1500人の女に何が起こったのか

AAKI

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6話目・なーんで男の人って素直じゃないんでしょうね? こっちはこんなに察して上げてるのに、ちょっとどころじゃなく不公平じゃないですかぁ!?

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 今晩の宿泊先となるホテルへの道中、車内にこれまでのような会話さえもない。たどり着いた後も特に質問などせず客室へと案内されるまま入った。

「注意点だけど、夜間は出ないでね」

 扉が閉じ切る前にあゆみは言った。顔の半分だけが覗いている。

「それはまたどうしてです?」

 いろいろと思うところはあったが、当たり前に出てくる質問にはずは限定した。
 女性だけの街ならば夜も安全ではないかと。いや、あくまで確率的な話だが。

「一応、アナタは他所の人だから」

 あゆみは短く答えた。

「確かに信用はないですよね」

 真清も納得を示す。

「では、また明日。おやすみなさい」
「はい。おやすみなさい」

 怪しまれないように無知を演じた。扉が閉まったところで、内心ホッとするのだった。
 振り返れば、割りと普通の部屋があって更に安心する。ベッドとローテーブル、ドリンクの入った小型の冷蔵庫がサービスされたビジネスホテルの一室。シャワールームもある。

「普通過ぎるのが逆に怖いですが……」

 これまでの脳裏に引っかかる部分のせいか、返って良く見る光景というのが異常に感じた。さすがに心配し過ぎかとも思った。
 一応、監視や盗聴をされていないか調べる。

「携帯電話のカメラ機能に監視装置の赤外線が映るんでしたか」

 知り合いや適当な情報から得た知識に動員をかけ隅々まで探した。
 やはり考え過ぎだったらしく、盗聴器を発見する機器も無駄に終わった。しかし、ホテルの駐車場をカーテンの隙間から見下ろすと、あゆみの車に別の誰かが乗り込みそして彼女の方は歩き去る。

「愉快な動きじゃないですねぇ」

 真清はつぶやいた。要するに、外へ出ないかだけは見張っているわけだ。
 ホテルのロビーには軽食や酒が飲めるバーもあり、そこまでは問題ないということなのだと思われる。

「あの子には悪いですけれど……」

 学校で遭遇した少年が脳裏に浮かぶも諦め、なかなかに悪くない弾力のベッドに背中からダイブした。
 そんなタイミングでスマホが着信を告げたため、急いでカバンに飛びつく。

『なんだよ、ピンチって……?(既読)』

 そんな気だるそうな返事に続いて着信が繰り返される。

『また面倒事に首を突っ込んだのか?(既読)
 助けに行かねぇぞ!(既読)
 前はいつもそうやって!(既読)』

 文句ばかりだが真清にはわかる。彼なりに心配してくれているのだ。
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