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第三章 母を追って
040 聡子と占い
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帰宅すると、祖母は不思議そうな顔で固定電話の前に立っていた。
「どうしたの?」
「それがねえ……さっきから無言電話が鳴っているんよ」
「無言電話? 聡子はどこにいるの?」
「部屋に戻ったから、もう寝てるんじゃないかい」
長いことアーサーと話してしまい、時刻は二十二時を回っている。本当なら祖母も寝ている時間だ。
「おばあさま、夜も遅いですし、留守電にしてはいかがでしょう?」
「それもそうだねえ」
「もし明日以降も鳴り続けるようならば、お仕事の邪魔にもなってしまうでしょうし、しばらくそのままにしてみるのもいいかと思います」
「でも一体誰なんだろうね……」
「おばあちゃん、もう寝た方がいいよ。明日も朝早いんでしょう?」
「じゃあそうさせてもらおうか」
祖母は朝から和菓子の仕込みがある。早くに起きなくていいのに、と話したことはあるが、毎日の日課であり本人も楽しいと言うので、それ以上は彼方も突っ込まない。
祖母が自室に戻ったのを確認して、彼方はお茶を入れた。
「日本のほうじ茶は大好きです」
「良かった」
「お土産に買って帰ります」
「ええ。きっとフィンリーさんたちも喜ぶと思います。それにしても、このタイミングで無言電話とか」
「まだそうだと決まったわけではないです。カナまで思いつめないように」
アーサーは後ろで結んだゴムを解いた。
癖のある髪が広がり、襟元に当たると毛先が円を描くように丸くなる。
気になってしまい、アーサーのブロンドヘアーに手が伸びてしまう。
頭皮から撫でるように指に絡ませる。
されるがままになると誓ったのか、アーサーは黙って目を瞑っている。
しばらく同じ行動を繰り返していると、薄い唇が開いた。
「髪を伸ばすのって、特別なことではありませんよ」
風が吹いたら消え入りそうな声で呟いた。
「けれどそこまで伸ばしていると、切るときは少し勇気がいりそうですね。もったいなく感じてしまうかもしれません」
「もったいない、ですか。切ると呪いの象徴が剥がれる感覚になりますけど、すぐに生えるし伸びます。結局、呪いからは解放されません」
「呪いは解けますよ。適当なごまかしで言っているわけではなく、本当に」
アーサーは迷いなくきっぱりと告げる。
「いつか、……いいえ、絶対に解けるときがきます。呪い以上の強い衝撃と愛が重なったときです」
「強い衝撃と愛……」
「目に見えないものは、人を導くものでもあり、ときには人を陥れてしまうのです」
「占いの店をいったん閉めたのも、関係があるんですか?」
「ふふ……そうですね。呪いが解けた以上、未来のことをよく考えます。将来を決めるのは占いではありません。占いは背中を押すしかできませんから。私にとって占いとは何なのか、今は考える時間です」
最後に、聞きたい質問を口にした。
「アーサーさんの呪いは、完璧に解けていますか?」
アーサーさんはすぐに答えを出さず、天井を見上げた。
「私の呪いが完全に解けるときは、母との確執がなくなったときだと思います」
珍しくも諦めに近い笑みを零し、撫でられる頭を委ねた。
翌日は聡子に捕まり、どこへも出かけられないでいた。
「好きな食べ物は?」
「スイーツや紅茶ですね」
「得意だった科目は?」
「文系が得意でした」
「日本のどこが好き?」
「あえて言うなら文化や人、和菓子などですね」
聡子の質問に少しも嫌がる素振りを見せず、次々と答えていく。
「じゃあ彼女は? 結婚はしてるの?」
アーサーは彼方を一瞥し、
「いえ、いません」
と答えた。
「んー、アーサーさんって、誰かに似てる気がするんだよねえ。映画か何か観たときだったかな? 出てた俳優にそっくり」
「日本人からすれば、ヨーロッパ人はみな似ているように見えるものですよ。それより、昨日お約束した占いをさせていただけませんか? 私にはこれくらいしかできませんから」
懐かしさを感じるホロスコープとタロットカード。そして紙とペン。
「フルネームと生まれた日時をお書き下さい」
「生まれた時間も必要なのね。確かおばあちゃんに聞いた気がする……」
「もしご存じでなければ結構ですよ」
「ほんとに日本語上手ね。結婚するなら、日本人とイギリス人どっちがいい? 国籍にこだわりはある?」
「いいえ、まったく。ですよね?」
アーサーは濁りのない微笑で彼方へ顔を向ける。
「僕も特にないかなあ」
「そうですよね。乗り越えなければならない問題も山積みでしょうが、国境すら越えて会いにきます」
「アーサーさんって情熱的……!」
「もういいから。占ってもらいなよ」
質が違えど愛に生きる二人は、通じるものがあるのだろう。
占うのは久しぶりだというが、あの頃と変わらない手つきでカードをめくり、ホロスコープと照らし合わせていく。
「とても活発で新しいことにチャレンジし、頭で考えるよりも身体が先に動くタイプですね。人との出会いも多いですが、衝突も少なくありません」
「すごい……当たってる」
聡子の相談は、主に恋愛に関することだ。めくられたカードが恋人のカードで、聡子はまじまじと見つめる。
「これっていい意味?」
「逆位置になります。誘惑が多い時期のようです」
「あっ…………」
「思い当たることが?」
「えーと……まあ……」
聡子は曖昧に答えた。
そんな様子をアーサーは見逃さず、もう一枚カードを引いた。
「正位置の星のカードです。ホロスコープの結果と示し合わせますと、転機が訪れるのは半年後です」
「恋も?」
「それも含めて、仕事に繋がる道も開けると出ています。信じた道を進めば開いていきますが、恋愛が少し厄介です。心の移り変わりがお早い傾向にありますね」
「惚れっぽいっていうのかなあ。好きな人がいないと落ち着かないのよね」
「一緒にいて楽しいと思える男性を選ぶ傾向にありますか?」
「そんなことまで分かるの?」
「楽しさよりも、落ち着きを取るべきです。聡子さんの場合、恋愛に関して大きな挫折をしてしまうと、なかなか立ち直れなくなります」
聡子は絶句している。頭を抱え、一人でぶつぶつと言葉を漏らす。
「当たりすぎて怖い……なんなの、アーサーさんって」
「ふふん」
「なんでアンタが自慢げなのよ」
「ふふ」
アーサーと顔を見合わせ、笑い合った。
「恋愛重視の人生もいいでしょう。しかし、分かれ道を用意しておくのもいいかと思います。愛でがんじがらめになってしまうのは、とてももったいない」
「うん……確かにそうかも。おばあちゃんのお店を継ぎたいって思ってるの」
「おばあさまはお喜びなのでは? お孫さんに愛されて、お店まで継いでくれる方が現れたのですから」
「嬉しいって言ってた。今はネット販売しかしてないけど、おばあちゃんの腰がよくなったら、従業員を増やしてまた店を開きたいんだ。でもむいてるか分からなくて、本当にこれでいいのかって毎日考えてる」
聡子の名前が書かれている紙をなぞり、数字を付け加えていく。
何を表しているのか分からないが、数字よりも動く指先が気になって仕方ない。
「人間の性格には、二種類あります。表と裏です。それぞれ向き不向きの職業もあります。スイーツに限った話ではなく、裏の性格では集中力を必要とする物作りが向いているかと。一方、持ち前の明るさと会話を得意とする表の性格は、接客業が向いています」
「ってことは……」
「本職にするにはもってこい、でしょうね。ただ、勘違いしてほしくないのは、好きで夢を貫き通そうとしているのに、向き不向きというだけの話を鵜呑みにして、夢を諦めてしまうことです」
「それはそうだね。お菓子作り向いてないって言われても、わだかまりが残るだけで絶対諦めないし」
いつものように、聡子は強気な態度だ。占う前と比べると、すっきりした顔立ちとなった。
「占いなんでしょうけど、人生相談みたい。タダで占ってもらうなんて、やっぱり悪い気がするね」
「ほんとにお金払う気ないんだ……」
「結構ですよ。代わりと言ってはなんですが、少々お尋ねしたいことがあります」
「なになに?」
「あなたの叔母にあたる方についてです」
彼方ははっとして顔を上げると、アーサーは聡子を向いていた。
「どうしたの?」
「それがねえ……さっきから無言電話が鳴っているんよ」
「無言電話? 聡子はどこにいるの?」
「部屋に戻ったから、もう寝てるんじゃないかい」
長いことアーサーと話してしまい、時刻は二十二時を回っている。本当なら祖母も寝ている時間だ。
「おばあさま、夜も遅いですし、留守電にしてはいかがでしょう?」
「それもそうだねえ」
「もし明日以降も鳴り続けるようならば、お仕事の邪魔にもなってしまうでしょうし、しばらくそのままにしてみるのもいいかと思います」
「でも一体誰なんだろうね……」
「おばあちゃん、もう寝た方がいいよ。明日も朝早いんでしょう?」
「じゃあそうさせてもらおうか」
祖母は朝から和菓子の仕込みがある。早くに起きなくていいのに、と話したことはあるが、毎日の日課であり本人も楽しいと言うので、それ以上は彼方も突っ込まない。
祖母が自室に戻ったのを確認して、彼方はお茶を入れた。
「日本のほうじ茶は大好きです」
「良かった」
「お土産に買って帰ります」
「ええ。きっとフィンリーさんたちも喜ぶと思います。それにしても、このタイミングで無言電話とか」
「まだそうだと決まったわけではないです。カナまで思いつめないように」
アーサーは後ろで結んだゴムを解いた。
癖のある髪が広がり、襟元に当たると毛先が円を描くように丸くなる。
気になってしまい、アーサーのブロンドヘアーに手が伸びてしまう。
頭皮から撫でるように指に絡ませる。
されるがままになると誓ったのか、アーサーは黙って目を瞑っている。
しばらく同じ行動を繰り返していると、薄い唇が開いた。
「髪を伸ばすのって、特別なことではありませんよ」
風が吹いたら消え入りそうな声で呟いた。
「けれどそこまで伸ばしていると、切るときは少し勇気がいりそうですね。もったいなく感じてしまうかもしれません」
「もったいない、ですか。切ると呪いの象徴が剥がれる感覚になりますけど、すぐに生えるし伸びます。結局、呪いからは解放されません」
「呪いは解けますよ。適当なごまかしで言っているわけではなく、本当に」
アーサーは迷いなくきっぱりと告げる。
「いつか、……いいえ、絶対に解けるときがきます。呪い以上の強い衝撃と愛が重なったときです」
「強い衝撃と愛……」
「目に見えないものは、人を導くものでもあり、ときには人を陥れてしまうのです」
「占いの店をいったん閉めたのも、関係があるんですか?」
「ふふ……そうですね。呪いが解けた以上、未来のことをよく考えます。将来を決めるのは占いではありません。占いは背中を押すしかできませんから。私にとって占いとは何なのか、今は考える時間です」
最後に、聞きたい質問を口にした。
「アーサーさんの呪いは、完璧に解けていますか?」
アーサーさんはすぐに答えを出さず、天井を見上げた。
「私の呪いが完全に解けるときは、母との確執がなくなったときだと思います」
珍しくも諦めに近い笑みを零し、撫でられる頭を委ねた。
翌日は聡子に捕まり、どこへも出かけられないでいた。
「好きな食べ物は?」
「スイーツや紅茶ですね」
「得意だった科目は?」
「文系が得意でした」
「日本のどこが好き?」
「あえて言うなら文化や人、和菓子などですね」
聡子の質問に少しも嫌がる素振りを見せず、次々と答えていく。
「じゃあ彼女は? 結婚はしてるの?」
アーサーは彼方を一瞥し、
「いえ、いません」
と答えた。
「んー、アーサーさんって、誰かに似てる気がするんだよねえ。映画か何か観たときだったかな? 出てた俳優にそっくり」
「日本人からすれば、ヨーロッパ人はみな似ているように見えるものですよ。それより、昨日お約束した占いをさせていただけませんか? 私にはこれくらいしかできませんから」
懐かしさを感じるホロスコープとタロットカード。そして紙とペン。
「フルネームと生まれた日時をお書き下さい」
「生まれた時間も必要なのね。確かおばあちゃんに聞いた気がする……」
「もしご存じでなければ結構ですよ」
「ほんとに日本語上手ね。結婚するなら、日本人とイギリス人どっちがいい? 国籍にこだわりはある?」
「いいえ、まったく。ですよね?」
アーサーは濁りのない微笑で彼方へ顔を向ける。
「僕も特にないかなあ」
「そうですよね。乗り越えなければならない問題も山積みでしょうが、国境すら越えて会いにきます」
「アーサーさんって情熱的……!」
「もういいから。占ってもらいなよ」
質が違えど愛に生きる二人は、通じるものがあるのだろう。
占うのは久しぶりだというが、あの頃と変わらない手つきでカードをめくり、ホロスコープと照らし合わせていく。
「とても活発で新しいことにチャレンジし、頭で考えるよりも身体が先に動くタイプですね。人との出会いも多いですが、衝突も少なくありません」
「すごい……当たってる」
聡子の相談は、主に恋愛に関することだ。めくられたカードが恋人のカードで、聡子はまじまじと見つめる。
「これっていい意味?」
「逆位置になります。誘惑が多い時期のようです」
「あっ…………」
「思い当たることが?」
「えーと……まあ……」
聡子は曖昧に答えた。
そんな様子をアーサーは見逃さず、もう一枚カードを引いた。
「正位置の星のカードです。ホロスコープの結果と示し合わせますと、転機が訪れるのは半年後です」
「恋も?」
「それも含めて、仕事に繋がる道も開けると出ています。信じた道を進めば開いていきますが、恋愛が少し厄介です。心の移り変わりがお早い傾向にありますね」
「惚れっぽいっていうのかなあ。好きな人がいないと落ち着かないのよね」
「一緒にいて楽しいと思える男性を選ぶ傾向にありますか?」
「そんなことまで分かるの?」
「楽しさよりも、落ち着きを取るべきです。聡子さんの場合、恋愛に関して大きな挫折をしてしまうと、なかなか立ち直れなくなります」
聡子は絶句している。頭を抱え、一人でぶつぶつと言葉を漏らす。
「当たりすぎて怖い……なんなの、アーサーさんって」
「ふふん」
「なんでアンタが自慢げなのよ」
「ふふ」
アーサーと顔を見合わせ、笑い合った。
「恋愛重視の人生もいいでしょう。しかし、分かれ道を用意しておくのもいいかと思います。愛でがんじがらめになってしまうのは、とてももったいない」
「うん……確かにそうかも。おばあちゃんのお店を継ぎたいって思ってるの」
「おばあさまはお喜びなのでは? お孫さんに愛されて、お店まで継いでくれる方が現れたのですから」
「嬉しいって言ってた。今はネット販売しかしてないけど、おばあちゃんの腰がよくなったら、従業員を増やしてまた店を開きたいんだ。でもむいてるか分からなくて、本当にこれでいいのかって毎日考えてる」
聡子の名前が書かれている紙をなぞり、数字を付け加えていく。
何を表しているのか分からないが、数字よりも動く指先が気になって仕方ない。
「人間の性格には、二種類あります。表と裏です。それぞれ向き不向きの職業もあります。スイーツに限った話ではなく、裏の性格では集中力を必要とする物作りが向いているかと。一方、持ち前の明るさと会話を得意とする表の性格は、接客業が向いています」
「ってことは……」
「本職にするにはもってこい、でしょうね。ただ、勘違いしてほしくないのは、好きで夢を貫き通そうとしているのに、向き不向きというだけの話を鵜呑みにして、夢を諦めてしまうことです」
「それはそうだね。お菓子作り向いてないって言われても、わだかまりが残るだけで絶対諦めないし」
いつものように、聡子は強気な態度だ。占う前と比べると、すっきりした顔立ちとなった。
「占いなんでしょうけど、人生相談みたい。タダで占ってもらうなんて、やっぱり悪い気がするね」
「ほんとにお金払う気ないんだ……」
「結構ですよ。代わりと言ってはなんですが、少々お尋ねしたいことがあります」
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