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第3章 外国出張
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ギルバートは意を決したようにティーカップを雑につかむと、一気に口に流し入れようとした。
「ちょっと!」
慌ててルフェルニアがギルバートのティーカップを持つ手を掴む。
テーブルに少し覆いかぶさってしまって行儀が悪いが、それどころではない。
「熱いから気を付けないとダメよ?それに紅茶はスイーツと楽しまなくっちゃ。」
急に腕を掴まれたギルバートは一時停止していたが、ルフェルニアはすっかり弟を相手にしている気分になっていた。
ギルバートは引き続き奇妙な生き物を見るような目でルフェルニアを見ているが、話し相手ができて嬉しいルフェルニアはその視線に気づかないふりをする。
「焼き菓子は、いくつか種類があるのだけれど、どれが良いかしら?」
ルフェルニアは綺麗に包装された焼き菓子を、ひとつずつ指さして説明していく。
このときルフェルニアはさりげなくギルバートを観察していたのだが、ベリーがはいったパウンドケーキを指さしたとき、ギルバートの目線が一番長く焼き菓子に留まった気がした。
(やっぱり!さっき焼き菓子を机に並べたときにアルと同じで少し嬉しそうに瞳が揺れたと思ったのよね!きっとアルと同じで甘党、しかもベリー系がお好き!)
ルフェルニアは目の前の男性と弟の共通点が増えるたびに、気分が高まっていく。
ルフェルニアは甘党を隠す男性を身近でずっと見てきているので、ルフェルニアの目は誤魔化せない。
「ギルバート様はこちらのパウンドケーキをどうぞ。」
ルフェルニアは、ベリーのパウンドケーキをお皿に出し、ギルバートに渡した。
「…ありがとうございます。」
ギルバートは、ティーカップを手にした時と同じような勢いで、意を決したようにパウンドケーキにフォークを突き刺し、口元へ運んだ。
(さっきから何なの?せっかくの美味しい焼き菓子なのに。…毒でも入っていると思っているのかしら?)
ルフェルニアは自分のお気に入りのお菓子を粗雑に扱われ口を尖らせそうになるが、ギルバートの懸念はまさにそのとおりである。
しかし、ルフェルニアのその気持ちも、ギルバートの表情を見て一瞬で吹き飛んだ。
パウンドケーキを口にしたギルバートの瞳が、アルウィンと同じく僅かに輝いたからだ。
「可愛い~~~~~!」
「は!?」
いきなり声を上げたルフェルニアに、ギルバートはぎょっとした表情をした。
先ほどからいくつか弟との共通点を見つけては気分が上がっていたルフェルニアだが、ここに来て爆発した。
ルフェルニアは、大人になってからは「可愛い!可愛い!」と口に出して騒ぐことはせず、心のうちに留めるようにしていたが、少し前まで落ち込んだ気持ちでいたので、容易に天元突破してしまったのだ。
「やっぱり、ギルバート様ったら、私の弟とそっくりね!
私の弟はアルウィンっていうのだけれど、アルも貴方と同じ黒髪で、少し目じりが上がっているの。目つきが悪いって、本人は気にしているみたいなのだけれど、気にしちゃうところが可愛いわよね!
なにより!!甘いものが好きなのに、甘いもの好きを隠そうとするのよ!貴方も同じでしょう?隠そうとするところがとっても可愛いわ!!アルもベリー系が好きなの!」
急に立ち上がり、ものすごい勢いでしゃべりだしたルフェルニアにギルバートは思わず呆然としたが、言葉の意味を理解すると、その綺麗な顔を真っ赤に染めた。
「いや、俺は…別に…甘いものなんて…、好きじゃない!!!!!」
ギルバートが最初は動揺したように、そして立ち上がり大きい声で否定すると、ルフェルニアは我に返った。
「あ…つい…申し訳ございません…。
ちょっと気持ちが落ち込んでいたので、可愛いを見たらつい暴走を…。」
ルフェルニアはしょんぼりと謝罪をするが、”可愛い”は取り消さない。
「…いや、大声を出して悪かった。」
ギルバートは動揺して”可愛い”が取り消されていないことに気づかない。
急に勢いがなくなったルフェルニアに、ギルバートも我に返り、起立した状態の2人の間には妙な沈黙が流れた。
「ちょっと!」
慌ててルフェルニアがギルバートのティーカップを持つ手を掴む。
テーブルに少し覆いかぶさってしまって行儀が悪いが、それどころではない。
「熱いから気を付けないとダメよ?それに紅茶はスイーツと楽しまなくっちゃ。」
急に腕を掴まれたギルバートは一時停止していたが、ルフェルニアはすっかり弟を相手にしている気分になっていた。
ギルバートは引き続き奇妙な生き物を見るような目でルフェルニアを見ているが、話し相手ができて嬉しいルフェルニアはその視線に気づかないふりをする。
「焼き菓子は、いくつか種類があるのだけれど、どれが良いかしら?」
ルフェルニアは綺麗に包装された焼き菓子を、ひとつずつ指さして説明していく。
このときルフェルニアはさりげなくギルバートを観察していたのだが、ベリーがはいったパウンドケーキを指さしたとき、ギルバートの目線が一番長く焼き菓子に留まった気がした。
(やっぱり!さっき焼き菓子を机に並べたときにアルと同じで少し嬉しそうに瞳が揺れたと思ったのよね!きっとアルと同じで甘党、しかもベリー系がお好き!)
ルフェルニアは目の前の男性と弟の共通点が増えるたびに、気分が高まっていく。
ルフェルニアは甘党を隠す男性を身近でずっと見てきているので、ルフェルニアの目は誤魔化せない。
「ギルバート様はこちらのパウンドケーキをどうぞ。」
ルフェルニアは、ベリーのパウンドケーキをお皿に出し、ギルバートに渡した。
「…ありがとうございます。」
ギルバートは、ティーカップを手にした時と同じような勢いで、意を決したようにパウンドケーキにフォークを突き刺し、口元へ運んだ。
(さっきから何なの?せっかくの美味しい焼き菓子なのに。…毒でも入っていると思っているのかしら?)
ルフェルニアは自分のお気に入りのお菓子を粗雑に扱われ口を尖らせそうになるが、ギルバートの懸念はまさにそのとおりである。
しかし、ルフェルニアのその気持ちも、ギルバートの表情を見て一瞬で吹き飛んだ。
パウンドケーキを口にしたギルバートの瞳が、アルウィンと同じく僅かに輝いたからだ。
「可愛い~~~~~!」
「は!?」
いきなり声を上げたルフェルニアに、ギルバートはぎょっとした表情をした。
先ほどからいくつか弟との共通点を見つけては気分が上がっていたルフェルニアだが、ここに来て爆発した。
ルフェルニアは、大人になってからは「可愛い!可愛い!」と口に出して騒ぐことはせず、心のうちに留めるようにしていたが、少し前まで落ち込んだ気持ちでいたので、容易に天元突破してしまったのだ。
「やっぱり、ギルバート様ったら、私の弟とそっくりね!
私の弟はアルウィンっていうのだけれど、アルも貴方と同じ黒髪で、少し目じりが上がっているの。目つきが悪いって、本人は気にしているみたいなのだけれど、気にしちゃうところが可愛いわよね!
なにより!!甘いものが好きなのに、甘いもの好きを隠そうとするのよ!貴方も同じでしょう?隠そうとするところがとっても可愛いわ!!アルもベリー系が好きなの!」
急に立ち上がり、ものすごい勢いでしゃべりだしたルフェルニアにギルバートは思わず呆然としたが、言葉の意味を理解すると、その綺麗な顔を真っ赤に染めた。
「いや、俺は…別に…甘いものなんて…、好きじゃない!!!!!」
ギルバートが最初は動揺したように、そして立ち上がり大きい声で否定すると、ルフェルニアは我に返った。
「あ…つい…申し訳ございません…。
ちょっと気持ちが落ち込んでいたので、可愛いを見たらつい暴走を…。」
ルフェルニアはしょんぼりと謝罪をするが、”可愛い”は取り消さない。
「…いや、大声を出して悪かった。」
ギルバートは動揺して”可愛い”が取り消されていないことに気づかない。
急に勢いがなくなったルフェルニアに、ギルバートも我に返り、起立した状態の2人の間には妙な沈黙が流れた。
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