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第一章 アキと大地の物語
01 「初めまして」
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ここまで心臓が激しい音を鳴らすのは、失恋という爆弾を投げつけられた高校生以来だった。
珍しく降った雪が肩にかかり、息を吐くと空気が白く濁る。東京に降った雪はアスファルトを覆い、外にいる人々を荒ぶらせた。
「染谷大地?」
名前を呼ばれた大地は身体を揺らした。
側には、眼鏡をかけた男性が立っている。
身長は一八〇センチくらいはあるだろうか。灰色のスーツにコートとマフラーをかけ、レザーのトートバッグをもっている。スーツには見たことのないバッジがついているが、大地には何なのか分からなかった。
「そう、です」
初めて会った印象は、「アプリと違う」だ。
本人か、騙されたのか。だが彼は大地の本名を言い当てた。散々メッセージをやりとりしてきたあのアキだと思わざるを得ない。見た目は、本人が言っていた通りなのだ。身長も髪型や色も偽りはない。
「アキさんですか?」
「ああ」
「初めまして。染谷大地です。あの、今日は……」
「じゃ、行こうか」
素っ気なく言うわりには、肩を押す力がいやに優しい。
「本当に大学生? まさか未成年じゃないよな?」
「違います」
「証明できるもんってある?」
「えーと……、」
大学在住の証である、学生証を彼に渡す。
『アキ』は学生証と大地を交互に見比べ、放り投げるように返した。
「そこのホテル取ってあるから」
指差す方角は、ビジネスホテルだ。早歩きで進む彼についていくと、アキは背後を確めて今度はゆっくりと歩き出した。
「どっち行くんだよ」
「こっちじゃないんですか?」
「こっちだ」
ビジネスホテルではないらしい。さらに先を進むと、高級ホテルに到着した。予約制のアフタヌーンティーで有名な、こじゃれたホテルだ。
赤いカーペットに恐縮しながらついていくと、アキはさっさと鍵を受け取る。
四十八階のボタンが光り、アキは壁に寄りかかった。
「親は心配しないのか」
ぼそっと言う声は独り言なのか判断つかず彼を見上げると、ばっちり目が合った。
「一人暮らしなんで」
「ふうん」
興味がなさそうに相づちを打つと、アキはエレベーターから降りた。
カードキーを差し込むと緑色のランプが光り、いよいよだと腹筋の辺りが微かに震える。
大人ふたりで寝ても充分な広さと、大きな鏡のある化粧台、トイレと風呂は別々。ベッドが大きいせいかあまり広く感じられない。
「先にシャワー使っていい」
「……………………」
「そのままするのか?」
「う、ううん……先に入ります……」
アキはネクタイを引き抜き、適当にハンガーにかけた。
大地は目を逸らしながら脱衣所へ向かう。
準備はしなくていいと事前に言われていたが、せめて身体は綺麗にしようと念入りに洗う。出かける前もシャワーを浴びたので、今日で二回目だ。
戻るとアキはうたた寝をしていた。黒縁眼鏡は化粧台に置き、シャツから鎖骨が見えている。
片足を立てるとベッドが軋み、アキは重そうな瞼を開ける。
「食べたければ適当に飲み物でも注文してていい」
そう言い残すと、彼は脱衣所に消えていった。
手持ち無沙汰にメニュー表を見るが、特に何か飲みたいわけでもなく、眼鏡の隣に置く。
冷たい水で身体を冷やしたおかげか、まだ熱は持っていない。
初めての行為をこれからするわけだが、まさかこんな高級ホテルですることになろうとは夢にも思わなかった。
十分ほどで戻ってきたアキは、バスローブ一枚だった。
いよいよだ、と思うと同時に、アキはベッドを軋ませる。大きな音が鳴り、身体が上下に揺れた。
「キスは許せる派? それとも止めておく?」
「え、ええと……多分、大丈夫……」
「多分?」
「してみたい、かなあ……と……」
「大事な人のためにとっておかなくて大丈夫か?」
経験がないとばれてしまった。
「そんな人、いないしっ」
ムキになって答えると、アキはふと笑う。
今日、初めて見た笑顔だった。
冷えた身体が急に熱を持ち出し、太股の上で拳を作る。
「おいで」
アキは手を差し出すと、大地はそっと重ねる。
腕を引かれ、ベッドに横たわる。心臓が張り裂けそうに悲鳴を上げている。
「んん…………」
突然の前触れもなく、唇が重なった。
シャワーを浴びたおかげか、お互いの唇はしっとりしている。
柔く、弾力のある肉を何度か啄むと、アキは舌で割れ目をこじ開けた。
驚いて口を閉じると、アキは一度顔を上げる。透明な糸が繋がり、大地は太股を擦り合わせた。
「顔、真っ赤」
アキは口角を上げた。本日、二度目の笑顔だ。
角度を変えて何度か音を立てると、自然と上唇が離れた。
隙を見て舌を滑り込ませ、熱を持つ舌先と絡まった。
「ん、んん……」
アキはバスローブの前をはだけさせ、首から胸へと撫でていく。
指が通るたびに微かに振られた感触とくすぐったさが残り、身をよじった。
「あっ……まって……」
キスも愛撫も止めてくれない。容赦ない快感が襲ってきては、喉から聞いたこともない声が上がる。
乳暈をくるくると指が這い、触れられてもいないのに期待と羞恥から突起は赤く凝る。
爪の先で軽く跳ね、官能の息が漏れたところで緩急をつけながら上下にいたぶる。反対側は熱い舌で戯れた。
「ああ……あ、あ……っ」
「ここ好きだろ?」
膨らんだ突起に音を立ててキスをすると、またもや唇同士が重なった。
「濡れてる」
力の抜けた裸体をそのままにしていると、アキはバスローブをすべて脱いだ。
鍛えなければ手に入らない、たくましい肉体だ。
反り上がる肉棒は臍まで届き、筋が縦横無尽に浮き出ている。
ほしかったものが目の前にある。大地は喉を鳴らした。
「あまり見るなよ」
「だって……すごい……」
アキは大地のバスローブにも手をかけると、腰を持ち上げて下から引き抜いた。
乱雑に置かれた枕を取ると、臀部の下に差し入れる。
「自分で膝裏、持てる?」
「恥ずかしい……」
「分かった」
大地の太股押し上げると、一番恥ずかしい箇所が丸見えになった。
あえて見ようとしなければ露わにならない、秘められた器官。
アキは顔を近づけてじっくりと眺め、皺がいくつも重なる閉じた蕾に触れる。
「あっ……ああ…………!」
「ここがいいみたいだな」
「あっ……そこ……なんか、へん……」
アキはローションを手に垂らし、熱で温める。
透明で粘り気のある液体を塗りたくるように、皺一本一本に塗り込んでいく。
大地から快楽の上擦った声がとめどなく流れる。怖い、と訴えても、アキは笑うだけで止めようともしなかった。
上の皺から一周周り、未だ開くことのない蕾に指をうめる。
期待に膨らんだ小さな環は、違和感がありながらも受け入れていく。
「どうだ? 痛い?」
「痛くは……ない……」
「OK。追加する」
軽いノリでもう一本指を増やした。
「ああっ……まって……それは……っ」
先端からだらしなく体液を流し、震える肉棒に手を這わせた。
「だめっ……いっちゃう……いく……!」
細い筋が宙を舞い、腹部とアキの顔面にかかった。
指を引き抜くと、閉じていた蕾が物足りなそうにひくついている。
ぼってりと膨らんだ袋に、衰えを見せない肉棒を擦り、上下に腰を振った。
慣らされた小穴は待ちわびているようで、口を収縮させている。
スキンを被せた頭を先端に押し当て、小刻みに揺らしながら推し進めた。
先端が入ると、中が蠢く。奥へ奥へと進むたびに打ち解けない感覚が迫ってくる。
「動くが、痛かったら言ってくれ」
痛覚はないのだ。初めての感覚で、けれど確実に快楽は存在していて、絞り出す声しか出せなくなっていた。
快楽に翻弄されるしかなく、流れに身を任せていると、上に乗るアキからは低い声が漏れて額の汗が身体にかかる。
腸内では、暖かで卑猥な液体が満ちていった。
珍しく降った雪が肩にかかり、息を吐くと空気が白く濁る。東京に降った雪はアスファルトを覆い、外にいる人々を荒ぶらせた。
「染谷大地?」
名前を呼ばれた大地は身体を揺らした。
側には、眼鏡をかけた男性が立っている。
身長は一八〇センチくらいはあるだろうか。灰色のスーツにコートとマフラーをかけ、レザーのトートバッグをもっている。スーツには見たことのないバッジがついているが、大地には何なのか分からなかった。
「そう、です」
初めて会った印象は、「アプリと違う」だ。
本人か、騙されたのか。だが彼は大地の本名を言い当てた。散々メッセージをやりとりしてきたあのアキだと思わざるを得ない。見た目は、本人が言っていた通りなのだ。身長も髪型や色も偽りはない。
「アキさんですか?」
「ああ」
「初めまして。染谷大地です。あの、今日は……」
「じゃ、行こうか」
素っ気なく言うわりには、肩を押す力がいやに優しい。
「本当に大学生? まさか未成年じゃないよな?」
「違います」
「証明できるもんってある?」
「えーと……、」
大学在住の証である、学生証を彼に渡す。
『アキ』は学生証と大地を交互に見比べ、放り投げるように返した。
「そこのホテル取ってあるから」
指差す方角は、ビジネスホテルだ。早歩きで進む彼についていくと、アキは背後を確めて今度はゆっくりと歩き出した。
「どっち行くんだよ」
「こっちじゃないんですか?」
「こっちだ」
ビジネスホテルではないらしい。さらに先を進むと、高級ホテルに到着した。予約制のアフタヌーンティーで有名な、こじゃれたホテルだ。
赤いカーペットに恐縮しながらついていくと、アキはさっさと鍵を受け取る。
四十八階のボタンが光り、アキは壁に寄りかかった。
「親は心配しないのか」
ぼそっと言う声は独り言なのか判断つかず彼を見上げると、ばっちり目が合った。
「一人暮らしなんで」
「ふうん」
興味がなさそうに相づちを打つと、アキはエレベーターから降りた。
カードキーを差し込むと緑色のランプが光り、いよいよだと腹筋の辺りが微かに震える。
大人ふたりで寝ても充分な広さと、大きな鏡のある化粧台、トイレと風呂は別々。ベッドが大きいせいかあまり広く感じられない。
「先にシャワー使っていい」
「……………………」
「そのままするのか?」
「う、ううん……先に入ります……」
アキはネクタイを引き抜き、適当にハンガーにかけた。
大地は目を逸らしながら脱衣所へ向かう。
準備はしなくていいと事前に言われていたが、せめて身体は綺麗にしようと念入りに洗う。出かける前もシャワーを浴びたので、今日で二回目だ。
戻るとアキはうたた寝をしていた。黒縁眼鏡は化粧台に置き、シャツから鎖骨が見えている。
片足を立てるとベッドが軋み、アキは重そうな瞼を開ける。
「食べたければ適当に飲み物でも注文してていい」
そう言い残すと、彼は脱衣所に消えていった。
手持ち無沙汰にメニュー表を見るが、特に何か飲みたいわけでもなく、眼鏡の隣に置く。
冷たい水で身体を冷やしたおかげか、まだ熱は持っていない。
初めての行為をこれからするわけだが、まさかこんな高級ホテルですることになろうとは夢にも思わなかった。
十分ほどで戻ってきたアキは、バスローブ一枚だった。
いよいよだ、と思うと同時に、アキはベッドを軋ませる。大きな音が鳴り、身体が上下に揺れた。
「キスは許せる派? それとも止めておく?」
「え、ええと……多分、大丈夫……」
「多分?」
「してみたい、かなあ……と……」
「大事な人のためにとっておかなくて大丈夫か?」
経験がないとばれてしまった。
「そんな人、いないしっ」
ムキになって答えると、アキはふと笑う。
今日、初めて見た笑顔だった。
冷えた身体が急に熱を持ち出し、太股の上で拳を作る。
「おいで」
アキは手を差し出すと、大地はそっと重ねる。
腕を引かれ、ベッドに横たわる。心臓が張り裂けそうに悲鳴を上げている。
「んん…………」
突然の前触れもなく、唇が重なった。
シャワーを浴びたおかげか、お互いの唇はしっとりしている。
柔く、弾力のある肉を何度か啄むと、アキは舌で割れ目をこじ開けた。
驚いて口を閉じると、アキは一度顔を上げる。透明な糸が繋がり、大地は太股を擦り合わせた。
「顔、真っ赤」
アキは口角を上げた。本日、二度目の笑顔だ。
角度を変えて何度か音を立てると、自然と上唇が離れた。
隙を見て舌を滑り込ませ、熱を持つ舌先と絡まった。
「ん、んん……」
アキはバスローブの前をはだけさせ、首から胸へと撫でていく。
指が通るたびに微かに振られた感触とくすぐったさが残り、身をよじった。
「あっ……まって……」
キスも愛撫も止めてくれない。容赦ない快感が襲ってきては、喉から聞いたこともない声が上がる。
乳暈をくるくると指が這い、触れられてもいないのに期待と羞恥から突起は赤く凝る。
爪の先で軽く跳ね、官能の息が漏れたところで緩急をつけながら上下にいたぶる。反対側は熱い舌で戯れた。
「ああ……あ、あ……っ」
「ここ好きだろ?」
膨らんだ突起に音を立ててキスをすると、またもや唇同士が重なった。
「濡れてる」
力の抜けた裸体をそのままにしていると、アキはバスローブをすべて脱いだ。
鍛えなければ手に入らない、たくましい肉体だ。
反り上がる肉棒は臍まで届き、筋が縦横無尽に浮き出ている。
ほしかったものが目の前にある。大地は喉を鳴らした。
「あまり見るなよ」
「だって……すごい……」
アキは大地のバスローブにも手をかけると、腰を持ち上げて下から引き抜いた。
乱雑に置かれた枕を取ると、臀部の下に差し入れる。
「自分で膝裏、持てる?」
「恥ずかしい……」
「分かった」
大地の太股押し上げると、一番恥ずかしい箇所が丸見えになった。
あえて見ようとしなければ露わにならない、秘められた器官。
アキは顔を近づけてじっくりと眺め、皺がいくつも重なる閉じた蕾に触れる。
「あっ……ああ…………!」
「ここがいいみたいだな」
「あっ……そこ……なんか、へん……」
アキはローションを手に垂らし、熱で温める。
透明で粘り気のある液体を塗りたくるように、皺一本一本に塗り込んでいく。
大地から快楽の上擦った声がとめどなく流れる。怖い、と訴えても、アキは笑うだけで止めようともしなかった。
上の皺から一周周り、未だ開くことのない蕾に指をうめる。
期待に膨らんだ小さな環は、違和感がありながらも受け入れていく。
「どうだ? 痛い?」
「痛くは……ない……」
「OK。追加する」
軽いノリでもう一本指を増やした。
「ああっ……まって……それは……っ」
先端からだらしなく体液を流し、震える肉棒に手を這わせた。
「だめっ……いっちゃう……いく……!」
細い筋が宙を舞い、腹部とアキの顔面にかかった。
指を引き抜くと、閉じていた蕾が物足りなそうにひくついている。
ぼってりと膨らんだ袋に、衰えを見せない肉棒を擦り、上下に腰を振った。
慣らされた小穴は待ちわびているようで、口を収縮させている。
スキンを被せた頭を先端に押し当て、小刻みに揺らしながら推し進めた。
先端が入ると、中が蠢く。奥へ奥へと進むたびに打ち解けない感覚が迫ってくる。
「動くが、痛かったら言ってくれ」
痛覚はないのだ。初めての感覚で、けれど確実に快楽は存在していて、絞り出す声しか出せなくなっていた。
快楽に翻弄されるしかなく、流れに身を任せていると、上に乗るアキからは低い声が漏れて額の汗が身体にかかる。
腸内では、暖かで卑猥な液体が満ちていった。
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