9 / 16
第一章 ふたりの恋路
09 一月一日
しおりを挟む
元旦はとにかく多忙である。やってくる親戚への挨拶回り、茶を点てて振る舞い、家族とともに新年のお祝い。終始にこやかに笑顔を張りつけていなければならないので、顔が引きつっていた。
豪華なおせちが食卓に並ぶが、凜太はあまり手をつけなかった。
「つっかれた……」
ベッドに倒れ込み、端末をタップする。ゲームアプリにメッセージが届いていた。
──明けましておめでとう。
秋継だった。家の中に秋継のアバターがいる。渡したハリネズミのシャツはそのままで、髪型とズボンが変わっていた。
──おめでとう! 正月は人多くて疲れるよー。そっちは?
──病み上がりで寝てた。仕事なくて休んでたけど、いざベッドの中だと寂しいもんだな。
──病み上がり? 病気?
前に病気持ちだと語っていたことがある。凜太はあのときの寂しげな秋継を思い出し、ぞっとした。
──ただのインフルエンザだ。その後に風邪をこじらせて寝てた。
乾燥棚の茶葉を使って茶を淹れた。それを秋継のアバターへ渡す。お礼に花が帰ってきた。うきうきしつつ、花瓶へ飾る。
──今は大丈夫?
──平気。なんなら出かけられるくらいには元気。
──それならどこか連れてってー!
──正月だとどこでも込んでるぞ。
──カレーとかラーメン食べたい。あんまり箸つけなかったけど、おせち飽きてきた。
──ちゃんと食べないと家元悲しむぞ。
──小言は言われたよ。あ、でも紅白なますは美味しかった!
──渋いな。明後日の予定は?
──空いてる! 明日は春と会うんだ。家に来て挨拶して、一緒にまたおせち食べる。
──さすが婚約者。
──嫉妬?
──まさか。
──ほんとかなー?
アバターをつついてみた。すると向こうは反対側を向いてしまった。嫉妬している動きのようだった。
明後日はカレー日と端末のカレンダーに書いて、アバターとさよならをした。
他には春と秀明からもメールが来ていた。春は春らしく丁寧な文章、秀明は「今年もよろしく」とシンプルなもの。
ふたりに返事をして、凜太は外へ出た。大人たちの酒盛りからは逃げたかった。部屋中がアルコールの臭いに包まれ、いつもの優しい茶の香りが消え失せている。自分の家ではないようだった。
神社へ行くと、鳥居の奥へ人の波が吸い込まれていく。
凜太は踵を返して、違う神社へ向かうことにした。小さな神社で人も少ない穴場がある。
そこで春とばったり出くわした。彼女も考えは同じだったようだ。
「あけましておめでとう。今年もよろしく」
「ええ、よろしく。今から行くところ?」
「うん。振袖よく似合うよ。きれい」
「ありがとう。一緒に行きましょうか」
こちらの神社はほとんど人がいなかった。歩きづらそうな春の手を取って一歩一歩階段を進み、ふたりで鳥居をくぐる。
「ちなみに、今年の願い事は?」
「彼氏ができますように」
「相沢さんとまだ付き合ってなかったの?」
「微妙な関係なんだよね。明後日はふたりでカレーかラーメンを食べに行く予定なんだけど」
「あっきれた。あんな男やめなさいよ」
相変わらず優しい辛辣だ。
「大学生活無駄にさせるの? さんざん遊んで捨てるつもりじゃないでしょうね」
「一応、僕も考えてはいるよ。けど最終的に好きってところに終着するんだ。電車は他へ行けないでしょ? 敷かれたレールを走るみたいに、必ず同じ場所にたどり着く」
「人間の心と電車を一緒にしないでよ」
早口で言い切ると、春は大きな目を閉じて手を合わせた。
長いまつ毛に目鼻立ちがはっきりとし、唇は赤く染まっている。典型的な美少女を通り越した、絶世だ。他の男子生徒から羨ましがられるのはいつものことで、紹介しろなどとしょっちゅう言われる。
やましい感情がないから、こうしていられるのだ。春も安心しきっていて、側にいる。生まれたときから一緒で、家族以上の想いもある。
凜太も手を合わせ、素晴らしい一年になれますように、と曖昧でありながらも誰もがほしがる幸せを願った。神様に委ねたわけではない。自分自身への誓いだ。
「春は何をお願いしたの?」
「特になにも。私には必要ないから。帰りはコーヒーでも付き合ってちょうだい」
「空いてるところある?」
「どこでもいいの。家に帰りたくない気分」
お嬢様の家も同じだ。帰れば愛想笑いを求められ、大人に交じって相応の立ち振る舞いをすることになる。
凜太は春の手を握り、ゆっくりと歩いた。回りと時間の流れが違う。丸くなった枯れ葉はアスファルトの上を駆けていく。追いかけず、春のペースに合わせてカフェに入った。
「あったかい飲み物がいいわ。ミルクティーにする」
「僕も。甘いものが飲みたい。ねえ、フライドポテト食べない?」
「食べる」
こういうジャンクな食べ物は好みだ。量の多いLサイズとミルクティーを二つ注文する。
正月だというのに店内は込み合っている。参拝帰りの客人は次々と入ってきて、席の八割はうまっていた。
揚げたてのポテトを食べながら、ミルクティーをすする。相性は良いとはあまり言えないが、おせちばかりの身体に染み渡った。
「ああ、もう。帰ってこいって連絡が入ったわ」
「あまりゆっくりしてないで帰ろうか。送っていくよ」
「お茶を作っている会社の社長がうちに来るの。本当に嫌。親がお世話になっているからって、毎年よ」
「なにかされるの?」
「私を放そうとしないでずっと横でお酒を注ぐよう促すの」
「なんだよそれ。ただのセクハラじゃんか」
大事な人にそんな扱いをするとは、沸々と怒りが沸いてくる。
「僕、家に入っちゃだめ?」
「全然。むしろ来て」
新年早々行くのは戸惑ったが、婚約者という手前がある。悪い顔はしないだろう。
案の定、春の家族は歓迎した。
「手土産もなくすみません。ちょうどそこで春さんと偶然会ったんです」
「いいのよそんなこと。さあ、入って。お茶を淹れるわ」
春の母親も春にそっくりだ。こぼれるほどの大きな瞳を輝かせ、長く黒い髪を上でまとめている。
玄関先に現れたのは、春の父親ではない男。
春は凜太の腕を掴む。
凜太は例の男だと察した。
「香坂社長、お久しぶりです。こちらは私の婚約者の凜太さんです」
「初めまして」
にっこりと子供らしい笑みを作った。社長の顔は引きつっている。
それだけで来た甲斐があったと、凜太はほくそ笑んだ。
「お母さん、お茶請けもお願い。部屋にいるから」
「はいはい。ちょっと待ってね」
社長を横切り、春に連れられるまま彼女の部屋へ行く。
「あのエロ親父、本当に気持ち悪いんだから。リンがいてよかった」
「僕も来て良かった。危なそうなら来年も呼んで」
少しいて帰ろうと思っていたが、廊下ではうろうろする足音が聞こえる。勝手に部屋には入ってこないだろうが、気味が悪かった。
置かれた立場が難儀なのは、彼女もまた同じである。
痛みを少しでも奪ってやりたくて、凜太は彼女を抱きしめた。
豪華なおせちが食卓に並ぶが、凜太はあまり手をつけなかった。
「つっかれた……」
ベッドに倒れ込み、端末をタップする。ゲームアプリにメッセージが届いていた。
──明けましておめでとう。
秋継だった。家の中に秋継のアバターがいる。渡したハリネズミのシャツはそのままで、髪型とズボンが変わっていた。
──おめでとう! 正月は人多くて疲れるよー。そっちは?
──病み上がりで寝てた。仕事なくて休んでたけど、いざベッドの中だと寂しいもんだな。
──病み上がり? 病気?
前に病気持ちだと語っていたことがある。凜太はあのときの寂しげな秋継を思い出し、ぞっとした。
──ただのインフルエンザだ。その後に風邪をこじらせて寝てた。
乾燥棚の茶葉を使って茶を淹れた。それを秋継のアバターへ渡す。お礼に花が帰ってきた。うきうきしつつ、花瓶へ飾る。
──今は大丈夫?
──平気。なんなら出かけられるくらいには元気。
──それならどこか連れてってー!
──正月だとどこでも込んでるぞ。
──カレーとかラーメン食べたい。あんまり箸つけなかったけど、おせち飽きてきた。
──ちゃんと食べないと家元悲しむぞ。
──小言は言われたよ。あ、でも紅白なますは美味しかった!
──渋いな。明後日の予定は?
──空いてる! 明日は春と会うんだ。家に来て挨拶して、一緒にまたおせち食べる。
──さすが婚約者。
──嫉妬?
──まさか。
──ほんとかなー?
アバターをつついてみた。すると向こうは反対側を向いてしまった。嫉妬している動きのようだった。
明後日はカレー日と端末のカレンダーに書いて、アバターとさよならをした。
他には春と秀明からもメールが来ていた。春は春らしく丁寧な文章、秀明は「今年もよろしく」とシンプルなもの。
ふたりに返事をして、凜太は外へ出た。大人たちの酒盛りからは逃げたかった。部屋中がアルコールの臭いに包まれ、いつもの優しい茶の香りが消え失せている。自分の家ではないようだった。
神社へ行くと、鳥居の奥へ人の波が吸い込まれていく。
凜太は踵を返して、違う神社へ向かうことにした。小さな神社で人も少ない穴場がある。
そこで春とばったり出くわした。彼女も考えは同じだったようだ。
「あけましておめでとう。今年もよろしく」
「ええ、よろしく。今から行くところ?」
「うん。振袖よく似合うよ。きれい」
「ありがとう。一緒に行きましょうか」
こちらの神社はほとんど人がいなかった。歩きづらそうな春の手を取って一歩一歩階段を進み、ふたりで鳥居をくぐる。
「ちなみに、今年の願い事は?」
「彼氏ができますように」
「相沢さんとまだ付き合ってなかったの?」
「微妙な関係なんだよね。明後日はふたりでカレーかラーメンを食べに行く予定なんだけど」
「あっきれた。あんな男やめなさいよ」
相変わらず優しい辛辣だ。
「大学生活無駄にさせるの? さんざん遊んで捨てるつもりじゃないでしょうね」
「一応、僕も考えてはいるよ。けど最終的に好きってところに終着するんだ。電車は他へ行けないでしょ? 敷かれたレールを走るみたいに、必ず同じ場所にたどり着く」
「人間の心と電車を一緒にしないでよ」
早口で言い切ると、春は大きな目を閉じて手を合わせた。
長いまつ毛に目鼻立ちがはっきりとし、唇は赤く染まっている。典型的な美少女を通り越した、絶世だ。他の男子生徒から羨ましがられるのはいつものことで、紹介しろなどとしょっちゅう言われる。
やましい感情がないから、こうしていられるのだ。春も安心しきっていて、側にいる。生まれたときから一緒で、家族以上の想いもある。
凜太も手を合わせ、素晴らしい一年になれますように、と曖昧でありながらも誰もがほしがる幸せを願った。神様に委ねたわけではない。自分自身への誓いだ。
「春は何をお願いしたの?」
「特になにも。私には必要ないから。帰りはコーヒーでも付き合ってちょうだい」
「空いてるところある?」
「どこでもいいの。家に帰りたくない気分」
お嬢様の家も同じだ。帰れば愛想笑いを求められ、大人に交じって相応の立ち振る舞いをすることになる。
凜太は春の手を握り、ゆっくりと歩いた。回りと時間の流れが違う。丸くなった枯れ葉はアスファルトの上を駆けていく。追いかけず、春のペースに合わせてカフェに入った。
「あったかい飲み物がいいわ。ミルクティーにする」
「僕も。甘いものが飲みたい。ねえ、フライドポテト食べない?」
「食べる」
こういうジャンクな食べ物は好みだ。量の多いLサイズとミルクティーを二つ注文する。
正月だというのに店内は込み合っている。参拝帰りの客人は次々と入ってきて、席の八割はうまっていた。
揚げたてのポテトを食べながら、ミルクティーをすする。相性は良いとはあまり言えないが、おせちばかりの身体に染み渡った。
「ああ、もう。帰ってこいって連絡が入ったわ」
「あまりゆっくりしてないで帰ろうか。送っていくよ」
「お茶を作っている会社の社長がうちに来るの。本当に嫌。親がお世話になっているからって、毎年よ」
「なにかされるの?」
「私を放そうとしないでずっと横でお酒を注ぐよう促すの」
「なんだよそれ。ただのセクハラじゃんか」
大事な人にそんな扱いをするとは、沸々と怒りが沸いてくる。
「僕、家に入っちゃだめ?」
「全然。むしろ来て」
新年早々行くのは戸惑ったが、婚約者という手前がある。悪い顔はしないだろう。
案の定、春の家族は歓迎した。
「手土産もなくすみません。ちょうどそこで春さんと偶然会ったんです」
「いいのよそんなこと。さあ、入って。お茶を淹れるわ」
春の母親も春にそっくりだ。こぼれるほどの大きな瞳を輝かせ、長く黒い髪を上でまとめている。
玄関先に現れたのは、春の父親ではない男。
春は凜太の腕を掴む。
凜太は例の男だと察した。
「香坂社長、お久しぶりです。こちらは私の婚約者の凜太さんです」
「初めまして」
にっこりと子供らしい笑みを作った。社長の顔は引きつっている。
それだけで来た甲斐があったと、凜太はほくそ笑んだ。
「お母さん、お茶請けもお願い。部屋にいるから」
「はいはい。ちょっと待ってね」
社長を横切り、春に連れられるまま彼女の部屋へ行く。
「あのエロ親父、本当に気持ち悪いんだから。リンがいてよかった」
「僕も来て良かった。危なそうなら来年も呼んで」
少しいて帰ろうと思っていたが、廊下ではうろうろする足音が聞こえる。勝手に部屋には入ってこないだろうが、気味が悪かった。
置かれた立場が難儀なのは、彼女もまた同じである。
痛みを少しでも奪ってやりたくて、凜太は彼女を抱きしめた。
10
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
虐げられている魔術師少年、悪魔召喚に成功したところ国家転覆にも成功する
あかのゆりこ
BL
主人公のグレン・クランストンは天才魔術師だ。ある日、失われた魔術の復活に成功し、悪魔を召喚する。その悪魔は愛と性の悪魔「ドーヴィ」と名乗り、グレンに契約の代償としてまさかの「口づけ」を提示してきた。
領民を守るため、王家に囚われた姉を救うため、グレンは致し方なく自分の唇(もちろん未使用)を差し出すことになる。
***
王家に虐げられて不遇な立場のトラウマ持ち不幸属性主人公がスパダリ系悪魔に溺愛されて幸せになるコメディの皮を被ったそこそこシリアスなお話です。
・ハピエン
・CP左右固定(リバありません)
・三角関係及び当て馬キャラなし(相手違いありません)
です。
べろちゅーすらないキスだけの健全ピュアピュアなお付き合いをお楽しみください。
***
2024.10.18 第二章開幕にあたり、第一章の2話~3話の間に加筆を行いました。小数点付きの話が追加分ですが、別に読まなくても問題はありません。
夢では溺愛騎士、現実ではただのクラスメイト
春音優月
BL
真面目でおとなしい性格の藤村歩夢は、武士と呼ばれているクラスメイトの大谷虎太郎に密かに片想いしている。
クラスではほとんど会話も交わさないのに、なぜか毎晩歩夢の夢に出てくる虎太郎。しかも夢の中での虎太郎は、歩夢を守る騎士で恋人だった。
夢では溺愛騎士、現実ではただのクラスメイト。夢と現実が交錯する片想いの行方は――。
2024.02.23〜02.27
イラスト:かもねさま

オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる
クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。
イケメン俳優は万年モブ役者の鬼門です
はねビト
BL
演技力には自信があるけれど、地味な役者の羽月眞也は、2年前に共演して以来、大人気イケメン俳優になった東城湊斗に懐かれていた。
自分にはない『華』のある東城に対するコンプレックスを抱えるものの、どうにも東城からのお願いには弱くて……。
ワンコ系年下イケメン俳優×地味顔モブ俳優の芸能人BL。
外伝完結、続編連載中です。
消えない思い
樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。
高校3年生 矢野浩二 α
高校3年生 佐々木裕也 α
高校1年生 赤城要 Ω
赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。
自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。
そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。
でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。
彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。
そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。

完結·助けた犬は騎士団長でした
禅
BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。
ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。
しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。
強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ……
※完結まで毎日投稿します

田舎育ちの天然令息、姉様の嫌がった婚約を押し付けられるも同性との婚約に困惑。その上性別は絶対バレちゃいけないのに、即行でバレた!?
下菊みこと
BL
髪色が呪われた黒であったことから両親から疎まれ、隠居した父方の祖父母のいる田舎で育ったアリスティア・ベレニス・カサンドル。カサンドル侯爵家のご令息として恥ずかしくない教養を祖父母の教えの元身につけた…のだが、農作業の手伝いの方が貴族として過ごすより好き。
そんなアリスティア十八歳に急な婚約が持ち上がった。アリスティアの双子の姉、アナイス・セレスト・カサンドル。アリスティアとは違い金の御髪の彼女は侯爵家で大変かわいがられていた。そんなアナイスに、とある同盟国の公爵家の当主との婚約が持ちかけられたのだが、アナイスは婿を取ってカサンドル家を継ぎたいからと男であるアリスティアに婚約を押し付けてしまう。アリスティアとアナイスは髪色以外は見た目がそっくりで、アリスティアは田舎に引っ込んでいたためいけてしまった。
アリスは自分の性別がバレたらどうなるか、また自分の呪われた黒を見て相手はどう思うかと心配になった。そして顔合わせすることになったが、なんと公爵家の執事長に性別が即行でバレた。
公爵家には公爵と歳の離れた腹違いの弟がいる。前公爵の正妻との唯一の子である。公爵は、正当な継承権を持つ正妻の息子があまりにも幼く家を継げないため、妾腹でありながら爵位を継承したのだ。なので公爵の後を継ぐのはこの弟と決まっている。そのため公爵に必要なのは同盟国の有力貴族との縁のみ。嫁が子供を産む必要はない。
アリスティアが男であることがバレたら捨てられると思いきや、公爵の弟に懐かれたアリスティアは公爵に「家同士の婚姻という事実だけがあれば良い」と言われてそのまま公爵家で暮らすことになる。
一方婚約者、二十五歳のクロヴィス・シリル・ドナシアンは嫁に来たのが男で困惑。しかし可愛い弟と仲良くなるのが早かったのと弟について黙って結婚しようとしていた負い目でアリスティアを追い出す気になれず婚約を結ぶことに。
これはそんなクロヴィスとアリスティアが少しずつ近づいていき、本物の夫婦になるまでの記録である。
小説家になろう様でも2023年 03月07日 15時11分から投稿しています。
いとしの生徒会長さま
もりひろ
BL
大好きな親友と楽しい高校生活を送るため、急きょアメリカから帰国した俺だけど、編入した学園は、とんでもなく変わっていた……!
しかも、生徒会長になれとか言われるし。冗談じゃねえっつの!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる