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7-冬支度
041 クリスマス
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SHIRAYUKIでアルバイトを始めてから、初めてのクリスマスだ。来客数が多く、恋人同士か、女性同士の客が大半を占めている。ドアが開くたび冷気が部屋を包み、悠は身震いした。
ルカ目当ての客人もかなりの割合で、ルカも断らずに手紙やプレゼントを愛想良く受け取っている。
いつもより遅い時間に店を閉め、掃除を念入りに終わらせた。
「けっこう疲れましたね……」
「年末は忙しいです。クリスマスも含めてですが」
「もしかしてルカさんひとりで?」
「ええ、師匠も海外でした。今年は悠がいたので助かりました。お給料は上げておきます」
「ありがとうございます。総次郎さんは海外で骨董品の販売を行っているのですか?」
はにかんだ笑みを見せ、ルカは質問に答えなかった。
悠の腹から空腹を知らせる音が鳴り、何度か擦った。
「お腹空いたなあ……ご飯作る気ない……」
「悠、五階に行きましょう」
五階には、仮宿がある。紙袋を両手で持ち、すべて五回へ運び、夕食より先にまずはプレゼントの中身を確認した。日持ちするものとそうでないものに分けていく。
「手作りのケーキってどうします?」
「お気持ちだけ頂戴します」
プレゼントのひとつに、ハートのシールで飾られた手紙が同封されていた。無言で差し出すと、ルカは硬直し動かなくなった。
「ルカさん?」
「びっ…くりしました」
「どうしたんです?」
「いきなり、あなたが、渡すから」
「これ、入ってましたよ。はい」
黙りこくったまま受け取り、ルカは紙袋の整理に戻る。
「読まないんですか?」
「……後で読みます」
「僕の前じゃ読みづらいですよね、すみません」
ルカは何か言いたそうに口を開きかけたが、手を動かし始めた。雑談を交えながらすべてを片付け追え、悠はうんと背伸びをした。
「お疲れ様です」
「悠も、お疲れ様でした。この後のご予定は?」
「バイトで終わりです」
「チキンを召し上がりませんか?」
「お肉買ってあるんですか?」
「仕事前に、池袋のデパ地下で。ちなみにお酒もあります。悠、初めてのお酒はふたりで迎える約束です。それを果たしましょう」
冷蔵庫から取り出したローストチキンは厚みがあり、さっそくレンジで温め直した。フルーツサラダやオニオンスープなど、ルカによって選び抜かれた料理が次々に並べられていく。
最後に出てきたのはシャンパンだ。ルカは慣れた様子でコルクを開けグラスに注いだ。悠は感嘆の声を漏らす。
「高級そうなシャンパンですね」
「普段は飲みませんが、今日は私も頂きます」
「ルカさんのコルクの抜き方がかっこよかったのは理解しました」
「……飲みましょうか」
こつんと互いのグラスを鳴らした。
「日本では、クリスマスはどのように過ごすのですか?」
「恋人同士で過ごしたり、家族で過ごして、チキン食べます。おばあちゃんといたときは、お寿司食べたりしました。仏教徒が多いのに、イベントごとには乗っかるんです。フランスはどんな感じですか?」
「ミサに参加して、ほとんどは家族と過ごします。料理はフォアグラが代表的ですね」
チキンは柔らかく、簡単にナイフが下に到達した。付け合わせのマッシュポテトもほくほくしていて、悠は冷ましながら口に入れていく。
「初めてのお酒はいかがですか?」
「美味しいです。どんどん飲めます」
「やはり、人を見目で判断するのは良くない。あなたは飲めないと思っていました」
「見た目で判断するならルカさんは強そうですけど」
「仰る通り。それなりです」
「それなりって、良い日本語の表現ですね。基準が人によりけりです」
シャンパンの二本目はさすがに開けず、日を置いて飲もうとルカは言う。
「アルハラって言葉は知っていますか?」
「アルハラ?初めて聞きました」
「アルコールハラスメント」
「ああ……和製英語ですね」
「ルカさんには縁のない言葉だなあって」
「相手を思う気持ちがあれば、ハラスメントは生まれません。けれど、それなりという言葉のように、人によって基準など異なります。難しい問題ではありますね」
片付けは悠が受け持ち、時計を気にした。帰宅時間はとっくに過ぎている。寮であれば、中には入れないだろう。
「帰りは送って差し上げますよ」
「古いアパートだし、あんまり見られたくないなあ……」
「何を仰いますか。あなたの住所など雇うときにすでに把握済みです。ちょっとこれを着てみて下さい」
畳んであったコートを着せられ、ルカは一歩下がるといろんな角度から悠を見た。後ろ、横、前からと見ては納得し、腕を組む。
「差し上げます」
「差し上げますって言われても、ルカさんのじゃ」
「私には少々サイズが小さい。それにあなたは似合います」
「すぐに大きくなりますよっ」
「その場合はまた大きなコートを買わねばなりませんね」
愛おしそうに、ルカは目を細めた。
「いいんですか?」
「あなたのお好きなレトロな服に合うか心配でしたが、黒なら合わせやすいかもしれませんね」
「ありがとうございます……」
悠は大事にします、とぎゅっとコートを抱きしめた。
冬休みなのだから一度くらいは会おうと、通話アプリを通してメッセージがきた。スタンプ攻撃に根負けした悠は呼び込みをしているメイドの脇をすり抜け、アニメショップの前でそわそわする西岡正樹と合流する。秋葉原の地に降りるのは久しぶりだった。
「冬休みにメイド喫茶に行くとは思わなかったんだけど」
「お、レポート書けるじゃん。ルカさん連れてきたら面白かったのに」
「また固まっちゃうよ」
「ルカさんって女性に興味がない人なのか?」
「恋愛の話はほとんどしないけど、あると思うよ。でもモテすぎて避けてる感じ。クリスマスなんかプレゼント攻撃すごかったし」
「一緒だったのか?」
「バイトして、ご飯食べただけだよ」
「クリスマスに?」
「おかしいかな?」
「いや……まあ、ふたりが良ければいいんじゃね」
渡されたメニューにカルボナーラを注文し、悠はコートを脱いだ。西岡はぎょっとし、
「そのコートどうしたんだ?」
「ルカさんがくれたんだ。差し上げますって」
「まじかよ……ホイホイあげるもんなのか」
「もしかしてそんなに有名なもの?」
「知らずにもらったのかよ!」
西岡は一驚し、信じられないと言葉を吐く。
「ダンヒルだぞ、それ」
「ダンヒル」
「そう、ダンヒル」
「ダンヒル。ダンヒル…ダンヒル……」
呪文のように唱え、悠は前にルカが話した言葉を思い出した。あれは誘拐事件で、スーツケースに入れたお金を名古屋まで運んだときだ。着替えの持っていなかった悠に、ダンヒルの服を買って差し上げたいと彼は言った。よく分からない単語が出たと返したが、まさかこのような形で身につけていようとは、夢にも思っていない。
「これ…いくらするの?」
「有名なブランドだし、俺らじゃ手も出ない」
「ど、どうしよう……」
「もらっておけよ」
「プレゼント用に包まれてたわけじゃないし、ルカさんのお下がりだと思ってた……」
「ははーん。多分気を遣わせないために、わざと包まなかったんだな」
「しかももらったのクリスマスだよ…僕何も返してない」
「クリスマスにダンヒルのコートをプレゼント……ルカさんって」
西岡はなんとも言えない顔のまま、頭を抱える悠に憐れむような視線を送った。うさ耳のメイドは新しいネタを手に入れたと、心の中でガッツポーズを決めた。
ルカ目当ての客人もかなりの割合で、ルカも断らずに手紙やプレゼントを愛想良く受け取っている。
いつもより遅い時間に店を閉め、掃除を念入りに終わらせた。
「けっこう疲れましたね……」
「年末は忙しいです。クリスマスも含めてですが」
「もしかしてルカさんひとりで?」
「ええ、師匠も海外でした。今年は悠がいたので助かりました。お給料は上げておきます」
「ありがとうございます。総次郎さんは海外で骨董品の販売を行っているのですか?」
はにかんだ笑みを見せ、ルカは質問に答えなかった。
悠の腹から空腹を知らせる音が鳴り、何度か擦った。
「お腹空いたなあ……ご飯作る気ない……」
「悠、五階に行きましょう」
五階には、仮宿がある。紙袋を両手で持ち、すべて五回へ運び、夕食より先にまずはプレゼントの中身を確認した。日持ちするものとそうでないものに分けていく。
「手作りのケーキってどうします?」
「お気持ちだけ頂戴します」
プレゼントのひとつに、ハートのシールで飾られた手紙が同封されていた。無言で差し出すと、ルカは硬直し動かなくなった。
「ルカさん?」
「びっ…くりしました」
「どうしたんです?」
「いきなり、あなたが、渡すから」
「これ、入ってましたよ。はい」
黙りこくったまま受け取り、ルカは紙袋の整理に戻る。
「読まないんですか?」
「……後で読みます」
「僕の前じゃ読みづらいですよね、すみません」
ルカは何か言いたそうに口を開きかけたが、手を動かし始めた。雑談を交えながらすべてを片付け追え、悠はうんと背伸びをした。
「お疲れ様です」
「悠も、お疲れ様でした。この後のご予定は?」
「バイトで終わりです」
「チキンを召し上がりませんか?」
「お肉買ってあるんですか?」
「仕事前に、池袋のデパ地下で。ちなみにお酒もあります。悠、初めてのお酒はふたりで迎える約束です。それを果たしましょう」
冷蔵庫から取り出したローストチキンは厚みがあり、さっそくレンジで温め直した。フルーツサラダやオニオンスープなど、ルカによって選び抜かれた料理が次々に並べられていく。
最後に出てきたのはシャンパンだ。ルカは慣れた様子でコルクを開けグラスに注いだ。悠は感嘆の声を漏らす。
「高級そうなシャンパンですね」
「普段は飲みませんが、今日は私も頂きます」
「ルカさんのコルクの抜き方がかっこよかったのは理解しました」
「……飲みましょうか」
こつんと互いのグラスを鳴らした。
「日本では、クリスマスはどのように過ごすのですか?」
「恋人同士で過ごしたり、家族で過ごして、チキン食べます。おばあちゃんといたときは、お寿司食べたりしました。仏教徒が多いのに、イベントごとには乗っかるんです。フランスはどんな感じですか?」
「ミサに参加して、ほとんどは家族と過ごします。料理はフォアグラが代表的ですね」
チキンは柔らかく、簡単にナイフが下に到達した。付け合わせのマッシュポテトもほくほくしていて、悠は冷ましながら口に入れていく。
「初めてのお酒はいかがですか?」
「美味しいです。どんどん飲めます」
「やはり、人を見目で判断するのは良くない。あなたは飲めないと思っていました」
「見た目で判断するならルカさんは強そうですけど」
「仰る通り。それなりです」
「それなりって、良い日本語の表現ですね。基準が人によりけりです」
シャンパンの二本目はさすがに開けず、日を置いて飲もうとルカは言う。
「アルハラって言葉は知っていますか?」
「アルハラ?初めて聞きました」
「アルコールハラスメント」
「ああ……和製英語ですね」
「ルカさんには縁のない言葉だなあって」
「相手を思う気持ちがあれば、ハラスメントは生まれません。けれど、それなりという言葉のように、人によって基準など異なります。難しい問題ではありますね」
片付けは悠が受け持ち、時計を気にした。帰宅時間はとっくに過ぎている。寮であれば、中には入れないだろう。
「帰りは送って差し上げますよ」
「古いアパートだし、あんまり見られたくないなあ……」
「何を仰いますか。あなたの住所など雇うときにすでに把握済みです。ちょっとこれを着てみて下さい」
畳んであったコートを着せられ、ルカは一歩下がるといろんな角度から悠を見た。後ろ、横、前からと見ては納得し、腕を組む。
「差し上げます」
「差し上げますって言われても、ルカさんのじゃ」
「私には少々サイズが小さい。それにあなたは似合います」
「すぐに大きくなりますよっ」
「その場合はまた大きなコートを買わねばなりませんね」
愛おしそうに、ルカは目を細めた。
「いいんですか?」
「あなたのお好きなレトロな服に合うか心配でしたが、黒なら合わせやすいかもしれませんね」
「ありがとうございます……」
悠は大事にします、とぎゅっとコートを抱きしめた。
冬休みなのだから一度くらいは会おうと、通話アプリを通してメッセージがきた。スタンプ攻撃に根負けした悠は呼び込みをしているメイドの脇をすり抜け、アニメショップの前でそわそわする西岡正樹と合流する。秋葉原の地に降りるのは久しぶりだった。
「冬休みにメイド喫茶に行くとは思わなかったんだけど」
「お、レポート書けるじゃん。ルカさん連れてきたら面白かったのに」
「また固まっちゃうよ」
「ルカさんって女性に興味がない人なのか?」
「恋愛の話はほとんどしないけど、あると思うよ。でもモテすぎて避けてる感じ。クリスマスなんかプレゼント攻撃すごかったし」
「一緒だったのか?」
「バイトして、ご飯食べただけだよ」
「クリスマスに?」
「おかしいかな?」
「いや……まあ、ふたりが良ければいいんじゃね」
渡されたメニューにカルボナーラを注文し、悠はコートを脱いだ。西岡はぎょっとし、
「そのコートどうしたんだ?」
「ルカさんがくれたんだ。差し上げますって」
「まじかよ……ホイホイあげるもんなのか」
「もしかしてそんなに有名なもの?」
「知らずにもらったのかよ!」
西岡は一驚し、信じられないと言葉を吐く。
「ダンヒルだぞ、それ」
「ダンヒル」
「そう、ダンヒル」
「ダンヒル。ダンヒル…ダンヒル……」
呪文のように唱え、悠は前にルカが話した言葉を思い出した。あれは誘拐事件で、スーツケースに入れたお金を名古屋まで運んだときだ。着替えの持っていなかった悠に、ダンヒルの服を買って差し上げたいと彼は言った。よく分からない単語が出たと返したが、まさかこのような形で身につけていようとは、夢にも思っていない。
「これ…いくらするの?」
「有名なブランドだし、俺らじゃ手も出ない」
「ど、どうしよう……」
「もらっておけよ」
「プレゼント用に包まれてたわけじゃないし、ルカさんのお下がりだと思ってた……」
「ははーん。多分気を遣わせないために、わざと包まなかったんだな」
「しかももらったのクリスマスだよ…僕何も返してない」
「クリスマスにダンヒルのコートをプレゼント……ルカさんって」
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