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11話目・女の子は男の人より身だしなみとかメイクに気を使わされているんです。もっとプリーズマネー!
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「そこをどうにかするのがお姉さんの仕事でしょ?」
「そうかもしれませんけどぉ! 取っ掛かりが何もないと困るじゃないですかぁ!」
二人して言い争う。ただ、部屋の住人がでてくるまでに話は解決しなかった。
「どなた? 夜なので静かにして欲しいんだけど」
ボソボサの長髪を蓄えた女性が気だるそうに出てくる。
さながら締切直前の真清自身を見ているような、ヒドい姿である。しかし、記者経験から相手がどういった人物なのかある程度の推測が可能だった。
何らかの作家だろう。
「あー、すみません。ちょっとお話を伺いたく……あ、私こういう者です」
真清は破れかぶれになって取材に挑んだ。
「フリーの、ジャーナリスト? えっと、良くこんなところへ……」
作家さんらしき女性は名刺を受け取ると、職業を先に確認して驚いた顔をした。ミレイの言からすれば彼女らが出会うような職ではないだろう。
彼女らというのは、壁が薄いのかビックリ声でちらほらと様子を伺いにでてきたのだ。皆、似たような生きた屍めいた顔をしている。
「お一人、ですか?」
最初の作家女性は周りの迷惑を考えて次の段階に移行しようとした。取材としては有利に進めているが、ミレイの存在が不信感という点でネックになっていた。
彼女らには見えないのだ。
「え、えっと、独り言を。それはさておき、お話を伺わせてもらえます?」
無理やりにでもごまかし懐に入り込もうとする。テクニックの一つ、腰を低くしながらも室内にズイズイと入り込む。不法侵入ではなくお願いだ。
「でも……そんなことしたら」
「名前は出しませんから。それに、とある筋からの情報だとこのことを記事にするのが最善だと聞いています」
作家たちが何を怖がっているのかなんとなくわかった。一部の人間しか安寧を得られないこの街のシステムに。
それは、少し覗けた部屋の様子からわかった。
4畳半。布団と漫画の画材を並べれば他に家具など置けない。
「えぇっと……」
「アナタの置かれている状況、普通じゃないですよね? いえ、アナタたちの、でしょうか」
「……」
ためらう漫画家女性に決定的な一言を叩きつけた真清。漫画家女性はそれが効いたらしく無言で扉を開くのだった。
一応、ボロアパートボロアパートと言いつつも川辺で見たあばら家に比べればマシだ。しかし、精神的には追い詰められている感じがある。
「なんにもないけれど」
「あ、お構いなく。さて……」
漫画家女性が座席を用意している間に、真清はスマホのボイスレコーダーを起動した。加えて、チラッとミレイの方を見やってアイコンタクトを送る。
「そうかもしれませんけどぉ! 取っ掛かりが何もないと困るじゃないですかぁ!」
二人して言い争う。ただ、部屋の住人がでてくるまでに話は解決しなかった。
「どなた? 夜なので静かにして欲しいんだけど」
ボソボサの長髪を蓄えた女性が気だるそうに出てくる。
さながら締切直前の真清自身を見ているような、ヒドい姿である。しかし、記者経験から相手がどういった人物なのかある程度の推測が可能だった。
何らかの作家だろう。
「あー、すみません。ちょっとお話を伺いたく……あ、私こういう者です」
真清は破れかぶれになって取材に挑んだ。
「フリーの、ジャーナリスト? えっと、良くこんなところへ……」
作家さんらしき女性は名刺を受け取ると、職業を先に確認して驚いた顔をした。ミレイの言からすれば彼女らが出会うような職ではないだろう。
彼女らというのは、壁が薄いのかビックリ声でちらほらと様子を伺いにでてきたのだ。皆、似たような生きた屍めいた顔をしている。
「お一人、ですか?」
最初の作家女性は周りの迷惑を考えて次の段階に移行しようとした。取材としては有利に進めているが、ミレイの存在が不信感という点でネックになっていた。
彼女らには見えないのだ。
「え、えっと、独り言を。それはさておき、お話を伺わせてもらえます?」
無理やりにでもごまかし懐に入り込もうとする。テクニックの一つ、腰を低くしながらも室内にズイズイと入り込む。不法侵入ではなくお願いだ。
「でも……そんなことしたら」
「名前は出しませんから。それに、とある筋からの情報だとこのことを記事にするのが最善だと聞いています」
作家たちが何を怖がっているのかなんとなくわかった。一部の人間しか安寧を得られないこの街のシステムに。
それは、少し覗けた部屋の様子からわかった。
4畳半。布団と漫画の画材を並べれば他に家具など置けない。
「えぇっと……」
「アナタの置かれている状況、普通じゃないですよね? いえ、アナタたちの、でしょうか」
「……」
ためらう漫画家女性に決定的な一言を叩きつけた真清。漫画家女性はそれが効いたらしく無言で扉を開くのだった。
一応、ボロアパートボロアパートと言いつつも川辺で見たあばら家に比べればマシだ。しかし、精神的には追い詰められている感じがある。
「なんにもないけれど」
「あ、お構いなく。さて……」
漫画家女性が座席を用意している間に、真清はスマホのボイスレコーダーを起動した。加えて、チラッとミレイの方を見やってアイコンタクトを送る。
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