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18 初めてのダンジョン
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翌朝、俺たちはダンジョンの入口の行列に並んだ。
Cランクパーティーだ。メンバーは二人。これが依頼書だ。ギルド発行の依頼書を見せる。
ダンジョンの入口に設けられた受付のギルド職員が依頼書に受付印を推してダンジョンの地図と一緒に返してくれた。
ギルドの依頼で来ているから地図をもらえる。稼ぐ目的でダンジョンに勝手に入る冒険者は、宿場の武器屋で地図を買わなければならない。
俺は、依頼書と地図を革鎧の内側に隠す振りをして、次元収納にしまいこんだ。
そしてダンジョンの中を少し進んだところで認識阻害の魔法陣を作動させて地図を取り出すとリーネと一緒に検討した。
浅い階は探索しても仕方がない。まず3階まで降りて、そこからゆっくり探索しよう。
ダンジョンの中での戦力は俺頼みのリーネは
クリフのやりたいようにして。
と言ってくれた。
俺は久しぶりに魔法陣のカテゴリーをステータスウインドウに出し、ダンジョン、位置、情報、探知、魔物、宝物、ドロップ品、鉱物、人間、その他を選んで魔法陣を創った。
これでダンジョンの中はオートマッピングできるし、マップ自体がレーダーの働きをしてくれる。
俺とリーネの安全確保と、ダンジョンでの稼ぎを増やすために思いつくだけの魔法陣を作動させておく。
こうして俺たちは、冒険者たちのたくさんいる3階までを素通りして4階にやって来た。
1階、2階でよく出るモンスターは、スライム、ゴブリンという定番モンスターだ。3階からはスケルトンも出現する。4階まで進むとモンスターの格が少し上がりスチールスライム、クロムスライム、ポイズンスライムといったスライムの上位種、ホブゴブリンやゴブリンソルジャーなどのゴブリンの上位種、グールやゾンビなどのアンデッド系の上位種などが現れる。
魔物の種類に統一感が欠けるがダンジョンの原理すら分かっていないのだから文句を言っても仕方がない。
4階からはリーネから手を離してゆっくりと進むことにする。
オートマップを見ると、角の向こう側にグールが2体待ち伏せしている。俺は今の場所からロングソードを振るって虚空斬撃でグールを倒した。倒れたグールはすぐに光になって消え、ドロップアイテムだけが残されている。グールがドロップしたのは毒消し薬の入った小瓶だった。この小瓶は一つ銀貨1枚で売れる。アイテムは高くはないが階層が浅いからこんなものだろう。
さらに進むとホブゴブリンが現れる。これも次元斬撃で一蹴する。ドロップアイテムは薬草だった。ポーションの材料になるので売れる。
しかし、この階層のドロップアイテムはしょぼすぎる。ここは、ドロップ内容変更の魔法陣を用意しておく。
次の角では2匹のゴブリンソルジャーが待ち伏せしていた。まず、普通に虚空斬撃で倒す。次にドロップ内容変更の魔法陣を作動させて虚空斬撃で倒した。
普通の斬撃で倒した方は、錆びた剣をドロップした。ドロップ内容変更で倒した方はポーションをドロップした。どちらもたいした稼ぎにならない。
やっぱり階層が浅いとロクなものをドロップしないな。もっと深いところにいくか。
そうね、ポーションなんて銀貨1枚にもならないわね。
俺たちは、下の階へと急ぐことにした。
魔法陣の効果で魔物にも罠にも出くわすことなく15階まで降りた。ここまで深く降りてくると魔物も強くなるのでドロップアイテムも期待できる。
通路はかなり広く、天井も高い。ということは大型の魔物が出るということか?
最初に出会ったのはスケルトンナイトだった。スケルトンのウマにスケルトンの騎士が跨っている。ウマも騎士もフルプレートアーマーで覆われ、普通の攻撃は跳ね返しそうだ。
しかし俺には虚空斬撃がある。俺はリーネを後に庇いながら虚空斬撃を放った。
こちらの様子を伺っていた騎士の首が飛ぶ。同時に馬の前脚も切り飛ばしたので、馬が倒れ、首を失った騎士の体も馬から転がり落ちる。
すぐに倒れた魔物の姿は消えて、アイテムがドロップされた。剣が落ちていた。近寄って取ろうとすると、
危険です。触れる前に鑑定してください。
と声が聞こえた。俺は周囲を見回す。リーネがどうしたの?と不安そうに聞く。
うん、今声が聞こえた。そうかすっかり忘れていたけど、久しぶりに聞いた自動メッセージだった。
ちょっと待ってくれ、とリーネに言ってから鑑定の魔法陣を作動させると魔法剣闇属性と表示された。
闇属性の説明を見ると、持つと手から離れなくなる呪いがかかる。そのため女神像の左手の能力が封じられる。
大変なものが出てきた。女神像って、ほとんど万能だと思っていたのに、この程度の魔物のドロップアイテムで力が封じられてしまうのか?情けない。
その剣に触れないでください。これも久しぶりに聞いたララの声だ。
随分久しぶりじゃないか。どうして急に出てきたんだ?
今そちらに行きますので少し待って下さい。
ララがそう言うと、俺たちの前の空間が輝きはじめた。光の粒子が渦を巻いたようになり、やがて人間の形をとり始める。やがて光が消えて一人の女性が立っていた。体にはギリシャの彫刻のようなローブを巻きつけている。
ランドクリフ様、はじめまして。ララでございます。
あっ、あんたがララか?確かに会うのは初めてだな。
リーネが後から俺の袖を引っ張り
誰よそれ?と聞いてくる。
う~ん、ララといってな、説明するのが難しい。
私はランドクリフ様の侍女で家庭教師で乳母ございます。ランドクリフ様がこの世に生を受けてから、ずっとお世話をしております。
おい、ララ、俺がいつ・・
俺が抗議をしようと開いた口をララが掌をあてて止めた。
この剣は、この程度の魔物がドロップするような物ではありませんわ。何者かがあなたを騙して手に取らせるためにドロップアイテムをすり替えたに違いありません。
そう口で話しながら、ララは俺の頭に念話を送ってきた。
私の話に合わせて下さい。どうやらこれは罠のようです。
罠?俺が念話を返す。
用心するに越したことはないので、私のことは誰にも話さないようにお願いいたします。
だが、リーネに話すのは大丈夫じゃないか?
誰かが魔法で聞いています。余計なことは言わないようにお願いします。
Cランクパーティーだ。メンバーは二人。これが依頼書だ。ギルド発行の依頼書を見せる。
ダンジョンの入口に設けられた受付のギルド職員が依頼書に受付印を推してダンジョンの地図と一緒に返してくれた。
ギルドの依頼で来ているから地図をもらえる。稼ぐ目的でダンジョンに勝手に入る冒険者は、宿場の武器屋で地図を買わなければならない。
俺は、依頼書と地図を革鎧の内側に隠す振りをして、次元収納にしまいこんだ。
そしてダンジョンの中を少し進んだところで認識阻害の魔法陣を作動させて地図を取り出すとリーネと一緒に検討した。
浅い階は探索しても仕方がない。まず3階まで降りて、そこからゆっくり探索しよう。
ダンジョンの中での戦力は俺頼みのリーネは
クリフのやりたいようにして。
と言ってくれた。
俺は久しぶりに魔法陣のカテゴリーをステータスウインドウに出し、ダンジョン、位置、情報、探知、魔物、宝物、ドロップ品、鉱物、人間、その他を選んで魔法陣を創った。
これでダンジョンの中はオートマッピングできるし、マップ自体がレーダーの働きをしてくれる。
俺とリーネの安全確保と、ダンジョンでの稼ぎを増やすために思いつくだけの魔法陣を作動させておく。
こうして俺たちは、冒険者たちのたくさんいる3階までを素通りして4階にやって来た。
1階、2階でよく出るモンスターは、スライム、ゴブリンという定番モンスターだ。3階からはスケルトンも出現する。4階まで進むとモンスターの格が少し上がりスチールスライム、クロムスライム、ポイズンスライムといったスライムの上位種、ホブゴブリンやゴブリンソルジャーなどのゴブリンの上位種、グールやゾンビなどのアンデッド系の上位種などが現れる。
魔物の種類に統一感が欠けるがダンジョンの原理すら分かっていないのだから文句を言っても仕方がない。
4階からはリーネから手を離してゆっくりと進むことにする。
オートマップを見ると、角の向こう側にグールが2体待ち伏せしている。俺は今の場所からロングソードを振るって虚空斬撃でグールを倒した。倒れたグールはすぐに光になって消え、ドロップアイテムだけが残されている。グールがドロップしたのは毒消し薬の入った小瓶だった。この小瓶は一つ銀貨1枚で売れる。アイテムは高くはないが階層が浅いからこんなものだろう。
さらに進むとホブゴブリンが現れる。これも次元斬撃で一蹴する。ドロップアイテムは薬草だった。ポーションの材料になるので売れる。
しかし、この階層のドロップアイテムはしょぼすぎる。ここは、ドロップ内容変更の魔法陣を用意しておく。
次の角では2匹のゴブリンソルジャーが待ち伏せしていた。まず、普通に虚空斬撃で倒す。次にドロップ内容変更の魔法陣を作動させて虚空斬撃で倒した。
普通の斬撃で倒した方は、錆びた剣をドロップした。ドロップ内容変更で倒した方はポーションをドロップした。どちらもたいした稼ぎにならない。
やっぱり階層が浅いとロクなものをドロップしないな。もっと深いところにいくか。
そうね、ポーションなんて銀貨1枚にもならないわね。
俺たちは、下の階へと急ぐことにした。
魔法陣の効果で魔物にも罠にも出くわすことなく15階まで降りた。ここまで深く降りてくると魔物も強くなるのでドロップアイテムも期待できる。
通路はかなり広く、天井も高い。ということは大型の魔物が出るということか?
最初に出会ったのはスケルトンナイトだった。スケルトンのウマにスケルトンの騎士が跨っている。ウマも騎士もフルプレートアーマーで覆われ、普通の攻撃は跳ね返しそうだ。
しかし俺には虚空斬撃がある。俺はリーネを後に庇いながら虚空斬撃を放った。
こちらの様子を伺っていた騎士の首が飛ぶ。同時に馬の前脚も切り飛ばしたので、馬が倒れ、首を失った騎士の体も馬から転がり落ちる。
すぐに倒れた魔物の姿は消えて、アイテムがドロップされた。剣が落ちていた。近寄って取ろうとすると、
危険です。触れる前に鑑定してください。
と声が聞こえた。俺は周囲を見回す。リーネがどうしたの?と不安そうに聞く。
うん、今声が聞こえた。そうかすっかり忘れていたけど、久しぶりに聞いた自動メッセージだった。
ちょっと待ってくれ、とリーネに言ってから鑑定の魔法陣を作動させると魔法剣闇属性と表示された。
闇属性の説明を見ると、持つと手から離れなくなる呪いがかかる。そのため女神像の左手の能力が封じられる。
大変なものが出てきた。女神像って、ほとんど万能だと思っていたのに、この程度の魔物のドロップアイテムで力が封じられてしまうのか?情けない。
その剣に触れないでください。これも久しぶりに聞いたララの声だ。
随分久しぶりじゃないか。どうして急に出てきたんだ?
今そちらに行きますので少し待って下さい。
ララがそう言うと、俺たちの前の空間が輝きはじめた。光の粒子が渦を巻いたようになり、やがて人間の形をとり始める。やがて光が消えて一人の女性が立っていた。体にはギリシャの彫刻のようなローブを巻きつけている。
ランドクリフ様、はじめまして。ララでございます。
あっ、あんたがララか?確かに会うのは初めてだな。
リーネが後から俺の袖を引っ張り
誰よそれ?と聞いてくる。
う~ん、ララといってな、説明するのが難しい。
私はランドクリフ様の侍女で家庭教師で乳母ございます。ランドクリフ様がこの世に生を受けてから、ずっとお世話をしております。
おい、ララ、俺がいつ・・
俺が抗議をしようと開いた口をララが掌をあてて止めた。
この剣は、この程度の魔物がドロップするような物ではありませんわ。何者かがあなたを騙して手に取らせるためにドロップアイテムをすり替えたに違いありません。
そう口で話しながら、ララは俺の頭に念話を送ってきた。
私の話に合わせて下さい。どうやらこれは罠のようです。
罠?俺が念話を返す。
用心するに越したことはないので、私のことは誰にも話さないようにお願いいたします。
だが、リーネに話すのは大丈夫じゃないか?
誰かが魔法で聞いています。余計なことは言わないようにお願いします。
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