95 / 99
16-凡常
096 議員の息子
しおりを挟む
「精神的なダメージを負っているのはあなたも同じです」
年老いた医師は微笑みを絶やさず、ゆったりとした口調で話す。
「外傷は特に問題なし、神経も異常は見られない」
「西湖は……身体に毒の残らない毒薬を開発していました」
「毒が身体に残らなくてもね、体内に異常があればすぐに判る。僕らはプロだよ。君は脳には何の問題もない。綺麗だ」
「脳には、ですか」
目に見えない原因のせいで、足が武者震いのように細かく震える。
「他のお医者さんに聞いた話だと、足も手も美しい。神経もやられていない。問題なのは、ここ」
医師は自身の胸元を数回叩く。
「君は充分に守った。命ふたつあったんだ」
「ですが」
ルカは食ってかかってしまい、口を閉じる。
「景森君の心配ばかりする必要はない。彼も充分に戦っている。声もいずれ出るようになる」
「そうですか……」
「君はリハビリの時間をもう少し短くしなさい。長くしても良くなるわけじゃない。身体が悪いわけではないのだから」
お礼を言い、ルカは診察室を出る。ソファーに縮こまる青年は立ち上がり、ルカの側に駆け寄った。
「待っていて下さったのですか?ありがとうございます。このまま少し、外の空気でも吸いに行きましょうか」
悠は俯いた。
「大丈夫。顔を出さなければ撮られる心配はありません」
悠は首を横に振る。
「心配ですか?それなら、このまま部屋に戻りましょう」
病室の窓にはカーテンが敷かれ、外を見渡せないようになっている。マスコミに部屋がばれてしまっているための対策だった。
部屋に戻る頃には、額に汗が浮かんだ。病院内の暑さと、慣れない松葉杖はルカの体力を奪う。
水とジンジャーエールでそれぞれの喉を潤していると、見慣れない子供がドアを開け、隙間から覗いている。
「どうしました?」
ルカが声をかけると、少年は驚いたように目を大きくした。
「道に迷いましたか?あなたの病室はここではありませんよ」
「テレビで、みた」
少年はルカから目を逸らさない。
ルカは困惑し、愛想笑いを浮かべた。よりによって、今一番言われたくない言葉だ。
「気のせいです。外国人なので、よく似ていると言われます」
「ふーん」
さも興味なさそうに、次の興味の対象は悠に移る。子供が好きな悠でも、毛布を被り拒否の姿勢だ。
「こちらのお兄さんはお休み中です。ご用件はなんでしょう?」
「ふん」
腕を組み、ふんぞり返る姿は子供らしからぬ仕草だ。ルカはその姿をどこかで見た気がした。
少年の背後から足音が反射し、二重になって聞こえると思えば、二人の医師が息を切らして病室に入ってきた。
「早川君、ダメだよ勝手にうろうろしちゃ」
「うるせーな。パパにいいつけるぞ」
「はいはい。何でもいいから病室戻ろう」
口は悪く、父親は権力者であると読み取れる言い方だ。名残惜しそうに出ていく少年は、どこか寂しげで物悲しく見えた。
「悠、聞こえましたか?」
布団から出した顔は少し赤い。暑さのせいで熱がこもっている。ルカは額に手を当てると、悠は気持ちいいと息を吐いた。
スマホで早川と検索すれば、一番上に名前が出た。今世間を賑わせている、国会議員だ。不正にお金を受け取ったと悪い意味で話題が持ちきりで、検索をしていくと一人息子の存在もあきらかとなる。あろうことか、息子の顔写真をブログに上げていた。先ほどの少年より幼いが、顔つきは父親に似ていた。
「腕を組む仕草も同じでした。父親を真似ているのでしょうね。にしても、何のご用だったのでしょう」
悠はメモ帳にペンを走らせていく。
──お腹空きました。
はっきりとした筆の強い書き方に、ルカは喉の奥で笑う。つられて悠も笑う。
「ですね。残ったカリソンと、チョコレートを少し食べますか?」
力強い頷きだ。この子の笑顔だけは絶対に絶やさないと、ルカは心に誓った。
昼食後、読書をして過ごしていると、またもや少年は訪れた。
「来てやったぜ」
「頼んでいませんが」
しれっと冷たく言い放つと、少年の顔に焦りの色が浮かぶ。
「オレのパパはな、すげー人なんだぞ!」
「国会議員でしたか?生憎私は外国人でして、この国の政治とは無縁です。何より、あなたの父君には少しも興味が沸きません」
ルカは本に視線を落とした。悠がおすすめしてくれたミステリー小説であり、人物や伏線の書き方などよく作り込まれている。
「ま、まてよ。パパに言いつければ、すぐに日本なんかほろんじゃうんだからな!」
「そうですか。ならば国に帰るだけです」
悠も興味がなさそうに、布団を被ったままあやとりをしている。日に日に腕前は上がり、今では東京タワーをモチーフとした応用編・東京スカイツリーまで作り上げる始末だ。
「いいのか?」
「どうぞ」
「日本がきらいか?」
「好きですが、滅ぶのならば仕方がないでしょう。何も日本だけが世界ではない。地球は広い」
あやとりをする手が止まり、悠はルカを見上げた。
「お話は以上ですか?ならばお迎えを呼びましょう。血眼で医師が捜していると思いますよ」
枕元のボタンに手をかけると、少年は待って待ってと地団駄を踏んだ。
「まだ何か?」
「お、おれの……ひしょにしてやってもいいぞ!」
自信に満ちた言い方だが、歪んだ霊魂からは不安と緊張が交錯している。
「随分と難しい言葉を知っていますね。では医師を呼びます」
「まってまって!呼ばないで!話があるんだ!」
おろおろと悠はルカの腕を掴んだ。
言葉を話さなくなった悠であっても、最近は動きや表情で感情の読み取りが出来るようになった。今の悠は「話を聞いてあげて」だ。
「……最初からそう言えばいいものを。話とは?」
「父ちゃんが、ヤバいんだ」
「何がどう『ヤバい』のですか?」
「マスコミとかさ、家に追いかけてきて、家に帰ってこないんだ」
「事務所にいるのですか?」
「事務所とか、ホテルだって」
「なぜ帰ってこないのか、あなたは知っていますか?」
「うーんと……」
言いにくいのか、声が小さくなった。
「パパが、お金をいっぱいもらったとかで」
「警察が調べている最中でしょう。あなたはなぜ入院を?」
「かぜって言ってた」
「風邪、ですか」
ルカも悠も押し黙ってしまった。風邪など、見え透いた嘘だ。詳しい病状を知らないふたりですら見抜ける。
「ほんとは知ってるんだ。かぜじゃないって。オレさ、ねつないしせきもでないし」
「熱も咳もない風邪はあります。医師にお任せしなさい。ここにやってきたということは、個人部屋ですか?」
「うん、だれもいない。ビックだろ?」
「ビックなのはあなたではなく、良くも悪くもあなたの父親です」
「そっちの兄ちゃんはなんでしゃべんないの?」
悠の身体は大きく揺れる。ルカは肩に手を置いた。
「風邪です。声が出づらくなったのです」
「ふーん」
「風邪でも入院するのです。ところで、用件とは話を聞いてもらいたかったのですか?」
「ちがう。なんかさ、夜になると……へんなかんじがするんだ」
「どのような意味でしょう」
「……寝てると声がするんだ」
羞恥も重なり、子供は唇を尖らせた。
「あっ今バカにしただろ!」
「人に見えない者や迷信の類は恐怖の対象であっても、何らおかしいことはありません。異様なのは、恐怖に震えるのに馬鹿にし、蔑む」
太股が微かに震え出し、ルカは強く擦った。
「夜に声がするので正体を暴いてほしい、という依頼でしょうか」
「そう、それだ。女の声がする」
「あなたに対し、何か言うのですか?」
「オレのかんちがいかもしれないけどさ、あそぼうとか、そっちじゃないよ、とか」
「なるほど。依頼の内容は理解しました。ですが無料で引き受けるほど、安くはありません」
「え、金とるのかよ!」
「当たり前でしょう。なぜタダで私が受けると思ったのです?」
「でも……パパはかねもちだけど、オレはそんなにないよ」
「お小遣いはいくらなのです?」
「千円」
「……日本の小学生の相場が判りません。高いのですか?」
親のブログに生年月日が書かれていて、計算すると今は小学一年生だ。
悠に問うと、高い、と吐息が漏れる。
「確かに、月に千円は高いかもしれませんね」
「つき?一日で千円だけど。やすくね?」
「………………」
ルカは咳払いをした。
「ポケットに何を入れているのですか?」
「今はやってるカードゲームだよ。オレすっげーつええカードもってるんだぜ!」
「学校で友達と遊んでいるのですか?」
「……まあね」
少年は口をへの字に曲げ、まだ発達途中の身体を縮こませた。
「へえ?見せて下さい」
大人がテレビCMなどで力を入れ、最近流行りだしたカードだ。大人の事情で流行を作ったものでも、例え手の上で踊らされても、無邪気でときに残酷な子供は気づかない。
「そのカードで手を打ちましょう」
普通のカードとは違い、縁が黄金色に輝いている。ルカは口角を上げた。
「これはダメだよ……パパに買ってもらったんだから。プレミアってのついてたんだし」
「お父上の力をお借りしなければ解決が出来ないのですね」
少年は顔を上げると、やけに目元に力が入っていた。瞼やこめかみの辺りが細かく動き、黙りこくった。
まるで意地と意地との張り合いだ。子供相手に負ける気はしないが、隣で袖を掴む子供に戻った青年だけが気掛かりだ。青年は顔を上げる。大丈夫、と言っている気がした。全信頼を寄せる目に、いつも励まされ、命が危ぶまれても生き抜く力を見つけていけるのだ。
「じゃあ、いいよ」
たかがカードであっても、少年にとってはされどカード。震える指先から優雅にカードを受け取ると、ルカは胸ポケットに差し入れた。
見計らっていたかのようなタイミングで、病室の引き戸が開く。眉間に皺を寄せ、頬をひくつかせる医師は少年の専属医師だ。
「りおん君、いい加減にしないと怒るよ」
りおんと呼ばれた少年は腕を組み、鼻を鳴らした。
「うるせー。パパにさからえないくせに!」
「はいはい」
騒がしい台風はあっという間に過ぎた。悠はうとうとしている。時々はっと目が覚めては辺りを見回し、あやとりをし始める。そしてまた船を漕ぎ、枕に顔を埋めた。自分のベッドで過ごすときは食事のときくらいだ。
しばらくするとうなされ、苦しそうに息を吐く。何の夢を見ているのか怖くて聞けず、軽く身体を撫でて起こす。長い睫毛を揺らし、目を開けた悠を見て、生きていると実感できた。緊張の高まった太股は小刻みに震え、自分の足ではないように動く。
「悠、袖にスープが付きそうですよ」
目を擦りながらの夕食は、味が判っているのかどうかも怪しい。白米と肉じゃが、ワカメとネギのみそ汁にゴーヤの漬け物。そしてデザートにはオレンジがひと切れついている。
「ほら」
袖を肘の辺りまで捲ると、痛々しい包帯が見える。拘束された腕にはまだ痣が残っていた。
本当に子供のようだ。捲られた袖を見ては嬉しそうに笑い、身を乗り出して反対側の腕も突き出す。
「弟ができたみたいです」
うれしい、と唇が動く。こうなったら、目一杯可愛がって甘やかすしかない。
「悠、先ほどの早川りおんさんの件ですが、霊救師の仕事が入りました。病院での依頼というのもなかなか珍しいものです。悠はどうしますか?動くのは深夜になりますが、寝ていますか?」
首を横に振った。勢いが強く、伸びた前髪が揺れる。
「ついてきます?」
今度は縦に振った。
「では深夜、一緒に参りましょう。いろいろ試したいこともありますし」
消灯は午後九時、廊下や病室の明かりが消え、暗闇が訪れた。小さな寝息は心地良く、安心しきった鼓動の音が眠気を誘う。ルカも目を閉じ、石鹸の匂いに次第に意識を手放していく。
まだ太陽も眠りから覚めず闇に包まれた中、気配で目を覚ました。すぐ横には大きな目がまっすぐに自分を見据えていて、ルカは驚いて身体が跳ねる。
「起きていたのですか?起こしてくれても良かったのですよ」
何とも言い難い反応だ。縦でも横でもなく、首を傾げている。
「もしかして、起こしました?」
首を縦に振り、はにかんだ。
意識がはっきりしてくると、廊下の足音が聞こえてくる。悠も身を固くし、鼓動が早くなっていく。やがて遠ざかると、眼を合わせて互いに笑みを零した。
「そろそろ参りましょうか」
病院での依頼だが、ここは霊の温床だ。人と霊の区別が付きにくい者もうろうろしていて、中には気を持っていかれてしまいそうなほど悪意の強い者もいる。
ルカの病室からはさほど離れていない。二つ先の部屋の前で止まり、ネームプレートを確認したのち数回ノックをする。返事はない。
引き戸を引き、隙間に身体を滑り込ませた。松葉杖もだいぶ慣れた。
大きなベッドには小さな身体が横たわっていて、まるでVIPルームにいるかのようだ。起きる気配はない。
「いますね。あそこに」
悠も頷き、ベッドの横を見た。りおんとさほど変わらないくらいの少女がいた。無意識に害意のある霊魂を垂れ流しにして、厄介であり無邪気である。
「なぜ、ここにいる?」
じっと横になる少年を見ていた少女は顔を上げた。さり気なく悠を庇うように、松葉杖を彼の前に置く。
「なぜ、あなたはりおんさんの元へ?」
もう一度問うと、ようやく口を開いた。
──おんなじ、病気だから。
「どこが悪いのです?」
──しんぞう。
「友達になりたかったのですか?」
話の核心を突かれ、目が泳ぐ。花柄のワンピースを掴み、小さな皺ができた。
寝息を立てていた少年は唸り声を上げ、瞼を開けた。
「ひっ……」
悲鳴を上げる直線、悠は人差し指を立てる。りおんは声を飲み込み、何度も頷いた。
「ひいっ……!」
二度目の悲鳴を上げる。枕元に小さな少女が立っていたためだ。
「霊感が強いようですね」
「えっ、ほんとに?おばけがいるの?」
「お化け、ですか。日本の子供はそのように表現をするみたいですね」
「えーっ、まって!オレころされる!」
「お静かに、あなたは死にません。りおんさんに話があるようです。さあ、どうぞ」
上手くいけば、数分で終わる話だったのだ。少女はどうやらややこしくしたいらしく、にっこりと笑みを作る。
──あのね、いっしょに死んで。
暗闇から静寂が落ちた。
「どうしてこう、子供というのは理解不能な生き物なのでしょう」
ルカは頭を抱え、盛大に嘆息を吐く。
「りおんさん、そのような顔をしなくて結構。依頼を受けた私が殺させませんので。あなたのお名前を教えて下さい」
──さな。
「さなさんですね。先ほどと仰ることが異なるようですが」
──だって、さなはここじゃあそべないんだもん。
「遊ぶというのは、何も公園やカードゲームだけではありませんよ。一緒にお話ししたりすることも、遊びに含まれます。どうしました、悠?」
メモ帳を見せられ、ルカは覗き込んだ。
──幼稚園の先生?
悪戯に笑う悠の頭をがしがしと撫でた。
「あなたは学校や幼稚園で友達の作り方を学ばなかったのですか?」
「それは、まあ……うん」
風船のように勢いは萎み、少年は頭を掻く。
言い出した本人は心が痛む。実際はルカにとっても頭の痛い話だ。尻目に悠を見やるも、彼も何とも言い難い顔で冷や汗をかいている。
「友達になりたいのならば、何か言葉を添えるのがいいかと思います」
おもいっきり、ルカは目を逸らしながら言った。
「……ひしょにしてやる」
「………………」
「どうだ?」
「もしかして、友達がいないのですか?」
渾身の一言はりおんめがけて叩きつけた。
「ばっばかにするな!」
「ではいるのですか?」
「………………」
「カードゲームは誰と遊ぶのです?」
「……やったことない。あいつら、オレのことばかにするし」
「馬鹿にしているのはあなたでは?」
ついには無言になってしまった。泣かずに口を曲げるのはプライドの高さがそうさせている。
「友達の作り方、わかんないし」
「最初からそう言えばいいものを」
「じゃあお前は知ってんのかよ!」
ルカは唇に指を当てながら目を伏せた。
「そうですね……助け合い、でしょうか」
「なにそれ」
「困っている人を見かけたら助けてあげる。それができるようになれば、きっと相手も友達だと思ってくれます」
「たすけたことあるの?」
「どちらかというと、私は助けられた側です」
恥ずかしくて、悠の視線を受け止めきれない。
熱い視線から逃れるため、松葉杖で身体の位置をずらした。
「たすけあい……」
「りおんさんから聞いてみたらいい。何か困っていることはないか、と」
「……なにか、こまってる?」
ぎこちない言葉はさなに向けられた。さなは身体をもじもじさせる。
──いちどでいいから、本をよんでほしい。
「本が好きなのですか?」
──うん。げんきになったらよんでくれるってママがいったのに。
「教材の本を、読んであげたらいかがです?」
「え、オレが?」
「お友達になるには、困っている人を助けると先ほど言いました。今こそ、そのときでは?」
「うーん……オレあんまりうまくないよ」
「上手い下手の問題ではないかと。心のこもったプレゼントは、とても尊いものです。ですが、まずはしっかりと睡眠を取り、ご飯を食べてからにしましょう」
何度も欠伸を繰り返す少年は、限界が近づいている。
横を見れば、こちらも目を擦る青年がいた。
年老いた医師は微笑みを絶やさず、ゆったりとした口調で話す。
「外傷は特に問題なし、神経も異常は見られない」
「西湖は……身体に毒の残らない毒薬を開発していました」
「毒が身体に残らなくてもね、体内に異常があればすぐに判る。僕らはプロだよ。君は脳には何の問題もない。綺麗だ」
「脳には、ですか」
目に見えない原因のせいで、足が武者震いのように細かく震える。
「他のお医者さんに聞いた話だと、足も手も美しい。神経もやられていない。問題なのは、ここ」
医師は自身の胸元を数回叩く。
「君は充分に守った。命ふたつあったんだ」
「ですが」
ルカは食ってかかってしまい、口を閉じる。
「景森君の心配ばかりする必要はない。彼も充分に戦っている。声もいずれ出るようになる」
「そうですか……」
「君はリハビリの時間をもう少し短くしなさい。長くしても良くなるわけじゃない。身体が悪いわけではないのだから」
お礼を言い、ルカは診察室を出る。ソファーに縮こまる青年は立ち上がり、ルカの側に駆け寄った。
「待っていて下さったのですか?ありがとうございます。このまま少し、外の空気でも吸いに行きましょうか」
悠は俯いた。
「大丈夫。顔を出さなければ撮られる心配はありません」
悠は首を横に振る。
「心配ですか?それなら、このまま部屋に戻りましょう」
病室の窓にはカーテンが敷かれ、外を見渡せないようになっている。マスコミに部屋がばれてしまっているための対策だった。
部屋に戻る頃には、額に汗が浮かんだ。病院内の暑さと、慣れない松葉杖はルカの体力を奪う。
水とジンジャーエールでそれぞれの喉を潤していると、見慣れない子供がドアを開け、隙間から覗いている。
「どうしました?」
ルカが声をかけると、少年は驚いたように目を大きくした。
「道に迷いましたか?あなたの病室はここではありませんよ」
「テレビで、みた」
少年はルカから目を逸らさない。
ルカは困惑し、愛想笑いを浮かべた。よりによって、今一番言われたくない言葉だ。
「気のせいです。外国人なので、よく似ていると言われます」
「ふーん」
さも興味なさそうに、次の興味の対象は悠に移る。子供が好きな悠でも、毛布を被り拒否の姿勢だ。
「こちらのお兄さんはお休み中です。ご用件はなんでしょう?」
「ふん」
腕を組み、ふんぞり返る姿は子供らしからぬ仕草だ。ルカはその姿をどこかで見た気がした。
少年の背後から足音が反射し、二重になって聞こえると思えば、二人の医師が息を切らして病室に入ってきた。
「早川君、ダメだよ勝手にうろうろしちゃ」
「うるせーな。パパにいいつけるぞ」
「はいはい。何でもいいから病室戻ろう」
口は悪く、父親は権力者であると読み取れる言い方だ。名残惜しそうに出ていく少年は、どこか寂しげで物悲しく見えた。
「悠、聞こえましたか?」
布団から出した顔は少し赤い。暑さのせいで熱がこもっている。ルカは額に手を当てると、悠は気持ちいいと息を吐いた。
スマホで早川と検索すれば、一番上に名前が出た。今世間を賑わせている、国会議員だ。不正にお金を受け取ったと悪い意味で話題が持ちきりで、検索をしていくと一人息子の存在もあきらかとなる。あろうことか、息子の顔写真をブログに上げていた。先ほどの少年より幼いが、顔つきは父親に似ていた。
「腕を組む仕草も同じでした。父親を真似ているのでしょうね。にしても、何のご用だったのでしょう」
悠はメモ帳にペンを走らせていく。
──お腹空きました。
はっきりとした筆の強い書き方に、ルカは喉の奥で笑う。つられて悠も笑う。
「ですね。残ったカリソンと、チョコレートを少し食べますか?」
力強い頷きだ。この子の笑顔だけは絶対に絶やさないと、ルカは心に誓った。
昼食後、読書をして過ごしていると、またもや少年は訪れた。
「来てやったぜ」
「頼んでいませんが」
しれっと冷たく言い放つと、少年の顔に焦りの色が浮かぶ。
「オレのパパはな、すげー人なんだぞ!」
「国会議員でしたか?生憎私は外国人でして、この国の政治とは無縁です。何より、あなたの父君には少しも興味が沸きません」
ルカは本に視線を落とした。悠がおすすめしてくれたミステリー小説であり、人物や伏線の書き方などよく作り込まれている。
「ま、まてよ。パパに言いつければ、すぐに日本なんかほろんじゃうんだからな!」
「そうですか。ならば国に帰るだけです」
悠も興味がなさそうに、布団を被ったままあやとりをしている。日に日に腕前は上がり、今では東京タワーをモチーフとした応用編・東京スカイツリーまで作り上げる始末だ。
「いいのか?」
「どうぞ」
「日本がきらいか?」
「好きですが、滅ぶのならば仕方がないでしょう。何も日本だけが世界ではない。地球は広い」
あやとりをする手が止まり、悠はルカを見上げた。
「お話は以上ですか?ならばお迎えを呼びましょう。血眼で医師が捜していると思いますよ」
枕元のボタンに手をかけると、少年は待って待ってと地団駄を踏んだ。
「まだ何か?」
「お、おれの……ひしょにしてやってもいいぞ!」
自信に満ちた言い方だが、歪んだ霊魂からは不安と緊張が交錯している。
「随分と難しい言葉を知っていますね。では医師を呼びます」
「まってまって!呼ばないで!話があるんだ!」
おろおろと悠はルカの腕を掴んだ。
言葉を話さなくなった悠であっても、最近は動きや表情で感情の読み取りが出来るようになった。今の悠は「話を聞いてあげて」だ。
「……最初からそう言えばいいものを。話とは?」
「父ちゃんが、ヤバいんだ」
「何がどう『ヤバい』のですか?」
「マスコミとかさ、家に追いかけてきて、家に帰ってこないんだ」
「事務所にいるのですか?」
「事務所とか、ホテルだって」
「なぜ帰ってこないのか、あなたは知っていますか?」
「うーんと……」
言いにくいのか、声が小さくなった。
「パパが、お金をいっぱいもらったとかで」
「警察が調べている最中でしょう。あなたはなぜ入院を?」
「かぜって言ってた」
「風邪、ですか」
ルカも悠も押し黙ってしまった。風邪など、見え透いた嘘だ。詳しい病状を知らないふたりですら見抜ける。
「ほんとは知ってるんだ。かぜじゃないって。オレさ、ねつないしせきもでないし」
「熱も咳もない風邪はあります。医師にお任せしなさい。ここにやってきたということは、個人部屋ですか?」
「うん、だれもいない。ビックだろ?」
「ビックなのはあなたではなく、良くも悪くもあなたの父親です」
「そっちの兄ちゃんはなんでしゃべんないの?」
悠の身体は大きく揺れる。ルカは肩に手を置いた。
「風邪です。声が出づらくなったのです」
「ふーん」
「風邪でも入院するのです。ところで、用件とは話を聞いてもらいたかったのですか?」
「ちがう。なんかさ、夜になると……へんなかんじがするんだ」
「どのような意味でしょう」
「……寝てると声がするんだ」
羞恥も重なり、子供は唇を尖らせた。
「あっ今バカにしただろ!」
「人に見えない者や迷信の類は恐怖の対象であっても、何らおかしいことはありません。異様なのは、恐怖に震えるのに馬鹿にし、蔑む」
太股が微かに震え出し、ルカは強く擦った。
「夜に声がするので正体を暴いてほしい、という依頼でしょうか」
「そう、それだ。女の声がする」
「あなたに対し、何か言うのですか?」
「オレのかんちがいかもしれないけどさ、あそぼうとか、そっちじゃないよ、とか」
「なるほど。依頼の内容は理解しました。ですが無料で引き受けるほど、安くはありません」
「え、金とるのかよ!」
「当たり前でしょう。なぜタダで私が受けると思ったのです?」
「でも……パパはかねもちだけど、オレはそんなにないよ」
「お小遣いはいくらなのです?」
「千円」
「……日本の小学生の相場が判りません。高いのですか?」
親のブログに生年月日が書かれていて、計算すると今は小学一年生だ。
悠に問うと、高い、と吐息が漏れる。
「確かに、月に千円は高いかもしれませんね」
「つき?一日で千円だけど。やすくね?」
「………………」
ルカは咳払いをした。
「ポケットに何を入れているのですか?」
「今はやってるカードゲームだよ。オレすっげーつええカードもってるんだぜ!」
「学校で友達と遊んでいるのですか?」
「……まあね」
少年は口をへの字に曲げ、まだ発達途中の身体を縮こませた。
「へえ?見せて下さい」
大人がテレビCMなどで力を入れ、最近流行りだしたカードだ。大人の事情で流行を作ったものでも、例え手の上で踊らされても、無邪気でときに残酷な子供は気づかない。
「そのカードで手を打ちましょう」
普通のカードとは違い、縁が黄金色に輝いている。ルカは口角を上げた。
「これはダメだよ……パパに買ってもらったんだから。プレミアってのついてたんだし」
「お父上の力をお借りしなければ解決が出来ないのですね」
少年は顔を上げると、やけに目元に力が入っていた。瞼やこめかみの辺りが細かく動き、黙りこくった。
まるで意地と意地との張り合いだ。子供相手に負ける気はしないが、隣で袖を掴む子供に戻った青年だけが気掛かりだ。青年は顔を上げる。大丈夫、と言っている気がした。全信頼を寄せる目に、いつも励まされ、命が危ぶまれても生き抜く力を見つけていけるのだ。
「じゃあ、いいよ」
たかがカードであっても、少年にとってはされどカード。震える指先から優雅にカードを受け取ると、ルカは胸ポケットに差し入れた。
見計らっていたかのようなタイミングで、病室の引き戸が開く。眉間に皺を寄せ、頬をひくつかせる医師は少年の専属医師だ。
「りおん君、いい加減にしないと怒るよ」
りおんと呼ばれた少年は腕を組み、鼻を鳴らした。
「うるせー。パパにさからえないくせに!」
「はいはい」
騒がしい台風はあっという間に過ぎた。悠はうとうとしている。時々はっと目が覚めては辺りを見回し、あやとりをし始める。そしてまた船を漕ぎ、枕に顔を埋めた。自分のベッドで過ごすときは食事のときくらいだ。
しばらくするとうなされ、苦しそうに息を吐く。何の夢を見ているのか怖くて聞けず、軽く身体を撫でて起こす。長い睫毛を揺らし、目を開けた悠を見て、生きていると実感できた。緊張の高まった太股は小刻みに震え、自分の足ではないように動く。
「悠、袖にスープが付きそうですよ」
目を擦りながらの夕食は、味が判っているのかどうかも怪しい。白米と肉じゃが、ワカメとネギのみそ汁にゴーヤの漬け物。そしてデザートにはオレンジがひと切れついている。
「ほら」
袖を肘の辺りまで捲ると、痛々しい包帯が見える。拘束された腕にはまだ痣が残っていた。
本当に子供のようだ。捲られた袖を見ては嬉しそうに笑い、身を乗り出して反対側の腕も突き出す。
「弟ができたみたいです」
うれしい、と唇が動く。こうなったら、目一杯可愛がって甘やかすしかない。
「悠、先ほどの早川りおんさんの件ですが、霊救師の仕事が入りました。病院での依頼というのもなかなか珍しいものです。悠はどうしますか?動くのは深夜になりますが、寝ていますか?」
首を横に振った。勢いが強く、伸びた前髪が揺れる。
「ついてきます?」
今度は縦に振った。
「では深夜、一緒に参りましょう。いろいろ試したいこともありますし」
消灯は午後九時、廊下や病室の明かりが消え、暗闇が訪れた。小さな寝息は心地良く、安心しきった鼓動の音が眠気を誘う。ルカも目を閉じ、石鹸の匂いに次第に意識を手放していく。
まだ太陽も眠りから覚めず闇に包まれた中、気配で目を覚ました。すぐ横には大きな目がまっすぐに自分を見据えていて、ルカは驚いて身体が跳ねる。
「起きていたのですか?起こしてくれても良かったのですよ」
何とも言い難い反応だ。縦でも横でもなく、首を傾げている。
「もしかして、起こしました?」
首を縦に振り、はにかんだ。
意識がはっきりしてくると、廊下の足音が聞こえてくる。悠も身を固くし、鼓動が早くなっていく。やがて遠ざかると、眼を合わせて互いに笑みを零した。
「そろそろ参りましょうか」
病院での依頼だが、ここは霊の温床だ。人と霊の区別が付きにくい者もうろうろしていて、中には気を持っていかれてしまいそうなほど悪意の強い者もいる。
ルカの病室からはさほど離れていない。二つ先の部屋の前で止まり、ネームプレートを確認したのち数回ノックをする。返事はない。
引き戸を引き、隙間に身体を滑り込ませた。松葉杖もだいぶ慣れた。
大きなベッドには小さな身体が横たわっていて、まるでVIPルームにいるかのようだ。起きる気配はない。
「いますね。あそこに」
悠も頷き、ベッドの横を見た。りおんとさほど変わらないくらいの少女がいた。無意識に害意のある霊魂を垂れ流しにして、厄介であり無邪気である。
「なぜ、ここにいる?」
じっと横になる少年を見ていた少女は顔を上げた。さり気なく悠を庇うように、松葉杖を彼の前に置く。
「なぜ、あなたはりおんさんの元へ?」
もう一度問うと、ようやく口を開いた。
──おんなじ、病気だから。
「どこが悪いのです?」
──しんぞう。
「友達になりたかったのですか?」
話の核心を突かれ、目が泳ぐ。花柄のワンピースを掴み、小さな皺ができた。
寝息を立てていた少年は唸り声を上げ、瞼を開けた。
「ひっ……」
悲鳴を上げる直線、悠は人差し指を立てる。りおんは声を飲み込み、何度も頷いた。
「ひいっ……!」
二度目の悲鳴を上げる。枕元に小さな少女が立っていたためだ。
「霊感が強いようですね」
「えっ、ほんとに?おばけがいるの?」
「お化け、ですか。日本の子供はそのように表現をするみたいですね」
「えーっ、まって!オレころされる!」
「お静かに、あなたは死にません。りおんさんに話があるようです。さあ、どうぞ」
上手くいけば、数分で終わる話だったのだ。少女はどうやらややこしくしたいらしく、にっこりと笑みを作る。
──あのね、いっしょに死んで。
暗闇から静寂が落ちた。
「どうしてこう、子供というのは理解不能な生き物なのでしょう」
ルカは頭を抱え、盛大に嘆息を吐く。
「りおんさん、そのような顔をしなくて結構。依頼を受けた私が殺させませんので。あなたのお名前を教えて下さい」
──さな。
「さなさんですね。先ほどと仰ることが異なるようですが」
──だって、さなはここじゃあそべないんだもん。
「遊ぶというのは、何も公園やカードゲームだけではありませんよ。一緒にお話ししたりすることも、遊びに含まれます。どうしました、悠?」
メモ帳を見せられ、ルカは覗き込んだ。
──幼稚園の先生?
悪戯に笑う悠の頭をがしがしと撫でた。
「あなたは学校や幼稚園で友達の作り方を学ばなかったのですか?」
「それは、まあ……うん」
風船のように勢いは萎み、少年は頭を掻く。
言い出した本人は心が痛む。実際はルカにとっても頭の痛い話だ。尻目に悠を見やるも、彼も何とも言い難い顔で冷や汗をかいている。
「友達になりたいのならば、何か言葉を添えるのがいいかと思います」
おもいっきり、ルカは目を逸らしながら言った。
「……ひしょにしてやる」
「………………」
「どうだ?」
「もしかして、友達がいないのですか?」
渾身の一言はりおんめがけて叩きつけた。
「ばっばかにするな!」
「ではいるのですか?」
「………………」
「カードゲームは誰と遊ぶのです?」
「……やったことない。あいつら、オレのことばかにするし」
「馬鹿にしているのはあなたでは?」
ついには無言になってしまった。泣かずに口を曲げるのはプライドの高さがそうさせている。
「友達の作り方、わかんないし」
「最初からそう言えばいいものを」
「じゃあお前は知ってんのかよ!」
ルカは唇に指を当てながら目を伏せた。
「そうですね……助け合い、でしょうか」
「なにそれ」
「困っている人を見かけたら助けてあげる。それができるようになれば、きっと相手も友達だと思ってくれます」
「たすけたことあるの?」
「どちらかというと、私は助けられた側です」
恥ずかしくて、悠の視線を受け止めきれない。
熱い視線から逃れるため、松葉杖で身体の位置をずらした。
「たすけあい……」
「りおんさんから聞いてみたらいい。何か困っていることはないか、と」
「……なにか、こまってる?」
ぎこちない言葉はさなに向けられた。さなは身体をもじもじさせる。
──いちどでいいから、本をよんでほしい。
「本が好きなのですか?」
──うん。げんきになったらよんでくれるってママがいったのに。
「教材の本を、読んであげたらいかがです?」
「え、オレが?」
「お友達になるには、困っている人を助けると先ほど言いました。今こそ、そのときでは?」
「うーん……オレあんまりうまくないよ」
「上手い下手の問題ではないかと。心のこもったプレゼントは、とても尊いものです。ですが、まずはしっかりと睡眠を取り、ご飯を食べてからにしましょう」
何度も欠伸を繰り返す少年は、限界が近づいている。
横を見れば、こちらも目を擦る青年がいた。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
黒龍の神嫁は溺愛から逃げられない
めがねあざらし
BL
「神嫁は……お前です」
村の神嫁選びで神託が告げたのは、美しい娘ではなく青年・長(なが)だった。
戸惑いながらも黒龍の神・橡(つるばみ)に嫁ぐことになった長は、神域で不思議な日々を過ごしていく。
穏やかな橡との生活に次第に心を許し始める長だったが、ある日を境に彼の姿が消えてしまう――。
夢の中で響く声と、失われた記憶が導く、神と人の恋の物語。
『イケメンイスラエル大使館員と古代ユダヤの「アーク探し」の5日間の某国特殊部隊相手の大激戦!なっちゃん恋愛小説シリーズ第1弾!』
あらお☆ひろ
キャラ文芸
「なつ&陽菜コンビ」にニコニコ商店街・ニコニコプロレスのメンバーが再集結の第1弾!
もちろん、「なっちゃん」の恋愛小説シリーズ第1弾でもあります!
ニコニコ商店街・ニコニコポロレスのメンバーが再集結。
稀世・三郎夫婦に3歳になったひまわりに直とまりあ。
もちろん夏子&陽菜のコンビも健在。
今作の主人公は「夏子」?
淡路島イザナギ神社で知り合ったイケメン大使館員の「MK」も加わり10人の旅が始まる。
ホテルの庭で偶然拾った二つの「古代ユダヤ支族の紋章の入った指輪」をきっかけに、古来ユダヤの巫女と化した夏子は「部屋荒らし」、「ひったくり」そして「追跡」と謎の外人に追われる!
古代ユダヤの支族が日本に持ち込んだとされる「ソロモンの秘宝」と「アーク(聖櫃)」に入れられた「三種の神器」の隠し場所を夏子のお告げと客観的歴史事実を基に淡路、徳島、京都、長野、能登、伊勢とアークの追跡が始まる。
もちろん最後はお決まりの「ドンパチ」の格闘戦!
アークと夏子とMKの恋の行方をお時間のある人はゆるーく一緒に見守ってあげてください!
では、よろひこー (⋈◍>◡<◍)。✧♡!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる