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1-7 飲物
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ふと眠気から覚めた。不思議なくらいにすっきりしている。横のテーブルのドリンクが目に入った。やはりこのドリンクの影響なのだろうか。
私は気になり調べてみたが、ボトルはラベルレスで社名と成分表しか記載
されておらず、社名で調べてもこれといったページはヒットしなかった。
少し怖さもあったが、もう一杯、コップで飲んだ。うん、やはり味や風味は抜群によく、少し経つと高揚感が出てくる。
今日は気分がいいので散歩でも行こうと外に出た。
しばらく街を歩いていると声をかけられた。
「お久しぶり、覚えてる?」
以前、新歓の前にあった里見だった。あれから会っていなくて連絡先も知らなかった。
「お久しぶり、ねえ、連絡先、交換しよ」
私の口から出た言葉とは思えないくらい、自然かつ社交的になっていた。
里見は少し怪訝そうな顔色をしたが、スマホを出し連絡先を教えてくれた。
「なんか変わった?」
「え、そんなことないよ」
里見は私が不自然な様に見えているみたいだ。
「まあ、いいんだけどさ、わたし用事あるからまたね」
そういい里見は商店街の人混みの中へといってしまった。私、何か変なこと言ったかな、気にはなったが深く考えずに散歩を続けた。
いつもならこんな風に1人で歩くことは大学へ行く時と買い物など何かなければ家から出ない。今日は晴天、雲一つない青空が広がっている。春の少し暖かい風がこんなにも気持ちいいと感じたことは今までなかった。
1時間ほど、家の周囲を歩き、少し疲れたので帰宅した。
シャワーで汗を流しまたあのドリンクを飲んだ。癖になりつつあった。
5月26日 月曜日
今日も気分が良かった。毎朝、毎晩、あのドリンクを飲んでいるからだろうか、ここ最近、とても調子がいい。
午前の授業も集中力を切らすことなく受け、小テストも難なくこなせた。
お昼の時間、久しぶりに優子と食べる事になっていたので食堂へと向かった。
「おーい、まりかー」
優子の声だ、教室棟のあたりから私が見えたのだろう。走ってきた。
「やあ、元気?」
優子とお昼を食べるのは久しぶりだった。4月はよく食べていたが5月に入りサークルのミーティングなどもあるらしく、授業も優子は少しサボり気味で接点が減っていた。
2人でいつものカフェへといき軽食をつまみながら談笑した。
「ねえ、あんた最近さ、少し明るくなったんじゃない?」
「え、そうかな、気のせいだよ」
「授業中も前より集中してない?気のせいじゃないと思うけど」
優子からの発言に少し戸惑った。変化しているのだろか、自分自身ではそこまでではないと感じていた。体感的にあのドリンクを飲む様になってから体の調子がいいとは感じていたが。
そういえば優子にドリンクのことを言っていなかったのを思い出し話してみた。
「最近、佐野さんに教えてもらったエナジードリンクを飲んでるんだけど、そのせいかな?」
「へえ、あの先輩からね、なんてやつ?」
「それが、名前、分からなくて。エアロって会社のものなんだけど」
優子は心配そうに溜息混じりで続ける。
「あんたそれ大丈夫?怪しいやつじゃないの?」
「大丈夫だよ、飲み過ぎは良くないみたいだけど、佐野さんが教えてくれたんだし」
私はいつの間にか佐野さんを信用しきっていた。
「そう、でも変なのは飲まない方がいいわよ」
優子にそう忠告されたところでお昼の終わりを告げるチャイムがなった。
夕方、私はあのショップへと出向く。またドリンクを2本、購入しスーパーで食材の買い物して帰ることにした。
スーパーでお会計のレジに並んでいると、聞き覚えのある声がした。佐野さんだ。私の番が近づく度にドキドキしていた。
「あれ、茉莉花ちゃん、調子どう?」
今日も佐野さんはイケメンでした。
「元気です」
私はこの短い時間でどうしても伝えたいことがあって話した。
「あの、お勧めしていただいたドリンク飲んでから、何か買われた気がして」
「そっか、そんなにリピートしてくれるとは思わなかったよ。でも飲み過ぎには気をつけてね」
そう言われ、レジを後にする。
また今度あったら、詳細を聞こうと思いながら袋詰めをして家に帰る。
私は自身の身に起きた変化に気づいた。以前と比べるとここ最近、食欲が減っていることに。
あのドリンクの影響だろうか、でもそれでダイエットになるならいいかと思い軽く食事を済ませ、ドリンクを飲む。不思議と増した集中力で課題を終わらせた。
6月1日 日曜日
今日はサークルの活動日だ。里見と待ち合わせをしているので駅に向かう。
白いワンピースを着た少女が立っている。普段と少し服装が違う様だが里見だった。
「お、おはよう」
「おはよー、元気にしてた?」
里見は優子とテンションが似ている。どちらかといえば内向的な感じで親近感が湧くがテンションは高めな子だ。
「今日は募金活動だっけ?」
「そそ、私も良くわかんないけ新宿駅で集合だから行こ!」
今日は新宿駅付近で募金活動を行う。私たちが住む街の幼稚園への寄付金を募るそうだ。
電車に揺られながら目的地へと向かう。そんな時、里見が話題を降ってきた。
「大学生活はどう?」
「うん、まあ、少し離れてきたかな」
「そっかー。私も慣れてきたんだけど、ちょっと体調悪くて」
里見は少し精神的に不安定になりやすいようで、先週はあまり講義に出られなかったと言っていた。
「それは大変だね。大丈夫?」
「まあ平気平気、今は薬飲んで落ち着いてるから」
そんな会話をしていたら到着のアナウンスがする。人ごみをかき分けながらホームを出て集合場所のバスターミナル付近へと向かった。
私は気になり調べてみたが、ボトルはラベルレスで社名と成分表しか記載
されておらず、社名で調べてもこれといったページはヒットしなかった。
少し怖さもあったが、もう一杯、コップで飲んだ。うん、やはり味や風味は抜群によく、少し経つと高揚感が出てくる。
今日は気分がいいので散歩でも行こうと外に出た。
しばらく街を歩いていると声をかけられた。
「お久しぶり、覚えてる?」
以前、新歓の前にあった里見だった。あれから会っていなくて連絡先も知らなかった。
「お久しぶり、ねえ、連絡先、交換しよ」
私の口から出た言葉とは思えないくらい、自然かつ社交的になっていた。
里見は少し怪訝そうな顔色をしたが、スマホを出し連絡先を教えてくれた。
「なんか変わった?」
「え、そんなことないよ」
里見は私が不自然な様に見えているみたいだ。
「まあ、いいんだけどさ、わたし用事あるからまたね」
そういい里見は商店街の人混みの中へといってしまった。私、何か変なこと言ったかな、気にはなったが深く考えずに散歩を続けた。
いつもならこんな風に1人で歩くことは大学へ行く時と買い物など何かなければ家から出ない。今日は晴天、雲一つない青空が広がっている。春の少し暖かい風がこんなにも気持ちいいと感じたことは今までなかった。
1時間ほど、家の周囲を歩き、少し疲れたので帰宅した。
シャワーで汗を流しまたあのドリンクを飲んだ。癖になりつつあった。
5月26日 月曜日
今日も気分が良かった。毎朝、毎晩、あのドリンクを飲んでいるからだろうか、ここ最近、とても調子がいい。
午前の授業も集中力を切らすことなく受け、小テストも難なくこなせた。
お昼の時間、久しぶりに優子と食べる事になっていたので食堂へと向かった。
「おーい、まりかー」
優子の声だ、教室棟のあたりから私が見えたのだろう。走ってきた。
「やあ、元気?」
優子とお昼を食べるのは久しぶりだった。4月はよく食べていたが5月に入りサークルのミーティングなどもあるらしく、授業も優子は少しサボり気味で接点が減っていた。
2人でいつものカフェへといき軽食をつまみながら談笑した。
「ねえ、あんた最近さ、少し明るくなったんじゃない?」
「え、そうかな、気のせいだよ」
「授業中も前より集中してない?気のせいじゃないと思うけど」
優子からの発言に少し戸惑った。変化しているのだろか、自分自身ではそこまでではないと感じていた。体感的にあのドリンクを飲む様になってから体の調子がいいとは感じていたが。
そういえば優子にドリンクのことを言っていなかったのを思い出し話してみた。
「最近、佐野さんに教えてもらったエナジードリンクを飲んでるんだけど、そのせいかな?」
「へえ、あの先輩からね、なんてやつ?」
「それが、名前、分からなくて。エアロって会社のものなんだけど」
優子は心配そうに溜息混じりで続ける。
「あんたそれ大丈夫?怪しいやつじゃないの?」
「大丈夫だよ、飲み過ぎは良くないみたいだけど、佐野さんが教えてくれたんだし」
私はいつの間にか佐野さんを信用しきっていた。
「そう、でも変なのは飲まない方がいいわよ」
優子にそう忠告されたところでお昼の終わりを告げるチャイムがなった。
夕方、私はあのショップへと出向く。またドリンクを2本、購入しスーパーで食材の買い物して帰ることにした。
スーパーでお会計のレジに並んでいると、聞き覚えのある声がした。佐野さんだ。私の番が近づく度にドキドキしていた。
「あれ、茉莉花ちゃん、調子どう?」
今日も佐野さんはイケメンでした。
「元気です」
私はこの短い時間でどうしても伝えたいことがあって話した。
「あの、お勧めしていただいたドリンク飲んでから、何か買われた気がして」
「そっか、そんなにリピートしてくれるとは思わなかったよ。でも飲み過ぎには気をつけてね」
そう言われ、レジを後にする。
また今度あったら、詳細を聞こうと思いながら袋詰めをして家に帰る。
私は自身の身に起きた変化に気づいた。以前と比べるとここ最近、食欲が減っていることに。
あのドリンクの影響だろうか、でもそれでダイエットになるならいいかと思い軽く食事を済ませ、ドリンクを飲む。不思議と増した集中力で課題を終わらせた。
6月1日 日曜日
今日はサークルの活動日だ。里見と待ち合わせをしているので駅に向かう。
白いワンピースを着た少女が立っている。普段と少し服装が違う様だが里見だった。
「お、おはよう」
「おはよー、元気にしてた?」
里見は優子とテンションが似ている。どちらかといえば内向的な感じで親近感が湧くがテンションは高めな子だ。
「今日は募金活動だっけ?」
「そそ、私も良くわかんないけ新宿駅で集合だから行こ!」
今日は新宿駅付近で募金活動を行う。私たちが住む街の幼稚園への寄付金を募るそうだ。
電車に揺られながら目的地へと向かう。そんな時、里見が話題を降ってきた。
「大学生活はどう?」
「うん、まあ、少し離れてきたかな」
「そっかー。私も慣れてきたんだけど、ちょっと体調悪くて」
里見は少し精神的に不安定になりやすいようで、先週はあまり講義に出られなかったと言っていた。
「それは大変だね。大丈夫?」
「まあ平気平気、今は薬飲んで落ち着いてるから」
そんな会話をしていたら到着のアナウンスがする。人ごみをかき分けながらホームを出て集合場所のバスターミナル付近へと向かった。
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