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1-10 アルバイト
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6月12日 木曜日 今日は午後から優子と授業を受けていた。
放課後5時半から2回目のアルバイトだ。
少し途切れ途切れの集中力ではあったが、どうにか乗り越え時刻は4時半。
「そういえばバイト、どうだった?」
「なんかね、思ってたのと違った」
「違うって?」
「うーん、緩い雰囲気でみんな個性的だった」
「そうなんだ、私も今度行くね」
そういうと優子もサークルがあるからと行ってしまった。
私も一回帰って、荷物を置き時間も余裕ないためすぐにテリアへと向かった。
「お、おはようございます」
入り口から入ると、レジにいた昨日の先輩、絵里さんがいた。
「昨日、聞いたかわかんないけど、裏口から入ってね」
そう言われ裏口の場所を教えてもらってそこから中へ入る。
「あら、おはよう。そういえば裏口の場所、言うの忘れてたわ」
花さんだ。おっとりとした口調で謝辞を述べる。
事務所で着替えると、今日は店長はお休みで出掛けているという。
絵里さんも6時で上がるため、8時の閉店まで花さんと2人で店番をすることになる。
今日は、先日に引き続きコーヒーの淹れ方や、少しだけケーキについての作り方やレシピなどの知識を教えてもらった。
基本はレジ番をしつつ注文を取り、お会計などの作業を中心とした。
しかし、平日の夕方ということもあってお客さんは少ない。というよりも常連のお爺ちゃんしかいなかった。
閉店まであと1時間といった時に、入り口のドアが開き、ベルの音が鳴る。
「花さん、頼まれてたもの、持ってきたよ」
深めに帽子を被り、黒いシャツに黒いジーンズを履いた好青年風の男性が来店した。
「あら、勝己《かつみ》さん、わざわざありがとうね」
花さんは、封筒を受け取った。勝己さんは私の方を見る。
「あれ新人、珍しいね、絵里ちゃんは上がり?」
「絵里ちゃんはさっき帰ったわよ」
花さんと勝己さんは仲が良さそうだった。
「そっか、残念、ちょっとだけコーヒーもらってもいいかな。閉店間際にごめんね」
「いいのよ、今日は私の奢りで。この子のコーヒー飲んでくれるかしら?」
「それは楽しみだね」
そう言うと、勝己さんは席に座ると何やら手帳を取り出し書き込んでいた。
私はコーヒーを淹れると勝己さんの席へ持って行く。
「お、お待たせいたしました」
勝己さんはコーヒーを手に取ると、匂いを嗅いだ。昨日のバーバラさんと一緒。常連さんはみんなこうなのかな、やたらコーヒー好きが多そうだと思った。
「匂いは悪くないね」
そう言い一口飲む。
「うん、新人君にしてはいい出来じゃないか」
少し上から目線にイラッとしたがお客さんだし堪えた。
その後、30分ほど滞在して勝己さんは帰っていった。
花さんにレジ締め作業を教わっていた、もう閉店の時間だ。
常連のお爺ちゃんも帰っていった。あの人いつもいるんだろうか、些細な疑問を感じながら作業を終わらせる。
「今日はお疲れ様。これよかったら持ってって、あまりものだけれど」
そう言われイチゴのムースケーキをもらった。とても美味しそうだった。
家へ帰り、簡単な食事を済ませ、ケーキを食べようと取りだす。
いい匂いがした。味も美味しい。柔らかくて食べやすかった。
ドリンクを飲み明日は1限がゼミなので早めに就寝することにした。
翌日、朝7時、スマホのアラームで目が覚めた。
カーテンを開けると、差し込む朝日が眩しかった。窓を少し開けると初夏の風が吹く。部屋が少し蒸し暑かったがマシになった。
いつも通り、トーストを焼き、ドリンクを飲む。ルーティンと化していた。
今日の講義は午前中だけで、今週はサークル活動もない。優子に連絡でもしてみようと思ったが辞めた。慣れないアルバイトも始めたばかりだし暇を謳歌する事にした。
午後12時半、講義が終わり優子と合流した。お昼を食べてから帰ることにした。いつものカフェで軽食をとり、いつもは飲まないコーヒーを注文した。
「珍しいわね、コーヒー苦手って言ってたのに」
「うん、苦手は苦手なんだけど、カフェで働いて、色々と聞くうちに少し興味が出てきたの」
「へえ、何を教わったの?」
「淹れ方で味わいが違うの。同じコーヒーでも私が淹れたのと、ベテランの花さんが淹れたものだと全然、味も匂いも違ってびっくりだった」
ここのカフェのコーヒーは機械で淹れるものだが意外と美味しく感じた。
優子もファミレスで働いているが、そこまでこだわっているコーヒーではないため、意外そうに話を聞いていた。
「あんた、少し変わったね。バイトできてよかったじゃない。話聞く感じだと雰囲気もあってそうだし」
「う、うん、雰囲気はいいよ、そこはよかった」
「こっちはガチャガチャしてるからね、夜なんかてんやわんやよ」
優子はファミレスの忙しさを擬音で表現する。なんか想像がつく。
そんな話をしていると、お昼の時間が終わりに近づく。
「それじゃ、私は午後もあるから。また来週」
そう言い残し、優子は足早に講義へと向かっていった。
私はゆっくりと1人の時間を満喫するために、スーパーでお菓子をかいだめた。ついでにあのショップも行きドリンクも購入し帰宅した。
放課後5時半から2回目のアルバイトだ。
少し途切れ途切れの集中力ではあったが、どうにか乗り越え時刻は4時半。
「そういえばバイト、どうだった?」
「なんかね、思ってたのと違った」
「違うって?」
「うーん、緩い雰囲気でみんな個性的だった」
「そうなんだ、私も今度行くね」
そういうと優子もサークルがあるからと行ってしまった。
私も一回帰って、荷物を置き時間も余裕ないためすぐにテリアへと向かった。
「お、おはようございます」
入り口から入ると、レジにいた昨日の先輩、絵里さんがいた。
「昨日、聞いたかわかんないけど、裏口から入ってね」
そう言われ裏口の場所を教えてもらってそこから中へ入る。
「あら、おはよう。そういえば裏口の場所、言うの忘れてたわ」
花さんだ。おっとりとした口調で謝辞を述べる。
事務所で着替えると、今日は店長はお休みで出掛けているという。
絵里さんも6時で上がるため、8時の閉店まで花さんと2人で店番をすることになる。
今日は、先日に引き続きコーヒーの淹れ方や、少しだけケーキについての作り方やレシピなどの知識を教えてもらった。
基本はレジ番をしつつ注文を取り、お会計などの作業を中心とした。
しかし、平日の夕方ということもあってお客さんは少ない。というよりも常連のお爺ちゃんしかいなかった。
閉店まであと1時間といった時に、入り口のドアが開き、ベルの音が鳴る。
「花さん、頼まれてたもの、持ってきたよ」
深めに帽子を被り、黒いシャツに黒いジーンズを履いた好青年風の男性が来店した。
「あら、勝己《かつみ》さん、わざわざありがとうね」
花さんは、封筒を受け取った。勝己さんは私の方を見る。
「あれ新人、珍しいね、絵里ちゃんは上がり?」
「絵里ちゃんはさっき帰ったわよ」
花さんと勝己さんは仲が良さそうだった。
「そっか、残念、ちょっとだけコーヒーもらってもいいかな。閉店間際にごめんね」
「いいのよ、今日は私の奢りで。この子のコーヒー飲んでくれるかしら?」
「それは楽しみだね」
そう言うと、勝己さんは席に座ると何やら手帳を取り出し書き込んでいた。
私はコーヒーを淹れると勝己さんの席へ持って行く。
「お、お待たせいたしました」
勝己さんはコーヒーを手に取ると、匂いを嗅いだ。昨日のバーバラさんと一緒。常連さんはみんなこうなのかな、やたらコーヒー好きが多そうだと思った。
「匂いは悪くないね」
そう言い一口飲む。
「うん、新人君にしてはいい出来じゃないか」
少し上から目線にイラッとしたがお客さんだし堪えた。
その後、30分ほど滞在して勝己さんは帰っていった。
花さんにレジ締め作業を教わっていた、もう閉店の時間だ。
常連のお爺ちゃんも帰っていった。あの人いつもいるんだろうか、些細な疑問を感じながら作業を終わらせる。
「今日はお疲れ様。これよかったら持ってって、あまりものだけれど」
そう言われイチゴのムースケーキをもらった。とても美味しそうだった。
家へ帰り、簡単な食事を済ませ、ケーキを食べようと取りだす。
いい匂いがした。味も美味しい。柔らかくて食べやすかった。
ドリンクを飲み明日は1限がゼミなので早めに就寝することにした。
翌日、朝7時、スマホのアラームで目が覚めた。
カーテンを開けると、差し込む朝日が眩しかった。窓を少し開けると初夏の風が吹く。部屋が少し蒸し暑かったがマシになった。
いつも通り、トーストを焼き、ドリンクを飲む。ルーティンと化していた。
今日の講義は午前中だけで、今週はサークル活動もない。優子に連絡でもしてみようと思ったが辞めた。慣れないアルバイトも始めたばかりだし暇を謳歌する事にした。
午後12時半、講義が終わり優子と合流した。お昼を食べてから帰ることにした。いつものカフェで軽食をとり、いつもは飲まないコーヒーを注文した。
「珍しいわね、コーヒー苦手って言ってたのに」
「うん、苦手は苦手なんだけど、カフェで働いて、色々と聞くうちに少し興味が出てきたの」
「へえ、何を教わったの?」
「淹れ方で味わいが違うの。同じコーヒーでも私が淹れたのと、ベテランの花さんが淹れたものだと全然、味も匂いも違ってびっくりだった」
ここのカフェのコーヒーは機械で淹れるものだが意外と美味しく感じた。
優子もファミレスで働いているが、そこまでこだわっているコーヒーではないため、意外そうに話を聞いていた。
「あんた、少し変わったね。バイトできてよかったじゃない。話聞く感じだと雰囲気もあってそうだし」
「う、うん、雰囲気はいいよ、そこはよかった」
「こっちはガチャガチャしてるからね、夜なんかてんやわんやよ」
優子はファミレスの忙しさを擬音で表現する。なんか想像がつく。
そんな話をしていると、お昼の時間が終わりに近づく。
「それじゃ、私は午後もあるから。また来週」
そう言い残し、優子は足早に講義へと向かっていった。
私はゆっくりと1人の時間を満喫するために、スーパーでお菓子をかいだめた。ついでにあのショップも行きドリンクも購入し帰宅した。
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