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そうしてぼくは妹と交流を深める
しおりを挟むぼくは妹に嫌われている。理由はいまいちわからない。生理的に無理とか、そういう類だと思う。しかし家事も手伝ってくれるし、当番制の料理もしっかり作ってくれるので特に不満はないどころか、よくできた妹だと思っている。洗濯物を一緒に洗っても怒られないし、お風呂に先に入っても怒られない。だからうちの妹は良い妹だ。
そんな妹を残して自分は死のうとしていたのだと思うと、我ながらクソ野郎だなと思う。
「なんか欲しい物とかないか?」
幸い妹に残す予定だった貯金があるので、お金には余裕がある。テレビを見ていた妹にそう聴くと、妹は訝しむように顔をしかめた。
「なんだよ急に。きもいんだけど」
正直に言うわけにもいかず、会社で臨時のボーナスが出たことにした。
「別に欲しい物とか……じゃあ、焼き肉食べにいきたい」
「はー?一緒に食事とか知り合いに見られたら恥ずかしすぎて自害するんだけど」くらいに思われていそうだったが、一緒に外食に行ってくれるとは。もしかしたらぼくは意外と嫌われていないのかもしれない。
そういうことで、今夜は焼き肉になった。他人の金というのは食欲を増幅させるのか、妹はすごい量の肉を頼んだくせに、「もうお腹いっぱいになっちゃった」と言い、残った肉はぼくが食べることになった。確かに美味しかったけど、適量ってものがあると思う。こんなことなら最初にライス大盛りなんて頼むんじゃなかった。
「女子の胃袋なんてこんなもんだよ」
「こんなものとわかってるならなんでこんなに頼むんだよ」
「だって余ったら兄ちゃんに食わせればいいし」
いったい兄をなんだと思っているのか。
妹はぼくが肉を完食するまで「手、止まってるけど?」と逐一監視の目を光らせていた。
……やっぱりぼくは妹に嫌われている。
肉はうまかった。そこに問題はない。問題は食べるのに時間がかかってしまったことだ。妹を家まで送って、あの女子学生が自殺するまでに間に合うかどうか微妙なラインだった。
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