上 下
49 / 50

48P・長く貴方と

しおりを挟む
 本質が獣たるパスクが、それに食いつかないわけがない。
 上質な肉を目の前にぶら下げられ、かつ挑発的に振り回されたのでは我慢ならないのは当然。
「わかっていたけどよ」
 自身も絶倫ではあるが、本気になったリナルドの厭らしさと卑しさに友も興奮する。ついつい舌なめずりしてしまうも、リナルドはほとんど聞いていなかったようだ。

 もはやちょっとやそっとの攻めでは満足させられないだろうと、パスクは腰を大きく動かして挿入を深める。
 たまらずリナルドが卑猥な声を上げる。
「あひぃぃ~ッ! お、おく! パスクのが、ゴリゴリって一気に!」
 もはや近衛騎士隊長の凛々しい姿などなく、ただ淫蕩に溺れる男メスがいるだけだ。
 それはこの世で最も大切な肉穴だ。

 故に、丁重に、しかし力強くストロークを繰り返す。
「お、ヒュッ! うぅあ、あ、ッッ! ~~!!」
 もはや声になっていない喘ぎ声を上げるリナルド。後ろからの挿入では顔こそ見えないが、どんな表情をしているのか容易に想像できた。
 そんな卑しい妄想で、さらに自らの剛直を怒張させた。
 それがまた肉穴とフィットして快感を増大させる。

 まさに止まらない快楽のスパイラル。
「クッ、やっぱり最高だ」
「は、はい! 好きなだけ私の穴を使ってください! パスク! あぁ、パスク!」
 パスクも隠し立てしにくくなるほどの名器だ。だらしなく蕩けたリナルドの口からも、忠誠を通り越した服従の言葉が出てきた。
 パスクも嬉しくなり、快楽の底へと引きずり降ろさんと腰の運動を早める。

「い、良い……! 気持ち、良い! 腰、焼けてしまう!」
「俺も、良いぞ! 俺のものも、燃えてなくなりそうだ!」
「もっと! もっと強く! 早く!」
 周囲に声が響いていることなど気にもせず、白み始めた空の下で腰を振り合う。互いに熱情で溶けて混ざりそうな勢いで。
 それをかき消すかのようにバッチュバッチュと水音を立てるが、水しぶきの音とは似ても似つかぬとても酷く淫猥な音色だった。

 結合部に染み出した汗とも温泉とも違う蜜は、これでもかとばかりに酸味のある淫臭を放つ。
「ハァ、ハァ……さすが名器。もう、出るぞ……!」
「は、はいッ……あぅあぁッ。どうぞ、いつでも出して。中に出してください~ッ!」
 蜂蜜酒で感覚の鈍かった暴走状態とは違い、やはりというべきか限界が既に近づいてきていた。
 しかし、パスクとて今の状況を長く楽しみたいため精一杯、絶頂に到達するのを遅らせる。

 小癪に、ストロークをやめて背中を曲げると、リナルドの首筋に口づけを交わす。
「は、ハァ……。パスク……そこはこそばゆい……」
 唇で脊髄の位置を撫でられる、ただその程度の軽い刺激でさえ気持ちが良かった。少し前から、水滴の流れる感触にさえ背筋がピクピクと震えていたぐらいだ。
「お前は誰の物だ? 俺の物だろ。黙って感じてろ」
 パスクはリナルドを黙らせた。

「はい……ッ。あぁッ! ぅぅう~ふー、ふー……」
 小さな快感を繰り返し与えられ、休まることもなければ頂点に到達することもない。
 パスクは、水面を通してリナルドの潤む瞳に睨まれながらも人肌を堪能する。簡単に果ててしまっては面白くないと、怒張を気休めながらもしばしクールダウンさせる。
「物足りないか。仕方ないヤツめ」
 意地悪を言うと、パスクはリナルドの胸へと腕を回した。

「パスク……あッ。ふ、んん……」
 焦らしてくる王に懇願しようとした瞬間、乳頭を指先でつままれる。力強くももう一歩のところで痛みにならない奇妙な感覚に、リナルドはうめき声を上げた。
 それの意味するところは簡単だ。
 いつの間にか、痛みで感じるようにされてしまっていたのだ。きっと、屈辱や羞恥でさえ人並みに快楽を得てしまうだろう。

「俺と離れている間に随分と育てて貰って」
「ちがッ」
「何が違う? ほら、乳首でヨガり狂えるじゃねぇか」
「ヒッ! あぁッ! ぅんんッ~!!」
 胸の小実を攻められ、言い訳しようにも無理やり引きずり出される嬌声でかき消される。己の体が恨めしくも、快楽に身を委ねてしまったリナルド。

「あぁぁッ! で、出る! パスクより先にいってしまう!」
 穴への圧迫感はあれども、乳首だけで最初の一回を吐き出すこととなった。
 岩場を白濁が染める。リナルドは絶頂に身を震えさせる。しばらく性の達成感で体の力が抜けるも、それを利用してパスクが体を反転させた。
 温泉の縁に座り、今度はリナルドを抱きかかえる。
 体重をかけることになり、力ずくだけでは入り切らなかった奥へとパスクの剛直が挿入される。

「あぁぁぁぁッ! だ、駄目! これッ……!」
 その快感たるや、あの近衛騎士隊長が悲鳴のようなヨガり声を上げるほどだ。
 一発目で落ち着きかけて折れた剣が、再び鍛えられ直剣に生まれかわった。
 加えて鞘の圧迫を強めることとなり、逆に自分のカリ首を絞める羽目となる。が、なんとか踏みとどまった。
「クッ……。まだまだ、元気じゃねーか……」
 パスクは少し強がった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

[BL]王の独占、騎士の憂鬱

ざびえる
BL
ちょっとHな身分差ラブストーリー💕 騎士団長のオレオはイケメン君主が好きすぎて、日々悶々と身体をもてあましていた。そんなオレオは、自分の欲望が叶えられる場所があると聞いて… 王様サイド収録の完全版をKindleで販売してます。プロフィールのWebサイトから見れますので、興味がある方は是非ご覧になって下さい

転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!

音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに! え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!! 調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。

君のことなんてもう知らない

ぽぽ
BL
早乙女琥珀は幼馴染の佐伯慶也に毎日のように告白しては振られてしまう。 告白をOKする素振りも見せず、軽く琥珀をあしらう慶也に憤りを覚えていた。 だがある日、琥珀は記憶喪失になってしまい、慶也の記憶を失ってしまう。 今まで自分のことをあしらってきた慶也のことを忘れて、他の人と恋を始めようとするが… 「お前なんて知らないから」

異世界ぼっち暮らし(神様と一緒!!)

藤雪たすく
BL
愛してくれない家族から旅立ち、希望に満ちた一人暮らしが始まるはずが……異世界で一人暮らしが始まった!? 手違いで人の命を巻き込む神様なんて信じません!!俺が信じる神様はこの世にただ一人……俺の推しは神様です!!

期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています

ぽんちゃん
BL
 病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。  謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。  五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。  剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。  加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。  そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。  次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。  一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。  妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。  我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。  こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。  同性婚が当たり前の世界。  女性も登場しますが、恋愛には発展しません。

【完結】僕の大事な魔王様

綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
BL
母竜と眠っていた幼いドラゴンは、なぜか人間が住む都市へ召喚された。意味が分からず本能のままに隠れたが発見され、引きずり出されて兵士に殺されそうになる。 「お母さん、お父さん、助けて! 魔王様!!」 魔族の守護者であった魔王様がいない世界で、神様に縋る人間のように叫ぶ。必死の嘆願は幼ドラゴンの魔力を得て、遠くまで響いた。そう、隣接する別の世界から魔王を召喚するほどに……。 俺様魔王×いたいけな幼ドラゴン――成長するまで見守ると決めた魔王は、徐々に真剣な想いを抱くようになる。彼の想いは幼過ぎる竜に届くのか。ハッピーエンド確定 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/11……完結 2023/09/28……カクヨム、週間恋愛 57位 2023/09/23……エブリスタ、トレンドBL 5位 2023/09/23……小説家になろう、日間ファンタジー 39位 2023/09/21……連載開始

【1/完結】ノンケだった俺が男と初体験〜ツンデレ君には甘いハチミツを〜

綺羅 メキ
BL
男同士の純愛、そこには数々のドラマがある! 事件や事故や試練に巻き込まれながら、泣いたり、笑ったり、切なかったり、ドキドキしたり、ワクワクしたり、雄介と望の波瀾万丈な心温まるような話を読んでみませんか? ある日の夜中、吉良望(きらのぞむ)が働く病院に緊急で運ばれて来た桜井雄介(さくらいゆうすけ)。 雄介は怪我をして運ばれて来た、雄介は望の事を女医さんだと思っていたのだが、望は女医ではなく男性の外科医。しかも、まだ目覚めたばっかりの雄介は望の事を一目惚れだったようだ。 そして、一般病棟へと移されてから雄介は望に告白をするのだが……望は全くもって男性に興味がなかった人間。 だから、直ぐに答えられる訳もなく答えは待ってくれ。 と雄介に告げ、望は一人考える日々。 最初はただ雄介と付き合ってみるか……というだけで、付き合うって事を告げようとしていたのだが、これが、なかなか色々な事が起きてしまい、なかなか返事が出来ない日々。 しかも、親友である梅沢和也(うめざわかずや)からも望に告白されてしまう。 それから、色々な試練等にぶつかりながら様々な成長をしていく望達。 色々な人と出会い、仲間の絆をも深めていく。 また、あくまでこれはお話なので、現実とは違うかもしれませんが、そこは、小説の世界は想像の世界ということで、お許し下さいませ。

【完結】乙女ゲーの悪役モブに転生しました〜処刑は嫌なので真面目に生きてたら何故か公爵令息様に溺愛されてます〜

百日紅
BL
目が覚めたら、そこは乙女ゲームの世界でしたーー。 最後は処刑される運命の悪役モブ“サミール”に転生した主人公。 死亡ルートを回避するため学園の隅で日陰者ライフを送っていたのに、何故か攻略キャラの一人“ギルバート”に好意を寄せられる。 ※毎日18:30投稿予定

処理中です...