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4篇目タイトル【蘇生の回廊】
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しかし、どうしてそのような話を始めたのだろうか。
「えぇっと、だからって何もしていませんから……。だいたい、岸さんには関係のない」
図星を突かれて焦っただけだろうが、思ってもいないような言葉が出そうになって淳平は口を閉じた。
「……そう、でしたね。出過ぎたことを言いました」
奈々も、さすがにプライベートな話題を振り過ぎたと反省して聞かなかったことにする。それからは、わずか数分のことではあったが互いに黙ってしまった。
金網の掃除を終わらせて、二人はなにも言わずに部屋へと戻った。
「あー、またオツった!」
「あ、ごめん」
「なんだい。上の空じゃん。あの後、なにかあったのか?」
「……いや」
ゲームをしていても奈々の態度が気になり、身が入らず直ぐに真吾に悟られてしまう。千春とのことであればいまさら隠すようなことでもないのだが、奈々についてはどう説明して良いかわからない。
真吾は、千春のときと変わらない様子で言う。
「まぁ、話せるようになったらいつでも言えよ」
「ありがとう」
淳平は、なんだかんだで良い友達を持ったと思えた。
頼れる友がいることもあって少し気が楽になった後は、変わらずゲームに没頭して数時間が経過する。
「おい!」
「!?」
隣からの音が聞こえないようにしていたゲームのイヤホンのせいで、扉がノックされていたことにもしばらく気づかなかった。呼びかけてきたのは行雄だろう。
真吾が慌てて扉を開ける。
「あ、あぁ、ごめんよっと」
「ったく、眠っちまったのかと思ったぜ。肝試しをするって伝えてあっただろ」
行雄だってさっきまで愛を試し合っていたというのに横柄な言い様だ。確かに予定を忘れていたのは事実だが。
さておき、どうやら皆集まっているらしい。部屋の前にいる四人とも、シャワーを浴びたらしく少し装いが変わっている。髪が完全に乾いていないのは、髪の長い千春と恵理だけ。
「……」
お風呂上がりでシャンプーやボディーソープの香りを漂わせる千春に、淳平はドキリとしてしまう。
「おら、何ボヤッとしてんだ。さっさと始めるぞ」
「あ、あぁっと」
行雄に急かされさっさと部屋から出た。
そして淳平は奈々とどう接して良いかわからず二の足を踏む。
「あ」
「……」
彼女は少し困ったような表情をしてから、フイッと視線を逸してしまった。
怒っているかどうかは判別できないものの、話しかけたりするのは今の所無理だろう。
「じゃあ、このクジを引け。二人でペアになるから、順番にこの廊下を反時計回りに進んで戻ってくるんだ」
悩んでいる間に行雄がことを進めていく。ありきたりな肝試しの手順ではあるが、できれば千春とのペアを期待したかった。
「えぇっと、だからって何もしていませんから……。だいたい、岸さんには関係のない」
図星を突かれて焦っただけだろうが、思ってもいないような言葉が出そうになって淳平は口を閉じた。
「……そう、でしたね。出過ぎたことを言いました」
奈々も、さすがにプライベートな話題を振り過ぎたと反省して聞かなかったことにする。それからは、わずか数分のことではあったが互いに黙ってしまった。
金網の掃除を終わらせて、二人はなにも言わずに部屋へと戻った。
「あー、またオツった!」
「あ、ごめん」
「なんだい。上の空じゃん。あの後、なにかあったのか?」
「……いや」
ゲームをしていても奈々の態度が気になり、身が入らず直ぐに真吾に悟られてしまう。千春とのことであればいまさら隠すようなことでもないのだが、奈々についてはどう説明して良いかわからない。
真吾は、千春のときと変わらない様子で言う。
「まぁ、話せるようになったらいつでも言えよ」
「ありがとう」
淳平は、なんだかんだで良い友達を持ったと思えた。
頼れる友がいることもあって少し気が楽になった後は、変わらずゲームに没頭して数時間が経過する。
「おい!」
「!?」
隣からの音が聞こえないようにしていたゲームのイヤホンのせいで、扉がノックされていたことにもしばらく気づかなかった。呼びかけてきたのは行雄だろう。
真吾が慌てて扉を開ける。
「あ、あぁ、ごめんよっと」
「ったく、眠っちまったのかと思ったぜ。肝試しをするって伝えてあっただろ」
行雄だってさっきまで愛を試し合っていたというのに横柄な言い様だ。確かに予定を忘れていたのは事実だが。
さておき、どうやら皆集まっているらしい。部屋の前にいる四人とも、シャワーを浴びたらしく少し装いが変わっている。髪が完全に乾いていないのは、髪の長い千春と恵理だけ。
「……」
お風呂上がりでシャンプーやボディーソープの香りを漂わせる千春に、淳平はドキリとしてしまう。
「おら、何ボヤッとしてんだ。さっさと始めるぞ」
「あ、あぁっと」
行雄に急かされさっさと部屋から出た。
そして淳平は奈々とどう接して良いかわからず二の足を踏む。
「あ」
「……」
彼女は少し困ったような表情をしてから、フイッと視線を逸してしまった。
怒っているかどうかは判別できないものの、話しかけたりするのは今の所無理だろう。
「じゃあ、このクジを引け。二人でペアになるから、順番にこの廊下を反時計回りに進んで戻ってくるんだ」
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