思わなかった。が、断ればどんなからかいが待っているかわかったものではない。

「……わかりました。しかし、まだ戦後の処理が」
「わかっておる。私だって、戦死者の弔いの合間を見つけて来ているぐらいだしの」
「……ロジェも……」
「あぁ。ま、丁重に扱っとるよ」
 まだ忙しい時間が続くことを確認した上で、様々な問題を改めて突きつけられた。

 イータットから多少の賠償金が手に入るかもしれないが、戦の損害を補填できるほどでもない。
 新たに、欠けた戦力を補充もしなければならない。
 そんなやることの多い中、重役の3人が抜けてきたとなればどうなるか。
「それでは」「あぁ、流石にの」「逃げるか」
 感傷に浸っている暇もなく、3人は顔を見合わせて確認しあった。

 駆ける蹄の音。
 パスク達を呼ぶ声は――。
「陛下! オロッソ隊長! 姫!」
 ――どこに行ったかと問うのは宰相マキシのものだ。
「それ! 捕まったら雷が落ちるぞ!」
 3人は同時に温泉から飛び出し、衣服を簡単に纏うと岩場下の馬へと飛び乗った。

 そして駆け出す。その先にあるハイドロメルという未来に向かって。
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