上 下
48 / 50

47P・湯けむりに紛れず

しおりを挟む
「リナルド」
「陛下」
「この湯気だ。誰も見ていないんだから、名前で呼んでくれ」
「はい……パスク」
 互いに名前で呼び合うことを確認して、どちらからというわけでもなく足の間にある直剣を突き合わせた。

 熱された鉄棒のような2本は絡み合い、溶け合いヌラリと粘性を帯びていく。湯気に乗って男の蜜香が漂い、互いの鼓動が共鳴を始める。
 程々に兜合わせを行ったところで、まだ少し切っ先の濡れ具合が足りないことに気づく。
「流石に、このままでは辛いだろ」
 パスクの言う通り、子供の腕ほどはあろう剛直を潤滑油もなしに入れるのは辛い。そして、どうすれば良いかぐらい知っていた。

「……。では、奉仕しますね」
 リナルドは固唾を飲んで喉を鳴らし、兜の先に舌を這わせた。
「ペロ。はぁ……熱い」
「良いぞ。もっとカリも皮も、丹念に頼む」
 言われるままに、柔らかい外皮と肉に包まれた海綿体を舐める。肉棒を初めて口で相手したとは思えない、非常に丹念な舌使いで味わっていった。

 そして、蜜と唾液を帯びた先端をくわえ込む。
「んちゅ……おおき……。ぅん」
 口に入れるだけでも精一杯な男根を、リナルドは愛おしそうに吸う。顎が外れそうなほどに大きく熱々だが、パスクを愛する者にとっては至高の美味と言えた。
 ジュッポジュポと音を立てて吸い付き、寵愛の蜜を受け取ろうと頭をストロークする。
 当然、窮屈な口内で舌を動かしてカリの返し部分や鈴口を刺激するのを忘れない。

「あ、ぁ……良いぜ。初めてにしては随分と上手いじゃないか」
「そ、それはッ……その、才能があるのかも?」
 パスクに指摘されてしまったが、リナルドは今後に及んで口ごもる。モゴモゴとする動きも、パスクには心地よいようだ。
 しかし、その理由を話すのははばかられた。イメージトレーニングをしていたなどの理由もあるが。
 そんなリナルドの言い逃れを、パスクから口を封じるかのように腰を動かし始める。

「まぁ、良い。出すぞッ!」
「出してくださいッ! 陛下のものを、どうか私の口に!」
「うぅぉッ! 出るッ!」
 イラマへと変わった口淫は、喉と口腔の必死の抵抗により限界を迎える。ドクリと溢れ出した白濁蜜により、リナルドの口は完全に塞がれてしまった。
 美味だ。喉に絡みつくほどに濃く、甘みともつかぬ風味がスーッと鼻腔へ向かいその途中で脳へと流れ込む。

 瞬間、快感のための神経が爆発したかのようになる。ゾクリと震えが走ったかと思えば、カァッと鳥肌にも似た奇妙な感覚が全身を支配した。
「ハァ……ハァ……。陛下……」
「あぁ、まだ俺のは元気だ。後ろを向け」
 快感に蕩けた表情でパスクを見やれば、そう命じられた。
 リナルドは命じられるまま背中を向けて、岩場に手を突くと思惑通りにキュートなヒップを突き出す。

 腰にパスクの手があてがわれガッチリとホールドされるが、快楽に頭が融けているせいか、怖くないどころか異常なほど興奮を覚える。
 股間の剣は固く立ち上がり、今にも暴発してしまいそうだ。菊門が今か今かと、パスクの肉棒を欲しがって開閉しているのがわかるほどである。
「あぁぁッ……」
 巨根の切っ先が鞘口にあてがわれ、シワを撫でられた気持ちよさに小さく息を漏らした。
 まだ挿入さえしていない。

「ククッ。凄くいやらしいじゃないか。こんなヤツだとは思わなかったぞ」
 穴の縁を愛撫されるだけで感じるリナルドを見て、それが面白いのかパスクは悪戯に焦らした。
 白濁の残った剛直の熱を伝えてやって、欲しがる口の動きでしばし自分のものを慰める。
「へ、いか……。ください」
 我慢ならず、リナルドは甘えた声で懇願した。

 片手で白桃の筋を広げて、自らパスクの剛剣を飲み込もうと努力する。そんな愛らしさといじらしさに、パスクもたまらなくなったようだ。
「アヒュッ! ッ~~! あ、あぁ……」
 不意を突かれて穴に挿入されたことで、思わずおかしな嬌声を漏らしたリナルド。
 しかし、驚き以上にパスクが侵入してくることの快楽が勝った。
 神経を支配する快感の波に足が震えるも、崩れそうになる体はゆうゆうと支えられる。それだけに留まらず、リナルドの菊壷を味わうかのようにゆっくりと押し広げる。

「あぁぁぁッ! き、気持ち、良い……!」
「俺も、だ。まだ全然衰えないな」
「陛下? 陛下! 陛下ぁッ!」
 互いに快感を交換しあった。
 既に味わいあったことだが、それを知るのはドルナリンだけ。一瞬、なんのことかとリナルドは疑問に思うも、直ぐに波に流されていった。

「名前」
「も、申し訳、ありませんッ。パスク、もっとちょうだい!」
 脳みそが溶けそうになっているためか、少し前から呼び方が変わっていた。それをパスクに指摘され、慌てて言い直した。
 そして、ついでとばかりにねだってみる。
 既にきつく締め付けているにも関わらず、さらにさらなる奥への抽挿を願い出る。哀れみを誘うような目で懇願する。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

[BL]王の独占、騎士の憂鬱

ざびえる
BL
ちょっとHな身分差ラブストーリー💕 騎士団長のオレオはイケメン君主が好きすぎて、日々悶々と身体をもてあましていた。そんなオレオは、自分の欲望が叶えられる場所があると聞いて… 王様サイド収録の完全版をKindleで販売してます。プロフィールのWebサイトから見れますので、興味がある方は是非ご覧になって下さい

転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!

音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに! え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!! 調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。

君のことなんてもう知らない

ぽぽ
BL
早乙女琥珀は幼馴染の佐伯慶也に毎日のように告白しては振られてしまう。 告白をOKする素振りも見せず、軽く琥珀をあしらう慶也に憤りを覚えていた。 だがある日、琥珀は記憶喪失になってしまい、慶也の記憶を失ってしまう。 今まで自分のことをあしらってきた慶也のことを忘れて、他の人と恋を始めようとするが… 「お前なんて知らないから」

異世界ぼっち暮らし(神様と一緒!!)

藤雪たすく
BL
愛してくれない家族から旅立ち、希望に満ちた一人暮らしが始まるはずが……異世界で一人暮らしが始まった!? 手違いで人の命を巻き込む神様なんて信じません!!俺が信じる神様はこの世にただ一人……俺の推しは神様です!!

23時に明かりを消して

秋臣
BL
俺と晃は幼馴染。 家が近所で親同士も仲がいい、一緒にいるのが当たり前だったし、なんの疑問もなかった。 ある日兄貴のアパートに誘われた俺と晃に 兄貴はニヤリと笑ってこう言った。 「23時になったら明かりとテレビを消せ」 それが俺たちの関係を大きく変えることになるなんて思いもせずに…

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています

ぽんちゃん
BL
 病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。  謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。  五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。  剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。  加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。  そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。  次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。  一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。  妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。  我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。  こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。  同性婚が当たり前の世界。  女性も登場しますが、恋愛には発展しません。

【完結】僕の大事な魔王様

綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
BL
母竜と眠っていた幼いドラゴンは、なぜか人間が住む都市へ召喚された。意味が分からず本能のままに隠れたが発見され、引きずり出されて兵士に殺されそうになる。 「お母さん、お父さん、助けて! 魔王様!!」 魔族の守護者であった魔王様がいない世界で、神様に縋る人間のように叫ぶ。必死の嘆願は幼ドラゴンの魔力を得て、遠くまで響いた。そう、隣接する別の世界から魔王を召喚するほどに……。 俺様魔王×いたいけな幼ドラゴン――成長するまで見守ると決めた魔王は、徐々に真剣な想いを抱くようになる。彼の想いは幼過ぎる竜に届くのか。ハッピーエンド確定 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/11……完結 2023/09/28……カクヨム、週間恋愛 57位 2023/09/23……エブリスタ、トレンドBL 5位 2023/09/23……小説家になろう、日間ファンタジー 39位 2023/09/21……連載開始

処理中です...