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第一章 初恋と事件
05 再び、彼と
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翌日、朝一で警察署へ向かった。
天候とは裏腹に、ルカの気分は横殴りの雨が降り、常に身体を痛めつけられている気分だった。
警察官の視線が雨よりも突き刺さる。
「ストーカーねえ……」
手紙とルカをまじまじと見つめ、深いため息をつく。
ため息をつきたいのはこっちだ、と言いたくなるが、二度も警察にお世話になっている以上、何も言えない。
「手紙が仕込んであったのは寮の扉でしょ? 部外者では簡単に出入りできないだろうし、きっとお友達がイタズラしちゃったんだ」
「友達がこんなことします?」
マークはルカの手を取って、包帯の巻かれた手を見せた。
少し切っただけだったが、心配性のマークは包帯を巻くと言って聞かなかった。
「そもそも、友人自体そんなに多くないですし、怨まれるほど人と付き合いが広いわけじゃないです」
友と呼べるのはマークくらいだ。引っ込み思案な自分が情けなくなる。
「人数の多さじゃない。君と面識ないだけで、向こうは知っていたパターンだってある。ただ今回のケースは、お遊びの範疇さ」
警察官の言葉に、マークは机の上で拳を作った。
「まず、回りの人に怪しい人は見なかったかと聞いてくれ。ある程度の証拠がないとこちらも動けないんだ」
「つまり、ストーカーじゃなく子供の悪戯レベルの話で、カミソリの刃が挟まっていてケガをしても、警察は動かないって言ってるんですね」
マークはぶっきらぼうに呟いた。
「そこまでは言ってない。ただ事件に繋がるものじゃないってだけだ」
「マーク、もう大丈夫だから。……いろいろとありがとうございました」
このままだと争いになりかねないので、ルカは立ち上がった。遅れてマークも渋々席を立つ。
警察署を出たところで、ルカはマークに謝った。
「謝らなきゃいけないのはあっちだろ。でも誰がこんなことをしたんだろう」
「寮長にも聞いてみるよ。爆破事件みたいな大きな事件を抱えてぴりぴりしてるのに、学生の相手なんかしたくないんだと思う……マーク?」
マークは立ち止まり、一点を見つめている。
ちょうどパトカーを降りてきた男性がこちらに近寄ってくる。エドワードだ。
ルカはマークの陰に隠れようとするが、彼が近寄ってくるのが早かった。
「兄貴じゃん! 久しぶり」
「今日は眼鏡じゃないのか」
向けられたのはルカに対してだ。マークは眼鏡をかけていない。
答えないわけにもいかず、首を縦に振った。
「なんでルカが眼鏡かけるって知ってんの?」
「この前、警察署で会ったから。な?」
エドワードはルカに笑顔を見せる。
ルカは顔を腫らすほど赤く染め、何度も頷いた。
これ以上笑顔を見せられたら、心臓が止まる。
「そうそう、聞いてよエド! ロス警察ったらひどいんだ!」
「ひどい? 何があったのかぜひ話を聞きたいな。今夜、一緒に飯でもどうだ?」
「え」
エドワードは弟のマークを見ていなかった。
こちらを向いていて、ルカはマークとエドワードを交互に見やる。
「やった! エドの奢りだ」
「学生に支払わせるようなことはしないさ。君も良いだろう?」
「えと……その……すみません……僕はホームワークがまだ終わってなくて……」
「ええ? 一緒に行こうよ。後でやればいいじゃん」
「お前は少しルカを見習え」
名前を呼ばれた瞬間、心臓が破裂する勢いで動いた。血液がじわじわ上がってくるのを感じる。
「ならば今度、一緒に行こう」
「はい……ぜひ」
昔のようにエドと呼べたら良かった。押し込めたはずの感情がむき出しになりそうで、怖かった。
マークが帰ってきたのは日付が変わろうとしていた頃だ。
「お土産」
「ありがとう、どうしたの?」
「エドが渡せって」
中身はカリフォルニアロールだった。初恋を思い出し、夕食が喉を通らなかったので見透かされた気分だった。
「俺も一つもらっていい?」
「どうぞ」
「これ、好きなんだよな」
「僕も。ライス好きにはたまらないよ」
せっかくなのでグリーンティーをふたつ淹れて、さっそくカリフォルニアロールを頬張った。
「次の日曜日にエドが寮に来たいって言ってるんだけど、いい?」
「え、ど、どうして?」
「寮を見たいんだって。俺と会って、いろいろと昔を思い出したみたい」
「ああ……そっか。うん、構わないよ。僕、図書館で勉強してるよ」
会いたいのは弟のマークだ。石を投げられたのように、心が痛い。
「なんで? 日曜日いないの?」
「家族水入らずを邪魔しちゃ駄目でしょ? 僕はエドワードが帰るまで外にいるよ。ランチも外で取るし」
「あー、あのさ……いや、いい。とりあえず部屋にいてよ、エドが何か奢ってくれるかもしれないし。奢り目的とかじゃなくても、いなよ。手紙の件もあったから心配なんだって」
「そう……だね。うん。しばらくはひとりで出かけないようにするんだった」
寿司を食べながら、マークはほっと息をついた。
食欲がなかったはずなのに、残りの寿司もふたりですべて食べきった。
日曜日、マークから聞いた通り、エドワードは三人分のランチを持って現れた。
前に会ったときのロス警察の制服とは違い、今は私服だ。ジーンズに黒いTシャツというシンプルな格好で、ルカは太陽でも見ている気分になった。
「きらきら……」
「ん?」
「なんでもないです……」
視線を外し、テーブルに置いてある寿司を見る。
ふと、数日前のことを思い出した。
「あの……この前、お土産にカリフォルニアロールをありがとうございました」
「ああ、ライスが好きだと聞いたんだ。喜んでもらえてよかった」
「母親が日本人なので、日本食を食べるんです」
部屋中を飛び跳ねるくらいに喜びました、と心の中で伝える。実際は黙々と食べ進めていただけだが、嬉しさで天井を突き破る気持ちだった。
「マークは?」
「ちょっと用事があって……あ、メールが届いてます」
──教授に呼ばれたから遅くなる。先食べてていいよ!
「どうした?」
「お先にどうぞって。教授と何か話しているみたいです」
「なら先に食べるか」
いつもはマークがいる関にエドワードがいると、不思議な気持ちになった。向かい合わせで同じ空間にいられるだけで、胸がいっぱいだ。
震える手でなんとか箸を持ち直した。
「君と話がしたかった」
独り言のような小さな声だが、耳にはしっかりと届いた。
箸を強く持つと、指先が白くなり、感覚が失われていく。
「いろいろと大変な思いをしたな」
すぐに爆破事件や手紙に関するものだと理解した。嬉しさ半分、残りは膨らんだ気持ちが萎んでいった。
あり得ないと判っているのに、彼も同じ気持ちでいてほしいと期待せずにはいられない。
「そこのドアに手紙が挟まっていたのか」
エドワードは向こうのドアを見やる。
「マークから聞いたんですね」
「大体は。君からも直接聞きたいと思ってね」
「僕……自分であんなことをしたりしません」
「判っているさ。昔から君は誰よりも優しくて、真面目な子だ」
「真面目……」
「君の年齢だと真面目と言われるのには抵抗がある年頃かもしれないね。遊びたい盛りだろうに気持ちを押し留めて、毎日勉強の日々。今しっかりやっていれば、必ず実になるときがくる。絶対に」
力強く、絶対に自分が正しいとエドワードは断言する。
心を締めつけていた鎖が、いくらか解けた気がした。
天候とは裏腹に、ルカの気分は横殴りの雨が降り、常に身体を痛めつけられている気分だった。
警察官の視線が雨よりも突き刺さる。
「ストーカーねえ……」
手紙とルカをまじまじと見つめ、深いため息をつく。
ため息をつきたいのはこっちだ、と言いたくなるが、二度も警察にお世話になっている以上、何も言えない。
「手紙が仕込んであったのは寮の扉でしょ? 部外者では簡単に出入りできないだろうし、きっとお友達がイタズラしちゃったんだ」
「友達がこんなことします?」
マークはルカの手を取って、包帯の巻かれた手を見せた。
少し切っただけだったが、心配性のマークは包帯を巻くと言って聞かなかった。
「そもそも、友人自体そんなに多くないですし、怨まれるほど人と付き合いが広いわけじゃないです」
友と呼べるのはマークくらいだ。引っ込み思案な自分が情けなくなる。
「人数の多さじゃない。君と面識ないだけで、向こうは知っていたパターンだってある。ただ今回のケースは、お遊びの範疇さ」
警察官の言葉に、マークは机の上で拳を作った。
「まず、回りの人に怪しい人は見なかったかと聞いてくれ。ある程度の証拠がないとこちらも動けないんだ」
「つまり、ストーカーじゃなく子供の悪戯レベルの話で、カミソリの刃が挟まっていてケガをしても、警察は動かないって言ってるんですね」
マークはぶっきらぼうに呟いた。
「そこまでは言ってない。ただ事件に繋がるものじゃないってだけだ」
「マーク、もう大丈夫だから。……いろいろとありがとうございました」
このままだと争いになりかねないので、ルカは立ち上がった。遅れてマークも渋々席を立つ。
警察署を出たところで、ルカはマークに謝った。
「謝らなきゃいけないのはあっちだろ。でも誰がこんなことをしたんだろう」
「寮長にも聞いてみるよ。爆破事件みたいな大きな事件を抱えてぴりぴりしてるのに、学生の相手なんかしたくないんだと思う……マーク?」
マークは立ち止まり、一点を見つめている。
ちょうどパトカーを降りてきた男性がこちらに近寄ってくる。エドワードだ。
ルカはマークの陰に隠れようとするが、彼が近寄ってくるのが早かった。
「兄貴じゃん! 久しぶり」
「今日は眼鏡じゃないのか」
向けられたのはルカに対してだ。マークは眼鏡をかけていない。
答えないわけにもいかず、首を縦に振った。
「なんでルカが眼鏡かけるって知ってんの?」
「この前、警察署で会ったから。な?」
エドワードはルカに笑顔を見せる。
ルカは顔を腫らすほど赤く染め、何度も頷いた。
これ以上笑顔を見せられたら、心臓が止まる。
「そうそう、聞いてよエド! ロス警察ったらひどいんだ!」
「ひどい? 何があったのかぜひ話を聞きたいな。今夜、一緒に飯でもどうだ?」
「え」
エドワードは弟のマークを見ていなかった。
こちらを向いていて、ルカはマークとエドワードを交互に見やる。
「やった! エドの奢りだ」
「学生に支払わせるようなことはしないさ。君も良いだろう?」
「えと……その……すみません……僕はホームワークがまだ終わってなくて……」
「ええ? 一緒に行こうよ。後でやればいいじゃん」
「お前は少しルカを見習え」
名前を呼ばれた瞬間、心臓が破裂する勢いで動いた。血液がじわじわ上がってくるのを感じる。
「ならば今度、一緒に行こう」
「はい……ぜひ」
昔のようにエドと呼べたら良かった。押し込めたはずの感情がむき出しになりそうで、怖かった。
マークが帰ってきたのは日付が変わろうとしていた頃だ。
「お土産」
「ありがとう、どうしたの?」
「エドが渡せって」
中身はカリフォルニアロールだった。初恋を思い出し、夕食が喉を通らなかったので見透かされた気分だった。
「俺も一つもらっていい?」
「どうぞ」
「これ、好きなんだよな」
「僕も。ライス好きにはたまらないよ」
せっかくなのでグリーンティーをふたつ淹れて、さっそくカリフォルニアロールを頬張った。
「次の日曜日にエドが寮に来たいって言ってるんだけど、いい?」
「え、ど、どうして?」
「寮を見たいんだって。俺と会って、いろいろと昔を思い出したみたい」
「ああ……そっか。うん、構わないよ。僕、図書館で勉強してるよ」
会いたいのは弟のマークだ。石を投げられたのように、心が痛い。
「なんで? 日曜日いないの?」
「家族水入らずを邪魔しちゃ駄目でしょ? 僕はエドワードが帰るまで外にいるよ。ランチも外で取るし」
「あー、あのさ……いや、いい。とりあえず部屋にいてよ、エドが何か奢ってくれるかもしれないし。奢り目的とかじゃなくても、いなよ。手紙の件もあったから心配なんだって」
「そう……だね。うん。しばらくはひとりで出かけないようにするんだった」
寿司を食べながら、マークはほっと息をついた。
食欲がなかったはずなのに、残りの寿司もふたりですべて食べきった。
日曜日、マークから聞いた通り、エドワードは三人分のランチを持って現れた。
前に会ったときのロス警察の制服とは違い、今は私服だ。ジーンズに黒いTシャツというシンプルな格好で、ルカは太陽でも見ている気分になった。
「きらきら……」
「ん?」
「なんでもないです……」
視線を外し、テーブルに置いてある寿司を見る。
ふと、数日前のことを思い出した。
「あの……この前、お土産にカリフォルニアロールをありがとうございました」
「ああ、ライスが好きだと聞いたんだ。喜んでもらえてよかった」
「母親が日本人なので、日本食を食べるんです」
部屋中を飛び跳ねるくらいに喜びました、と心の中で伝える。実際は黙々と食べ進めていただけだが、嬉しさで天井を突き破る気持ちだった。
「マークは?」
「ちょっと用事があって……あ、メールが届いてます」
──教授に呼ばれたから遅くなる。先食べてていいよ!
「どうした?」
「お先にどうぞって。教授と何か話しているみたいです」
「なら先に食べるか」
いつもはマークがいる関にエドワードがいると、不思議な気持ちになった。向かい合わせで同じ空間にいられるだけで、胸がいっぱいだ。
震える手でなんとか箸を持ち直した。
「君と話がしたかった」
独り言のような小さな声だが、耳にはしっかりと届いた。
箸を強く持つと、指先が白くなり、感覚が失われていく。
「いろいろと大変な思いをしたな」
すぐに爆破事件や手紙に関するものだと理解した。嬉しさ半分、残りは膨らんだ気持ちが萎んでいった。
あり得ないと判っているのに、彼も同じ気持ちでいてほしいと期待せずにはいられない。
「そこのドアに手紙が挟まっていたのか」
エドワードは向こうのドアを見やる。
「マークから聞いたんですね」
「大体は。君からも直接聞きたいと思ってね」
「僕……自分であんなことをしたりしません」
「判っているさ。昔から君は誰よりも優しくて、真面目な子だ」
「真面目……」
「君の年齢だと真面目と言われるのには抵抗がある年頃かもしれないね。遊びたい盛りだろうに気持ちを押し留めて、毎日勉強の日々。今しっかりやっていれば、必ず実になるときがくる。絶対に」
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